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092 中二病
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お肉を引き取りに行くとサブマスに呼び止められて「肉を引き取ったら二階に来てくれ」と言われた。
解体場で大量の肉の塊を受け取り、サブマスの待つ二階の会議室に向かった。
会議室とは名ばかりの机と椅子が並ぶ部屋に入ると、中に居た冒険者達が一斉に立ち上がる。
「あー、奴は今紋章を付けずに冒険者の格好だ。跪いたりしなくて良いぞ」
サブマスが苦笑いで立ち上がった冒険者達に伝えている。
立ち上がった彼等は、俺の背後にいるグレイとブラックを見て目が離せない様だ。
スレたおっさん小母さんのグループと30前後の男達、何方も目に悪意が無いのでテイマースキル持ちの小母さんと、若い男にテイムした経験を尋ねる。
小母さんはフレイムドッグやエルク等で何度か経験があり、若い方は使えそうな野獣がいないので経験がないと答えた。
普段はどんな仕事をしているのかの問いには、薬草採取や弓を使っての小動物を狩っていると答え、若い方は狩りが中心だと返答した。
若い方には金貨を一枚渡してお引き取りを願い、小母さんのグループには一人一日銀貨一枚で当分雇いたいと告げると了承して貰えた。
「何をする気だ?」
「俺の噂を聞いていないのか」
「幻獣を見つけて他人に譲るそうだが、そんな事が出来るのか?」
「たまたま同行していたテイマーに、譲った野獣が幻獣だっただけですよ」
「で、此奴等を使って何をする気なんだ?」
「テイマーとしての能力を見せてもらう」
「私は、私達は野獣を生け捕りなんて出来ません。狩りの時にたまたま捕らえた野獣でテイム出来るか試していただけです」
「野獣は俺達が捕まえるので心配ないし、万が一貴方達が怪我をしても治せます」
グレイの頭を撫でながら伝えると「あの噂は本当なんですか」と尋ねられた。
横に並んでいる男が「そのタイガーキャットが治癒魔法を使うと噂で聞いたものですので」
にっこり笑って肯定しておくが、隣にいるブラックも治癒魔法が使えるんだぞ。
彼等はグレイン生まれの六人で、パーティー名は〔ファングドッグの牙〕だそうだ。
もう少し強そうな名前が良かったんじゃないのかと尋ねると「俺達じゃウルフを名乗るほどの腕はない」とあっさりしたものだ。
翌日の朝西門での待ち合わせを約束し、サブマスに礼を言ってギルドを後にした。
* * * * * * *
朝西門まで馬車で送ってもらうと、神妙な顔で迎えてくれた六人。
「お早う御座います。ランディス様」
「あっ、冒険者用の服で胸に紋章が無いときは呼び捨てでお願い」
そう言うと昨日の事を思い出したのかほっとして顔になるが、馬車の後ろを見て固まってしまった。
馬車から降りたのはグレイとブラックで、馬車の後ろにはアッシュとファングにウルファがいる。
「噂は本当なんですね」
「本物のタイガーキャットなんて初めて見た」
「ん、グレイだって本物のタイガーキャットだぞ」
「えっ、いや、大人のタイガーキャットです。こんなに大きいなんて、噂以上の大きさですね」
井戸端会議で通路を塞いでは不味いので急いで草原に出て、彼等が何時も行く場所に案内してもらう。
道中ファングドッグの牙リーダー、エドガから仲間達の紹介を受けた。
斥候役のガイル、彼の妻でテイマーのアデーレ、弓使いのジーク、弓使いのゴードンと妻のカーラは小弓使いと教えられた。
アデーレも小弓を手にしているので、弓使いが四人に短槍が二人と近場主体のパーティーだ。
話の間にファングとウルファの首に赤いバンダナを巻き、草原を自由に駆け回らせる。
グレイとブラックは彼等の両脇を固め、と言うか索敵にはホーンラビットやヘッジホッグ程度しか引っ掛からないので退屈そうだ。
昨日聞いたとおり薬草採取をしながらホーンラビットやエルク等が潜んでいそうな場所を確認している。
斥候役のガイルは索敵の能力が低そうで、目視での索敵が主の様だ。
遠くでファイヤーボールの破裂音が聞こえて来たが、さして間隔を開けずに破裂音が聞こえる。
ウルファが獲物を見つけて追いたてている様で、時々聞こえてくる破裂音が近くなってくる。
《ランディ、ハウルドッグです》とウルファが知らせてきて、直ぐにワンワンキャンキャンと煩く鳴く声が聞こえてきた。
「エドガ、皆を一ヶ所に集めて。それと弓は駄目だよ」
「でもハウルドッグの群れが迫ってます!」
「迎え撃つ用意をしないと」
「大丈夫、あれは俺の使役獣が追いたてて来ているんだ。ハウルドッグは俺達が片づけるから黙って見ていなよ」
言っている側から草叢を突き抜けてハウルドッグが飛び出して来たが、直ぐ後ろにファングがいてアイスアローを射ち込んで動けなくする。
直ぐ近くでファイヤーボールが破裂すると、追いたてられたハウルドッグが此方に逃げてくるが、ブラックの雷撃を受けて転倒し痙攣している。
グレイの姿が消えると少し離れた所で雷撃音がして、ハウルドッグを咥えてグレイが戻ってくる。
ぐったりしているハウルドッグをアデーレの前に置くと俺の所へ戻ってくるが、アデーレは硬直したままだ。
アデーレ以外にも三人硬直していて、グレイがハウルドッグを咥えて転移してきたのを見た様だ。
エドガが「まさか、使役獣が転移魔法を」なんて呟いている。
「アデーレ、其奴をテイムして」
「えっ・・・此はランディスさんの獲物じゃ」
「いいから、早く!」
アデーレがあたふたしながらハウルドッグの上に手を置くと「創造神アルティナ様に願い奉ります。我が名はアデーレ、この森の獣を我が僕とせんことを許し給え。テイム・テイム」
中二病全開の台詞に、聞いていて顔から火を噴くのかと思ったが、アデーレは嬉しそうだ。
「ランディス様、テイム出来ました。フレイムドッグより大きなドッグ種をテイムしたのは初めてです!」
ちょっと力が抜ける台詞に、どう返事をすれば良いのやら。
亭主のガイルやエドガも喜んでいるが、アデーレを鑑定してからテイムしたハウルドッグを突き殺す。
あっけにとられているアデーレの前に、ファングがアイスアローの突き刺さったハウルドッグを引き摺ってくる。
「アデーレ、次は其奴をテイムしろ。早く!」
俺に怒鳴られてオロオロしているが、エドガにテイムする様に言われて再び中二病全開の文言を唱える。
「テイム出来たか?」
「はっ、はい・・・でも、どうして」
もう一度アデーレを鑑定したが、テイマースキル初級中と変化無し。
俺がテイムした時は一頭ずつランクが上がっていたのに、どうしてか?
考えられる事は幻獣と通常の獣との違いかもだが、それを確かめる術が無い。
「ランディス殿、何故だ?」
「ああ、済まない。アデーレのテイム能力を確かめていたんだ。それと其奴は通常のハウルドッグだ。どうせテイムするのなら幻獣の方が良いだろう」
「どうしてそんな事が判るんですか?」
「ん、幻獣をテイム出来ると目の色が変わるからさ。俺の様に片目がブルーに変わるからな」
「それじゃー、幻獣をテイム出来るまで続けるんですか」
「どうせテイムするのなら、幻獣の方が良いだろう」
「俺達はそれ程腕が良くないので、幻獣がテイム出来るまでやってたら歳を取って死んじゃいますよ」
「その為に俺達が付いてきているんだよ。まぁ半分は俺のためでもあるんだけれど、協力はしてもらうよ」
「雇われて使役獣まで手に入るのは嬉しいですけど、幻獣なんて簡単に捕まえる事が出来るのですか?」
「俺を見ろよ。此奴を入れて六頭の幻獣をテイムしているんだぞ」
「その可愛いのも幻獣なんですか?」
「まさか、そんなちっこいのが幻獣なんて」
「とても信じられねぇ」
「フラッグ、そいつを殺せ」
《フラッグ、そいつを殺せ》
アイスアローの突き立ったハウルドッグを指差して命令すると、即座にハウルドッグにストーンアローが三本突き刺さる。
「うっそー」
「マジかよー」
「可愛いので連れているのかと思ってたけど・・・」
「俺が連れているのは全て幻獣なのさ。アデーレには、此れから毎日野獣をテイムしてもらうからな。それとアルティナ様へのお祈りは要らないよ。ただテイムを二度呟くだけでテイム出来るから」
「でも、テイムの方法を教わったときには・・・」
「必要無いよ、俺はテイムを二度しか言わない。テイマースキルを授かるって事は、野獣をテイムするお許しは出ているんだからね」
俺の言葉にアデーレの顔が引き攣っているが、そう言う事なんだよ。
アデーレに教えた奴は、自分の箔付けの為かそれとも知らなかったのかな。
殺した野獣を俺がマジックバッグに収めているので、獲物は俺の物の様に思っていそうだが、要らないよ。
野獣の少ない場所じゃテイムの練習にならないので、もう少し獲物の多い方に行けと命令する。
フレイムドッグで驚き、又もですます口調に戻っているのだが、都合が良いので命令するとすんなり従ってくれる。
彼等が向かったのは、雑木林と呼ぶには木の本数が足りないスカスカの場所だが、エルクやゴブリンの数も増え、ホーンボアもチラホラ索敵に引っ掛かる。
そして又もやドッグ系の群れがいる様で、風の匂いを嗅いでいたウルファがフレイムドッグですと言って走り出した。
続いてグレイ、ブラックにファングも走り出し左右に分かれていく。
「ランディスさん、また何か?」
「アデーレ、さんは要らないよ。何か見付けた様だから集まってくれ」
エドガの指示でアデーレを中心に円陣を組み、俺の顔を見ながら武器を手にするので首を振っておく。
フラッグとアッシュがいれば、死ぬ心配はない。
獲物を追いたてるファイヤーボールの爆発音が近づいて来ると、フレイムドッグの姿が見えた。
何かに怯えた様に必死で走るその前に、グレイの姿が現れると猫パンチ一発。
もんどり打って倒れるフレイムドッグを咥えると、ジャンプして俺達の前に戻ってくる。
グレイをもふっている間に、ウルファも一頭咥えて戻ってくると藪の中に雷撃が落ちる。
最後にファングが追いたてるフレイムドッグが俺達を見て急旋回したが、横腹にアイスアローを受けて倒れ込んだ。
解体場で大量の肉の塊を受け取り、サブマスの待つ二階の会議室に向かった。
会議室とは名ばかりの机と椅子が並ぶ部屋に入ると、中に居た冒険者達が一斉に立ち上がる。
「あー、奴は今紋章を付けずに冒険者の格好だ。跪いたりしなくて良いぞ」
サブマスが苦笑いで立ち上がった冒険者達に伝えている。
立ち上がった彼等は、俺の背後にいるグレイとブラックを見て目が離せない様だ。
スレたおっさん小母さんのグループと30前後の男達、何方も目に悪意が無いのでテイマースキル持ちの小母さんと、若い男にテイムした経験を尋ねる。
小母さんはフレイムドッグやエルク等で何度か経験があり、若い方は使えそうな野獣がいないので経験がないと答えた。
普段はどんな仕事をしているのかの問いには、薬草採取や弓を使っての小動物を狩っていると答え、若い方は狩りが中心だと返答した。
若い方には金貨を一枚渡してお引き取りを願い、小母さんのグループには一人一日銀貨一枚で当分雇いたいと告げると了承して貰えた。
「何をする気だ?」
「俺の噂を聞いていないのか」
「幻獣を見つけて他人に譲るそうだが、そんな事が出来るのか?」
「たまたま同行していたテイマーに、譲った野獣が幻獣だっただけですよ」
「で、此奴等を使って何をする気なんだ?」
「テイマーとしての能力を見せてもらう」
「私は、私達は野獣を生け捕りなんて出来ません。狩りの時にたまたま捕らえた野獣でテイム出来るか試していただけです」
「野獣は俺達が捕まえるので心配ないし、万が一貴方達が怪我をしても治せます」
グレイの頭を撫でながら伝えると「あの噂は本当なんですか」と尋ねられた。
横に並んでいる男が「そのタイガーキャットが治癒魔法を使うと噂で聞いたものですので」
にっこり笑って肯定しておくが、隣にいるブラックも治癒魔法が使えるんだぞ。
彼等はグレイン生まれの六人で、パーティー名は〔ファングドッグの牙〕だそうだ。
もう少し強そうな名前が良かったんじゃないのかと尋ねると「俺達じゃウルフを名乗るほどの腕はない」とあっさりしたものだ。
翌日の朝西門での待ち合わせを約束し、サブマスに礼を言ってギルドを後にした。
* * * * * * *
朝西門まで馬車で送ってもらうと、神妙な顔で迎えてくれた六人。
「お早う御座います。ランディス様」
「あっ、冒険者用の服で胸に紋章が無いときは呼び捨てでお願い」
そう言うと昨日の事を思い出したのかほっとして顔になるが、馬車の後ろを見て固まってしまった。
馬車から降りたのはグレイとブラックで、馬車の後ろにはアッシュとファングにウルファがいる。
「噂は本当なんですね」
「本物のタイガーキャットなんて初めて見た」
「ん、グレイだって本物のタイガーキャットだぞ」
「えっ、いや、大人のタイガーキャットです。こんなに大きいなんて、噂以上の大きさですね」
井戸端会議で通路を塞いでは不味いので急いで草原に出て、彼等が何時も行く場所に案内してもらう。
道中ファングドッグの牙リーダー、エドガから仲間達の紹介を受けた。
斥候役のガイル、彼の妻でテイマーのアデーレ、弓使いのジーク、弓使いのゴードンと妻のカーラは小弓使いと教えられた。
アデーレも小弓を手にしているので、弓使いが四人に短槍が二人と近場主体のパーティーだ。
話の間にファングとウルファの首に赤いバンダナを巻き、草原を自由に駆け回らせる。
グレイとブラックは彼等の両脇を固め、と言うか索敵にはホーンラビットやヘッジホッグ程度しか引っ掛からないので退屈そうだ。
昨日聞いたとおり薬草採取をしながらホーンラビットやエルク等が潜んでいそうな場所を確認している。
斥候役のガイルは索敵の能力が低そうで、目視での索敵が主の様だ。
遠くでファイヤーボールの破裂音が聞こえて来たが、さして間隔を開けずに破裂音が聞こえる。
ウルファが獲物を見つけて追いたてている様で、時々聞こえてくる破裂音が近くなってくる。
《ランディ、ハウルドッグです》とウルファが知らせてきて、直ぐにワンワンキャンキャンと煩く鳴く声が聞こえてきた。
「エドガ、皆を一ヶ所に集めて。それと弓は駄目だよ」
「でもハウルドッグの群れが迫ってます!」
「迎え撃つ用意をしないと」
「大丈夫、あれは俺の使役獣が追いたてて来ているんだ。ハウルドッグは俺達が片づけるから黙って見ていなよ」
言っている側から草叢を突き抜けてハウルドッグが飛び出して来たが、直ぐ後ろにファングがいてアイスアローを射ち込んで動けなくする。
直ぐ近くでファイヤーボールが破裂すると、追いたてられたハウルドッグが此方に逃げてくるが、ブラックの雷撃を受けて転倒し痙攣している。
グレイの姿が消えると少し離れた所で雷撃音がして、ハウルドッグを咥えてグレイが戻ってくる。
ぐったりしているハウルドッグをアデーレの前に置くと俺の所へ戻ってくるが、アデーレは硬直したままだ。
アデーレ以外にも三人硬直していて、グレイがハウルドッグを咥えて転移してきたのを見た様だ。
エドガが「まさか、使役獣が転移魔法を」なんて呟いている。
「アデーレ、其奴をテイムして」
「えっ・・・此はランディスさんの獲物じゃ」
「いいから、早く!」
アデーレがあたふたしながらハウルドッグの上に手を置くと「創造神アルティナ様に願い奉ります。我が名はアデーレ、この森の獣を我が僕とせんことを許し給え。テイム・テイム」
中二病全開の台詞に、聞いていて顔から火を噴くのかと思ったが、アデーレは嬉しそうだ。
「ランディス様、テイム出来ました。フレイムドッグより大きなドッグ種をテイムしたのは初めてです!」
ちょっと力が抜ける台詞に、どう返事をすれば良いのやら。
亭主のガイルやエドガも喜んでいるが、アデーレを鑑定してからテイムしたハウルドッグを突き殺す。
あっけにとられているアデーレの前に、ファングがアイスアローの突き刺さったハウルドッグを引き摺ってくる。
「アデーレ、次は其奴をテイムしろ。早く!」
俺に怒鳴られてオロオロしているが、エドガにテイムする様に言われて再び中二病全開の文言を唱える。
「テイム出来たか?」
「はっ、はい・・・でも、どうして」
もう一度アデーレを鑑定したが、テイマースキル初級中と変化無し。
俺がテイムした時は一頭ずつランクが上がっていたのに、どうしてか?
考えられる事は幻獣と通常の獣との違いかもだが、それを確かめる術が無い。
「ランディス殿、何故だ?」
「ああ、済まない。アデーレのテイム能力を確かめていたんだ。それと其奴は通常のハウルドッグだ。どうせテイムするのなら幻獣の方が良いだろう」
「どうしてそんな事が判るんですか?」
「ん、幻獣をテイム出来ると目の色が変わるからさ。俺の様に片目がブルーに変わるからな」
「それじゃー、幻獣をテイム出来るまで続けるんですか」
「どうせテイムするのなら、幻獣の方が良いだろう」
「俺達はそれ程腕が良くないので、幻獣がテイム出来るまでやってたら歳を取って死んじゃいますよ」
「その為に俺達が付いてきているんだよ。まぁ半分は俺のためでもあるんだけれど、協力はしてもらうよ」
「雇われて使役獣まで手に入るのは嬉しいですけど、幻獣なんて簡単に捕まえる事が出来るのですか?」
「俺を見ろよ。此奴を入れて六頭の幻獣をテイムしているんだぞ」
「その可愛いのも幻獣なんですか?」
「まさか、そんなちっこいのが幻獣なんて」
「とても信じられねぇ」
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《フラッグ、そいつを殺せ》
アイスアローの突き立ったハウルドッグを指差して命令すると、即座にハウルドッグにストーンアローが三本突き刺さる。
「うっそー」
「マジかよー」
「可愛いので連れているのかと思ってたけど・・・」
「俺が連れているのは全て幻獣なのさ。アデーレには、此れから毎日野獣をテイムしてもらうからな。それとアルティナ様へのお祈りは要らないよ。ただテイムを二度呟くだけでテイム出来るから」
「でも、テイムの方法を教わったときには・・・」
「必要無いよ、俺はテイムを二度しか言わない。テイマースキルを授かるって事は、野獣をテイムするお許しは出ているんだからね」
俺の言葉にアデーレの顔が引き攣っているが、そう言う事なんだよ。
アデーレに教えた奴は、自分の箔付けの為かそれとも知らなかったのかな。
殺した野獣を俺がマジックバッグに収めているので、獲物は俺の物の様に思っていそうだが、要らないよ。
野獣の少ない場所じゃテイムの練習にならないので、もう少し獲物の多い方に行けと命令する。
フレイムドッグで驚き、又もですます口調に戻っているのだが、都合が良いので命令するとすんなり従ってくれる。
彼等が向かったのは、雑木林と呼ぶには木の本数が足りないスカスカの場所だが、エルクやゴブリンの数も増え、ホーンボアもチラホラ索敵に引っ掛かる。
そして又もやドッグ系の群れがいる様で、風の匂いを嗅いでいたウルファがフレイムドッグですと言って走り出した。
続いてグレイ、ブラックにファングも走り出し左右に分かれていく。
「ランディスさん、また何か?」
「アデーレ、さんは要らないよ。何か見付けた様だから集まってくれ」
エドガの指示でアデーレを中心に円陣を組み、俺の顔を見ながら武器を手にするので首を振っておく。
フラッグとアッシュがいれば、死ぬ心配はない。
獲物を追いたてるファイヤーボールの爆発音が近づいて来ると、フレイムドッグの姿が見えた。
何かに怯えた様に必死で走るその前に、グレイの姿が現れると猫パンチ一発。
もんどり打って倒れるフレイムドッグを咥えると、ジャンプして俺達の前に戻ってくる。
グレイをもふっている間に、ウルファも一頭咥えて戻ってくると藪の中に雷撃が落ちる。
最後にファングが追いたてるフレイムドッグが俺達を見て急旋回したが、横腹にアイスアローを受けて倒れ込んだ。
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