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106 雷撃の嵐
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アッシュにお願いして、水球を使って尻尾の先が黒い子狐を捕獲してもらう。
上半身が水球に包まれて驚き藻掻き暴れているのを、親と思しき狐が首を捻りながら近寄ってきた。
その頭上にグレイがファイヤーボールを射ち込み爆発させると、騒いでいた子狐共々逃げ散ったので、ドームから飛び出してずぶ濡れの子狐を拾い上げた。
ぐったりしている仔狐を素速くテイムした後、ドームの中へ連れ込み改めて鑑定してみる。
〔鑑定・・・、♂、2才、シルバーフォックス(ランディスの使役獣)土魔法・水魔法・収空間納魔法・転移魔法、魔力92〕
名前をどうしようか、フラッグは居るしフォックスも居る。
テイルはまんま尻尾だし、考えるのが面倒で安直にシルバーに決めた。
《俺はランディスだ、お前はシルバーな》
《ランディシュゥ?》
《あっ、ランディで良いぞ》
〔鑑定、シルバー、♂、2才、シルバーフォックス(ランディスの使役獣)土魔法・水魔法・空間収納魔法・転移魔法、魔力92〕
魔力が92で、短距離だが転移魔法を使っていたので、魔力操作を覚えるのは早そうだし、四種の魔法持ちか。
此の儘テイムせずに放置しておけば、短距離転移が出来るだけのシルバーフォックスとして命を終えるのだろう。
アッシュやグレイに紹介して、魔力操作を教えてやってとお願いをしておく。
ファングとウルファが居れば、同じ犬科として教えやすかっただろうに残念。
* * * * * * *
グレイはゴールデンゴートの狩り場に到着すると、ブラックを連れて狩りに出掛けてしまったので、フラッグがシルバーの上に乗り魔力操作を教えている。
俺は四つも授かっている魔法に付いて尋ねてみたが、自分が転移魔法を使っている事も知らなかった。
兄弟より身体が小さく餌の争奪や、じゃれ合いにも負けるので無意識に逃げたり餌を掻っ払うのに使っていたようだ。
魔力操作の訓練と合わせて、俺の使役獣として護衛につく練習を始める。
面倒な初歩の訓練も言葉が通じるのでさくさく進み、グレイが狩りに飽きる頃には指示を出さなくても動ける様になっていたが、所詮未だ未だ子狐なので将来に期待だ。
無意識にでも魔法を使っていれば、魔力操作を覚えるのは早い筈なのに思う様にいかず頭を痛めたが、グレイやアッシュにも手伝ってもらい何とかものになった。
グレイの時より精神的にも幼いので、魔力操作の訓練より遊びに心を奪われて、フラッグにちょっかい掛けたりブラックにじゃれつく。
その都度叱るのだが面倒なので、アッシュママのキツーい眼光とお小言を落として貰う事にした。
魔力操作を覚え、土魔法はフラッグに教えてもらい使える様になったので街に戻る事にした。
グレインの街に戻っても良かったが、来た道を戻っても幻獣と出会う確率は低そうなのでハイムント方面へ回る事にした。
* * * * * * *
ハイムントに向かいながら、シルバーはグレイから転移魔法と空間収納の手ほどきを受けて、少しずつ上達している。
昼間、野獣を待ち伏せするドームはフラッグに作ってもらい、周辺に餌の野獣を転がしてからシルバーの訓練を続けていた。
対人戦の防御訓練の為にシルバーが俺を守り、ブラックやグレイが襲って来る。
その攻撃をシールドやシェルターで防ぎ、反撃のストーンバレットを打ち返す。
速度を抑えてはいても結構ひやひやものだが、この訓練はグレイが気に入り結構本気の攻撃をしてくる。
俺相手では弱すぎると言っていたが、幻獣同士魔法の攻防ならそこそこ真剣になれるらしい。
囮の餌を見張っているフラッグから、人族が近づいて来ていると知らせてきたので、シルバーに掴まりフラッグの所へ戻る。
グレイとブラックは俺達から離れた所で待機して万が一に備える。
此の辺りも結構真面目に訓練を積んだので、完全に気配を消して隠れている。
俺はフラッグのシェルターの中から、近づいて来る奴を待つ。
索敵に引っ掛かったのは七人で、何やら獣の気配も感じられる。
向こうも俺達に気付いたのか慎重に近づいて来る。
お座りの姿勢で風の匂いを嗅いでいたアッシュが《ファルの匂いよ》教えてくれた。
ファル? って事は、アルカン達エルベルト通りの七人か。
《グレイ、アルカン達らしいので姿を見せて、連れて来て》
《あい》
* * * * * * *
「待って、ファルが尻尾を振っているわ」
「知り合い? にしては・・・」
「おい、グレイだぞ」
「ならランディスか、侯爵様になったはずだが何でこんな所に居るんだよ」
グレイが、アルカン達懐かしい顔ぶれを連れてきた。
「久し振りー」
「大小の獣の気配に人族の気配まであるので不思議だったが」
「ランディスなら当然か」
「お貴族様になったのに、何やってんだ?」
「ウルファは元気?」
「ウルフの群れを追い込んでいるときに、糞っ垂れな奴等から不意打ちを受けて死んだよ。それでウルファ達の代わりを探しに森に来たんだ」
「それで、二頭増えているのね」
「ブラックキャットに、シルバーフォックスの仔だよな」
「その二頭も幻獣なのか?」
「まあね。ヨハンは上手くやってる?」
「おう、ソロなのでお誘いは山ほど来るらしいけど、魂胆が透けて見えると言って断っている」
「で、断られた奴等が難癖を付けて絡むんだが」
「全員返り討ちにされて、不味いポーションが良く売れているそうだ」
「ランディスが言ってた様に、確かに良い腕だな」
「今じゃヨハンに絡む奴なんていないぞ」
「此処からハイムント迄どれ位なの」
「あんたなら4、5日って所よ」
「で、ウルファの代わりがその二頭って事はないよな」
「ウルフ系が欲しくて森に入ったけど見つからなくて、来た道を引き返すのもあれだから此方に来てみたんだ。俺の居るグレインじゃ、野獣が増えているって聞いたけど此方はどうなの?」
「増えているんじゃないかと言われているけどなぁ」
「俺達は大物狩りには興味はないので、よく判らないってところだな」
「ファルが馴れたのか俺達が馴れたのかは判らないが、最近は稼ぎが良くなったな」
アルカン達もハイムントに戻ると言うので同行する事になったが、二日目にウルフの群れに出会した。
出会したというより、遠吠えに反応したファルが大きな群れが居ると教えてくれた。
確かに一つの遠吠えに応える数が多いので大きな群れの様だ。
「ランディス、ウルフの群れだけど大きな群れのようよ」
「ウルフを探していたので丁度良いとは思うけど、数が・・・」
「また、例のファイヤーボール一発でやっちまうのか」
「ファルやウルファの時も大きな群れだったよな」
「又あの大爆発を聞く事になるな」
「フェリス、ファルに結界を張らせる用意はしておけよ」
「あっ、近くにいてよ。防御はフラッグに任せるから」
「で、攻撃はグレイが例の奴を一発かい」
「ファルを入れたら、雷撃魔法使いが四人いるんだよ。俺達が一ヶ所に集まっていれば寄ってくるし、落雷の嵐になるからね」
「つまり手加減して、テイムするのに良さそうなのを探すって事なのね」
「そう、撒き餌をして近寄って来た野獣を見ていたけど、全然だったので丁度良い機会だよ」
「ランディスったら、相変わらずねぇ」
《ファル、群れを呼び寄せる事は出来るかな?》
《同じ群れじゃないので判らない。でも、此処に餌が居ると教える事は出来る》
餌か・・・ちょっと複雑な気分だが、ウルフの群れからしたら俺達は餌に違いないな。
《ファル、群れを呼び寄せてよ》
《はい》
ファルが遠吠えを始めたので、フェリスが慌てて黙らせようとするのを止める。
「フェリスはファルと一緒に少し離れてもらうからね」
フラッグをフェリスに預けて20m以上離れてもらい、フラッグがフェリスとファルの足下を持ち上げていく。
《フラッグ、二人が落ちない様に柵を作りな。ウルフが襲って来たら二人を守るんだぞ》
《はい、ランディ》
俺達の結界を中心に十字の位置に、アッシュ、グレイ、ブラックを配置すると、フェリス達と同じ様に足場を高く上げてもらう。
朗々と吠えるファルに応える様に、遠くからも遠吠えが届く。
《ランディ、こっちに来てる》
《俺達を襲って来たら、魔力一つの雷撃を頭に落とすんだぞ》
《はい、ランディ》
《えー、張り倒すのは?》
《だーめ! それはオークキングや熊ちゃん相手でお願い。取り敢えず捕まえるのが先だからね》
《あんたは相変わらずわかんない子ね》
《えっ、俺達が餌代わりの囮になるだけだよ。ウルフの群れだって餌がない所には来ないだろう》
「ランディス、何をするつもりだ?」
「ファルが群れを呼んでいるので、応えて此方に来たときの用心だよ」
「この配置だと」
「俺達はウルフの餌かよ」
「相変わらず突拍子もない事を思いつくな」
「アルカン達は何もする必要はないよ。幻獣四頭の落雷の嵐なんて、滅多に見られる物じゃないので見物していれば良いよ」
《皆は合図をするまで射っちゃ駄目だよ》
《近いです!》
ファルの緊張した声が聞こえると同時に、索敵ギリギリの所に野獣の気配が次々と引っ掛かり、俺達を目掛けて殺到して来る。
俺達を確認している訳ではないので、幅広く散りながらも一直線に向かって来る。
ファルの遠吠えが止まり、直ぐにフォレストウルフの先頭が姿を現したので、シルバーに挑発のウォーターボールを群れの先頭に射ち込ませる。
「あー、フォレストウルフの群れか」
「あの時も数が多かったけど、此も大きな群れだな」
「あの時は確か22頭だったよな」
「それをファイヤーボール一発で仕留めたんだからなぁ」
呑気に思い出話をしていると、次々と現れるウルフ達が突撃してくると、結界のドームに阻まれて苛立つウルフと《未だ?》とやる気満々のグレイ。
《射て!》と号令を掛けた瞬間、俺達の周囲に群がるウルフ達に、雷撃の嵐が襲い掛かった。
〈バシー〉〈パリパリパシーン〉〈ドーン〉〈バン・バン・バン・バーン〉
〈バーン・バン・バシーン〉
「ヒョォー」
「凄ぇぇぇ」
「なんてこったい!」
上半身が水球に包まれて驚き藻掻き暴れているのを、親と思しき狐が首を捻りながら近寄ってきた。
その頭上にグレイがファイヤーボールを射ち込み爆発させると、騒いでいた子狐共々逃げ散ったので、ドームから飛び出してずぶ濡れの子狐を拾い上げた。
ぐったりしている仔狐を素速くテイムした後、ドームの中へ連れ込み改めて鑑定してみる。
〔鑑定・・・、♂、2才、シルバーフォックス(ランディスの使役獣)土魔法・水魔法・収空間納魔法・転移魔法、魔力92〕
名前をどうしようか、フラッグは居るしフォックスも居る。
テイルはまんま尻尾だし、考えるのが面倒で安直にシルバーに決めた。
《俺はランディスだ、お前はシルバーな》
《ランディシュゥ?》
《あっ、ランディで良いぞ》
〔鑑定、シルバー、♂、2才、シルバーフォックス(ランディスの使役獣)土魔法・水魔法・空間収納魔法・転移魔法、魔力92〕
魔力が92で、短距離だが転移魔法を使っていたので、魔力操作を覚えるのは早そうだし、四種の魔法持ちか。
此の儘テイムせずに放置しておけば、短距離転移が出来るだけのシルバーフォックスとして命を終えるのだろう。
アッシュやグレイに紹介して、魔力操作を教えてやってとお願いをしておく。
ファングとウルファが居れば、同じ犬科として教えやすかっただろうに残念。
* * * * * * *
グレイはゴールデンゴートの狩り場に到着すると、ブラックを連れて狩りに出掛けてしまったので、フラッグがシルバーの上に乗り魔力操作を教えている。
俺は四つも授かっている魔法に付いて尋ねてみたが、自分が転移魔法を使っている事も知らなかった。
兄弟より身体が小さく餌の争奪や、じゃれ合いにも負けるので無意識に逃げたり餌を掻っ払うのに使っていたようだ。
魔力操作の訓練と合わせて、俺の使役獣として護衛につく練習を始める。
面倒な初歩の訓練も言葉が通じるのでさくさく進み、グレイが狩りに飽きる頃には指示を出さなくても動ける様になっていたが、所詮未だ未だ子狐なので将来に期待だ。
無意識にでも魔法を使っていれば、魔力操作を覚えるのは早い筈なのに思う様にいかず頭を痛めたが、グレイやアッシュにも手伝ってもらい何とかものになった。
グレイの時より精神的にも幼いので、魔力操作の訓練より遊びに心を奪われて、フラッグにちょっかい掛けたりブラックにじゃれつく。
その都度叱るのだが面倒なので、アッシュママのキツーい眼光とお小言を落として貰う事にした。
魔力操作を覚え、土魔法はフラッグに教えてもらい使える様になったので街に戻る事にした。
グレインの街に戻っても良かったが、来た道を戻っても幻獣と出会う確率は低そうなのでハイムント方面へ回る事にした。
* * * * * * *
ハイムントに向かいながら、シルバーはグレイから転移魔法と空間収納の手ほどきを受けて、少しずつ上達している。
昼間、野獣を待ち伏せするドームはフラッグに作ってもらい、周辺に餌の野獣を転がしてからシルバーの訓練を続けていた。
対人戦の防御訓練の為にシルバーが俺を守り、ブラックやグレイが襲って来る。
その攻撃をシールドやシェルターで防ぎ、反撃のストーンバレットを打ち返す。
速度を抑えてはいても結構ひやひやものだが、この訓練はグレイが気に入り結構本気の攻撃をしてくる。
俺相手では弱すぎると言っていたが、幻獣同士魔法の攻防ならそこそこ真剣になれるらしい。
囮の餌を見張っているフラッグから、人族が近づいて来ていると知らせてきたので、シルバーに掴まりフラッグの所へ戻る。
グレイとブラックは俺達から離れた所で待機して万が一に備える。
此の辺りも結構真面目に訓練を積んだので、完全に気配を消して隠れている。
俺はフラッグのシェルターの中から、近づいて来る奴を待つ。
索敵に引っ掛かったのは七人で、何やら獣の気配も感じられる。
向こうも俺達に気付いたのか慎重に近づいて来る。
お座りの姿勢で風の匂いを嗅いでいたアッシュが《ファルの匂いよ》教えてくれた。
ファル? って事は、アルカン達エルベルト通りの七人か。
《グレイ、アルカン達らしいので姿を見せて、連れて来て》
《あい》
* * * * * * *
「待って、ファルが尻尾を振っているわ」
「知り合い? にしては・・・」
「おい、グレイだぞ」
「ならランディスか、侯爵様になったはずだが何でこんな所に居るんだよ」
グレイが、アルカン達懐かしい顔ぶれを連れてきた。
「久し振りー」
「大小の獣の気配に人族の気配まであるので不思議だったが」
「ランディスなら当然か」
「お貴族様になったのに、何やってんだ?」
「ウルファは元気?」
「ウルフの群れを追い込んでいるときに、糞っ垂れな奴等から不意打ちを受けて死んだよ。それでウルファ達の代わりを探しに森に来たんだ」
「それで、二頭増えているのね」
「ブラックキャットに、シルバーフォックスの仔だよな」
「その二頭も幻獣なのか?」
「まあね。ヨハンは上手くやってる?」
「おう、ソロなのでお誘いは山ほど来るらしいけど、魂胆が透けて見えると言って断っている」
「で、断られた奴等が難癖を付けて絡むんだが」
「全員返り討ちにされて、不味いポーションが良く売れているそうだ」
「ランディスが言ってた様に、確かに良い腕だな」
「今じゃヨハンに絡む奴なんていないぞ」
「此処からハイムント迄どれ位なの」
「あんたなら4、5日って所よ」
「で、ウルファの代わりがその二頭って事はないよな」
「ウルフ系が欲しくて森に入ったけど見つからなくて、来た道を引き返すのもあれだから此方に来てみたんだ。俺の居るグレインじゃ、野獣が増えているって聞いたけど此方はどうなの?」
「増えているんじゃないかと言われているけどなぁ」
「俺達は大物狩りには興味はないので、よく判らないってところだな」
「ファルが馴れたのか俺達が馴れたのかは判らないが、最近は稼ぎが良くなったな」
アルカン達もハイムントに戻ると言うので同行する事になったが、二日目にウルフの群れに出会した。
出会したというより、遠吠えに反応したファルが大きな群れが居ると教えてくれた。
確かに一つの遠吠えに応える数が多いので大きな群れの様だ。
「ランディス、ウルフの群れだけど大きな群れのようよ」
「ウルフを探していたので丁度良いとは思うけど、数が・・・」
「また、例のファイヤーボール一発でやっちまうのか」
「ファルやウルファの時も大きな群れだったよな」
「又あの大爆発を聞く事になるな」
「フェリス、ファルに結界を張らせる用意はしておけよ」
「あっ、近くにいてよ。防御はフラッグに任せるから」
「で、攻撃はグレイが例の奴を一発かい」
「ファルを入れたら、雷撃魔法使いが四人いるんだよ。俺達が一ヶ所に集まっていれば寄ってくるし、落雷の嵐になるからね」
「つまり手加減して、テイムするのに良さそうなのを探すって事なのね」
「そう、撒き餌をして近寄って来た野獣を見ていたけど、全然だったので丁度良い機会だよ」
「ランディスったら、相変わらずねぇ」
《ファル、群れを呼び寄せる事は出来るかな?》
《同じ群れじゃないので判らない。でも、此処に餌が居ると教える事は出来る》
餌か・・・ちょっと複雑な気分だが、ウルフの群れからしたら俺達は餌に違いないな。
《ファル、群れを呼び寄せてよ》
《はい》
ファルが遠吠えを始めたので、フェリスが慌てて黙らせようとするのを止める。
「フェリスはファルと一緒に少し離れてもらうからね」
フラッグをフェリスに預けて20m以上離れてもらい、フラッグがフェリスとファルの足下を持ち上げていく。
《フラッグ、二人が落ちない様に柵を作りな。ウルフが襲って来たら二人を守るんだぞ》
《はい、ランディ》
俺達の結界を中心に十字の位置に、アッシュ、グレイ、ブラックを配置すると、フェリス達と同じ様に足場を高く上げてもらう。
朗々と吠えるファルに応える様に、遠くからも遠吠えが届く。
《ランディ、こっちに来てる》
《俺達を襲って来たら、魔力一つの雷撃を頭に落とすんだぞ》
《はい、ランディ》
《えー、張り倒すのは?》
《だーめ! それはオークキングや熊ちゃん相手でお願い。取り敢えず捕まえるのが先だからね》
《あんたは相変わらずわかんない子ね》
《えっ、俺達が餌代わりの囮になるだけだよ。ウルフの群れだって餌がない所には来ないだろう》
「ランディス、何をするつもりだ?」
「ファルが群れを呼んでいるので、応えて此方に来たときの用心だよ」
「この配置だと」
「俺達はウルフの餌かよ」
「相変わらず突拍子もない事を思いつくな」
「アルカン達は何もする必要はないよ。幻獣四頭の落雷の嵐なんて、滅多に見られる物じゃないので見物していれば良いよ」
《皆は合図をするまで射っちゃ駄目だよ》
《近いです!》
ファルの緊張した声が聞こえると同時に、索敵ギリギリの所に野獣の気配が次々と引っ掛かり、俺達を目掛けて殺到して来る。
俺達を確認している訳ではないので、幅広く散りながらも一直線に向かって来る。
ファルの遠吠えが止まり、直ぐにフォレストウルフの先頭が姿を現したので、シルバーに挑発のウォーターボールを群れの先頭に射ち込ませる。
「あー、フォレストウルフの群れか」
「あの時も数が多かったけど、此も大きな群れだな」
「あの時は確か22頭だったよな」
「それをファイヤーボール一発で仕留めたんだからなぁ」
呑気に思い出話をしていると、次々と現れるウルフ達が突撃してくると、結界のドームに阻まれて苛立つウルフと《未だ?》とやる気満々のグレイ。
《射て!》と号令を掛けた瞬間、俺達の周囲に群がるウルフ達に、雷撃の嵐が襲い掛かった。
〈バシー〉〈パリパリパシーン〉〈ドーン〉〈バン・バン・バン・バーン〉
〈バーン・バン・バシーン〉
「ヒョォー」
「凄ぇぇぇ」
「なんてこったい!」
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追記:2025/09/20
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もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
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