懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

六剣

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第606話 ド肝抜いてやるぜ!

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「サマーさんの為に一から説明します。カバディは簡単に言えば“鬼ごっこ”です」
「ほぅ」

 草苅君はコートに入りながら初心者のオレらにも分かりやすく説明を始める。

「フィールドはこのコートです。縦13メートル、横10メートルの長方形。このフィールド全部を使ってポイントを取り合います」
「ふむ、鬼ごっこにしては狭いのぅ」
「最大7対7で戦うので一人一人の範囲はもっと狭くなりますよ。本来は『ロビー』って範囲もありますけど、今回は無い形式を取ってます」

 そして、コートの中心線に草苅君は移動する。

「この線が『ミッドライン』です。ここを隔てて敵と味方の陣地に分かれます」
「更に半分になるんじゃな」
「はい。そして、『ミッドライン』より近いこっちの線が『ボークライン』です。そして、更に奥が『ボーナスライン』。まぁ、名称はそこまで覚えなくていいです」
「『ボークライン』に『ボーナスライン』か……よし、覚えた!」

 理論的に物事を考えるサマーちゃんは的確に用語を飲み込んでいく。

「では次に“攻撃”と“防御”についてです。カバディは基本的にターン制の試合になります。攻撃を交互に行い、防御はソレを阻止する形で点を競います」
「予想できる範囲じゃのぅ」
「『攻撃』をレイドと言い、『攻撃手』をレイダーと言います。『防御』はアンティと言うので今後はその単語で解説しますね」

 慣れた用語を使う方がスムーズに行く。次に草苅君は点が動く事について説明を始めた。

「レイドは一人が敵陣に入り、アンティに触れ、ミッドラインを越えて自陣に戻る事で点が動きます。レイダーが触れたアンティの人数がそのまま加点となり、チームの得点になります」
「ふむ、それではレイド側が圧倒的に有利じゃな」
「もちろん、レイドにも幾つか制限はありますよ。まず1つはレイダーは必ず『ボークライン』を越えなければならない」

 草苅君はボークラインへ視線を向ける。

「越えなかったら?」
「アンティ側に一点です。しかし、『ミッドライン』に近ければ近いほどレイダーの帰陣率は上がるので、アンティ側はボークライン付近までレイダーを誘い込むのが一般的です」
「帰る際には身体全体がミッドラインを越えてないといけないの?」
「いいえ。指先一つでも越えてれば帰陣になります。なので、複数のアンティに触れたレイダーは這いつくばってでもミッドラインを越えようとします。無論、アンティも全力で阻止しますが」

 ここは動画で調べるだけではわからなかった事だ。

「しかし、レイダーはアンティが追い出さん限りはずっとレイドを行えるワケじゃろ? そうなるとやはりレイダー側が圧倒的に有利と言えよう」
「そこで、レイダーに課せられるもう1つの制約がキャントです」
「キャント?」
「まぁ、掛け声みたいなものですよ。レイダーは常に“カバディ”と口ずさみながらレイドをしなければならないのです」

 でた、カバディ。ここでその言葉が出てくるのか。

「ってことは、常に喋り続けながらレイドをするって事?」
「と言うよりも一呼吸の間のレイドと言った方が良いですね。掛け声キャントが途絶える、または息を吸ったら、その時点でレイドは失敗。レイダーは自陣に帰らないといけません」
「つまり、持久力と肺活量が必要とされるワケじゃな」
「そうです。キャントを長く出来る=レイド時間。ですから」
「なるほど」

 無制限にレイドが出来るワケじゃない。一呼吸の間に、アンティと駆け引きをして、触って自陣に戻る。外から見る以上に体力を要求される競技のようだ。
 まとめると、こう言うことかな?





「アンティはレイダーを帰陣させなければ1点が入ります。自陣内でレイダーを捕まえると言えばわかりやすいと思います」
「ふむ」
「これが基本的なルールになります。ここからは文化祭仕様の特別ルールです」

 と、草苅君はオレとサマーちゃんの立つ陣地とは反対側に立つ。

「お互いに三回、レイドとアンティを交互にやります。その際にアンティはレイダーがボークラインを越えるまで得点にはなりません」
「む、そっちの人数は何人じゃ?」
「こっちは一人です。逆にそちらの上限は7人までOKですよ。でも経験者の方は1人、3人分にカウントさせて貰ってます。まぁ、点が動かないような、非常識な動きや暴力行為は基本的には無しと言う事で」

 先ほど言っていたハンデと言うのはそう言う事か。

「待て、それなら最大得点の辻褄が合わん!」

 サマーちゃんが声を上げる。

「そちらが一人固定ならば、こちらがアンティを成功させても最大6点じゃ! 残り三点はどうやって稼ぐ?!」

 そう言えばそうだ。サマーちゃんに言われるまで全然気づかなかった。
 レイド1点、アンティ成功1点。それを三回。確かに、6点が限度だ。

「あぁ、ごめんなさい。『ボーナスライン』の説明を忘れてました」

 と、草苅君はコート内に引かれた一番後ろの線について説明する。

「このボーナスラインを越えて帰陣するとアンティにタッチしてなくても1点が入ります。つまり、レイダーは最大2点を稼げるワケです」

 説明を聞く限り、点の動きが激しそうな競技だ。上手いレイダーを警戒して後ろに下がり過ぎたら点を取られると言うワケか。

「なるほど。つまり、パーフェクトを三回やれば最高級景品をゲット出来ると言うワケじゃな!」
「そう言うことです」

 これで説明は以上になります、と草苅君はカバディの基本ルールをベースにした文化祭のルールを丁寧に説明してくれた。

「ん? 草苅。お客さん来たんだな」
「紫月。こちらはお客さんの鳳さんとサマーさん」

 すると、カバディボーイが追加。オレとサマーちゃんに一礼する。

「紫月って言います。マイナーなスポーツですが、楽しんで行ってくれると嬉しいっす」
「オレはそのつもりだよ」
「やるからにはパーフェクトじゃ!」

 オレらの言葉に紫月君も嬉しそう。

「そっちはお二人さんで挑戦っすか? その場合は景品は折半になりますけど」
「サマーちゃんどうする?」
「手を貸せい、フェニックス! わし一人ではアンティは出来ん!」

 IQ200を持ってても流石に12歳の幼女では肉体的に18歳の男子高校生は止められないか。

「ってことでペアで良い?」
「良いっすよ。全然オーケーです」

 紫月君は余裕な感じで許容する。
 む、いくらカバディ経験者とは言え、亮くん程のターミネー○ーボディでもない限り、当たり負けするとは思えんが。

「それじゃ、お二方は初心者なのでお試しで一回、アンティを経験してもらいましょう。そうすれば大体の流れがわかると思いますし」

 守備側なら攻撃側の動きも見れると言う事か。

「紫月は審判やってくれ」
「マイルドに行けよ?」
「そのつもりさ」

 むむっ、こちらを侮ってるな。しかし、甘くみたね草苅君。ガチガチに鍛えたマックスでもうんざりする程のサンボタックルをオレが持つとは思うまい! ド肝抜いてやるぜ!

 互いに位置に着く。

「じゃあ、開始」
「カバディ……」

 紫月君の開始の合図と共に、カバディ……と口ずさみなが、草苅君はこちらの陣地に入ってくる。

 中々に雰囲気あるじゃなーい。ボークラインを越えたらオレのタックルが火を噴くぜ!
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