懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

六剣

文字の大きさ
11 / 701

第11話 エロミミック

しおりを挟む
『けけけ。鳳ィ、お前は今日だけで俺に幾つ借りを作れば気が済むんだぁ?』
「すんません……」

 箕輪さんに連絡して、リンカにはようやく納得してもらった。

 意外な事に箕輪さんとリンカは接点がある。
 二人は昔に一度会っているのだが、幼い当時に箕輪さんのキャラクターは良い人と言う印象が無かった為に、ほぼ初対面みたいなものだった。

「えーっとリンカちゃん?」
「この件はヒカリから話を聞くまで保留な」

 オレとリンカは各々、箕輪さんとヒカリちゃんにLINEでメッセージを入れたが先に連絡が着いたのは意外にも箕輪さんだった。

 ヒカリちゃんに関しては保留になっており、すぐに返事がこない事からもリンカは未だに信用しきれずにいる。

「……」
「……」

 き、気まずい……
 同じ帰路の最中、いつにも増して刺々しいオーラを出すリンカの数歩後ろからオレは続く形で行軍している。
 ヒカリちゃん、早く連絡くれないかなぁ……

「おい」
「ん?」

 するとリンカがポツリと会話を始めた。

「少しは後先考えろよ。馬鹿みたいに行動ばっかすんな」
「考えてるよ」
「は?」
「ある程度は大丈夫な算段があるんだ。祭りの時は顔を隠してたし、今回も駅だったから監視カメラも人の目も多かったしさ。最悪殴られても警察が捕まえてくれ――」

 と、リンカは止まって振り返る。思わずオレも止まると彼女はつかつかと歩いて、ぽす、とボディを殴ってきた。

「そう言う事じゃない。ばか」

 目を伏せたままそう言うリンカは再び歩き出す。
 全然痛くは無かったが、何を言いたいのか解る拳だった。オレは何て返して言いか解らず、こめかみをぽりぽりと掻き、にその後に続く。

 昔はオレの行動を深く考えずに一緒に一喜一憂してくれたリンカだったが、自分なりの考えでちゃんと怒ってくれる事に何だか嬉しくなった。
 しかし、この不機嫌下での鮫島家で晩御飯をいただく算段は延期にした方が良さそうだ。

「夜はウチで食べて行くんだろ?」

 前を歩きながらリンカが言う。オレはそんな彼女に笑って返す。

「リンカちゃんは優しいなぁ」
「……うっさい。ばか」

 それからアパートに着くまで会話はなかったが、リンカの機嫌も解消されたのか、気まずい空気は不思議と消えていた。

「取りあえず着替えてくるよ」
「連絡するまで来んなよ」
「おっけー」

 互いの部屋の前で各々準備をする事にして別れる。
 突如、リンカの部屋の扉が開いた。

「リンちゃ~ん! ごめーん! お母さん、寝ててご飯なにも作ってなーい!」

 飛び出してきたのは下着姿のセナさんだった。

「!? ちょっと! お母さん!! 酒くさ?!」

 抱きついてくるセナさんは酔っているのか半裸な自分の姿を気にしていない。
 リンカは何とかエロミミックを部屋へ押し返す。ああん、反抗期ぃ、と言うセナさんの声が更にエロい。
 するとオレの視線に気づいたリンカはつかつかと歩いてくると、

「見てんじゃねぇよ!」

 と、目突きを食らわせ部屋に入って行った。
 オレは、目がぁ……目がぁ……と、某天空の城のラストみたいな事をリアルに言って自分の部屋の前で悶えた。





 ヒカリは湯船に浸かりながら防水したスマホを見つめたまま、今日の事を思い返していた。

「……」

“ヒカリ、大丈夫?”

 親友からのメッセージ。ケンゴから事情の聞いたリンカの気遣いであると理解できる。

「大丈夫……じゃないなぁ」

 メッセージには既読が着いている。すぐ返さないと余計に心配をかけてしまうだろう。しかし、

“すごく綺麗になってたからさ”

「~~~~」

 何とも言えない気持ちに、ばしゃばしゃと湯船を叩く。しかし、スマホに映る親友のメッセージを見るとどうしようもない気持ちが強くなるのだ。

「……すごい破壊力だ……これ」

 可愛いと言われ続け、雑誌の売り上げからも世間でも間違いでないと証明されている。

 ヒカリちゃんは可愛いね。

 これが当然のフレーズ。何て事のない称賛の言葉――

「あんなに、ストレートな物言いだったんだ。ケン兄って」

 我ながら単純すぎる。だが、単純だからこそ、この初恋をどうすれば良いのか解らない。

「リンは……ずっと気づいてたんだなぁ」

“ヒカリ……あたし、馬鹿だ……おにいちゃんに何も言えなかった……”

 ケンゴが発った日の夜にリンカが誰よりも最初にヒカリに泣きついて来た。
 正直、ヒカリはその時のリンカの気持ちはよく解らなかったが、今は――

「これが届かないってなると……確かにキツイなぁ」

 何があっても親友の恋を応援すると決めた。そう、何があっても……

『ヒカリ、大丈夫?』
「大丈夫だよー、ママ」

 長湯に心配した母の声が脱衣室から聞こえてくる。

 駅の一件について、箕輪から一通りの連絡を受けた故の心配だった。

 ヒカリの心にあるのは全く別の事だ。勘違いさせて周囲に余計な心配をかけるわけにはいかない。
 この気持ちはわたしの中に仕舞っておこう。

「こっちは大丈夫。明日、学校でね、っと」

 と、ヒカリは返信を送ると湯船から上がった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

処理中です...