【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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本編

第26話 食料が足りませんわ(2)

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 この国は竜の加護があり、実りは豊かです。他国の侵略も退けていただいたので、略奪されたこともありません。ですが……いえ、だからこそ備蓄の量は少ないのです。増やすよう進言しましたが、国王陛下……ではなく、元国王に却下されたことが悔やまれます。

「確か『毎年確実に得られるゆえ、蓄えは最低限で良い』でしたかしら」

 伯母様が呆れ半分で、当時の夫のセリフを繰り返しておられます。記憶力のいい方ですけれど、そっくり繰り返されて私の記憶も鮮明になりました。

 確かにこの国が突然の不作になって苦労した話は聞きません。それでも突然くるのが不作であり、天候不順です。天災で台風が襲うかも知れません。進言した私を退けた時点で、あの人には何も期待しませんでしたが……。

 このような事態になるのなら、無理を言っても用意しておくべきでした。

 国を守護する竜が目覚めたというのに、十分な食料すらご用意できないなんて。数百年に及ぶご加護への返礼として、あまりに失礼ですわ。きっと起きたばかりでお腹が空いているでしょうに。

 そういえば……どうしてテユ様は竜のお姿じゃないのかしら。服に隠して尻尾や羽をお持ちだとしても、空を舞う竜と大きさが違いますわね。

「安心しなさい。我が派閥の貴族は、領地に蓄えをしている……が、あの巨体では1ヶ月も保たないか」

 眉をひそめて計算を始めた父に、何でもないようにテユ様が微笑まれました。

「問題ない。我が眷族は地脈から力を得るゆえ、人と同じ食料は不要だ」

 食料は……必要ないのですか? つまりご用意しなくて平気という意味ですよね。遠慮ではなく?

「そうなんですの?」

「ああ」

 寿命が長くても、数百年食べなかったら餓死するでしょう。ですから食事が必要ないというお言葉も理解できます。理解しますけれど、これは別ですわ!
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