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第97話 誰がバカだ、コラ
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テツと別れたオレとヒカリちゃんは、遠巻きに大宮司君とリンカの様子を伺っていた。
オレはYシャツ姿は少し目立つので、商店街の古着屋で薄手のパーカーを買って、上から羽織っている。
「見た所、放課後デートだね。良き良き」
「む~。リンに何かある前にダイレクトで止められる様にしておかなきゃ」
確かに大宮司君は少し自分の考えに浸透する所があるが、なりふり構わずな感じではなかったけどなぁ。
「何事も無く終わるならそれで良いよ」
リンカも楽しそうだし、大宮司君も知らない存在じゃない。二人はクレープ屋へと寄ると各々で購入し、再び歩き出す。
「ヒカリちゃん、クレープ食べようか」
「え? いや、わたしは見張ってるから」
「あの様子なら、ちょっとくらい目を離しても大丈夫だよ。奢るよ?」
リンカと大宮司君が買ったクレープは遠目からでも美味しそうだった。
「それに、少しは小腹を満たしておこうよ。空腹は集中力を乱すからさ」
「……そう言うことなら」
感情的になるのは、心に余裕が無いからだ。少しでも腹を満たせば焦っていたモノを冷静に見る事ができるだろう。
「すみません、クレープを二つください」
「あいよ! お二人さんはカップルかい?」
「カップル……」
ヒカリちゃんがボソっとクレープ屋さんの言葉を繰り返す。勘違いされると迷惑だなぉ、と思ったオレは、違います、と言うと何故か腕をつねられた。
「むぅ……ヒカリちゃん。何故につねられる?」
「え……あ! い、いや! ほら! 割引! 惜しかったなぁって!」
ヒカリちゃんは店の隣に置かれた『カップルで同じものなら割引(条件有り)』と言う看板を指差す。
「そうかい。真のカップルなら定価で売るのはヤボなのがウチなんだがね」
「ちなみに条件って?」
「目の前でキスしたらカップル判定だ!」
「キ――」
「ス!?」
オレはその単語に反応するが、何故かヒカリちゃんも強く反応した。
「そりゃ、好きでも無い相手とキスなんてしないだろう? カップル=キスだ! キスは愛の証だ! 俺に愛を見せてくれ!」
愛に飢えてるなぁ。テツといいこんな人がゴロゴロいんのか?
「普通にイチゴクリームください」
「あいよ」
動揺していたヒカリちゃんは、クレープ屋さんの言動に逆に冷めた様子で、普通に注文した。
「ケン兄も。ほら」
「ええっと――じゃあチョコバナナで」
「オッケ。少し待ってね」
目の前でクレープの製造を始める。すると、横から白い影がぬっと現れた。ユニコ君だ!
「わ?!」
「うお?!」
驚くオレらにユニコ君はペコリと謝る様に頭を下げる。ヒカリちゃんとオレも釣られて頭を下げた。
そして、クレープを買ってありがとう、や、良い古着だね、など言葉を喋れない設定なのか身体全体を使って表現してくる。普通に可愛い。
「あはは。写真良いですか?」
その様子にヒカリちゃんはスマホを取り出すとユニコ君に向けた。ユニコ君は数少ない関節で、セクシーポーズやボディビルダーのようなポーズを決めてヒカリちゃんを笑わせる。
「あはは。なにこれ可愛いー」
これが、商店街の英雄か……。怒り狂うとヤクザをぶっ飛ばす暴れ馬。是非とも鳴き声を聞きたい所。
すると、ユニコ君はオレに近寄ってくると、一緒に写ろう、と肩を組んでくる。おいおい、しょうがねぇな。
「ケン兄。カメラ目線お願ーい」
「よし、きた」
オレはキリッとすると、ユニコ君も心なしかキリッとした雰囲気で停止する。
ヒカリちゃんはずっと、あはは、と笑いながらシャッターを切っていた。
「クレープできたよ、お客さん」
クレープ屋さんがオレらクレープを差し出してくる。オレはピッタリお金を払うとヒカリちゃんにも手渡した。
「あれ?」
と、ユニコ君の姿が遠くへ。どうやらクレープが出来るまで楽しませてくれたようだ。
「ありがとー」
手を振るヒカリちゃんにユニコ君も腕を振り返す。そして、別の親子を次の楽しませターゲットに選んでいた。
「プロだ」
オレは心底そう思った。
「……あ。あれ? あああ!」
するとヒカリちゃんが辺りを見回しながら声を上げる。
「見失った!」
その言葉にオレも思い出す。そう言えばオレたちはリンカ達を見張ってたんだった。
「チッ、カス共が」
「相変わらずバカ強ぇぇ」
「あぁ? 誰がバカだ、コラ」
「いや、褒めてんの。俺の出番無かったじゃん」
「お前らは未成年だろアホ。こう言うのは大人に丸投げでいいんだよ」
「……社会的には姉貴の方がヤバイんじゃね?」
「うるせえ。正当防衛は成立してんだ。骨の1、2本は俺の良心だぞ」
「悪魔みてぇな良心だ」
「すごーい! ケイちゃ! すごーい!」
「おう。お前も元気一杯だな」
「ケイちゃ! いまのどうやったの? どふって、ぐわー、ってやつ!」
「中段突きって奴だ。まともに入れば相手の骨は砕ける」
「姉貴だけだろ、それ」
「ほえー。ひっさつわざ?」
「いや。俺のからすれば普通の攻撃だ」
「すごーい! しゅんもできる?」
「おお、いいぞ。今日からお前は俺の弟子だ。五年後にはコンクリート砕ける様にしてやるよ」
「うわわぁい!」
「友達の弟を戦闘マシーンに魔改造するなよな」
「お前はさっさと連絡入れろ」
「へーい」
オレはYシャツ姿は少し目立つので、商店街の古着屋で薄手のパーカーを買って、上から羽織っている。
「見た所、放課後デートだね。良き良き」
「む~。リンに何かある前にダイレクトで止められる様にしておかなきゃ」
確かに大宮司君は少し自分の考えに浸透する所があるが、なりふり構わずな感じではなかったけどなぁ。
「何事も無く終わるならそれで良いよ」
リンカも楽しそうだし、大宮司君も知らない存在じゃない。二人はクレープ屋へと寄ると各々で購入し、再び歩き出す。
「ヒカリちゃん、クレープ食べようか」
「え? いや、わたしは見張ってるから」
「あの様子なら、ちょっとくらい目を離しても大丈夫だよ。奢るよ?」
リンカと大宮司君が買ったクレープは遠目からでも美味しそうだった。
「それに、少しは小腹を満たしておこうよ。空腹は集中力を乱すからさ」
「……そう言うことなら」
感情的になるのは、心に余裕が無いからだ。少しでも腹を満たせば焦っていたモノを冷静に見る事ができるだろう。
「すみません、クレープを二つください」
「あいよ! お二人さんはカップルかい?」
「カップル……」
ヒカリちゃんがボソっとクレープ屋さんの言葉を繰り返す。勘違いされると迷惑だなぉ、と思ったオレは、違います、と言うと何故か腕をつねられた。
「むぅ……ヒカリちゃん。何故につねられる?」
「え……あ! い、いや! ほら! 割引! 惜しかったなぁって!」
ヒカリちゃんは店の隣に置かれた『カップルで同じものなら割引(条件有り)』と言う看板を指差す。
「そうかい。真のカップルなら定価で売るのはヤボなのがウチなんだがね」
「ちなみに条件って?」
「目の前でキスしたらカップル判定だ!」
「キ――」
「ス!?」
オレはその単語に反応するが、何故かヒカリちゃんも強く反応した。
「そりゃ、好きでも無い相手とキスなんてしないだろう? カップル=キスだ! キスは愛の証だ! 俺に愛を見せてくれ!」
愛に飢えてるなぁ。テツといいこんな人がゴロゴロいんのか?
「普通にイチゴクリームください」
「あいよ」
動揺していたヒカリちゃんは、クレープ屋さんの言動に逆に冷めた様子で、普通に注文した。
「ケン兄も。ほら」
「ええっと――じゃあチョコバナナで」
「オッケ。少し待ってね」
目の前でクレープの製造を始める。すると、横から白い影がぬっと現れた。ユニコ君だ!
「わ?!」
「うお?!」
驚くオレらにユニコ君はペコリと謝る様に頭を下げる。ヒカリちゃんとオレも釣られて頭を下げた。
そして、クレープを買ってありがとう、や、良い古着だね、など言葉を喋れない設定なのか身体全体を使って表現してくる。普通に可愛い。
「あはは。写真良いですか?」
その様子にヒカリちゃんはスマホを取り出すとユニコ君に向けた。ユニコ君は数少ない関節で、セクシーポーズやボディビルダーのようなポーズを決めてヒカリちゃんを笑わせる。
「あはは。なにこれ可愛いー」
これが、商店街の英雄か……。怒り狂うとヤクザをぶっ飛ばす暴れ馬。是非とも鳴き声を聞きたい所。
すると、ユニコ君はオレに近寄ってくると、一緒に写ろう、と肩を組んでくる。おいおい、しょうがねぇな。
「ケン兄。カメラ目線お願ーい」
「よし、きた」
オレはキリッとすると、ユニコ君も心なしかキリッとした雰囲気で停止する。
ヒカリちゃんはずっと、あはは、と笑いながらシャッターを切っていた。
「クレープできたよ、お客さん」
クレープ屋さんがオレらクレープを差し出してくる。オレはピッタリお金を払うとヒカリちゃんにも手渡した。
「あれ?」
と、ユニコ君の姿が遠くへ。どうやらクレープが出来るまで楽しませてくれたようだ。
「ありがとー」
手を振るヒカリちゃんにユニコ君も腕を振り返す。そして、別の親子を次の楽しませターゲットに選んでいた。
「プロだ」
オレは心底そう思った。
「……あ。あれ? あああ!」
するとヒカリちゃんが辺りを見回しながら声を上げる。
「見失った!」
その言葉にオレも思い出す。そう言えばオレたちはリンカ達を見張ってたんだった。
「チッ、カス共が」
「相変わらずバカ強ぇぇ」
「あぁ? 誰がバカだ、コラ」
「いや、褒めてんの。俺の出番無かったじゃん」
「お前らは未成年だろアホ。こう言うのは大人に丸投げでいいんだよ」
「……社会的には姉貴の方がヤバイんじゃね?」
「うるせえ。正当防衛は成立してんだ。骨の1、2本は俺の良心だぞ」
「悪魔みてぇな良心だ」
「すごーい! ケイちゃ! すごーい!」
「おう。お前も元気一杯だな」
「ケイちゃ! いまのどうやったの? どふって、ぐわー、ってやつ!」
「中段突きって奴だ。まともに入れば相手の骨は砕ける」
「姉貴だけだろ、それ」
「ほえー。ひっさつわざ?」
「いや。俺のからすれば普通の攻撃だ」
「すごーい! しゅんもできる?」
「おお、いいぞ。今日からお前は俺の弟子だ。五年後にはコンクリート砕ける様にしてやるよ」
「うわわぁい!」
「友達の弟を戦闘マシーンに魔改造するなよな」
「お前はさっさと連絡入れろ」
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