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本編
第61話 死んだ原因よ(SIDEカリン)
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*****SIDE カリン
数日後――竜帝と竜の乙女の結婚式の余韻漂う屋敷の庭で、私達3人は噴水を眺めていた。私を真ん中に、左右をアオイ兄とリオが挟む形だ。噴水が見えるよう設置されたベンチは、後ろに茂みがあるものの人が近づくと見つけやすい。
アオイ兄がいると、どうしても意識はフランシスカからカリンに戻ってしまう。口調も砕けて、お上品に話そうとするとむず痒かった。
内緒話をすると知り、竜達が人払いと見張りを買って出る。おかげで遠慮なく過去の話を口にできた。でも共有で出歯亀してるんでしょ。別に隠すほどの話はしないけど。
アオイ兄は言いづらそうに切り出した。
「お前、死んだ原因を覚えてるか?」
「うん」
首を縦に振る。するとリオとアオイ兄は複雑そうな表情を見せた。
アオイ兄は覚えてないのか。それなのにヒロインを排除しようとするなんて、よほど気に食わなかったんだろうな。今日ここで私が話すのは前世の死因――。
「え? じゃあ事故?」
「そうなのよ。信じられない事故だったわ。誕生日のプレゼントで一緒に遊園地に行った帰り道、私が押されて電車に飛び込まされちゃって、助けようとしたアオイ兄も一緒にどかん!」
手のひらを上に向けて「どかん」と示した。全く覚えてない様子のアオイ兄に尋ねる。
「どこから不明なの?」
「お前に誕生日プレゼントでゲームを強請られたのは覚えてる」
そこから先が曖昧なのだろう。
「私を突き落した女も覚えてないのね」
「……突き落とされた、のか? え、事故だろ。突き落としたら事件じゃないか」
こちらの世界に存在しない単語が山ほど出るけれど、意識共有してるせいか。婚約者のエミリオはさほど困惑した様子はない。時々考え込む仕草を見せるが、納得しているようだ。なんか、ゲームのチート能力みたいでズルいわね。
兄妹の関係だと知ったから、リオがアオイ兄を牽制する心配もなくなったし。この世界で兄と恋人を手に入れた私って最強じゃない。これぞヒロインよね。
あ、思い出した!
「私を突き落したの、あのカルメンって転移者よ。落ちるときに振り返ったから間違いない。にやにやして腹立たしかった」
唇を尖らせて、告げ口する気分。リオの顔色が変わった。
「あの破廉恥女、もっと痛めつけておけばよかった」
歯ぎしりの合間に聞こえた物騒な言葉は、聞かないフリのがいいね。すっごい愛されてるって変換して記憶する方が、お嬢様らしいもん。
「リオにはもう一度詳しく説明しますわ」
ご令嬢の振る舞いが板についた私の口調、それがおかしいと大笑いするアオイ兄の腹にグーパンした。
「もうっ! 失礼よ、お兄ちゃん」
お転婆だったカリンの魂を持つ私に追い回されながら、アオイ兄はよく晴れた空を見上げる。同じように目を向けると、澄んだ空に浮かぶ雲を突き破った影がいた。ようやく目覚めた寝坊助が数匹? アオイ兄の呟きを拾って目を凝らす。
まだまだ騒がしくなりそうね。
数日後――竜帝と竜の乙女の結婚式の余韻漂う屋敷の庭で、私達3人は噴水を眺めていた。私を真ん中に、左右をアオイ兄とリオが挟む形だ。噴水が見えるよう設置されたベンチは、後ろに茂みがあるものの人が近づくと見つけやすい。
アオイ兄がいると、どうしても意識はフランシスカからカリンに戻ってしまう。口調も砕けて、お上品に話そうとするとむず痒かった。
内緒話をすると知り、竜達が人払いと見張りを買って出る。おかげで遠慮なく過去の話を口にできた。でも共有で出歯亀してるんでしょ。別に隠すほどの話はしないけど。
アオイ兄は言いづらそうに切り出した。
「お前、死んだ原因を覚えてるか?」
「うん」
首を縦に振る。するとリオとアオイ兄は複雑そうな表情を見せた。
アオイ兄は覚えてないのか。それなのにヒロインを排除しようとするなんて、よほど気に食わなかったんだろうな。今日ここで私が話すのは前世の死因――。
「え? じゃあ事故?」
「そうなのよ。信じられない事故だったわ。誕生日のプレゼントで一緒に遊園地に行った帰り道、私が押されて電車に飛び込まされちゃって、助けようとしたアオイ兄も一緒にどかん!」
手のひらを上に向けて「どかん」と示した。全く覚えてない様子のアオイ兄に尋ねる。
「どこから不明なの?」
「お前に誕生日プレゼントでゲームを強請られたのは覚えてる」
そこから先が曖昧なのだろう。
「私を突き落した女も覚えてないのね」
「……突き落とされた、のか? え、事故だろ。突き落としたら事件じゃないか」
こちらの世界に存在しない単語が山ほど出るけれど、意識共有してるせいか。婚約者のエミリオはさほど困惑した様子はない。時々考え込む仕草を見せるが、納得しているようだ。なんか、ゲームのチート能力みたいでズルいわね。
兄妹の関係だと知ったから、リオがアオイ兄を牽制する心配もなくなったし。この世界で兄と恋人を手に入れた私って最強じゃない。これぞヒロインよね。
あ、思い出した!
「私を突き落したの、あのカルメンって転移者よ。落ちるときに振り返ったから間違いない。にやにやして腹立たしかった」
唇を尖らせて、告げ口する気分。リオの顔色が変わった。
「あの破廉恥女、もっと痛めつけておけばよかった」
歯ぎしりの合間に聞こえた物騒な言葉は、聞かないフリのがいいね。すっごい愛されてるって変換して記憶する方が、お嬢様らしいもん。
「リオにはもう一度詳しく説明しますわ」
ご令嬢の振る舞いが板についた私の口調、それがおかしいと大笑いするアオイ兄の腹にグーパンした。
「もうっ! 失礼よ、お兄ちゃん」
お転婆だったカリンの魂を持つ私に追い回されながら、アオイ兄はよく晴れた空を見上げる。同じように目を向けると、澄んだ空に浮かぶ雲を突き破った影がいた。ようやく目覚めた寝坊助が数匹? アオイ兄の呟きを拾って目を凝らす。
まだまだ騒がしくなりそうね。
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