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24 帰宅
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乗った事も無い程の豪華な馬車がゆっくりと街道を進んでいく。上質な椅子に腰かけ外を眺めるフェリチアーノは一人、屋敷への帰路へと就いていた。
誓約魔法を施された後、そのまま帰ろうとしたフェリチアーノをテオドールが強く引き止め、結局当初予定していた日よりも一週間ばかりが経っていた。
滞在期間中、テオドールに王宮内をあちこち連れまわされかと思えば、仕立て屋を呼ばれ採寸をされたり、宝飾品を贈られそうにもなった。
嬉々としてそれらをやるテオドールに呆れはしたものの、何故だか少しも悪い気はしなかった。寧ろ今まででの一夜の愛人などの時より楽しんでいる自分がいたほどだ。
手ずから菓子をフェリチアーノの口元へと差し出して来たり、すぐに腰を抱き寄せ密着してきてきたりと、スキンシップもかなりの物で、それに対して戸惑いはするもののやはり嫌な気分にはならない。
キラキラと輝く目で嬉しそうにフェリチアーノに構うテオドールは、心の底からこの恋人ごっこを楽しんでいる事が分かったからだろう。
まるで見えない尻尾をはち切れんばかりに振っている大型犬の様な有様を思い出し、フェリチアーノはクスリと口元を緩めた。
誓約魔法が施された手首は、テオドールが作らせた新たな服の袖でキッチリと隠され他人がそれを見る事は無い。
罪人以外が刻まれる事がない刺青を見たテオドールが、フェリチアーノに見せた気遣いの一つであった。
楽しそうに横で笑う仮の恋人、静かにゆっくりと流れる時間、上質な物で揃えられた空間と食事。
それらはまるで夢の中に居る様なひと時で、フェリチアーノの心をゆっくりと癒していた。しかしその夢の中にずっと浸る事は許されない。
いつまでも王宮に居るわけにはいかないのだ。長く家を空ければそれだけ家族が煩くなるだけだ。
その証拠に、日に日にフェリチアーノに届く家族からの手紙はその量と回数を増していった。いつ戻るのか、早く戻り詳細を話せと。そして早く自分達をテオドール、ひいては他の王族達に紹介しろと、そういう内容ばかりだ。
セザールには苦労をかけるが、領主としての仕事もある為に王宮と屋敷を往復して貰っていた。その際に渡される手紙がどれ程煩わしかった事か。
どうあっても現実を忘れさせてはくれない手紙は軽く目だけ通してはすぐに燃やしていたが、それでも心の中にその燃えカスが灰となって沈殿していくのだった。
「お帰りなさいませ坊ちゃま」
にこやかに出迎えたセザールに、疲れた様に微笑みながらフェリチアーノはすぐさま自身の部屋へと入っていく。
家族が今まであまり呼ばれなかった茶会へ嬉々として出かけている隙に態々帰って来たのだが、それでも気が重たい事には変わりがない。
暫くすればシルヴァンがいつもと変わらない様子で、ティーワゴンを運んでくる。ロイズに鑑定を頼んだが、結果この紅茶には毒が仕込まれていない事が分かった。
だからと言って、溢れ出した不信感が消えて無くなる事は無い。
それにやはり、この紅茶を飲まなかった間体はいつもより調子が良かったのだから何かがあると疑ってしまうのは仕方が無いだろう。
「セザールさんから聞いてはいましたが、殿下とは大変仲睦まじくお過ごしだったとか。旦那様方も早くフェリチアーノ様からお話を聞きたいと、それはもうご帰宅されるのを楽しみにしていましたよ」
「そうか、父上達の戻りはいつになるかな」
「晩餐までには帰られるかと、早めに戻る様にと連絡なさいますか?」
「いやいい、流石に慣れない王宮生活で疲れてしまったからね。少し休みたいんだ」
会話をしつつも手に持ったカップになかなか口が着けれなかった。しかしこれを飲まなければ不審がられてしまう事だろう。そう思いゆっくりと慣れ親しんだはずの紅茶を飲み込んで行った。
その後フェリチアーノは晩餐すら取らずに自室に引きこもった。
慣れ親しんだ自身の部屋で、ゆっくりと体を休めようと努めるが、家族と同じ屋根の下に居ると言う事実が今のフェリチアーノには些か耐え難った。
それ程までに王宮でのひと時は、テオドールと過ごす時間は素晴らしかったのだ。
誓約魔法を施された後、そのまま帰ろうとしたフェリチアーノをテオドールが強く引き止め、結局当初予定していた日よりも一週間ばかりが経っていた。
滞在期間中、テオドールに王宮内をあちこち連れまわされかと思えば、仕立て屋を呼ばれ採寸をされたり、宝飾品を贈られそうにもなった。
嬉々としてそれらをやるテオドールに呆れはしたものの、何故だか少しも悪い気はしなかった。寧ろ今まででの一夜の愛人などの時より楽しんでいる自分がいたほどだ。
手ずから菓子をフェリチアーノの口元へと差し出して来たり、すぐに腰を抱き寄せ密着してきてきたりと、スキンシップもかなりの物で、それに対して戸惑いはするもののやはり嫌な気分にはならない。
キラキラと輝く目で嬉しそうにフェリチアーノに構うテオドールは、心の底からこの恋人ごっこを楽しんでいる事が分かったからだろう。
まるで見えない尻尾をはち切れんばかりに振っている大型犬の様な有様を思い出し、フェリチアーノはクスリと口元を緩めた。
誓約魔法が施された手首は、テオドールが作らせた新たな服の袖でキッチリと隠され他人がそれを見る事は無い。
罪人以外が刻まれる事がない刺青を見たテオドールが、フェリチアーノに見せた気遣いの一つであった。
楽しそうに横で笑う仮の恋人、静かにゆっくりと流れる時間、上質な物で揃えられた空間と食事。
それらはまるで夢の中に居る様なひと時で、フェリチアーノの心をゆっくりと癒していた。しかしその夢の中にずっと浸る事は許されない。
いつまでも王宮に居るわけにはいかないのだ。長く家を空ければそれだけ家族が煩くなるだけだ。
その証拠に、日に日にフェリチアーノに届く家族からの手紙はその量と回数を増していった。いつ戻るのか、早く戻り詳細を話せと。そして早く自分達をテオドール、ひいては他の王族達に紹介しろと、そういう内容ばかりだ。
セザールには苦労をかけるが、領主としての仕事もある為に王宮と屋敷を往復して貰っていた。その際に渡される手紙がどれ程煩わしかった事か。
どうあっても現実を忘れさせてはくれない手紙は軽く目だけ通してはすぐに燃やしていたが、それでも心の中にその燃えカスが灰となって沈殿していくのだった。
「お帰りなさいませ坊ちゃま」
にこやかに出迎えたセザールに、疲れた様に微笑みながらフェリチアーノはすぐさま自身の部屋へと入っていく。
家族が今まであまり呼ばれなかった茶会へ嬉々として出かけている隙に態々帰って来たのだが、それでも気が重たい事には変わりがない。
暫くすればシルヴァンがいつもと変わらない様子で、ティーワゴンを運んでくる。ロイズに鑑定を頼んだが、結果この紅茶には毒が仕込まれていない事が分かった。
だからと言って、溢れ出した不信感が消えて無くなる事は無い。
それにやはり、この紅茶を飲まなかった間体はいつもより調子が良かったのだから何かがあると疑ってしまうのは仕方が無いだろう。
「セザールさんから聞いてはいましたが、殿下とは大変仲睦まじくお過ごしだったとか。旦那様方も早くフェリチアーノ様からお話を聞きたいと、それはもうご帰宅されるのを楽しみにしていましたよ」
「そうか、父上達の戻りはいつになるかな」
「晩餐までには帰られるかと、早めに戻る様にと連絡なさいますか?」
「いやいい、流石に慣れない王宮生活で疲れてしまったからね。少し休みたいんだ」
会話をしつつも手に持ったカップになかなか口が着けれなかった。しかしこれを飲まなければ不審がられてしまう事だろう。そう思いゆっくりと慣れ親しんだはずの紅茶を飲み込んで行った。
その後フェリチアーノは晩餐すら取らずに自室に引きこもった。
慣れ親しんだ自身の部屋で、ゆっくりと体を休めようと努めるが、家族と同じ屋根の下に居ると言う事実が今のフェリチアーノには些か耐え難った。
それ程までに王宮でのひと時は、テオドールと過ごす時間は素晴らしかったのだ。
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