【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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本編

第48話 秘密の共有をいたしましょう(2)

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 昨夜より前から話は始まります。王太子と私の婚約を解消しようと、派閥を増やしたこと。フランカと協力して、知恵を出し合ったこと。王太子の浮気や悪行を調査したこと。

「この後の話を聞いたら、ティファは僕を嫌いになるだろうね」

 昨夜の話に入る前に、リオ兄様はそんな言葉を呟きました。ここで「いいえ」と否定しても、きっと疑うのでしょう。それだけ酷いことがあったのなら、余計に知らずにいたくないのです。それらは私のために起こしてくださった行動ですもの。

 だから選んだのはこの言葉です。

「何があってもリオ兄様は、私のお兄様よ」

 重い沈黙の後、リオ兄様は再び口を開きました。僅かな時間は覚悟を決める時間だったのでしょうか。聞き終えたら、笑い飛ばして差し上げます。

 昨夜は婚約破棄の後、テユ様が乱入して騒然となりました。竜が舞い降りた現場で、リオ兄様の姿が見えなくて。あの時間、フランカもお父様も赤い竜の案内をしていたとか、貴族の打ち合わせと誤魔化しました。

「逃げた伯父上を追いかけたんだ。宝石類を抱えて、自分だけ城から逃げようとした卑怯者を捕まえてた」

 一緒にいられなかった理由だよ。そう付け加えるリオ兄様の完璧な笑みに、私は頷きます。

 伯父様がどうなったのか、王子やカルメンの今後も、きっと私に知らせるおつもりはないのね。何も知らずにお姫様でいて欲しいなら、私はそれで構いません。籠の鳥のように不自由に見えても、私を猫から守る籠なら、大人しく囚われるのも悪くありませんもの。

「その後は……」

「先に私が話すわね」

 フランカが遮りました。兄の向こう側にいるフランカの姿はほとんど見えません。分かるのは、こちらに向いて寝転がってることくらい。

「私はフランシスカになる前の記憶があるの」

 思い浮かんだのは、カルメンが叫んでいた「前の世界」と言う単語でした。きょとんとして見つめても、兄の横顔が見えるだけ。

「リオ兄様は知ってたのね?」

「相談を受けたよ」

 短く答えた兄の頬をぺちっと音をさせて叩きます。こっちを向いたところを、今度は形の良い鼻を摘まんでやりましたわ。

「狡いわ! 2人だけで話すなんて」

「ふふ、ごめんね」

 前に話していた前世の記憶というのが、これなのかしら。摘まんだ鼻に私の指の痕がついてしまって、そっと撫でておきました。強く摘まみすぎたみたい。

「前に生きてた時の記憶があって、私ったら前の人生を合わせると倍くらい生きてるわ」

「やだ、お父様と同じくらい?」

「もう少し若いわ」

「父上はおいくつだっけ?」

 くすくす笑ってい言い合ったところで、一番重要な話が出ました。

「竜の方々と昨夜お話してきた。彼らは共通の意識という概念があって、その輪に入ると知識や経験を共有できるんだ」

 ぱちくりと目を瞬き、少し考えてみる。知識や成功体験、失敗の原因が共有出来たら、勉強や研究が凄く捗りますわ。同じ失敗をしなくなる上、結果もすぐに伝わりますもの。ですから竜の知識は豊かで、魔法などの複雑な仕組みを知っているのだわ。

 彼ら自身も長生きだから、きっととんでもない量の知識が蓄えられてるのでしょう。
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