懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

六剣

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第371話 クレイジーガール

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「それじゃ、そう言う事で少し調整してみるわ。見てくれてありがとな」
『ドウいたしマシてヨー』

 オレは作った海外支部の説明資料をダイヤに確認してもらった。オレの居た頃と今の職場環境はそれなりに変わっている。人員は増えて、ダイヤも部下を持ったとのこと。
 整合性を合わせる目処はだいぶ固まった。何とか日付が変わる前には形に出来そうだ。

『ア、そうダ。ケンゴ』
「どうした?」
『ケンゴ、リンカの猫耳キャットイヤー写真フォト。誰かにプレゼントしタ?』
「ん? どう言うことだ?」

 ダイヤが何を言いたいのか。疲れた頭では上手く理解出来ない。

『サンがネー、リンカの写真見たッテー』
「サンが?」

 フォスター家は四姉妹。中でも次女のサン・フォスターは特に癖が強い。アイツは、ダイヤの事を深く敬愛しており、何かとお姉様LOVEなのである。そんなアイツがリンカの写真を?

「て言うかお前……例の写真はあんまり広めるなよ……」

 ダイヤが居たときに撮ったあの写真はリンカの許可を得ていない代物。その場では消したが、クラウドからサルベージしてオレとダイヤのスマホにある深淵の鍵付きフォルダーに眠っている。

『キュートなリンカ、皆に知って欲しかったネ』
「一応、オレの命が危ないから釘は刺しといてくれ」

 まぁ、オレもリョウ君に分けたワケだし、責めるのはお門違いか。

『クギ? クギって何のコトネ?』
「あー、口止めはしといてくれよ?」
『OKヨ』

 久しぶりに文化間の隔たりが出た所で、ダイヤの疑問に戻る。

「それで、サンはどこでリンカちゃんの写真を?」
『何かネー、タイホしたジャパニーズが持ってたみたいヨー』

 逮捕? 海外で逮捕される様なヤツにリンカの写真を渡した覚えはない。
 まさか……流出したのか!? 昨今のサイバーセキュリティは甘いと聞く。今度サマーちゃんに相談してみるか……

「逮捕した日本人か……名前は?」
『エーっと……リョウとかダーグージとか言ってたネ』

 ダーグージとリョウ……ダーグージ……大宮司――

「もしかして、大宮司か?」
『oh! タブン、ソレネ! 知り合イ?』
「友達だ。友好の証として、例の写真をあげたんだ」

 時期的に修学旅行かな? リンカ達が宿泊研修の時、上の学年がそっちの旅行に行ってても何ら不思議はない。
 しかし……逮捕とは……

「何があったんだ?」
『『フェイルス』覚えてル?』
「覚えてるぞ。バームクーヘンが旨い洋菓子店だろ?」

 フェイルスはバームクーヘンを中心に取り扱っているニューヨーク屈指の洋菓子店だ。オレもダイヤの牧場に行くときはお菓子を買って持って行ったっけ。結局、撃たれたけど。

『『フェイルス』に強盗入ったネ。サンがエマージェンシーで駆けつけた時には、強盗、ボコボコだったヨ』

 あー何となくわかった。
 修学旅行で海外を訪れたリョウ君。噂の『フェイルス』に行ったのだろう。そこで不運か、強盗の現場に遭遇した。そして、持ち前の正義感とターミネーターぶりを発揮し、逆にボコボコにしたって所か。

『強盗、ハンドガン持ったネ。でも、ボコボコだったのは強盗ダッタんダヨー。サンはどっちが強盗か解らなかったカラ一応、タイホしたッテ』

 アメリカってその辺りは結構適当なんだよなぁ。オレもサンには何かと手錠をかけられたし。
 まぁ……オレの場合は明らかに私情がありまくりな手錠だったが。
 それにしても、銃を持った相手を一方的か。七海課長……彼を何に仕上げる気なんだろうか。

「それで、もう釈放したんだろ?」
『トークして解放シタッテ。何かサン、嬉しそうダッタネ』
「ほほー」

 あの、精神がイカれてるレベルでお姉様LOVEのアイツがねぇ……
 確かにリョウ君の硬派な感じは海外ウケしそうだし、正義感の強いサンとは何かと馬が合うのだろう。

『ケンゴ、ダーグージのフレンドなら頼みアルヨ』
「なんだ?」

 資料の作成を手伝ってくれた手前、何かしら返そうと思っていた。

『サン、ダーグージの連絡先を聞き忘れたネ。フレンドになりたいから連絡とって欲しいッテ』
「ああ。いいよ」

 そう言う事ならいくらでも協力しよう。今のところ、リョウ君とサンの双方に繋がりがあるのはオレだけだし。だか、一つだけ言って置かねばならない事がある。

「サンからオレに直接頼みに来ないのかよ」
『ンー、サンはケンゴと二人でトークする気は無いッテ』

 あの女……

「ダイヤお姉ちゃん。それは明らかに差別だ! きちんと注意しろよ……」
『フフ。タダのテレ隠しヨ。いつまでもキュートなシスターネ』

 オレの姿を見る度に怪訝そうな眼と銃口を向けてくるクレイジーガールなんだけどな。
 ダイヤからすればソレは可愛いモノらしい。

「お前の家族愛は大概だな」
『ケンゴもソウダヨー! マイブラザー』
「うわぁい。凄く嬉しいよ、ダイヤお姉様ぁ」

 やっぱり、もう一回勝負して立場をひっくり返さねばなるまい。オレを兄として!

「そろそろ仕事に戻るわ。協力してくれてありがとうな」
『ガンバッテネ』

 労いの言葉を貰い、ダイヤとの通話を切る。
 やっぱり、“家族”との会話は良いものだ。リンカ達はいくら距離が近くてもあくまで“身内”である。フォスター家と海外支部の面々にはまた、お歳暮を送ろう。

「さて、もうひと踏ん張りしますかね」

 気力を充電したオレはPCの画面に向き直った。
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