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第180話 ヒカリ、覚醒
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「あ! それオレのアイテムボックス!」
「ストリーム狙って後ろをついてくるのが悪い」
「しかも、三連赤って……使う気ないでしょ!?」
「ふふーん。どうかなー」
「ぐぁ!? ぶつかった!」
「はい三位ー」
ピュキィン!
「はっ!?」
「どうした? 八位」
「いや……順位はね。今、この地球上のどこかで……とんでもない戦いが始まった気がする」
「…………いや、普通にどっかで誰か戦ってるだろ」
「それもそっか。そう言えば、リンカちゃん。新コース出たって知ってる?」
ケンゴとリンカの休日は夕方までマ○カーで潰れていた。
良かった……
ヒカリはダイキがサウナ室から出て行った様子に安堵していた。
あれ以上隣に居たらわたしの心臓が炸裂していた!
細身でも引き締まったダイキの身体はやはり男の子であると認識させられる。
歳の近い異性の隣に半裸で座る。その行為でさえ、心臓が口から出そうになるのに、更に胸元を晒すなど……炸裂寸前だった。
先にダイキが限界を迎えた様子で出て行ってくれたおかげで心臓の高ぶりは平時にまで落ち込んでいる。
「フッ。君はどこまで俺について来れるかな? このサウナマスターと称えられる国尾にね」
「なによ……サウナマスターって」
ただサウナに入るだけでしょ。と言う所までツッコミを入れる体力さえも惜しい。
「わかってないね。それも当然か。経験とは知識であり、鍛練であり、戦闘力のようなモノ。多くのサウナを経験してきた俺に一日の長があると言うことさ」
「……何を言ってんのよ」
「まぁ聞きな。俺はいつも考えていた。生物としての限界……それを超える為にはどうすればいいのか、とね」
「……」
ヒカリは、半分ほど聞き流して暑さを意識しない様にする。
「そして俺は見つけたよ。究極の形……俺の中にある“愛”。これを自らの体力に変換する」
「――なん……ですって?」
暑さで思考をやられ始めたヒカリは幻覚の様に現れた国尾の頭の上の数値を見て驚愕する。
国尾HP850/900→860/900(愛を変換)
彼は……嘘を……ついていない!? そして、体力が回復している!?
「今の君に解るハズだ。俺と言う存在の高さを。そして、誰に挑んだのかをね」
ただのホモではなかった。いや、ただのホモで在りなさいよ。なんで人間超えてんのよ……
「不公平かと思うかい? いいや、公平だね。君は最初から負けてたんだ。この国尾の土俵に入った時点でね。これ以上、辛い思いをする事はない。今すぐここから出て服を着るんだ。ダイキ君は俺が導いておく」
「ふふ……あっはは」
ヒカリは笑うと、バサッと前髪をたくしあげて国尾を見る。
「言ったでしょ? わたしは負けず嫌いなの。あんたが、サウナマスターでも愛を体力に変換しようが関係ない。わたしは……谷高光だ!」
熱さで何を言っているのか解らなくなっているヒカリであるが、その闘志は全く折れる気配がない。その様に国尾は、
「君は知る時期だ。自分のいる所がいかに小さな水溜まりだったと言うことを!」
国尾が愛を体力に変換すると言うのならヒカリにも同じような勝算はあった。
ポカリの一気飲み。あれによって体内には必要以上の水分が蓄えられている。故にまだ、舞えるのだ!
ヒカリ水分600/500(100はポカリ超過分)
「なるほど……確かに君はポカリをイッキしていたね。この状況を読んでの行動だとしたら称賛を与えよう」
国尾HP800/900
「けど相手が悪かったね」
国尾HP800/900→880/900(愛を変換)
「くっ!」
ヒカリ水分550/500(50はポカリ超過分)
この人、化け物か!? しかし、この体格に筋肉量を考えれば同じ時間の消耗度合いはあちらが多い。
こっちは暑さを意識せず消耗を抑えれば――
「勝機はある!」
「フッ。今までも君のような戦士は居たよ。しかし、誰もが俺よりも先にサウナを後にした。この意味がわかるかい? 俺はサウナマスターと名乗るのではなく称えられているのだよ」
国尾HP800/900→850/900(愛を変換)
ヒカリ水分500/500
超過分が無くなったか……しかし、読み通り消耗はあちらの方が大きい。愛が尽きれば……先にわたしが勝てる!
「ほっほう……俺は大人気なかったようだ、谷高ちゃん。改めて詫びよう。そして、教えよう。俺の愛の総量をね」
国尾愛∞
「――なんだ……と……」
ヒカリ水分350/500
授業と漫画以外で眼にするその数値に動揺しヒカリは一気に水分を消費してしまった。
しまった! くっ! これ以上、相手に流されるな!
心を強く保て。父の言葉を思い出し、それ以上の消耗は何とか止める。
ヒカリ水分320/500
「ほっほほ。闘志は折れず……か。中々、楽しませてくれるね。しかし、これは無意味な戦いだと気づいた方が良い」
国尾HP800/900→890/900(愛を変換)
「俺には勝てないよ?」
「……」
会話さえもままならない。無駄な思考を削ぎ、意識も精神も全てを無として周囲に溶け込ませる。
「ほっ……」
「――」
極限の今だから分かる。心臓を中心にゆっくりと全身を把握していく。世界を知り、そこに自分が居ると知り、その境界線が少しずつ解けて行く――
「……ふっ。そうか……谷高ちゃん。君も――」
“国尾。お前は己に囚われ過ぎている。自分をコントロール出来ない奴はいつか手痛い敗北を知る事になるぞ”
ソレは国尾が記憶する唯一の敗北。上司との戦いで負けを認め、退室する際に背中に受けた言葉だった。
「課長と同じ到達者か!」
国尾はヒカリが目の前で覚醒した様を目の当たりにして、わっ! と笑った。
国尾HP750/900
ヒカリ水分310/500
「――勝負はここからよ」
「ストリーム狙って後ろをついてくるのが悪い」
「しかも、三連赤って……使う気ないでしょ!?」
「ふふーん。どうかなー」
「ぐぁ!? ぶつかった!」
「はい三位ー」
ピュキィン!
「はっ!?」
「どうした? 八位」
「いや……順位はね。今、この地球上のどこかで……とんでもない戦いが始まった気がする」
「…………いや、普通にどっかで誰か戦ってるだろ」
「それもそっか。そう言えば、リンカちゃん。新コース出たって知ってる?」
ケンゴとリンカの休日は夕方までマ○カーで潰れていた。
良かった……
ヒカリはダイキがサウナ室から出て行った様子に安堵していた。
あれ以上隣に居たらわたしの心臓が炸裂していた!
細身でも引き締まったダイキの身体はやはり男の子であると認識させられる。
歳の近い異性の隣に半裸で座る。その行為でさえ、心臓が口から出そうになるのに、更に胸元を晒すなど……炸裂寸前だった。
先にダイキが限界を迎えた様子で出て行ってくれたおかげで心臓の高ぶりは平時にまで落ち込んでいる。
「フッ。君はどこまで俺について来れるかな? このサウナマスターと称えられる国尾にね」
「なによ……サウナマスターって」
ただサウナに入るだけでしょ。と言う所までツッコミを入れる体力さえも惜しい。
「わかってないね。それも当然か。経験とは知識であり、鍛練であり、戦闘力のようなモノ。多くのサウナを経験してきた俺に一日の長があると言うことさ」
「……何を言ってんのよ」
「まぁ聞きな。俺はいつも考えていた。生物としての限界……それを超える為にはどうすればいいのか、とね」
「……」
ヒカリは、半分ほど聞き流して暑さを意識しない様にする。
「そして俺は見つけたよ。究極の形……俺の中にある“愛”。これを自らの体力に変換する」
「――なん……ですって?」
暑さで思考をやられ始めたヒカリは幻覚の様に現れた国尾の頭の上の数値を見て驚愕する。
国尾HP850/900→860/900(愛を変換)
彼は……嘘を……ついていない!? そして、体力が回復している!?
「今の君に解るハズだ。俺と言う存在の高さを。そして、誰に挑んだのかをね」
ただのホモではなかった。いや、ただのホモで在りなさいよ。なんで人間超えてんのよ……
「不公平かと思うかい? いいや、公平だね。君は最初から負けてたんだ。この国尾の土俵に入った時点でね。これ以上、辛い思いをする事はない。今すぐここから出て服を着るんだ。ダイキ君は俺が導いておく」
「ふふ……あっはは」
ヒカリは笑うと、バサッと前髪をたくしあげて国尾を見る。
「言ったでしょ? わたしは負けず嫌いなの。あんたが、サウナマスターでも愛を体力に変換しようが関係ない。わたしは……谷高光だ!」
熱さで何を言っているのか解らなくなっているヒカリであるが、その闘志は全く折れる気配がない。その様に国尾は、
「君は知る時期だ。自分のいる所がいかに小さな水溜まりだったと言うことを!」
国尾が愛を体力に変換すると言うのならヒカリにも同じような勝算はあった。
ポカリの一気飲み。あれによって体内には必要以上の水分が蓄えられている。故にまだ、舞えるのだ!
ヒカリ水分600/500(100はポカリ超過分)
「なるほど……確かに君はポカリをイッキしていたね。この状況を読んでの行動だとしたら称賛を与えよう」
国尾HP800/900
「けど相手が悪かったね」
国尾HP800/900→880/900(愛を変換)
「くっ!」
ヒカリ水分550/500(50はポカリ超過分)
この人、化け物か!? しかし、この体格に筋肉量を考えれば同じ時間の消耗度合いはあちらが多い。
こっちは暑さを意識せず消耗を抑えれば――
「勝機はある!」
「フッ。今までも君のような戦士は居たよ。しかし、誰もが俺よりも先にサウナを後にした。この意味がわかるかい? 俺はサウナマスターと名乗るのではなく称えられているのだよ」
国尾HP800/900→850/900(愛を変換)
ヒカリ水分500/500
超過分が無くなったか……しかし、読み通り消耗はあちらの方が大きい。愛が尽きれば……先にわたしが勝てる!
「ほっほう……俺は大人気なかったようだ、谷高ちゃん。改めて詫びよう。そして、教えよう。俺の愛の総量をね」
国尾愛∞
「――なんだ……と……」
ヒカリ水分350/500
授業と漫画以外で眼にするその数値に動揺しヒカリは一気に水分を消費してしまった。
しまった! くっ! これ以上、相手に流されるな!
心を強く保て。父の言葉を思い出し、それ以上の消耗は何とか止める。
ヒカリ水分320/500
「ほっほほ。闘志は折れず……か。中々、楽しませてくれるね。しかし、これは無意味な戦いだと気づいた方が良い」
国尾HP800/900→890/900(愛を変換)
「俺には勝てないよ?」
「……」
会話さえもままならない。無駄な思考を削ぎ、意識も精神も全てを無として周囲に溶け込ませる。
「ほっ……」
「――」
極限の今だから分かる。心臓を中心にゆっくりと全身を把握していく。世界を知り、そこに自分が居ると知り、その境界線が少しずつ解けて行く――
「……ふっ。そうか……谷高ちゃん。君も――」
“国尾。お前は己に囚われ過ぎている。自分をコントロール出来ない奴はいつか手痛い敗北を知る事になるぞ”
ソレは国尾が記憶する唯一の敗北。上司との戦いで負けを認め、退室する際に背中に受けた言葉だった。
「課長と同じ到達者か!」
国尾はヒカリが目の前で覚醒した様を目の当たりにして、わっ! と笑った。
国尾HP750/900
ヒカリ水分310/500
「――勝負はここからよ」
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