懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

六剣

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第211話 門番

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 国尾さんは下にタオルを巻かずに足湯をしながら○✕△を惜しみ無く晒していた。

「いやー、良い湯だな。お前たちもそう思うだろ?」
「「「「「……」」」」」
「おいおい。おいいい。何故黙ってる」
「いや……国尾さんに銃を向けられて皆ビビってるんですよ」

 ちなみに銃とは○✕△の事。言わんでも解るか。

「ほっほう! お前らにも備わってる物じゃないか! 何をそんなに怯える?」

 国尾さんは全く動く気配が無い。下手な動きは状況を悪化しかねない事を全員が肌で感じていた。隙を見せればられる、と。

「「「「「……」」」」」
「なんだ? また黙っちまって。鳳が銃とか言ったからか? ならサウナに行こう! 俺達なら問題なく語り合えるハズだ! 手を出さないとは約束出来ないが、一緒にサウナに行こう!」

 ほら、もうおかしな事を言い始めてる。正直な所、今すぐ逃げ出したいが……背後を見せると取られる気がする。

“やぁ! 甘奈君!”

 男湯にも聞こえる程の社長の声。轟先輩がいるのか? あの人が一人で露天風呂に行くとは考えづらいので、大半の女性陣が居ると思われる。
 轟先輩は可愛い系の美女だ。七海課長も組手をやった時に色々と素晴らしかったし、鬼灯先輩に至っては言うまでもない。
 うん。オレの脳もだいぶ煩悩に染まって来やがったな。

「おっと……このままではタイミングを逃してしまいますな」

 と、ヨシ君が立ち上がる。すると、国尾さんも露天風呂への入り口に仁王立ちしゴールキーパーの様に構える。勿論、○✕△は丸出しで。

「駄目だぞ、ヨシ君! 混浴なんてもっての他だ! 人には越えてはならない垣根と言うモノがある! 欲に支配されてはいけない! それでも行くと言うのなら、この俺の股をくぐっていけ! どうだ! 行けまい! 諦めて一緒にサウナ――」

 と、ヨシ君は恐れる様子なく、国尾さんの股を馬歩きであっさり抜ける。
 驚いた様子で国尾さんは背後に抜けたヨシ君を後ろ眼で見た。

「――ウナに行こ……う……」
「国尾殿ともあろうお方がくだらん条件を出してしまいましたな。いや……我輩が貴方を過大評価していたのかも」
「ヨシ君……言うじゃなーい!!」

 好敵手の出現に国尾さんは、わっ、と笑った。二人はポケ○ンバトルの様に向かい合う。おお、すげー、国尾さんと張り合ってる。あれ大丈夫なのか?

「皆さん! 国尾殿は我輩が抑えます! 今のうちに混浴へ!」

 ジリッ……と国尾さんと間合いを取りつつヨシ君が叫ぶ。

「早く!」
「いや……早くって言われても……」

 国尾さんは良い感じに扉の前に立ち塞がってるんだよなぁ。

「ヨシ君。今回の敵は君だね。君も中々に……可愛いじゃないか」

 どこを見てか、国尾さんは視線を斜め下に向けると一度、舌なめずりをした。

「ひぃぃ! 後は任せましたぞ!」
「わ!? 馬鹿! だからオレの後ろに隠れるんじゃねぇ!」

 シュバッ! とヨシ君はオレの後ろへ逃げ込む。
 この門番、強敵過ぎる。混浴なんて言ってる場合じゃねぇ。僅かでも隙を見せれば間違いなくヤられる!


 

 
「ほう! 茨木君の所は道場を?」 
「そうでーす。社長はどこで鍛えたんですか?」
「鍛えたと言うと?」
「ほら、サービスエリアでナンパ野郎をあっさり転けさせたじゃないですかー」
「昔、旅をしていた時に色々あってね! それくらいのスキルは嫌でも身に付くよ!」
「本当ですか?」
「うむ。中国の闇に潜む暗殺者『屍山』に命を狙われた時だ。両親の仇としてヤツを追っている一人の少年と、偶然出会った『神島』と共に――」

 何ですかそれー、と茨木は黒船の映画に出来そうな程に嘘のような本当の過去話を楽しそうに聞いていた。

「コウくん」

 鬼灯は真鍋の背に自分の背中を合わせる様に座る。

「シオリか」
「何で来たのかしら? 私、コウくんは来ないと思ったけどなー」

 グイグイと背中を押す。

「社交辞令だ。社長に誘われてな」
「他の女の子にも興味あったでしょ?」
「否定はしない」
「あら、便利な言い回し。まぁ貴方の人生だし、貴方が誰の裸を見ようと私には関係ないけどねー」

 不機嫌な様子で鬼灯はそっぽを向く。

「シオリ」
「なーにー?」
「何故、露天風呂に来た?」
「良い湯だからよ」
「俺は他の男にお前を見られて欲しくなかった」
「……嫉妬?」
「嫉妬だ。まぁ……お前は良い女だ。他が惹かれるのも無理はない。独り占めするには俺もまだまだ器量が足りないな」

 真鍋の言葉に鬼灯は嬉しさのあまり思わず笑みが零れる。

「ふふ。ねぇ、私のどのあたりが良いの?」
「何度も答えてるが……今さら言う必要はあるか?」
「何度もあるわ。ねぇ、どのあたり?」

 背中合わせのまま、鬼灯は真鍋へ質問の答えを催促する。

「錬治」
「鏡子かぁ~?」
「後ろを向いてるのは評価しよう」
「ありがとよ~」
「会社の付き合いとしても……コレは断るべきだろう?」
「けけ。お前以外の女には興味ねぇって~」
「なら……」
「他のヤツがお前に色目使わないか心配でなぁ~」
「――全く、弁護士ってのは口達者だな」
「それが仕事だぜぇ~?」

 最近、カバディ部のガキどもはどうよ? と箕輪は鏡子が顧問をしている高校のカバディ部の話題を始めた。

「……」

 和気あいあいと、茨木と話をする黒船を見て轟はどうしようか悩んでいた。
 裸なんて恥ずかしい。でもお湯は濁っているので肩まで浸かれば見えないけど……やっぱり恥ずかしい! でも……正十郎さんが……

「認めたくねぇけどよ」

 そんな轟を見て七海が言う。

「アイツ、変な言動に隠れがちだが、容姿もスペックも高い。言い寄る女は多かったぞ」
「! ケイちゃん。ちょっと行ってくるね!」
「おー、頑張れ頑張れ」

 煽った七海はニヤニヤしながら轟の成り行きを楽しんでいた。

「ケイさん……楽しそうですね」
「最初はごみ虫が混じったと思ったけどな」

 リンカの言葉に七海は男女の交わる場を改めて見直す。

「普段は起こらない体験ってのも悪くないな」
「あたしはちょっと近づき難いですけど」
「そりゃ、誰だって好きでもない男に裸なんで見られたくねぇよ」

 リンカは男湯に通じる扉を見た。

「このタイミングだと残りは来ないかもな」
「……」
「残念か?」
「べ、別に!」
「アッハッハ。お前は解りやすいな」

 もし、引っ張ってくれる姉がいたら……こんな感じかなぁ。と、リンカは鬼灯とは違うタイプの七海の事をその様に思った。
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