懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

六剣

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第403話 なんて恐ろしいんだ……

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「な、なんでここに居るんだよ!」
「あ、いや……オレは友達の頼みで買い物に……リンカちゃんこそ、下着買いに行ったんじゃないの?」
「何言ってんだ……コラ……」
「あ……ごめん……」

 『スイレンの雑貨店』の前でリンカとの思わぬ遭遇。今朝別れて数時間後に、こんな所で再会するとは……

「やっほー、ケンゴ」
「こんにちは、カレンさん」
「色々と聞きたい事はあるけどさ。まずは、そっちの彼女を紹介してくれないの?」

 そうか……ショウコさんを紹介しないといけない。やべ。打ち合わせしてないぞ。彼女が何か言う前にオレが場の主導権を――

「私は流雲昌子と言う者だ。ケンゴさんとは良い関係を築かせてもらっている」
「……鮫島凛香です。……ケンゴさん?」

 リンカが視線を向けてくる。

「あ、ほら! 説明したでしょ! 彼女がストーカー被害に合ってたって! その時に彼氏のフリしないといけなくてさ! 名字呼びは可笑しいから、名前でね! わかるでしょ!?」
「必死過ぎる。まだ、黙ってる事があるだろ?」

 oh……リンカ様鋭いだす。
 そりゃ、ショウコさんと一緒に風呂に入ったとか、抱き締め合って寝たとか、説明出来るワケないじゃん! その事をリンカに知られたら、彼女の中のオレは地面にめり込むどころか地核まで沈む事となる! 明日から晴れてウジ虫だぁい!

「リンカちゃん。君に説明した事で全部だから」

 焦るとリンカは感づく。ならば平静を保つのだ。オレは心を静め、そして本当に何もなかった風でリンカへ告げる。
 内心、心臓はバックンバックンだけど!

「キスはしたな。二回」

 ここで後ろからショウコさんの攻撃ぃ! だが大丈夫! その事はリンカには伝えてある!

「後、一緒に寝たな」
「…………」

 リンカの無言の視線がオレの平常心を貫く。

「ほ、ほら! オレの部屋って寝る場所一つじゃない?! 同じ部屋で寝たって意味だよ!」
「後、一緒に洗い――」
「ちょっ! ちょっ! ちょっ! ちょっ! ちょっ! ちょっ! ちょっ! ちょっ! ちょっ! ちょー! ちょー!!!」

 オレは語彙力を失いつつショウコさんへ向き直ると肩を掴んで押して、リンカと距離を取る。

「ショウコさん。あの夜の出来事は口にしない方が良い」
「じゃんけんによる正当な結果だったと私は記憶しているぞ? 恥じる事などあるものか」
「いやいや! あれは他人様に話すような事じゃないの! 普通は!」

 淡々と喋るショウコさん。ここに来て彼女のスキル『無知』が発動するとは。
 なる程……ビクトリアさんが向ける敵意の一旦が解った。彼女に言っちゃったんだね、あの夜の事を。無知とはなんて恐ろしいんだ……

「それでもさ……ほら! 結果として何も無かったワケじゃない!? 変な事を言って、誤解させるのは良くないよ! リンカちゃんはまだ高校生ですよ!」
「ふむ……」

 ショウコさんは、ひょこ、と横に逸れてリンカを見る。
 オレは、腕を組んでイライラしているリンカの視線がグサグサと背に刺さる。痛いよぉ……

「そうだな。そう言う発言は外では控えた方が良いか」

 ふぃー解ってくれたようだ。

「じゃあ、オレの方から喋るからね」
「うむ」

 ごめん、待った? と二人の元へ戻るとリンカの不信感はMAX状態。さて……ここからが正念場ですわ。

「リンカちゃん。彼女とは二日間、一緒に居ただけで事は全部解決したんだ。今、ショウコさんは友達の家に居て、オレは暇だったから頼まれ事をされて来ただけ」
「………………」

 う、嘘は言ってないぞ! 隠してる事は多々あるが、そこは追求があった時のみ、待った! する。
 リンカは何を考えているのか、無言のまま時間が流れる。すると、

「はいはーい。そこまでね」

 傍観していたカレンさんが声を上げて前に出る。

「見てる分には面白いけどさ。流石にケンゴばかり喋らせるのは公平フェアじゃないよ? リンカ」
「貴女は?」
「私は音無歌恋ね。リンカとは息子が友達で、その縁で今日は付き添いなの」

 カレンさんはショウコさんにいつもの調子で名乗る。このメンツの中でも一番目上のママさんは何を語るのか。

「それで、リンカ。あんたもここに居る理由をきちんとケンゴに説明しなよ」
「え!? いや……それは……その……」

 おや? リンカが恥ずかしそうにもごもごし出した。これは都合の悪い隠し事をしてる時の彼女の仕草。昔と本当に何も変わってないなぁ。

「カレンさん。別に大丈夫ですよ。リンカちゃん、嫌なら言わなくても――」
「ダーメ。リンカはもう子供じゃ無いんだから。ケンゴも甘やかし過ぎだよ?」
「うっ……」

 しかし……リンカはまだ高校生だ。あんまり、責任的な事は考えずに伸び伸びと青春を謳歌して欲しい。

「けど、カレンさ――」
「ユニコーン」

 その時だった! 商店街の守護獣ユニコ君が武力介入してきた!
 その短い鳴き声――“ユニコーン”のトーンから察するに、店に迷惑になるから散れ、と言った感じだ。商店街に害があれば美女美少女関係なしに敵意を向けてくるこの風格……超怖ぇぇぇ!!

「ああ、ごめんなさいね。全員この店に用があるワケだし、まずは入ろうか?」

 カレンさんに言われてオレ達は『スイレンの雑貨店』を見上げた。
 屋根の上にデカいカラスがじっとオレ達を見て、店は来店者を呑み込まん雰囲気を外からでも感じる。

「ユニコ」

 するとユニコ君はオレの肩に、ぽんぽん、と手を乗せるとスタスタと歩いて行った。
 何なのよ、もうっ!
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