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第650話 なんてメスガキだ……っ!
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意図しない寄り道があったものの、本郷ちゃんの占い部へようやくたどり着いた。
廊下に突き出た壁の札には本来ならクラス名が記載されているのだろう。今は『占い部』と張り紙が貼ってあるだけだ。
「ちなみに占い部ってどんな活動してるの?」
「簡単に説明するなら、世界各国の色んな占いを調べてそれを実践してる感じかな。部ではあるけど、部費なんかは殆んど出ないよ」
大会とかは無さそうだし。殆んど研究会みたいなモノか。
「うっかっかっ。弱い、弱すぎるわい!」
「なんだこりゃ。無茶苦茶強ぇ……」
「なんだか騒がしいね」
聞き慣れた声が聞こえるなぁ。本郷ちゃんは横戸を開けると中では将棋をやっているサマーちゃんが居た。
「あ! 本郷部長!」
「ん? なんじゃ、フェニックスではないか!」
部員とサマーちゃんは入室したオレと本郷ちゃんに反応を示す。占い部なのに、何で将棋やってんだろ?
「お客さんかな?」
「わしは、サマー・ラインホルト! 待っておったぞ! お主が噂の部長か!」
「噂の本郷元親です。能登、これはどういう状況だい? 他の部員は?」
サマーちゃんと対局していた男子生徒の能登君はこれまでの経緯を語り出す。
「他はクラスの店に言ってますよ。今の店番はオレです。サマーさんはお客さんだったんですけど。占いよりも将棋に興味を示しまして……それで、見た目も外人っぽいし、無料券を増やそうと簡単に捻れると思ったらこのザマです」
「わしを嘗めるなよ。オンライン将棋『将棋の海』にてランキング20位じゃ! そんじょそこらの奴には絶対に勝てんぞ!」
サマーちゃんもユウヒちゃんのやってる将棋ゲームの愛用者らしい。
「そんなわしを追い抜いたプレイヤー“ユウヒ”。今の狙いはヤツだけじゃ! しかし、こんな所では強くなる要素は皆無じゃな!」
「そりゃ……俺たちは占い部だし……」
「じゃが、勝負は勝負! この無料券は貰って行くぞ!」
「あぁ! それは明日、初枝と文化祭デートする為に必要なのに!」
「負けた己を悔やめ!」
「だってそっちが持ってっても残り30分で使えないじゃん!」
「そんな事は関係ないぞ! 勝ち取る事に意味がある! これを機にもっと強い男になるのじゃ!」
「なんてメスガキだ……っ! 部長! 助けてください!」
「まったく。一体何をやってるんだい」
一連のやり取りを聞いてクスクス笑っていた本郷ちゃんは、どいて、と能登君に席を譲る様に告げて入れ替わる。
オレはサマーちゃんに姿の見えないテツの事を聞く。
「サマーちゃん、テツは?」
「あやつは漫画部に行ったぞ! わしは占いと言うものを受けに来たのじゃ! ペテンだと見抜く為にのぅ!」
「それは思ってても言わない方が良いよ……」
占いやってる人の目の前でペテンとか言っちゃいけません。
「まぁ、占いはペテンみたいなモノだよね。人に前世とか未来とか見えるワケないし」
意外にも本郷ちゃんはサマーちゃんの意見に肯定的だ。パチパチと駒を並べて行く。
「でもね、サマーさん。人の感情を読み取る事にかけては占い師に勝る人間は居ないと思うよ?」
「何じゃ? この吟遊詩人は。言うだけの事をお主は出来るのかのぅ?」
「人並みくらいにはね」
ニコ、と笑う本郷ちゃん。君の共感力は“人並み”じゃ済まないけどなぁ。
「僕が勝ったら、能登君の無料券を返してくれるかい?」
「よかろう! じゃが、わしが勝った時の報酬は用意出来るのかのぅ?」
「そうだね――」
と、本郷ちゃんは八桁の番号を書き、下四桁は伏せる様にサマーちゃんに見せた。
「これはなんじゃ?」
「僕が使わせて貰ってる貸金庫の番号。『ラッコ予想』の完全回答が入ってるよ」
「なんじゃと!!?」
ガタッとサマーちゃんが立ち上がる。『ラッコ予想』ってなに?
「サマーちゃん『ラッコ予想』って?」
「数学に置いて80年以上、誰も解けとらん未解決の問題じゃ!」
へー、そうなんだ。てっきり、ラッコが何回石を叩きつければ貝を割れるとか、そんなメルヘンな予想だと思ってた。
「一部企業がその解答に対して1億の報酬金をかける程じゃ!」
「「はぁ!? 1億!!?」」
オレと能登君の声がハモった。ささっと調べてみると……マジだ……解けたら1億って書いてある。
「ふと、思い付いて試したら解けてしまってね。理論も数学学会に提供したら正解判定だったよ」
「ふむ……『ラッコ予想』は数学に熟達する者ほどハマる難問……故に素人だからこそ解けたと言うワケか!」
「僕からすれば、何でコレに気づかないんだろう? って感じだったけどね」
これって世紀の大発見じゃないの? 学徒の文化祭で賭けて良いモノじゃない……
「本郷ちゃん、ちょっと賭け過ぎじゃない?」
「そうかな? サマーさんはそれじゃないと納得しそうにないと思ってね」
え……僅かな間でサマーちゃんの興味がある事柄を見抜いたのか? 本郷ちゃんって……本当に人間ですか?
「面白い!」
サマーちゃんは、能登君から奪った無料券と自分の持つ無料券を全部テーブルに置いた。
「わしは手持ちの無料券を全部賭けよう! これ以上は出さんぞ! そちらの目的はこれだけじゃろうからな!」
「それで良いよ」
本郷ちゃんはオールバックの髪を元に戻した。カレンさんみたいな片眼隠れがデフォらしい。歩の駒を三つ取って振ると先行を決める。
「君が先手だ。サマーさん」
「手加減はせんぞ!」
さて、どうなるのかな?
廊下に突き出た壁の札には本来ならクラス名が記載されているのだろう。今は『占い部』と張り紙が貼ってあるだけだ。
「ちなみに占い部ってどんな活動してるの?」
「簡単に説明するなら、世界各国の色んな占いを調べてそれを実践してる感じかな。部ではあるけど、部費なんかは殆んど出ないよ」
大会とかは無さそうだし。殆んど研究会みたいなモノか。
「うっかっかっ。弱い、弱すぎるわい!」
「なんだこりゃ。無茶苦茶強ぇ……」
「なんだか騒がしいね」
聞き慣れた声が聞こえるなぁ。本郷ちゃんは横戸を開けると中では将棋をやっているサマーちゃんが居た。
「あ! 本郷部長!」
「ん? なんじゃ、フェニックスではないか!」
部員とサマーちゃんは入室したオレと本郷ちゃんに反応を示す。占い部なのに、何で将棋やってんだろ?
「お客さんかな?」
「わしは、サマー・ラインホルト! 待っておったぞ! お主が噂の部長か!」
「噂の本郷元親です。能登、これはどういう状況だい? 他の部員は?」
サマーちゃんと対局していた男子生徒の能登君はこれまでの経緯を語り出す。
「他はクラスの店に言ってますよ。今の店番はオレです。サマーさんはお客さんだったんですけど。占いよりも将棋に興味を示しまして……それで、見た目も外人っぽいし、無料券を増やそうと簡単に捻れると思ったらこのザマです」
「わしを嘗めるなよ。オンライン将棋『将棋の海』にてランキング20位じゃ! そんじょそこらの奴には絶対に勝てんぞ!」
サマーちゃんもユウヒちゃんのやってる将棋ゲームの愛用者らしい。
「そんなわしを追い抜いたプレイヤー“ユウヒ”。今の狙いはヤツだけじゃ! しかし、こんな所では強くなる要素は皆無じゃな!」
「そりゃ……俺たちは占い部だし……」
「じゃが、勝負は勝負! この無料券は貰って行くぞ!」
「あぁ! それは明日、初枝と文化祭デートする為に必要なのに!」
「負けた己を悔やめ!」
「だってそっちが持ってっても残り30分で使えないじゃん!」
「そんな事は関係ないぞ! 勝ち取る事に意味がある! これを機にもっと強い男になるのじゃ!」
「なんてメスガキだ……っ! 部長! 助けてください!」
「まったく。一体何をやってるんだい」
一連のやり取りを聞いてクスクス笑っていた本郷ちゃんは、どいて、と能登君に席を譲る様に告げて入れ替わる。
オレはサマーちゃんに姿の見えないテツの事を聞く。
「サマーちゃん、テツは?」
「あやつは漫画部に行ったぞ! わしは占いと言うものを受けに来たのじゃ! ペテンだと見抜く為にのぅ!」
「それは思ってても言わない方が良いよ……」
占いやってる人の目の前でペテンとか言っちゃいけません。
「まぁ、占いはペテンみたいなモノだよね。人に前世とか未来とか見えるワケないし」
意外にも本郷ちゃんはサマーちゃんの意見に肯定的だ。パチパチと駒を並べて行く。
「でもね、サマーさん。人の感情を読み取る事にかけては占い師に勝る人間は居ないと思うよ?」
「何じゃ? この吟遊詩人は。言うだけの事をお主は出来るのかのぅ?」
「人並みくらいにはね」
ニコ、と笑う本郷ちゃん。君の共感力は“人並み”じゃ済まないけどなぁ。
「僕が勝ったら、能登君の無料券を返してくれるかい?」
「よかろう! じゃが、わしが勝った時の報酬は用意出来るのかのぅ?」
「そうだね――」
と、本郷ちゃんは八桁の番号を書き、下四桁は伏せる様にサマーちゃんに見せた。
「これはなんじゃ?」
「僕が使わせて貰ってる貸金庫の番号。『ラッコ予想』の完全回答が入ってるよ」
「なんじゃと!!?」
ガタッとサマーちゃんが立ち上がる。『ラッコ予想』ってなに?
「サマーちゃん『ラッコ予想』って?」
「数学に置いて80年以上、誰も解けとらん未解決の問題じゃ!」
へー、そうなんだ。てっきり、ラッコが何回石を叩きつければ貝を割れるとか、そんなメルヘンな予想だと思ってた。
「一部企業がその解答に対して1億の報酬金をかける程じゃ!」
「「はぁ!? 1億!!?」」
オレと能登君の声がハモった。ささっと調べてみると……マジだ……解けたら1億って書いてある。
「ふと、思い付いて試したら解けてしまってね。理論も数学学会に提供したら正解判定だったよ」
「ふむ……『ラッコ予想』は数学に熟達する者ほどハマる難問……故に素人だからこそ解けたと言うワケか!」
「僕からすれば、何でコレに気づかないんだろう? って感じだったけどね」
これって世紀の大発見じゃないの? 学徒の文化祭で賭けて良いモノじゃない……
「本郷ちゃん、ちょっと賭け過ぎじゃない?」
「そうかな? サマーさんはそれじゃないと納得しそうにないと思ってね」
え……僅かな間でサマーちゃんの興味がある事柄を見抜いたのか? 本郷ちゃんって……本当に人間ですか?
「面白い!」
サマーちゃんは、能登君から奪った無料券と自分の持つ無料券を全部テーブルに置いた。
「わしは手持ちの無料券を全部賭けよう! これ以上は出さんぞ! そちらの目的はこれだけじゃろうからな!」
「それで良いよ」
本郷ちゃんはオールバックの髪を元に戻した。カレンさんみたいな片眼隠れがデフォらしい。歩の駒を三つ取って振ると先行を決める。
「君が先手だ。サマーさん」
「手加減はせんぞ!」
さて、どうなるのかな?
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