【完結】最初で最後の恋をしましょう

関鷹親

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66 お友達

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「はいはいフェリちゃん、お手手を出してくださいね~うわっ細いねぇ、僕でも簡単に折れそう! しかもなんだいこれは、誓約魔法? 一体君らは何を考えてこんな物を付けているのさ!」
「いつまで触ってるんだ、早く離せっ」
「もう怖いなぁテオドール君は、そんなに囲い込んでると嫌われちゃうんだよ~?」
「うっそうなのか?」

 あからさまに狼狽えたテオドールはオロオロとしながらフェリチアーノを見るが、それ位では嫌いにならないとフェリチアーノに言われれば、今度は満足そうにリンドベルへと視線を向けた。
 そんな視線をテオドールに向けられてもリンドベルの手に握られているペンの動きは止まらない。ガリガリと音を立てながらどんどんと紙に書き進められていく文字をフェリチアーノがついつい目で追っていれば、テオドールがつまらなそうにフェリチアーノを膝の上に乗せてその肩に顎を置く。

「お熱いねぇ、羨ましい! 羨ましいぞ君達!!」
「リンドベル五月蝿いぞ」
「僕は君の切なる願いを聞く為に今馬車馬の様に働いてるって言うのに酷いじゃ無いかっ!あぁそれで、宝石は付けておくかい? 魔道具だとバレたらまずいだろう?」
「丁度造らせようと思ってたデザインがあるからそれと一緒にしてくれ」
「んんっまた面倒臭い注文を、全く君は容赦ないねぇ」

 二人の会話の応酬にフェリチアーノは思わず笑ってしまう。

「ごめんなさい、あまりにも二人の仲が微笑ましくて」
「そうだろうとも、何せテオドール君と僕はとっても仲良しなお友達だからね」
「羨ましいです」

 気が付けばフェリチアーノは心の底からそう言葉を紡いでいた。フェリチアーノには今迄友人と呼べる様な人は居なかった。居るのはいつもパトロンばかりで、それは友人とは呼べない物だ。
 誰しもがデュシャン家を遠巻きにする中で、友人と呼べるような存在を作れる筈もなく、また作る時間も余裕もフェリチアーノには無かった。
 外に出た際に親しげにしている同年代の人々を見ては羨ましく思った事も数知れない。

 少し寂しそうな雰囲気を漂わせたフェリチアーノに、テオドールは今迄何も持たなかったフェリチアーノを不憫に思った。
 家族も友人も居ない人生とはどれほど寂しい物だろうか。そう思えばどれ程自分が恵まれているか身に染みて実感が出来る。
 擬似的ではあるが家族の様なものを、グレイス家では与える事が出来ているとテオドールは思う。恋人としての愛情や温もりは自分が存分に与えられている筈だとも思う。しかし友人としての立場の人間は、今フェリチアーノの周りには居なかった。
 考えながらリンドベルを見れば、やれやれと言った調子で笑う。

「フェリちゃんはお友達が居ないのかい? ならお友達第一号に僕がなってあげようねぇ。魔道具で楽しく僕と遊ぼうじゃないか!」
「え?」
「僕は人が大嫌いだけど、テオドール君は好きだからねぇ。そんな彼の大事な人なら僕も安心してお友達になれるよ。因みに僕のお友達第一号はテオドール君だから、フェリちゃんは二号だよ~」

 よろしくねぇ~と気の抜ける様な声で言われ、どうしたら良いものかと戸惑いながらテオドールを見ればニコニコしながら頷かれ、それと同時に耳元で“こいつと友達になると魔道具が使いたい放題だぞ?”といたずらっ子の様にニヤリと笑った。
 それから二人が魔道具を使って起こした事件などの話をし始め、フェリチアーノはそれを楽しく聞いていたのだが、控えているロイズは始終渋面をしていて、その表情からも二人がどれ程の事をしでかして来たのかが窺い知れ、それもまた可笑しくフェリチアーノの笑いは絶えなかった。



 フェリチアーノがグレイス家で楽しく暮らしているその時、デュシャン家ではカサンドラ以外の面々に問題が起き始めていた。
 マティアスは惚れ込んでしまったウィリアムから、ここのところしつこくフェリチアーノと繋ぎを作ってくれと頼まれていた。
 王家との繋がりを持ち家の中での立場を確立させたいと言うウィリアムの願いを聞くべく、マティアスは何度かフェリチアーノを呼び出す手紙を書いて城へと届けたが、返事はいつも“暫くは帰れない”と一言書かれた物だけだった。

 アガットはフェリチアーノから奪った宝飾品を日々身につけ、シャロン達の周りをちょこまかとついて回っていたが、新しい宝飾品が増えない事を指摘され、本当に親しいのかと疑われ始めていた。
 フェリチアーノが戻らないので宝飾品が増えないのは当たり前だ。しかし一度ついてしまった嘘はいまさら引っ込める事も出来ず、アガットもまた早く帰ってこいと城へと手紙を出していた。

 そしてアンベールはとうとう貸し渋る様になって来た金貸しに苛立ちを隠せなくなり、シルヴァンは折角セザールの後釜になったと言うのに、フェリチアーノが戻らない為に当てにしていた金も入らずで、こちらも苛立たしさが募る。

 そんな中でカサンドラだけが余裕の笑みを浮かべていた。
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