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10 恋人ごっこ
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覚悟を決めたフェリチアーノとテオドールは、流石にこれ以上会場に戻らないのは不味いとなり未だ賑やかさが衰えない会場に舞い戻った。
二人が親密そうに寄り添い会場入りすればやはり会場中の視線が一気に突き刺さり、水を打ったかの様に静まり返る。
ただの貴族のカップルならばこうはならないだろう。しかし帰国したばかりで婚約者の居ない第四王子と、美しくも家の問題があり誰も表だって近づきはしない令息だ。注目されない筈がない。
その様な状況であっても我関せずと言った体のテオドールとは違い、フェリチアーノは笑みを何とか貼り付けてはいたが、逃げ出したい衝動を抑える事に必死で思わずテオドールに絡ませた腕に力を入れてしまう。
それに気が付いたテオドールは、この様な注目される状況に慣れている自分とフェリチアーノは違うのだったと悟り立ち止まると、微かに震えているフェリチアーノの手を優しく叩いた。
こんな状況下で気遣われる事など今までなかったフェリチアーノは、テオドールの気遣いに顔を綻ばせる。それを見たテオドールも満足そうに笑みを作り、それはまるで本物の恋人同士に見えただろう。
誰もが遠巻きに二人の動向をちらちらと窺い、静けさは徐々に四散していった。
そんな中、テオドールの従者であるロイズはずっと探していたテオドールを見つけ、内心に驚きを隠したまま足早に二人に近づいた。
「探しましたよ殿下――ところでそちらの方は……?」
「悪いなロイズ、彼と話し込んでいたら時間が経っているのに気が付かなくてさ」
「フェリチアーノ・デュシャンと申します」
組んだ腕を引き抜こうとしたがテオドールはそれを許さなかった為、フェリチアーノは軽く頭を下げて名乗った。
フェリチアーノの家名を聞き僅かに反応を示したロイズに、やはり家族の話を知っているのだろうと居た堪れなさを感じてしまう。
テオドール自体はデュシャン家の評判を知らなかったようだが、流石にその側近には知られているようだった。王族周辺にまで知れ渡っているのはどうなのかと思い頭が痛くなるが、もうどうしようも無い事だった。
「大丈夫かフェリチアーノ?」
黙り込んでいたフェリチアーノの顎を徐に掬い上げ顔を覗き込まれれば、あまりの手馴れたその動作にフェリチアーノは思わず顔が赤くなってしまい、目を伏せテオドールから視線を外した。
「大丈夫ですよ、テオドール様」
気を取り直し恥じらう様に笑みを返せば、テオドールの顔にも僅かに赤みがさした。
なんとも甘やかで初々しい二人の光景に、ロイズはただただ唖然としてしまう。確かに恋人を作ってみてはどうかと提案をしたが、それをするつもりは無いときっぱりと否定して見せたのは誰であろうテオドールだったのだ。
では今目の前で繰り広げられている光景はどういう心境の変化なのかと言う疑問が過る。
そして何より相手があのデュシャン家の一人だった。そんな人間がテオドールに近づくなど、到底許せるものでは無かった。
「殿下、ご説明を」
フェリチアーノを冷たく睨みながらも、テオドールに催促すれば、困った様な笑みを浮かべた。
「フェリチアーノ、ロイズは俺の側近なんだ。事情を説明してもいいかな?」
「その方がよろしいかと思いますよ。相手が僕ですから、とても心配されているようですし」
ロイズからの視線に思わず苦笑しながらもテオドールにそう答えた。主の横に侍る男が自分の様な男では、気が気では無いだろうなとロイズの気持ちを察する。
さり気無さを装い別室へと連れて来られた二人は、最大限に警戒するロイズに対してお互い顔を見合わせて苦笑する。
テオドールが一通りの経緯を話し終える頃には、警戒心はすっかりと呆れへと様変わりしていた。
二人が親密そうに寄り添い会場入りすればやはり会場中の視線が一気に突き刺さり、水を打ったかの様に静まり返る。
ただの貴族のカップルならばこうはならないだろう。しかし帰国したばかりで婚約者の居ない第四王子と、美しくも家の問題があり誰も表だって近づきはしない令息だ。注目されない筈がない。
その様な状況であっても我関せずと言った体のテオドールとは違い、フェリチアーノは笑みを何とか貼り付けてはいたが、逃げ出したい衝動を抑える事に必死で思わずテオドールに絡ませた腕に力を入れてしまう。
それに気が付いたテオドールは、この様な注目される状況に慣れている自分とフェリチアーノは違うのだったと悟り立ち止まると、微かに震えているフェリチアーノの手を優しく叩いた。
こんな状況下で気遣われる事など今までなかったフェリチアーノは、テオドールの気遣いに顔を綻ばせる。それを見たテオドールも満足そうに笑みを作り、それはまるで本物の恋人同士に見えただろう。
誰もが遠巻きに二人の動向をちらちらと窺い、静けさは徐々に四散していった。
そんな中、テオドールの従者であるロイズはずっと探していたテオドールを見つけ、内心に驚きを隠したまま足早に二人に近づいた。
「探しましたよ殿下――ところでそちらの方は……?」
「悪いなロイズ、彼と話し込んでいたら時間が経っているのに気が付かなくてさ」
「フェリチアーノ・デュシャンと申します」
組んだ腕を引き抜こうとしたがテオドールはそれを許さなかった為、フェリチアーノは軽く頭を下げて名乗った。
フェリチアーノの家名を聞き僅かに反応を示したロイズに、やはり家族の話を知っているのだろうと居た堪れなさを感じてしまう。
テオドール自体はデュシャン家の評判を知らなかったようだが、流石にその側近には知られているようだった。王族周辺にまで知れ渡っているのはどうなのかと思い頭が痛くなるが、もうどうしようも無い事だった。
「大丈夫かフェリチアーノ?」
黙り込んでいたフェリチアーノの顎を徐に掬い上げ顔を覗き込まれれば、あまりの手馴れたその動作にフェリチアーノは思わず顔が赤くなってしまい、目を伏せテオドールから視線を外した。
「大丈夫ですよ、テオドール様」
気を取り直し恥じらう様に笑みを返せば、テオドールの顔にも僅かに赤みがさした。
なんとも甘やかで初々しい二人の光景に、ロイズはただただ唖然としてしまう。確かに恋人を作ってみてはどうかと提案をしたが、それをするつもりは無いときっぱりと否定して見せたのは誰であろうテオドールだったのだ。
では今目の前で繰り広げられている光景はどういう心境の変化なのかと言う疑問が過る。
そして何より相手があのデュシャン家の一人だった。そんな人間がテオドールに近づくなど、到底許せるものでは無かった。
「殿下、ご説明を」
フェリチアーノを冷たく睨みながらも、テオドールに催促すれば、困った様な笑みを浮かべた。
「フェリチアーノ、ロイズは俺の側近なんだ。事情を説明してもいいかな?」
「その方がよろしいかと思いますよ。相手が僕ですから、とても心配されているようですし」
ロイズからの視線に思わず苦笑しながらもテオドールにそう答えた。主の横に侍る男が自分の様な男では、気が気では無いだろうなとロイズの気持ちを察する。
さり気無さを装い別室へと連れて来られた二人は、最大限に警戒するロイズに対してお互い顔を見合わせて苦笑する。
テオドールが一通りの経緯を話し終える頃には、警戒心はすっかりと呆れへと様変わりしていた。
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