懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

六剣

文字の大きさ
216 / 701

第215話 JK連れて来やがって、コノヤロウ!

しおりを挟む
 あたしは夕食時と言うモノは、お母さんと時に彼の料理を一つの丸机に用意して、テレビや何気ない談話をしながら過ごす事が日常だった。
 故に……目の前の光景は少しだけ馴染みが無いモノだった。

 長いテーブルに大勢が座り、食事を囲む。壁や隔てもないのに、各所では近くの人達と食事が始まるまで談話を始めている。
 まるで朝のホームルームが始まる教室の様な賑やかさ。
 遠足なんかで約束してたグループで集まって弁当は食べたりしたことはあったが、それが社会人の規模になると……こうなるとは!

「どうしたの? リンカちゃん?」

 甘奈さんに勧められる席に座り、場の雰囲気にぼーっと酔っていると横に座る泉さんが話しかけてくれた。

「なんか……少し雰囲気が凄くて」
「雰囲気? あ、そっか。高校生はまだ馴染みが無いもんね。普段はセナさんと二人?」

 泉さんはあたしの食卓事情を察してくれた。

「こんな大きなテーブルで、しかも食事の用意をしなくても出てくるのに違和感が……」
「夕食はリンカちゃんが用意してるんだっけ」
「ほう! 鮫島家の食事は君が?」

 と、正面に座る社長さんが意気揚々と聞いてくる。『滝沢カントリー』では同じグループで回ったけど、あまり話す機会はなかった。
 社長さんからは威圧感はあまり感じず、声には思わず耳を傾けそうになるオーラを身に宿していた。

「そうです。母が忙しいものですから」
「若いのに立派だね! 今は世の中が便利になり、大人でさえ自らで料理には手を出さない。そんな中、君のような子が居るとまだまだ若い世代には希望に溢れていると思えるよ!」
「は、はい……」
「社長。リンカさん困ってますよ」

 社長さんの隣に座る姫野さんが言う。
 ちなみにあたしと社長さんは席の一番前なので、話せるのは片側の人だけだ。

「若い内は何事も経験だよ! とは言え、全てをこちらに合わせる必要はない! 鮫島君も、言いたいことが言えずに苦悩する事もあるかもしれないが、この旅行で少しでも胸の内をさらけ出せる友を増やして行って欲しい」

 社長さんのオーラが、生徒に気を遣う先生の様な雰囲気に変わった。
 聞き入る様な口調から親しみ易さへ。
 いつもさりげなく気を遣う彼の雰囲気を社長さんから感じとり、思わず笑みが浮かんだ。

「はい。ありがとうございます」
「良い笑顔だ。それを守り通すよ! この旅行でね!」
「凄い垂らし発言ですねー」
「これがノータイムで出てくるんだよなー」

 姫野さんと泉さんが呆れる横で、ふっはっは! と社長さんは腕を組んで笑っていた。

「でも昔、鳳と一緒にBBQに来たじゃない? 覚えてる?」

 と、泉さんは過去に彼が初めて会社の行事にあたしを連れて行った時の事を口にする。

「えっと……正直な所、あまり小さ過ぎて覚えて無いんです。多分、見えるモノ全部が未知に見えてて……」

 薄らとモヤのかかるような記憶しか残っていない。シオリさんの事も認識して居なかった程に終始彼にべったりだった――

“最初はここに座ってね”

 カンナさんのそんな声に、視線の端に彼の姿が映り、ふとそちらへ眼を向ける。
 すると、彼とも目が合う。宇宙と最初の出会いから、今までの事が走馬灯に様に流れ、

「~~~~」

 先程の露天風呂の事が最新のモノとして脳内に表示されて、思わず眼を反らした。
 どんな顔をすれば解らない。他の人に相談も出来ない分、今はどうしようもなかった。

「失礼します」
「よし、来たね。加賀君。ここはラッキーな席だよー」
「テンション高いっすね。姫さん」

 そう言って、彼の同期である加賀さんが姫野さんの隣に座る。

「全員、揃ったようだね!」

 加賀さんと彼の着席を見て社長さんが立ち上がった。





「いやはや。何とも一日目から飽きる事の無い行事の連続。神旅行だね!」
「内、半分は止む終えないトラブルですけど……」

 食事が始まり、乾杯は各々の席で行われていた。オレは周囲の席では末席であるので、鍋の管理とよそう係を引き受ける。

「悪いね、鳳。後でアタシが代わるからさ」
「気にしなくて良いですよ」

 カズ先輩が気を使ってくれる。しかし、オレとしてはこう言う細々した地味な作業は好きなので進んで引き受けていただろう。

「国尾主任~飲みますかい~?」
「おや? すまないね! 箕輪弁護士!」

 大人の中に混じった中学生に見える樹さんへ、隣に座るビィラン顔の箕輪さんがビールを注ぐ。端から見れば結構ヤバい構図だ。

「ん? 不思議そうな眼をしているね、鳳君! 私のちんちくりんな身体がアルコールに対応しているのか気になるのかい? 言っておくが、私はアルコールの濾過装置だよ! いくら飲んでも酔わない体質なのサ! これら国尾家の遺伝の様なモノでね! 肝臓の性能が人類の水準を大幅に上回っているらしい! その為、売却したときの相場は普段よりも割高でね! 金に困ったら売るよ! 私は!」

 一目見ただけで臓器売買の話まで膨らむとは思わなかった……。
 流石は国尾さんの姉君。思考が世界と直結しておられる。

「箕輪君も、はい」
「あ、こりゃすみませんね~、轟の姉さん」

 轟先輩の晩酌に箕輪さんは申し訳なさそうにグラスを出す。

「大体、真ん中に飲む人が集まった感じですか?」
「うん。賑やかになると思ってね」

 カズ先輩は、アルコール度数が低めのウーロンハイをちびちび飲む。オレはよそった鍋料理を樹さん、轟先輩、カズ先輩の順に手渡した。

「美味しいね」
「外れ無しですね」
「実に美味だよ」

 満足な三人。オレもレモンハイを飲みながら鍋料理を堪能する。

「鳳。丁度良いから色々と話して貰おうか」
「何をです?」

 正面に座るカズ先輩が少し酔った口調でオレを見る。カズ先輩は結構な美人さんでもあり、怯まずに眼を合わせてくるので、少しドキっとしたのは内緒だ。

「鮫島の事だよ。身内なら誰でも良いとは言え、巨乳JK連れて来やがって、コノヤロウ!」

 持ち前の高い身長から、座ってても上から見下ろす事がカズ先輩には可能だ。
 ふぇ……結構威圧感あるよぉ……しかも、もう酔ってる……

「ふむ。それは私も気になってた所だよ! 何故、成人男性に女子高生との関わりがあるのかを! ここはエ○同人の世界では……ない!!」

 樹さんまでノッて来た。
 いや、オレも男なんでその辺りの知識はありますよ。この場では絶対に言いませんが。

「鳳君」

 轟先輩の声。攻め上がってくる戦乙女バルキリーの侵攻に対して女神の諌める声に期待する。

「私も聞いてて良い?」

 女神は戦乙女バルキリー勢力だった……

「……別につまらない話ですよ?」
「腹を割って話す場だし。気にするなよー」

 うぃ~、とオヤジみたいな様子でカズ先輩が促す。
 この席に座った故の宿命か……

 オレは事案にならない様に最新の注意を払いながら少し捏造も交えつつリンカとのなり染めを語った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

処理中です...