68 / 109
本編
第48話 秘密の共有をいたしましょう(2)
しおりを挟む
昨夜より前から話は始まります。王太子と私の婚約を解消しようと、派閥を増やしたこと。フランカと協力して、知恵を出し合ったこと。王太子の浮気や悪行を調査したこと。
「この後の話を聞いたら、ティファは僕を嫌いになるだろうね」
昨夜の話に入る前に、リオ兄様はそんな言葉を呟きました。ここで「いいえ」と否定しても、きっと疑うのでしょう。それだけ酷いことがあったのなら、余計に知らずにいたくないのです。それらは私のために起こしてくださった行動ですもの。
だから選んだのはこの言葉です。
「何があってもリオ兄様は、私のお兄様よ」
重い沈黙の後、リオ兄様は再び口を開きました。僅かな時間は覚悟を決める時間だったのでしょうか。聞き終えたら、笑い飛ばして差し上げます。
昨夜は婚約破棄の後、テユ様が乱入して騒然となりました。竜が舞い降りた現場で、リオ兄様の姿が見えなくて。あの時間、フランカもお父様も赤い竜の案内をしていたとか、貴族の打ち合わせと誤魔化しました。
「逃げた伯父上を追いかけたんだ。宝石類を抱えて、自分だけ城から逃げようとした卑怯者を捕まえてた」
一緒にいられなかった理由だよ。そう付け加えるリオ兄様の完璧な笑みに、私は頷きます。
伯父様がどうなったのか、王子やカルメンの今後も、きっと私に知らせるおつもりはないのね。何も知らずにお姫様でいて欲しいなら、私はそれで構いません。籠の鳥のように不自由に見えても、私を猫から守る籠なら、大人しく囚われるのも悪くありませんもの。
「その後は……」
「先に私が話すわね」
フランカが遮りました。兄の向こう側にいるフランカの姿はほとんど見えません。分かるのは、こちらに向いて寝転がってることくらい。
「私はフランシスカになる前の記憶があるの」
思い浮かんだのは、カルメンが叫んでいた「前の世界」と言う単語でした。きょとんとして見つめても、兄の横顔が見えるだけ。
「リオ兄様は知ってたのね?」
「相談を受けたよ」
短く答えた兄の頬をぺちっと音をさせて叩きます。こっちを向いたところを、今度は形の良い鼻を摘まんでやりましたわ。
「狡いわ! 2人だけで話すなんて」
「ふふ、ごめんね」
前に話していた前世の記憶というのが、これなのかしら。摘まんだ鼻に私の指の痕がついてしまって、そっと撫でておきました。強く摘まみすぎたみたい。
「前に生きてた時の記憶があって、私ったら前の人生を合わせると倍くらい生きてるわ」
「やだ、お父様と同じくらい?」
「もう少し若いわ」
「父上はおいくつだっけ?」
くすくす笑ってい言い合ったところで、一番重要な話が出ました。
「竜の方々と昨夜お話してきた。彼らは共通の意識という概念があって、その輪に入ると知識や経験を共有できるんだ」
ぱちくりと目を瞬き、少し考えてみる。知識や成功体験、失敗の原因が共有出来たら、勉強や研究が凄く捗りますわ。同じ失敗をしなくなる上、結果もすぐに伝わりますもの。ですから竜の知識は豊かで、魔法などの複雑な仕組みを知っているのだわ。
彼ら自身も長生きだから、きっととんでもない量の知識が蓄えられてるのでしょう。
「この後の話を聞いたら、ティファは僕を嫌いになるだろうね」
昨夜の話に入る前に、リオ兄様はそんな言葉を呟きました。ここで「いいえ」と否定しても、きっと疑うのでしょう。それだけ酷いことがあったのなら、余計に知らずにいたくないのです。それらは私のために起こしてくださった行動ですもの。
だから選んだのはこの言葉です。
「何があってもリオ兄様は、私のお兄様よ」
重い沈黙の後、リオ兄様は再び口を開きました。僅かな時間は覚悟を決める時間だったのでしょうか。聞き終えたら、笑い飛ばして差し上げます。
昨夜は婚約破棄の後、テユ様が乱入して騒然となりました。竜が舞い降りた現場で、リオ兄様の姿が見えなくて。あの時間、フランカもお父様も赤い竜の案内をしていたとか、貴族の打ち合わせと誤魔化しました。
「逃げた伯父上を追いかけたんだ。宝石類を抱えて、自分だけ城から逃げようとした卑怯者を捕まえてた」
一緒にいられなかった理由だよ。そう付け加えるリオ兄様の完璧な笑みに、私は頷きます。
伯父様がどうなったのか、王子やカルメンの今後も、きっと私に知らせるおつもりはないのね。何も知らずにお姫様でいて欲しいなら、私はそれで構いません。籠の鳥のように不自由に見えても、私を猫から守る籠なら、大人しく囚われるのも悪くありませんもの。
「その後は……」
「先に私が話すわね」
フランカが遮りました。兄の向こう側にいるフランカの姿はほとんど見えません。分かるのは、こちらに向いて寝転がってることくらい。
「私はフランシスカになる前の記憶があるの」
思い浮かんだのは、カルメンが叫んでいた「前の世界」と言う単語でした。きょとんとして見つめても、兄の横顔が見えるだけ。
「リオ兄様は知ってたのね?」
「相談を受けたよ」
短く答えた兄の頬をぺちっと音をさせて叩きます。こっちを向いたところを、今度は形の良い鼻を摘まんでやりましたわ。
「狡いわ! 2人だけで話すなんて」
「ふふ、ごめんね」
前に話していた前世の記憶というのが、これなのかしら。摘まんだ鼻に私の指の痕がついてしまって、そっと撫でておきました。強く摘まみすぎたみたい。
「前に生きてた時の記憶があって、私ったら前の人生を合わせると倍くらい生きてるわ」
「やだ、お父様と同じくらい?」
「もう少し若いわ」
「父上はおいくつだっけ?」
くすくす笑ってい言い合ったところで、一番重要な話が出ました。
「竜の方々と昨夜お話してきた。彼らは共通の意識という概念があって、その輪に入ると知識や経験を共有できるんだ」
ぱちくりと目を瞬き、少し考えてみる。知識や成功体験、失敗の原因が共有出来たら、勉強や研究が凄く捗りますわ。同じ失敗をしなくなる上、結果もすぐに伝わりますもの。ですから竜の知識は豊かで、魔法などの複雑な仕組みを知っているのだわ。
彼ら自身も長生きだから、きっととんでもない量の知識が蓄えられてるのでしょう。
35
あなたにおすすめの小説
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@コミカライズ連載中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
死に戻りの悪役令嬢は、今世は復讐を完遂する。
乞食
恋愛
メディチ家の公爵令嬢プリシラは、かつて誰からも愛される少女だった。しかし、数年前のある事件をきっかけに周囲の人間に虐げられるようになってしまった。
唯一の心の支えは、プリシラを慕う義妹であるロザリーだけ。
だがある日、プリシラは異母妹を苛めていた罪で断罪されてしまう。
プリシラは処刑の日の前日、牢屋を訪れたロザリーに無実の証言を願い出るが、彼女は高らかに笑いながらこう言った。
「ぜーんぶ私が仕組んだことよ!!」
唯一信頼していた義妹に裏切られていたことを知り、プリシラは深い悲しみのまま処刑された。
──はずだった。
目が覚めるとプリシラは、三年前のロザリーがメディチ家に引き取られる前日に、なぜか時間が巻き戻っていて──。
逆行した世界で、プリシラは義妹と、自分を虐げていた人々に復讐することを誓う。
【完結】悪役令嬢の断罪から始まるモブ令嬢の復讐劇
夜桜 舞
恋愛
「私がどんなに頑張っても……やっぱり駄目だった」
その日、乙女ゲームの悪役令嬢、「レイナ・ファリアム」は絶望した。転生者である彼女は、前世の記憶を駆使して、なんとか自身の断罪を回避しようとしたが、全て無駄だった。しょせんは悪役令嬢。ゲームの絶対的勝者であるはずのヒロインに勝てるはずがない。自身が断罪する運命は変えられず、婚約者……いや、”元”婚約者である「デイファン・テリアム」に婚約破棄と国外追放を命じられる。みんな、誰一人としてレイナを庇ってはくれず、レイナに冷たい視線を向けていた。そして、国外追放のための馬車に乗り込むと、馬車の中に隠れていた何者かによって……レイナは殺害されてしまった。
「なぜ、レイナが……あの子は何も悪くないのに!!」
彼女の死に唯一嘆いたものは、家族以上にレイナを知る存在……レイナの親友であり、幼馴染でもある、侯爵令嬢、「ヴィル・テイラン」であった。ヴィルは親友のレイナにすら教えていなかったが、自身も前世の記憶を所持しており、自身がゲームのモブであるということも知っていた。
「これまでは物語のモブで、でしゃばるのはよくないと思い、見て見ぬふりをしていましたが……こればかりは見過ごせません!!」
そして、彼女は決意した。レイナの死は、見て見ぬふりをしてきた自身もにも非がある。だからこそ、彼女の代わりに、彼女への罪滅ぼしのために、彼女を虐げてきた者たちに復讐するのだ、と。これは、悪役令嬢の断罪から始まる、モブ令嬢の復讐劇である。
【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい
三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。
そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。
悪役令嬢は間違えない
スノウ
恋愛
王太子の婚約者候補として横暴に振る舞ってきた公爵令嬢のジゼット。
その行動はだんだんエスカレートしていき、ついには癒しの聖女であるリリーという少女を害したことで王太子から断罪され、公開処刑を言い渡される。
処刑までの牢獄での暮らしは劣悪なもので、ジゼットのプライドはズタズタにされ、彼女は生きる希望を失ってしまう。
処刑当日、ジゼットの従者だったダリルが助けに来てくれたものの、看守に見つかり、脱獄は叶わなかった。
しかし、ジゼットは唯一自分を助けようとしてくれたダリルの行動に涙を流し、彼への感謝を胸に断頭台に上がった。
そして、ジゼットの処刑は執行された……はずだった。
ジゼットが気がつくと、彼女が9歳だった時まで時間が巻き戻っていた。
ジゼットは決意する。
次は絶対に間違えない。
処刑なんかされずに、寿命をまっとうしてみせる。
そして、唯一自分を助けようとしてくれたダリルを大切にする、と。
────────────
毎日20時頃に投稿します。
お気に入り登録をしてくださった方、いいねをくださった方、エールをくださった方、どうもありがとうございます。
とても励みになります。
そちらがその気なら、こちらもそれなりに。
直野 紀伊路
恋愛
公爵令嬢アレクシアの婚約者・第一王子のヘイリーは、ある日、「子爵令嬢との真実の愛を見つけた!」としてアレクシアに婚約破棄を突き付ける。
それだけならまだ良かったのだが、よりにもよって二人はアレクシアに冤罪をふっかけてきた。
真摯に謝罪するなら潔く身を引こうと思っていたアレクシアだったが、「自分達の愛の為に人を貶めることを厭わないような人達に、遠慮することはないよね♪」と二人を返り討ちにすることにした。
※小説家になろう様で掲載していたお話のリメイクになります。
リメイクですが土台だけ残したフルリメイクなので、もはや別のお話になっております。
※カクヨム様、エブリスタ様でも掲載中。
…ºo。✵…𖧷''☛Thank you ☚″𖧷…✵。oº…
☻2021.04.23 183,747pt/24h☻
★HOTランキング2位
★人気ランキング7位
たくさんの方にお読みいただけてほんと嬉しいです(*^^*)
ありがとうございます!
婚約破棄される前に、帰らせていただきます!
パリパリかぷちーの
恋愛
ある日、マリス王国の侯爵令嬢クロナは、王子が男爵令嬢リリィと密会し、自分を「可愛げのない女」と罵り、卒業パーティーで「婚約破棄」を言い渡そうと画策している現場を目撃してしまう。
普通なら嘆き悲しむ場面だが、クロナの反応は違った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる