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第199話 文化の守護者
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「ほう。テツ君は映像関係の仕事を?」
「そうで、す。主に動画の編集などをネットで請け負い、メンバー間でショートアニメも手掛けていま、す」
食事をしながら社長はテツの職業に興味を持っていた。
すまねぇ、テツ。オレはお前は無職だと思い込んでいた。多分ヒカリちゃんも同じだろう。リンカも、働いてたんだ……って小さく口にする。
「アニメですか。興味がありますな」
ヨシ君は色々な分野に精通している事もあり、テツの製作しているモノに興味津々だ。
「これで、す。ヨシ殿」
「ほう……」
既に結構仲良くなってる二人。性格的に気が合うのだろう。私達も拝見しても? と言う社長の言葉にスピーカーをオフにして、スマホをテーブルに置く。
YouTubeに投稿されている自家製作アニメ『ブルーノート』を見せてきた。
内容は最強と称される人間、クティノスがブルーと呼ばれる奴隷少女を身内として迎え入れた事で始まる物語である。
バトルシーンが多く、CGは使わずに全て書き下ろしての形を取っているとか。
「ハイクオリティですな」
「テツ君。これは凄いね。私はあまりアニメには明るくないが少し感動したよ」
「放送されてるアニメと変わらないですね」
「凄い……動いてる」
「クオリティ的には下手なアニメ作品よりもスゲーな」
アニメに疎い人間であるリンカも思わず口にする程の完成度。無論、手間もかかっているとのことで、一話一話の投稿は半年に一度。しかし、第一話の高評価は100万を越えている。
「小生は猛烈に感動してい、る! 同士と作成した物が万人に認められるのは……嬉しいの、だ!」
「日本はアニメなども文化の一つだ。未だに毛嫌いする者もいるが……それらは国を越えた話題としても交流のかけ橋にもなっている。テツ君、君の様な者達がソレを護っているのだよ」
社長の言葉にテツはえらく感激していた。オレも転勤初期の頃はダイヤ以外のシスターズには距離を置かれていて、打ち解けたキッカケは『ONE PIE○E』だった。ありがとうございます! 尾○先生!
「収益も凄そうだな」
「『ブルーノート』で得た資金は作品の製作費用に当てられ、る。皆の作品故、皆の収入なの、だ!」
YouTubeの収益がどれくらいかはわからないが、この作品によって得た金は個人ではなく、製作者達で話し合って作品の為に使用しているとのこと。
「次は小生が聞いても良い、か?」
「ん?」
テツのキャラクターが強すぎて、皆は彼に質問するばかりだったな。
「貴殿らは身内での旅行、か?」
「社員旅行だよ。薄々気づいてると思うけど、こちらは社長の黒船で、秘書の轟、同僚の吉澤、身内のリンカちゃん」
「なん、と」
「ふっはっは! 大した会社ではないよ! 君達のように日本の文化を支える偉業を成しているわけでもなければ、大きな資産を持つわけでもない!」
国相手に裁判で勝ったり、海外に支部を設ける会社は大したことあると思うんですけどね。
「私は一人でも多くの人間に働くと言う事に意義を感じて欲しい。人は働かなければ会社が成り立たず、会社が成り立たなければ経済が回らない。そして、経済が回らなければ国は疲弊する一方だ」
社長は腕を組んで続ける。
「国が疲弊すればソレは一個人に負荷となって返ってくる。言うなれば社会人とは国を動かす歯車だ。しかし、国の都合で生活に右往左往するのは間違っているとも思っていてね。そう言うのを少しでも減らす為に会社を今の体制に変えたのだ」
組織のトップとして、これからの行く末と部下達への配慮を考えた社長の言葉を全員が聞き入っていた。
「なんと……素晴らしい考、え!」
「ふっはっは! 一個人で日本の文化を支える君に言ってもらえると嬉しいね! テツ君!」
社長はいつも通りに笑う。そんな彼の会社に入る事が出来てオレは本当に誇らしく思っていた。
轟先輩もヨシ君も同じ気持ちだろう。
「お前のトコの会社。本当にいいな」
バイキングの二皿目を取りに席を立ったリンカは隣で野菜を物色するオレにそう言う。
「やっぱり社長の人柄なのかもね。本当に良い会社だよ」
今の黒船社長になってから人事異動はあったものの、会社からの退職者は定年以外では未だに出ていないらしい。
「オレは前社長の頃の会社は知らないけど、相当苦労があったんだと思う」
その頃の話を今回の旅行で聞いてみたいが、良い話しとは聞かないので進んで話してはくれないだろう。
「……歯車か」
リンカはまだ学生で社会を回すと言う立場としては大きくはない。
「学生は社会に出る為の準備期間だからね。そんなに真剣に事を構えなくてもいいよ」
「けど、皆しっかりしてる。あたしだけだよ。かやの外なのは」
今回の旅行で学生はリンカだけだ。オレは彼女に会社の面々と仲良くなって欲しくて誘ったのだが、先ほどの社長の言葉に彼女は自分の未熟を強く実感している様子。
「早歩きしても転ぶだけだよ。ゆっくり、一つずつやれる事を増やして行けば良いさ」
「そうかな……」
「そーそー。それで、ちょっとお願いがあるんだけどさ」
「なんだ?」
「猫耳を――」
「あ?」
くっ! まだ駄目か。雰囲気的にイケると思ったんだけどな。
「……きりの時なら」
「え?」
「他の目があると嫌だ。すなわち二人きりの時なら……考えても良い」
「本当に? 写真は――」
「駄目」
脳のフィルムに焼き付けるしかない……か。
「いいから土下座しろよ」
その時、そんな声に場の全員がそちらに注目した。
見ると、テツも短髪の男が何やらトラブルになっている。
「そうで、す。主に動画の編集などをネットで請け負い、メンバー間でショートアニメも手掛けていま、す」
食事をしながら社長はテツの職業に興味を持っていた。
すまねぇ、テツ。オレはお前は無職だと思い込んでいた。多分ヒカリちゃんも同じだろう。リンカも、働いてたんだ……って小さく口にする。
「アニメですか。興味がありますな」
ヨシ君は色々な分野に精通している事もあり、テツの製作しているモノに興味津々だ。
「これで、す。ヨシ殿」
「ほう……」
既に結構仲良くなってる二人。性格的に気が合うのだろう。私達も拝見しても? と言う社長の言葉にスピーカーをオフにして、スマホをテーブルに置く。
YouTubeに投稿されている自家製作アニメ『ブルーノート』を見せてきた。
内容は最強と称される人間、クティノスがブルーと呼ばれる奴隷少女を身内として迎え入れた事で始まる物語である。
バトルシーンが多く、CGは使わずに全て書き下ろしての形を取っているとか。
「ハイクオリティですな」
「テツ君。これは凄いね。私はあまりアニメには明るくないが少し感動したよ」
「放送されてるアニメと変わらないですね」
「凄い……動いてる」
「クオリティ的には下手なアニメ作品よりもスゲーな」
アニメに疎い人間であるリンカも思わず口にする程の完成度。無論、手間もかかっているとのことで、一話一話の投稿は半年に一度。しかし、第一話の高評価は100万を越えている。
「小生は猛烈に感動してい、る! 同士と作成した物が万人に認められるのは……嬉しいの、だ!」
「日本はアニメなども文化の一つだ。未だに毛嫌いする者もいるが……それらは国を越えた話題としても交流のかけ橋にもなっている。テツ君、君の様な者達がソレを護っているのだよ」
社長の言葉にテツはえらく感激していた。オレも転勤初期の頃はダイヤ以外のシスターズには距離を置かれていて、打ち解けたキッカケは『ONE PIE○E』だった。ありがとうございます! 尾○先生!
「収益も凄そうだな」
「『ブルーノート』で得た資金は作品の製作費用に当てられ、る。皆の作品故、皆の収入なの、だ!」
YouTubeの収益がどれくらいかはわからないが、この作品によって得た金は個人ではなく、製作者達で話し合って作品の為に使用しているとのこと。
「次は小生が聞いても良い、か?」
「ん?」
テツのキャラクターが強すぎて、皆は彼に質問するばかりだったな。
「貴殿らは身内での旅行、か?」
「社員旅行だよ。薄々気づいてると思うけど、こちらは社長の黒船で、秘書の轟、同僚の吉澤、身内のリンカちゃん」
「なん、と」
「ふっはっは! 大した会社ではないよ! 君達のように日本の文化を支える偉業を成しているわけでもなければ、大きな資産を持つわけでもない!」
国相手に裁判で勝ったり、海外に支部を設ける会社は大したことあると思うんですけどね。
「私は一人でも多くの人間に働くと言う事に意義を感じて欲しい。人は働かなければ会社が成り立たず、会社が成り立たなければ経済が回らない。そして、経済が回らなければ国は疲弊する一方だ」
社長は腕を組んで続ける。
「国が疲弊すればソレは一個人に負荷となって返ってくる。言うなれば社会人とは国を動かす歯車だ。しかし、国の都合で生活に右往左往するのは間違っているとも思っていてね。そう言うのを少しでも減らす為に会社を今の体制に変えたのだ」
組織のトップとして、これからの行く末と部下達への配慮を考えた社長の言葉を全員が聞き入っていた。
「なんと……素晴らしい考、え!」
「ふっはっは! 一個人で日本の文化を支える君に言ってもらえると嬉しいね! テツ君!」
社長はいつも通りに笑う。そんな彼の会社に入る事が出来てオレは本当に誇らしく思っていた。
轟先輩もヨシ君も同じ気持ちだろう。
「お前のトコの会社。本当にいいな」
バイキングの二皿目を取りに席を立ったリンカは隣で野菜を物色するオレにそう言う。
「やっぱり社長の人柄なのかもね。本当に良い会社だよ」
今の黒船社長になってから人事異動はあったものの、会社からの退職者は定年以外では未だに出ていないらしい。
「オレは前社長の頃の会社は知らないけど、相当苦労があったんだと思う」
その頃の話を今回の旅行で聞いてみたいが、良い話しとは聞かないので進んで話してはくれないだろう。
「……歯車か」
リンカはまだ学生で社会を回すと言う立場としては大きくはない。
「学生は社会に出る為の準備期間だからね。そんなに真剣に事を構えなくてもいいよ」
「けど、皆しっかりしてる。あたしだけだよ。かやの外なのは」
今回の旅行で学生はリンカだけだ。オレは彼女に会社の面々と仲良くなって欲しくて誘ったのだが、先ほどの社長の言葉に彼女は自分の未熟を強く実感している様子。
「早歩きしても転ぶだけだよ。ゆっくり、一つずつやれる事を増やして行けば良いさ」
「そうかな……」
「そーそー。それで、ちょっとお願いがあるんだけどさ」
「なんだ?」
「猫耳を――」
「あ?」
くっ! まだ駄目か。雰囲気的にイケると思ったんだけどな。
「……きりの時なら」
「え?」
「他の目があると嫌だ。すなわち二人きりの時なら……考えても良い」
「本当に? 写真は――」
「駄目」
脳のフィルムに焼き付けるしかない……か。
「いいから土下座しろよ」
その時、そんな声に場の全員がそちらに注目した。
見ると、テツも短髪の男が何やらトラブルになっている。
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