ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学

文字の大きさ
13 / 71

13 王都バルザック

しおりを挟む
 サランガから王都迄の間にはそこそこ街がある。
 ざーっと書き出すと次の通りで、村の名前は書き出すのが嫌になって割愛した。
 此処で初めて国の名前がテレンザ王国と知り、アルカート・オルク・テレンザ国王だって。
 
  **村
 キューキル
 **村
 ヨセルト
・・・・・・
 **村
〇サランガ、元ユーノス・コリアナ伯爵領
 **村
 **村
 ヘメス
 ホルン
 **村
・・・・・・
 **村
 ローランド
 **村
 キュールス
・・・・・・
 **村
 アルファン
 アルカト
 ヘルン
 **村
・・・・・・
 **村
 ヤルナス
 **村
 ヨードル
・・・・・・
 ホーヘン
 ルクラン
 **村
〇 王都、バルザック
 **村
 トケルト
 アーサル
・・・・・・
 エブン
 クルクト
・・・・・・
 **村
 ヘイロー、
 ハムール

 王都の間に11の街があり、間に10の小さな村が点在する。
 ラノベと違うなと思ったが西部劇でも在るまいし当然か。
 穴だらけの道を馬車で一日行けば20,30キロは進むので街や村くらいあるのが普通だよな。
 徒歩で行けば平均1時間4キロとして一日8時間歩けば32キロ、行く先々に転移魔方陣を作るのは絶対だ。
 同じ道を2度もテクテク歩くのは拷問だぜ。
 
 早朝サランガを発ち黙々と歩き昼過ぎに最初の村エニマを通過、一応エニマ村の外れに転移魔方陣を設置しておく。
 人から見え難い場所って人家の近くには案外無いんだよな、ミニマッターホルンがいきなり出来たらびっくりするだろうし。
 陽も暮れる頃にドブグル村の手前、森の中にミニマッターホルンを設置してスタートゲートに跳びおやすみなさい。
 
 ヘメスの街に着いたのが昼過ぎだが、入口の混雑で手間取り街のホテルに投宿する。
 翌日街を散策するも、興味を引く物も無いので昼過ぎには街を出た。
 ヘメスゲート設置に森に入るが、この辺の森は浅いのかゴブリンすら見掛けない。
 
 ホルンには陽も暮れてからの到着になるのでルーシュに前を歩かせて、ホルンのゲート設置場所を探して貰う。
 余りに単調な旅に飽きて来たので、ホルンの街で冒険者ギルドを覗き依頼内容を見て歩く。
 主要街道なので護衛依頼以外は精々ゴブリンや角兎,鹿,猪等難易度の低い依頼が多い。
 ギルドを出ようとして呼び止められた。
 
 「王都テレンザの手前ルクラン迄の護衛依頼を出したのだが、受けくれる冒険者がいなくて困っているのです。一日銀貨2枚で朝夕の食事も付けるので受けてもらえないですか。急ぐので多分全て夜営になると思うのですが、無事に到着すれば銀貨5枚の手当を払います」
 
 「依頼は出しているのか」
 
 頷くので依頼票を探すと、周囲の依頼より多少高いが、夜営になるのが嫌われた様だ。
 依頼票を取り他にも受けた奴がいるのか、受付に聞くが誰も受けていないとの返事。
 受付の姐さんが依頼票を見ながら、主要街道なので一人二人冒険者が護衛に付けば楽な仕事だと話す。
 ランクを聞かれたのでカードを見せる。
 
 「あらまー若いのにゴールドの二級かい、あんた一人でも楽勝だよ。暇なら受けてやりなよ」
 
 「油断すると死ぬのがこの商売だからな。俺はこの街道を歩くのは初めてなんだが、途中に危険な場所は多いのか」
 
 「最近は賊が出たとは聞かないよ」
 
 「あんたは、俺一人の護衛でも良いのか」
 
 「お願いします。ゴールドランクなら安心です」
 
 「旅の途中で、俺の都合で1時間程度停める事があるが、それでも良いなら受けよう。王都迄の暇潰しになるしな」
 
 受付に依頼票とカードを出して依頼を受ける。
 
 依頼人と同行者の泊まるホテル迄行くと、20才前後の男女だった。
  四人乗りの馬車を引き出して来る、てっきり荷馬車だと思っていたので驚いた。
 直ぐに出立つしようとするので馬車の点検は済ませたのか確認、俺は馬車の修理なぞ出来ないからな。
 
 「俺はユーヤだ。護衛依頼を受けるのは初めてなので、宜しく頼む」
 
 「私はお二人の供の者で、御者を勤めますプロムと申します。お二人はブランディ様とフェルス様です」
 
 頭を下げる二人に、会釈して馬車に同乗する。
 
 「お荷物は・・・」
 
 「あぁマジックポーチに全て持っているので心配ない。俺の食事の必要も無いので、食事は勝手にやってくれ。急ぐのだろう」
 
 馬車はホルの街を出るとルクランに向けて走り出した。
 走るといっても石ころと穴だらけの道なので、人が歩くより少し早いくらいの速度だ。
 乗り心地は最悪の一言で、一応クッションはあるのだが近代日本から来た身としては辛いが、文句を言わずに堪えるしかない。
 時々降りて馬車と並走する、精々早歩き程度なので固まった体を解す良い運動だ。
 
 ユルカを過ぎユルンドの手前で夜営する事になった、二人は馬車の中でプロムはテントを取り出したのでドームを造ってやる事にした。
 馬車と馬の為の塀を巡らし、プロムのドームと二人の為のドームを造る。
 寝具は持っている様だが、ベットはコリアナ伯爵の地下から救い出した女性達の為に使った、折り畳みの簡易ベットを貸した。
 
 食事をしながら口外無用を告げ、ルーシュを三人の前に出す。
 滅多に居ないらしい使役魔獣に驚いていたが、夜間の警戒はルーシュに任せるので安心して寝て良いと告げる。
 三人共びっくりしていたが、ルーシュが俺の膝に乗り食事の肉を食べているのを見て微笑んでいる。
 子猫に腹を立てる奴はまずいないので、初対面の緊張を解すにはルーシュは役に立つ。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

処理中です...