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112 盲点
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少しずつ場所を移動しながら撒き餌をして野獣を探すが、群れるウルフ種やドッグ種は中々現れない。
四日目にグレイウルフの小さな群れが現れたので鑑定したが、魔法持ちはいない。
若く身体の大きい奴が居るのでこの群れを捕まえることにした。
アッシュの合図で一斉に雷撃を撃ち込むと、夢中で餌を食っていたグレイウルフ四頭が倒れ、残りが散り散りに逃げた。
すかさずライドを連れて倒れているグレイウルフの所へ駆け寄り、四頭の中から気に入った奴を選ばせる。
ライドが選んだ残りの三頭を刺殺してマジックバッグに入れる。
「此奴をテイムしても使い物になるのか?」
「良いからさっさとテイムしろ! 怪我は後で治すから問題ないんだよ。テイムの練習はしていたんだろう」
「ああ、しっかり練習をしたさ」
グレイ達が護衛についてくれているとはいえ、撒き餌をたっぷりしているのでのんびりしたくない。
ライドがおもむろにグレイウルフに掌を置き「テイム・テイム」と呟き、ニヤリと笑うので名前を付けさせる。
「お前はブラッド、血塗れの牙の仲間だ・・・何か変な感じだな」
「テイムして名前を付けると、結びつきが強くなるんだ」
話している間に、グレイが治癒魔法で怪我を治しているので、ライドがびっくりしている。
「なる程なぁ。痛めつけてテイムしてから治療するのか」
「そんな感想は後だ。ドームに戻るぞ」
仲間の待つドームの中に戻ると、ライドに従うブラッドを見て皆喜んでいる。
ライドに、ブラッドの基本教育はマイルズに教えてもらえと丸投げする。
「俺が教えるのですか?」
「クロウを躾た時の事を忘れた訳じゃないだろう。街に戻るまでに最初の基本をライドに教えてやれ。ライドはブラッドに余計な事を教えるなよ」
「余計な事って?」
「クロウはマイルズに従っているが、それは歩くときは何処を歩くかや、立て、座れ、止まれ、等の基本から教えているからだ。余計な事を教えると、指示や合図が重複してややこしくなり、いざという時の動きに影響するからな」
「判った。マイルズ宜しく頼む」
「しかし、本当に簡単に捕まえるんだな」
「食堂で話しているのを聞いたときには法螺話だと思ったよ」
「ああ、マイルズの話を聞いても信じられなかったが・・・」
「撒き餌をして獲物を誘き寄せてから、目的の野獣を雷撃一発で動けなくするとはな。テイム出来たら、幻獣が治癒魔法を使って怪我を治すなんて、誰も思いつかない。しかも、絶対安全な結界の中からだ」
「ランディスの使役獣じゃなきゃ出来ない芸当だな」
ライド達がお喋りしている間に、ブラッドを改めて鑑定したが魔法は無し。
目の色が変わらなかったので判っていたが鑑定結果は〔鑑定、ブラッド、♂、5才、グレイウルフ(ライドの使役獣)〕
* * * * * * *
次の日はマイルズが、ブラッドを思い通りに動かす為の指示の出し方を説明しながら、クロウで見本を見せて教える。
俺はこっそりブラッドに話しかけて、マイルズとクロウの動きや合図を覚える様に言い聞かせておく。
マイルズがクロウを腕や指の動きに声を合わせて、右に左にと歩かせたり戻ってこさせたりを繰り返す。
その隣でライドがブラッドに同じ指示を出して、マイルズと動きを合わせている。
ブラッドを連れて歩くだけなら問題なく動かせる様になったのでグレインに戻る事にした。
上手く行けば、さほど待つこともなくエドガ達と合流できて、続きはエドガ達に任せられる。
ヘンザ村に向かっているときに三頭のオークを見つけた。
俺達が立ち止まったのでブラッド達が不思議がり、マイルズは経験から俺が獲物を見つけたと判った様だ。
「どうしたんだ?」
「あー、オークがいるな。マイルズ、クロウを使っての討伐の手本をみせろ。ドランとアールズにハイドは、クロウが動きを抑えるので足に矢を射ち込んで動きを止めてくれ。ワイズとヨークはバックアップな」
「俺は?」
「ライドはマイルズの後ろで、彼とクロウの動きを見ていてくれ。オークの足止めさえすれば後は簡単だからな」
「えーと、ランディスさん・・・何処にオークが?」
遠くの藪を短槍で指し示すと、マイルズは素直に頷き歩き出すがライド達が怪訝な顔でマイルズについていく。
俺の索敵能力を知るマイルズは、藪に近づく程に慎重に近寄って行き、前を歩くクロウの動きからオークの存在を確信した様だ。
腕を上げて手を広げてから指を三本立てると、ゆっくりと前に倒して前進する。
それを見てドラン達も弓を握りなおし、何時でも射てる準備をする。
チラリと後ろを振り返り、準備が出来ていることを確認してクロウに行けの合図を送る。
マイルズの待ち受ける反対側に回ったクロウが、藪の後ろから呻り声を上げて飛び込みオークを追いたてると。驚いたオークが藪の陰から押し出されて来た。
背を低くして待つマイルズは、オークの姿を確認すると小弓を引き絞り、先頭のオークの足に矢を射ち込む。
クロウに驚いて飛び出したオークはマイルズ達を見て怒りの声をあげたが、クロウに攻め立てられてマイルズ達の方に押されてくる。
すかさずドランとアールズにハイドがそれぞれのオークの足や胸に連続して矢を射ち込み動きを鈍らせた。
後ろからクロウに責め立てられ、前からは矢を射ち込まれて動けなくなったオークを、ワイズとヨークが止めの短槍を突き立てて討伐は終わった。
「ふうー、オーク三頭を狩るのが、こんなに簡単だとは思わなかったな」
「オークもブラックタイガー相手では分が悪い様だが、その分俺達は楽に討伐出来たな」
「何時もの狩りとは全然違うけど、此が使役獣を連れたテイマーの闘い方か」
「テイマーが強い野獣を欲しがる訳がよく判るよ」
「ブラッドの訓練が終わるのが楽しみだな」
「ああ、そのためにはブラッドをどう動かすのか、マイルズから確り教えてもらわなきゃな」
「それはグレインの街に戻ってエドガ達が教えてくれるよ。今のは基本中の基本で、後ろにアッシュ達が居ればこその闘いだからな」
「それもそうか。後ろは安全なのでランディス達の事を忘れていたよ」
「そう、後ろを気にせずに闘っていたが、不意打ちに注意は冒険者の基本だろう」
* * * * * * *
グレインに戻ると、ブラッドの使役獣登録を済ませて獲物を売り払い、ドラン達とマイルズで等分する。
翌日にはエドガ達とギルドで出会ったので、ドランとブラッドを含めたパーティーとしての闘い方等の指南を頼む。
その際にはマイルズの同行を頼み勉強させてもらう事にした。
エドガ達には以前と同じ料金の支払いを約束する。
「ランディス殿、指南料は俺達が払います。使役獣を与えてもらい色々と教えてもらった。俺達も冒険者としてこれ以上甘えるのは恥だ」
「ドラン、俺が冒険者の格好をしているときに殿は必要無いよ。それと俺があんた達を鍛えるのは、俺の為、領地の安全を守る為でもあるからな」
「それなら、エドガ達から指南を受ける間の獲物は、全てエドガ達の取り分にさせてくれ」
「それはあんたの好きにしてくれ。それよりもテイマーがあんたに師事を願ってくれば、俺が教えた方法を隠す事無く教えてやってくれ」
「良いのか? あんたと繋がりのあるテイマーは、ハイムントの二人とマイルズだが、俺の知る限り皆一流のテイマーだ。エドガ達も俺達の指南を頼むのなら同じ様な腕の筈だし、この技を易々と人に伝えては・・・」
「あの時に聞いていただろう、テイマーを探していると。教える男やその仲間達が真っ当な奴なら、何の問題ない。尤も、使役獣の扱い方しか教えられないだろうけどな」
「ああ、あんな方法で使役獣を手に入れるなんて、貴族の魔法部隊と腕の良い治癒魔法使いが必要だが、それでも中々難しいだろうな」
まぁ、必要な野獣と出会うだけでも一苦労だろうし、捕まえるのはもっと大変だ。
それに鑑定使いが居れば幻獣が手に入る確率も高くなるが、魔法を上手く教える事は不可能だろう。
結果、複数の魔法を持っていても自然に使える魔法のみを使うことになる。
* * * * * * *
ドラン達をエドガ達のパーティーに預けて屋敷でのんびりしているときに、フラッグが魔法を使う猫がいると言ってきた。
詳しく話を聞くと、時々屋敷周辺を探検しているらしいが、厩の周辺には結構猫がいる。
グレイやブラックと遊ぶのに飽きたときには、その猫を獲物に見立てて狩りの練習がてら玩具にしているらしい。
だがフラッグはテイルフェレット種で、ミルダの従えるリューク、ブラックフェレットよりも小さい。
猫からすればブラックフェレットも小さいが、フラッグはもっと小さいので、ネズミと変わらない獲物だ。
厩の外で小鳥を狙って忍び寄る猫を、フラッグが獲物と定めて木の上から飛び降りる寸前に、危険を察知して結界を張ると猫が降ってきた。
結界にぶち当たった猫は〈ニャァァ?〉と泣いて落ちていったが、途中で姿が消えたそうだ。
下に落ちたのではない、下にはフラッグが狙っていた猫が上を見上げていたそうだ。
グレイやファングとシルバーの転移魔法を見慣れているフラッグには、下に落ちたのに姿がないのは転移魔法と判断したらしい。
猫より小さいミルダのリュークとフラッグが魔法を使えるのだ、猫が魔法を使えても不思議じゃない。
猫なんて何処にでもいるので当たり前になっていたが、完全な盲点だ。
思えば名前を拝借したネズミ取りの上手なランディスも、厩を塒にしていた猫だった。
面白そうなので、フラッグを連れて厩に出掛けて猫の鑑定を始めた。
使用人達は、フラッグを連れて厩や厨房周辺を徘徊する俺を変な目で見ていたが、ご主人様なので見て見ぬ振りをしてくれていた。
四日目にグレイウルフの小さな群れが現れたので鑑定したが、魔法持ちはいない。
若く身体の大きい奴が居るのでこの群れを捕まえることにした。
アッシュの合図で一斉に雷撃を撃ち込むと、夢中で餌を食っていたグレイウルフ四頭が倒れ、残りが散り散りに逃げた。
すかさずライドを連れて倒れているグレイウルフの所へ駆け寄り、四頭の中から気に入った奴を選ばせる。
ライドが選んだ残りの三頭を刺殺してマジックバッグに入れる。
「此奴をテイムしても使い物になるのか?」
「良いからさっさとテイムしろ! 怪我は後で治すから問題ないんだよ。テイムの練習はしていたんだろう」
「ああ、しっかり練習をしたさ」
グレイ達が護衛についてくれているとはいえ、撒き餌をたっぷりしているのでのんびりしたくない。
ライドがおもむろにグレイウルフに掌を置き「テイム・テイム」と呟き、ニヤリと笑うので名前を付けさせる。
「お前はブラッド、血塗れの牙の仲間だ・・・何か変な感じだな」
「テイムして名前を付けると、結びつきが強くなるんだ」
話している間に、グレイが治癒魔法で怪我を治しているので、ライドがびっくりしている。
「なる程なぁ。痛めつけてテイムしてから治療するのか」
「そんな感想は後だ。ドームに戻るぞ」
仲間の待つドームの中に戻ると、ライドに従うブラッドを見て皆喜んでいる。
ライドに、ブラッドの基本教育はマイルズに教えてもらえと丸投げする。
「俺が教えるのですか?」
「クロウを躾た時の事を忘れた訳じゃないだろう。街に戻るまでに最初の基本をライドに教えてやれ。ライドはブラッドに余計な事を教えるなよ」
「余計な事って?」
「クロウはマイルズに従っているが、それは歩くときは何処を歩くかや、立て、座れ、止まれ、等の基本から教えているからだ。余計な事を教えると、指示や合図が重複してややこしくなり、いざという時の動きに影響するからな」
「判った。マイルズ宜しく頼む」
「しかし、本当に簡単に捕まえるんだな」
「食堂で話しているのを聞いたときには法螺話だと思ったよ」
「ああ、マイルズの話を聞いても信じられなかったが・・・」
「撒き餌をして獲物を誘き寄せてから、目的の野獣を雷撃一発で動けなくするとはな。テイム出来たら、幻獣が治癒魔法を使って怪我を治すなんて、誰も思いつかない。しかも、絶対安全な結界の中からだ」
「ランディスの使役獣じゃなきゃ出来ない芸当だな」
ライド達がお喋りしている間に、ブラッドを改めて鑑定したが魔法は無し。
目の色が変わらなかったので判っていたが鑑定結果は〔鑑定、ブラッド、♂、5才、グレイウルフ(ライドの使役獣)〕
* * * * * * *
次の日はマイルズが、ブラッドを思い通りに動かす為の指示の出し方を説明しながら、クロウで見本を見せて教える。
俺はこっそりブラッドに話しかけて、マイルズとクロウの動きや合図を覚える様に言い聞かせておく。
マイルズがクロウを腕や指の動きに声を合わせて、右に左にと歩かせたり戻ってこさせたりを繰り返す。
その隣でライドがブラッドに同じ指示を出して、マイルズと動きを合わせている。
ブラッドを連れて歩くだけなら問題なく動かせる様になったのでグレインに戻る事にした。
上手く行けば、さほど待つこともなくエドガ達と合流できて、続きはエドガ達に任せられる。
ヘンザ村に向かっているときに三頭のオークを見つけた。
俺達が立ち止まったのでブラッド達が不思議がり、マイルズは経験から俺が獲物を見つけたと判った様だ。
「どうしたんだ?」
「あー、オークがいるな。マイルズ、クロウを使っての討伐の手本をみせろ。ドランとアールズにハイドは、クロウが動きを抑えるので足に矢を射ち込んで動きを止めてくれ。ワイズとヨークはバックアップな」
「俺は?」
「ライドはマイルズの後ろで、彼とクロウの動きを見ていてくれ。オークの足止めさえすれば後は簡単だからな」
「えーと、ランディスさん・・・何処にオークが?」
遠くの藪を短槍で指し示すと、マイルズは素直に頷き歩き出すがライド達が怪訝な顔でマイルズについていく。
俺の索敵能力を知るマイルズは、藪に近づく程に慎重に近寄って行き、前を歩くクロウの動きからオークの存在を確信した様だ。
腕を上げて手を広げてから指を三本立てると、ゆっくりと前に倒して前進する。
それを見てドラン達も弓を握りなおし、何時でも射てる準備をする。
チラリと後ろを振り返り、準備が出来ていることを確認してクロウに行けの合図を送る。
マイルズの待ち受ける反対側に回ったクロウが、藪の後ろから呻り声を上げて飛び込みオークを追いたてると。驚いたオークが藪の陰から押し出されて来た。
背を低くして待つマイルズは、オークの姿を確認すると小弓を引き絞り、先頭のオークの足に矢を射ち込む。
クロウに驚いて飛び出したオークはマイルズ達を見て怒りの声をあげたが、クロウに攻め立てられてマイルズ達の方に押されてくる。
すかさずドランとアールズにハイドがそれぞれのオークの足や胸に連続して矢を射ち込み動きを鈍らせた。
後ろからクロウに責め立てられ、前からは矢を射ち込まれて動けなくなったオークを、ワイズとヨークが止めの短槍を突き立てて討伐は終わった。
「ふうー、オーク三頭を狩るのが、こんなに簡単だとは思わなかったな」
「オークもブラックタイガー相手では分が悪い様だが、その分俺達は楽に討伐出来たな」
「何時もの狩りとは全然違うけど、此が使役獣を連れたテイマーの闘い方か」
「テイマーが強い野獣を欲しがる訳がよく判るよ」
「ブラッドの訓練が終わるのが楽しみだな」
「ああ、そのためにはブラッドをどう動かすのか、マイルズから確り教えてもらわなきゃな」
「それはグレインの街に戻ってエドガ達が教えてくれるよ。今のは基本中の基本で、後ろにアッシュ達が居ればこその闘いだからな」
「それもそうか。後ろは安全なのでランディス達の事を忘れていたよ」
「そう、後ろを気にせずに闘っていたが、不意打ちに注意は冒険者の基本だろう」
* * * * * * *
グレインに戻ると、ブラッドの使役獣登録を済ませて獲物を売り払い、ドラン達とマイルズで等分する。
翌日にはエドガ達とギルドで出会ったので、ドランとブラッドを含めたパーティーとしての闘い方等の指南を頼む。
その際にはマイルズの同行を頼み勉強させてもらう事にした。
エドガ達には以前と同じ料金の支払いを約束する。
「ランディス殿、指南料は俺達が払います。使役獣を与えてもらい色々と教えてもらった。俺達も冒険者としてこれ以上甘えるのは恥だ」
「ドラン、俺が冒険者の格好をしているときに殿は必要無いよ。それと俺があんた達を鍛えるのは、俺の為、領地の安全を守る為でもあるからな」
「それなら、エドガ達から指南を受ける間の獲物は、全てエドガ達の取り分にさせてくれ」
「それはあんたの好きにしてくれ。それよりもテイマーがあんたに師事を願ってくれば、俺が教えた方法を隠す事無く教えてやってくれ」
「良いのか? あんたと繋がりのあるテイマーは、ハイムントの二人とマイルズだが、俺の知る限り皆一流のテイマーだ。エドガ達も俺達の指南を頼むのなら同じ様な腕の筈だし、この技を易々と人に伝えては・・・」
「あの時に聞いていただろう、テイマーを探していると。教える男やその仲間達が真っ当な奴なら、何の問題ない。尤も、使役獣の扱い方しか教えられないだろうけどな」
「ああ、あんな方法で使役獣を手に入れるなんて、貴族の魔法部隊と腕の良い治癒魔法使いが必要だが、それでも中々難しいだろうな」
まぁ、必要な野獣と出会うだけでも一苦労だろうし、捕まえるのはもっと大変だ。
それに鑑定使いが居れば幻獣が手に入る確率も高くなるが、魔法を上手く教える事は不可能だろう。
結果、複数の魔法を持っていても自然に使える魔法のみを使うことになる。
* * * * * * *
ドラン達をエドガ達のパーティーに預けて屋敷でのんびりしているときに、フラッグが魔法を使う猫がいると言ってきた。
詳しく話を聞くと、時々屋敷周辺を探検しているらしいが、厩の周辺には結構猫がいる。
グレイやブラックと遊ぶのに飽きたときには、その猫を獲物に見立てて狩りの練習がてら玩具にしているらしい。
だがフラッグはテイルフェレット種で、ミルダの従えるリューク、ブラックフェレットよりも小さい。
猫からすればブラックフェレットも小さいが、フラッグはもっと小さいので、ネズミと変わらない獲物だ。
厩の外で小鳥を狙って忍び寄る猫を、フラッグが獲物と定めて木の上から飛び降りる寸前に、危険を察知して結界を張ると猫が降ってきた。
結界にぶち当たった猫は〈ニャァァ?〉と泣いて落ちていったが、途中で姿が消えたそうだ。
下に落ちたのではない、下にはフラッグが狙っていた猫が上を見上げていたそうだ。
グレイやファングとシルバーの転移魔法を見慣れているフラッグには、下に落ちたのに姿がないのは転移魔法と判断したらしい。
猫より小さいミルダのリュークとフラッグが魔法を使えるのだ、猫が魔法を使えても不思議じゃない。
猫なんて何処にでもいるので当たり前になっていたが、完全な盲点だ。
思えば名前を拝借したネズミ取りの上手なランディスも、厩を塒にしていた猫だった。
面白そうなので、フラッグを連れて厩に出掛けて猫の鑑定を始めた。
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この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
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