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44 愚者2
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屋敷を後にしたマティアスは不機嫌だとばかりに顔を顰め外を見ていたいた。その様子をウィリアムは心底愉快そうな笑みを気づかれない様に浮かべた。
「機嫌が悪いのかマティアス」
「あぁアイツの顔を見たからな、気分が悪いなんてもんじゃない」
「アイツ? あぁ君の弟さんか」
馬車から降りて来たフェリチアーノは憂を帯びた表情をしていたが、ふと嬉しそうに顔を綻ばせたりと随分と気が緩んでいる様子だった。
そんな表情に苛つき悪態をつけば、ストンと表情を消し去り何時もと変わらない顔を見せる。そんな態度にもムカムカと苛つきが治らず、挙句には友人のウィリアムがフェリチアーノに挨拶した事も許せなかった。
「あんな奴は無視すれば良いのに何故挨拶なんかしたんだ」
そう問われたウィリアムはキョトンとした顔をするが、すぐに何かに思い至った様に一つ頷くとマティアスの隣に席を移した。
「君の家族だろう? だったら挨拶くらいするさ、例え彼で無くてもね?」
「そ、そうか?」
「そうとも、あぁ機嫌を直してくれマティアス。私が何よりも優先するのは友人である君だからね。それに折角の楽しい時間が台無しじゃないか。そうだ、今日は趣向を変えて遊ぼうか」
御者に指示を出したウィリアムはニヤリと笑いながらマティアスの肩に腕を回し、気分を上げるように殊更明るくたわいのない話を始めた。
暫くして到着した場所は大きな屋敷だった。一体ここに何があるのかと目でウィリアムに問いかけるが彼はまぁまぁと言うだけで教えてはくれない。
仮面を付けた女性に案内され、豪華な部屋へと通される。部屋の中は薄暗く大きなベッドが置かれており独特な甘い香の香が炊かれ怪しく煙が漂っている。それだけでこの場所が何なのかマティアスは理解した。
「ようこそ、高級娼館クワイエへ。来たがってただろ? 楽しもうじゃないかマティアス」
パンパンとウィリアムが手を叩けば扉が開かれ、数人の女性が姿を現しマティアスを取り囲むと、次々に服を脱がしていきマティアスを快楽の底へと落としていく。
その様子をウィリアムはソファにゆったりと座り寛ぎながら、酒を入ったグラスを傾けていた。
暫くして満足したのかベットに倒れ込んだマティアスに水の入ったグラスを差し出す。
「お前は楽しまなくて良かったのか?」
「今日はマティアスの為に連れて来たからね、それに……」
ギシリとベッドに乗り上げマティアスにのしかかったウィリアムは、その上気した体に舌を這わせた。
「私は君の方が良い」
初めて与えられる未知なる快楽に溺れていくマティアスは、脳髄から蕩ける様な感覚を味わうと同時に、全ての欲と感情が満たされる様な感覚にも陥った。
ウィリアムに友人と言われた事も嬉しかったが、それよりもそれ以上に求められたことも気分を高揚させ存分に興奮を煽る。
何度となく交わり限界を迎えたマティアスはそのまま気絶するように眠りについた。
その様子に笑いが堪えられなくなったウィリアムは、ベッドから抜け出すと部屋から出て身を清め、簡単に衣服をを身につけてから関係者以外は立ち入れない階段を上がり奥まった部屋へと入る。
「なんだウィリアム」
「父上に良い報告を持って来たんですよ」
顎をしゃくり続きを促した父にニヤリと嫌らしい笑みを浮かべてウィリアムは口を開いた。
「デュシャン家の嫡男を堕としました。次男は第四王子殿下の恋人ですから、これで王家に近づきやすくなります」
「ほう、それは本当か? 使えないと思っていたが、どうやらお前への評価を見誤っていたらしいな。よし、ではその嫡男を上手く使えるようにもっと励めよウィリアム」
「言われずとも」
ニヤつく顔を隠す事も無くマティアスが眠る部屋へと戻る。信用しきり深く眠りにつくマティアスは何とも滑稽であった。
自尊心が強くしかし孤独なマティアスを堕とすなどウィリアムには簡単過ぎるほどだった。全てを肯定し、甘く囁けば良いだけで駆け引きなど皆無だ。よくもまぁこれまで生きてこられたなと思わずには居られないが、そのおかげでウィリアムが付け入る隙がそこかしこにあったのだ。
屋敷で見かけたフェリチアーノの方が好みではあるが、王家に繋がりを持てる位置にあればだれでも良いのだ。そしてテイラー家での存在価値を高められればそれでいい。
三男などどの家も価値はないに等しい。だがマティアスが手の内に居ればその価値は上がるだろう。後は上手くマティアスを操り王室に取り入り、頃合いを見て切り捨てれば良いだけ。
そう計略を巡らせながらウィリアムは一人祝杯を傾けた。
「機嫌が悪いのかマティアス」
「あぁアイツの顔を見たからな、気分が悪いなんてもんじゃない」
「アイツ? あぁ君の弟さんか」
馬車から降りて来たフェリチアーノは憂を帯びた表情をしていたが、ふと嬉しそうに顔を綻ばせたりと随分と気が緩んでいる様子だった。
そんな表情に苛つき悪態をつけば、ストンと表情を消し去り何時もと変わらない顔を見せる。そんな態度にもムカムカと苛つきが治らず、挙句には友人のウィリアムがフェリチアーノに挨拶した事も許せなかった。
「あんな奴は無視すれば良いのに何故挨拶なんかしたんだ」
そう問われたウィリアムはキョトンとした顔をするが、すぐに何かに思い至った様に一つ頷くとマティアスの隣に席を移した。
「君の家族だろう? だったら挨拶くらいするさ、例え彼で無くてもね?」
「そ、そうか?」
「そうとも、あぁ機嫌を直してくれマティアス。私が何よりも優先するのは友人である君だからね。それに折角の楽しい時間が台無しじゃないか。そうだ、今日は趣向を変えて遊ぼうか」
御者に指示を出したウィリアムはニヤリと笑いながらマティアスの肩に腕を回し、気分を上げるように殊更明るくたわいのない話を始めた。
暫くして到着した場所は大きな屋敷だった。一体ここに何があるのかと目でウィリアムに問いかけるが彼はまぁまぁと言うだけで教えてはくれない。
仮面を付けた女性に案内され、豪華な部屋へと通される。部屋の中は薄暗く大きなベッドが置かれており独特な甘い香の香が炊かれ怪しく煙が漂っている。それだけでこの場所が何なのかマティアスは理解した。
「ようこそ、高級娼館クワイエへ。来たがってただろ? 楽しもうじゃないかマティアス」
パンパンとウィリアムが手を叩けば扉が開かれ、数人の女性が姿を現しマティアスを取り囲むと、次々に服を脱がしていきマティアスを快楽の底へと落としていく。
その様子をウィリアムはソファにゆったりと座り寛ぎながら、酒を入ったグラスを傾けていた。
暫くして満足したのかベットに倒れ込んだマティアスに水の入ったグラスを差し出す。
「お前は楽しまなくて良かったのか?」
「今日はマティアスの為に連れて来たからね、それに……」
ギシリとベッドに乗り上げマティアスにのしかかったウィリアムは、その上気した体に舌を這わせた。
「私は君の方が良い」
初めて与えられる未知なる快楽に溺れていくマティアスは、脳髄から蕩ける様な感覚を味わうと同時に、全ての欲と感情が満たされる様な感覚にも陥った。
ウィリアムに友人と言われた事も嬉しかったが、それよりもそれ以上に求められたことも気分を高揚させ存分に興奮を煽る。
何度となく交わり限界を迎えたマティアスはそのまま気絶するように眠りについた。
その様子に笑いが堪えられなくなったウィリアムは、ベッドから抜け出すと部屋から出て身を清め、簡単に衣服をを身につけてから関係者以外は立ち入れない階段を上がり奥まった部屋へと入る。
「なんだウィリアム」
「父上に良い報告を持って来たんですよ」
顎をしゃくり続きを促した父にニヤリと嫌らしい笑みを浮かべてウィリアムは口を開いた。
「デュシャン家の嫡男を堕としました。次男は第四王子殿下の恋人ですから、これで王家に近づきやすくなります」
「ほう、それは本当か? 使えないと思っていたが、どうやらお前への評価を見誤っていたらしいな。よし、ではその嫡男を上手く使えるようにもっと励めよウィリアム」
「言われずとも」
ニヤつく顔を隠す事も無くマティアスが眠る部屋へと戻る。信用しきり深く眠りにつくマティアスは何とも滑稽であった。
自尊心が強くしかし孤独なマティアスを堕とすなどウィリアムには簡単過ぎるほどだった。全てを肯定し、甘く囁けば良いだけで駆け引きなど皆無だ。よくもまぁこれまで生きてこられたなと思わずには居られないが、そのおかげでウィリアムが付け入る隙がそこかしこにあったのだ。
屋敷で見かけたフェリチアーノの方が好みではあるが、王家に繋がりを持てる位置にあればだれでも良いのだ。そしてテイラー家での存在価値を高められればそれでいい。
三男などどの家も価値はないに等しい。だがマティアスが手の内に居ればその価値は上がるだろう。後は上手くマティアスを操り王室に取り入り、頃合いを見て切り捨てれば良いだけ。
そう計略を巡らせながらウィリアムは一人祝杯を傾けた。
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