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第418話 34日を越えなさい
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『ハロウィンズ』日本支部兼、サマーちゃんの自宅に帰ってきたオレとショウコさんはカラカラと戸を開ける。
「今帰った」
ショウコさんがそう言うと、奥からドタドタと走ってくる音。
そして、ビクトリアさんが主人の帰りを待っていた犬の様に彼女に飛びついた。
「ショウコー! もぉ! 帰ってくるのが遅いから、グリーンの秘薬の材料にされたのかと気が気じゃなかったよ!」
「店は少々不気味だったが、店主の方は良い人だったぞ」
抱き締められつつも、隙間から淡々と返すショウコさん。そこまで心配ならビクトリアさんも着いて来れば良かっ――
と、思った所でオレはショウコさんとの絡みを思い出す。あの現場にビクトリアさんが居たら……多分、蹴りで頭が身体からすぽーんと離れていただろう。余計な事は考えない方がいいな。
「それに! どこぞの解らないヤツにセクハラされるかも知れないし……」
オレをジロリと見るビクトリアさん。ワァオ! その視線はさっきも向けられたヨ! でも、リンカの方がコワイネ! HAHAHA!
「ビクトリア。何度も言うが、ケンゴさんは――」
「はいはい、良い人、良い人。解ってるよ」
「うむ」
ショウコさん。それ、全然解ってない人の言い方だよ。うむって納得しちゃ駄目なヤツだよ。
「やれやれ。騒がしいのぅ」
奥から我らがリーダーのサマーちゃんが現れる。オレは受け取った資料をサマーちゃんへ差し出した。
「頼まれ物。これであってる?」
「…………確かにこれじゃ」
? 少し躊躇いがあった様な……
「……やれやれ。まぁ『ジーニアス』にアクセスした方が楽ではあるがのぅ。逆に利用するとはな」
彼女は封書には心当たりがある様だ。
「サマーちゃん」
「なんじゃ?」
「完全な興味本位なんだけど、その中身とかってオレも見ていい?」
「別に構わんが、先にわしが確認してからじゃ」
「それは是非是非」
「私もその話し便乗してもいいか?」
「ショウコは全然いいよ! 寧ろ、お互いの秘密をどんどん出していこう!」
ショウコさんに関してはビクトリアさんが許可を出してる……。でもサマーちゃんも、やれやれ、と言った様子で許容しているので問題はないようだ。
正直、とても気になるんだよね。無論、サマーちゃんが駄目だと言ったら引き下がるつもりだったけど、良いと言うなら知っておきたい。
「それとさ、その“summer35”ってなんの事?」
「なに? どこでそれを知った?」
「いや、封書の隅に手書きで書いてあるよ」
すると、サマーちゃんは封書の裏側を見ると、そのメッセージを確認する。
「……まったく……どこでこの封書を見つけて来たのか……グリーンウォッチにはまだまだ引き出しがあると言う事か」
それを見てサマーちゃんは嬉しそうな悲しそうな微笑みを作る。彼女にしか解らないメッセージなのだろう。
「それで、次は何をすればいい?」
「『Mk-VII』を少し調整したのでな。装着し、レツとテツと共に指示通りの動作確認を頼むぞ」
「オッケー」
「ふむ。私も見学しても良いか?」
「構わん。わしは少しマザーと話をしてくる」
そう言うとサマーちゃんは二階へと上がり、オレとショウコさんとビクトリアさんは中庭へ向かう。
「マザー」
サマーは二階のPCルームにて、資料に一通り眼を通してからマザーへ連絡をかけた。
『日記通信には少し早いわよ、サマー』
「マザーよ、わしが“元ネタ”を調べると知っておったな?」
『その様子だと届いたようね』
「うむ。『ジーニアス』の封書を使いおってからに。……全部終わったのかのう?」
『ええ。全部終わったわ』
「そうか」
『summer35。あの筆跡はエスペランサのモノよ』
“『ジーニアス』は君を管理下に置くためにあえて欠陥になるように作った。私ではそれを何とかすることは出来ない”
「わしがいくら天才とは言え、四歳の童子に突きつける真実では無いわい」
『世界で貴女にしか出来ない事だったのよ』
「それは否定せん」
『ジーニアス』の目的は世界の完全なコントロール。その為の頭脳となる自分は誰よりも上に立つ存在としてあらゆる要素を詰め込まれた。
そんな自分を制御するために『ジーニアス』が選んだ方法が寿命の制限であったのだ。
“34日を越えなさい、サマー。君なら君を救えるハズだ”
超えてやったぞ、ランサ。お主の肩を叩ける程にも背も伸びた。
「それにしても、わしを逃がす為に研究所を襲撃に来た面子に一貫性が無いと思っておったが……コレを見て納得したわい」
サマーはケンゴとショウコの持ってきた資料をパサ、と横に置く。そこには自分を形作った大元達のプロフィールや経歴が入っていた。
「『ジーニアス』も随分と欲張ったようじゃな」
『彼らの計画は100年以上も前から始まっていた。そして、その崩壊の原因は間違いなく貴女とエスペランサよ』
「ざまぁ見ろじゃ」
『彼らのミスは人を能力と遺伝子配列だけで見ていた事。貴女のベースとなった者は既に亡くなっているけど、もし生きてきたら命をかけてでも貴女を護るでしょう』
「ただの遺伝子の繋がりがあるだけじゃぞ?」
『それでもよ。四人とも、そう言う人間だったと聞いているわ』
ふむ、とサマーはもう一度資料を手に取る。
「それにしても、親世代のベースに『舞鶴琴音』が混じっておったとは。どうりで、声が良いとメンバーに言われるワケじゃ。世間を湧かせた歌姫だったみたいじゃが、食道癌で死去したのならば、その遺伝的“欠落”を引き継ぐ可能性を『ジーニアス』は考えなかったのかのう」
そこだけが腑に落ちない。更に『神島』が6年前の研究所の襲撃メンバーに居た件も謎のままだ。
『……サマー。貴女には教えておくわ。あの人も問題ないと言うでしょうし』
「ん? 何の話じゃ?」
『“舞鶴琴音”と“アキラ”……そして、ドクター“イグルー”の物語を――』
「今帰った」
ショウコさんがそう言うと、奥からドタドタと走ってくる音。
そして、ビクトリアさんが主人の帰りを待っていた犬の様に彼女に飛びついた。
「ショウコー! もぉ! 帰ってくるのが遅いから、グリーンの秘薬の材料にされたのかと気が気じゃなかったよ!」
「店は少々不気味だったが、店主の方は良い人だったぞ」
抱き締められつつも、隙間から淡々と返すショウコさん。そこまで心配ならビクトリアさんも着いて来れば良かっ――
と、思った所でオレはショウコさんとの絡みを思い出す。あの現場にビクトリアさんが居たら……多分、蹴りで頭が身体からすぽーんと離れていただろう。余計な事は考えない方がいいな。
「それに! どこぞの解らないヤツにセクハラされるかも知れないし……」
オレをジロリと見るビクトリアさん。ワァオ! その視線はさっきも向けられたヨ! でも、リンカの方がコワイネ! HAHAHA!
「ビクトリア。何度も言うが、ケンゴさんは――」
「はいはい、良い人、良い人。解ってるよ」
「うむ」
ショウコさん。それ、全然解ってない人の言い方だよ。うむって納得しちゃ駄目なヤツだよ。
「やれやれ。騒がしいのぅ」
奥から我らがリーダーのサマーちゃんが現れる。オレは受け取った資料をサマーちゃんへ差し出した。
「頼まれ物。これであってる?」
「…………確かにこれじゃ」
? 少し躊躇いがあった様な……
「……やれやれ。まぁ『ジーニアス』にアクセスした方が楽ではあるがのぅ。逆に利用するとはな」
彼女は封書には心当たりがある様だ。
「サマーちゃん」
「なんじゃ?」
「完全な興味本位なんだけど、その中身とかってオレも見ていい?」
「別に構わんが、先にわしが確認してからじゃ」
「それは是非是非」
「私もその話し便乗してもいいか?」
「ショウコは全然いいよ! 寧ろ、お互いの秘密をどんどん出していこう!」
ショウコさんに関してはビクトリアさんが許可を出してる……。でもサマーちゃんも、やれやれ、と言った様子で許容しているので問題はないようだ。
正直、とても気になるんだよね。無論、サマーちゃんが駄目だと言ったら引き下がるつもりだったけど、良いと言うなら知っておきたい。
「それとさ、その“summer35”ってなんの事?」
「なに? どこでそれを知った?」
「いや、封書の隅に手書きで書いてあるよ」
すると、サマーちゃんは封書の裏側を見ると、そのメッセージを確認する。
「……まったく……どこでこの封書を見つけて来たのか……グリーンウォッチにはまだまだ引き出しがあると言う事か」
それを見てサマーちゃんは嬉しそうな悲しそうな微笑みを作る。彼女にしか解らないメッセージなのだろう。
「それで、次は何をすればいい?」
「『Mk-VII』を少し調整したのでな。装着し、レツとテツと共に指示通りの動作確認を頼むぞ」
「オッケー」
「ふむ。私も見学しても良いか?」
「構わん。わしは少しマザーと話をしてくる」
そう言うとサマーちゃんは二階へと上がり、オレとショウコさんとビクトリアさんは中庭へ向かう。
「マザー」
サマーは二階のPCルームにて、資料に一通り眼を通してからマザーへ連絡をかけた。
『日記通信には少し早いわよ、サマー』
「マザーよ、わしが“元ネタ”を調べると知っておったな?」
『その様子だと届いたようね』
「うむ。『ジーニアス』の封書を使いおってからに。……全部終わったのかのう?」
『ええ。全部終わったわ』
「そうか」
『summer35。あの筆跡はエスペランサのモノよ』
“『ジーニアス』は君を管理下に置くためにあえて欠陥になるように作った。私ではそれを何とかすることは出来ない”
「わしがいくら天才とは言え、四歳の童子に突きつける真実では無いわい」
『世界で貴女にしか出来ない事だったのよ』
「それは否定せん」
『ジーニアス』の目的は世界の完全なコントロール。その為の頭脳となる自分は誰よりも上に立つ存在としてあらゆる要素を詰め込まれた。
そんな自分を制御するために『ジーニアス』が選んだ方法が寿命の制限であったのだ。
“34日を越えなさい、サマー。君なら君を救えるハズだ”
超えてやったぞ、ランサ。お主の肩を叩ける程にも背も伸びた。
「それにしても、わしを逃がす為に研究所を襲撃に来た面子に一貫性が無いと思っておったが……コレを見て納得したわい」
サマーはケンゴとショウコの持ってきた資料をパサ、と横に置く。そこには自分を形作った大元達のプロフィールや経歴が入っていた。
「『ジーニアス』も随分と欲張ったようじゃな」
『彼らの計画は100年以上も前から始まっていた。そして、その崩壊の原因は間違いなく貴女とエスペランサよ』
「ざまぁ見ろじゃ」
『彼らのミスは人を能力と遺伝子配列だけで見ていた事。貴女のベースとなった者は既に亡くなっているけど、もし生きてきたら命をかけてでも貴女を護るでしょう』
「ただの遺伝子の繋がりがあるだけじゃぞ?」
『それでもよ。四人とも、そう言う人間だったと聞いているわ』
ふむ、とサマーはもう一度資料を手に取る。
「それにしても、親世代のベースに『舞鶴琴音』が混じっておったとは。どうりで、声が良いとメンバーに言われるワケじゃ。世間を湧かせた歌姫だったみたいじゃが、食道癌で死去したのならば、その遺伝的“欠落”を引き継ぐ可能性を『ジーニアス』は考えなかったのかのう」
そこだけが腑に落ちない。更に『神島』が6年前の研究所の襲撃メンバーに居た件も謎のままだ。
『……サマー。貴女には教えておくわ。あの人も問題ないと言うでしょうし』
「ん? 何の話じゃ?」
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