19 / 71
19 地を這う蜥蜴と空飛ぶ蜥蜴
しおりを挟む
今度はへまをしないぞと、ヤハザンさんにこっそり地を這う蜥蜴と空飛ぶ蜥蜴のどちらが美味しいのか尋ねた。
ヤハザンさん、硬直してしまい返事をしない。
ほっぺをペチペチして現世に引き戻し再度質問したが、ギルマスと代わるからとこの世を儚なんだ顔で言って消えた。
ギルマスが思いっ切り顔をしかめて俺の前に立つと、襟首を掴んでギルマスの部屋に連行された。
何て扱いだ、ルーシュじゃ在るまいし猫の子扱いは失礼だよな。
「で、今度の蜥蜴は飛ばない奴と飛ぶ奴何だな」
ギルマスの低音の魅力満載の問い掛けに、コクコクと頷く俺は良い子だ。
美味しいお肉が食べたいのに食べ損ねたので、此処で解体して欲しいと可愛いさアピールしながらお願いする。
「ワイバーンもアースドラゴンも、お前に掛かれば只の蜥蜴でお肉にしか見えないのか」
低音の魅力に、氷の冷たさが加わった声に変化する。
此処は逆らったら駄目なところだと本能が告げるので、素直にコクコクしておく。
「お前は判っているのか」
意味が判らないけど逆らわずに、なぁに♪って意味の、小首を傾げて聞き返す。
「お前のせいで王都のギルドが、貴族や王国と一触即発の状態になり侯爵が処刑されて廃絶になり、多数の貴族が永年蟄居や降格だ」
「あれッ、それって俺に何の責任も無いじゃ無いですか。腐れ貴族が俺のお肉を横取りしようとして、ギルドの職員に無理難題のごねまくり。何処が俺のせいになるのか教えてくれるかな」
お肉を横取りされそうになった怒りが再燃してきた。
「まっまて、待てユーヤ落ち着け!」
「あの腐れ外道の貴族共め、思い出しても腹が立つ。それにフリックスの野郎は肉以外所を掠め取りやがって、殺しておけば・・・」
「おっ落ち着け、落ち着けユーヤ。お肉、お肉の事を考えろ」
「俺は欠食児童ですか、そこまで飢えていませんよ。失礼なオッサンだね」
「あーーーもぅいい。で飛ぶのと飛ばないのとどちらが美味しいかって、知るわけ無いだろう! ボケ! あんなものは生涯口にする事がないワイ!!!」
しゃーない、食べ損ねた飛ばない蜥蜴を解体してもらおうっと。
切れるギルマスを放置して、解体主任と直接交渉だ。
討伐者の名前は出さない、俺がお肉を受け取ったら他の部位はギルドに売却する。
支払いはギルドの口座に振り込んおいてとお願いする。
お肉は明日の昼に受け取りに来る!!! と強調しておこう。
* * * * * * * *
お肉を受け取ったらサランガの街に用はないので、さっさと街を出てサランガの森ゲートに向かう。
今夜は美味しい蜥蜴のステーキだとルーシュに教えて、ニコニコ顔でスタートゲートに戻る。
今晩はお肉を堪能しよう。フライパンに熱を入れ、待望の塩胡椒したお肉をソーッと入れる。
〈ジュー〉って、この音この香りたまんねーっす。
ルーシュと俺の至福の一夜が明け、真剣にサランガの街に家を買う検討をする。
金は有る、それもたーんまり有りまーす・・・コリアナ伯爵様のお金が。
宝石もザックザクって意味がよーく判る程溜め込んでいたからねー。
現金主義のこの世界で、金貨の袋が数えるのも嫌って程有りそれに宝石だよ。
俺が使ってやる!
俺が使わねば誰が使う!
伯爵様の財産をネコババした俺が、使命感に燃えましたよ。
取り敢えず、サランガの街で転移ゲートを設置する為の家を買おう。
* * * * * * * *
固い決意はお肉の誘惑に勝てず、三日程ルーシュと二人お肉な日々を送り、お顔ツヤツヤのテカテカでサランガに戻った。
お家を買うなら商業ギルドにお願いすればと、受付のおば・・・ウォーホン姐御じゃない、お姐さんに家を買いたいのだが冒険者でも買えるのか確認する。
即効で駄目をくらいました。
流民である冒険者は領主の支配下に無いので、領主の管理下にある財産を私有する権利はない。
立て板に水ってこれかと、感心して拝聴致した。
では家を借りる事は可能なのかと問えば、可能だと簡潔なお返事。
では借りたいので良い物件は有りますかと問えば、不動産部門に行けの一言。
やって来ました不動産部門、借りたい条件は石造りで内外共に増改築可能な家であること。
つまり俺の好き勝手に改築しても良い物件は無いかと尋ねたのだ。
ありましたよ、石造りで増改築勝手たるべしの太っ腹な物件が。
先ず物件の確認に出向くと小振りな厩舎、つまり馬小屋で2階が餌の飼料置場になっている。
月々銀貨8枚で、三年契約の一括払いが条件で増改築自由、立ち退き時に現状回復の義務無し。
即効で借りる事を職員に伝え契約書にサイン、一括払いの2.880.000ダーラは口座から引き落とす様に指示して冒険者カードを渡す。
カードを返しに来た職員が、家を買われませんかと問い掛けて来た。
「えっ受付で家を買いたいと告げたら、流民である冒険者は家を買えないと立て板に水で説明されたので、借りる事にしたんですけど」
「係の者の不案内で申し訳在りません。冒険者の方でも家を一括でなら買えます」
「いや、いいですよ。好き勝手に改築出来る物件が借りられたので良かったです」
厩の鍵を受け取り、ルンルンで不動産部門のお姉さんに礼を言って帰る。
不動産部門のお姉さん、夜叉の如き目付きで案内係の姐さんを睨んでいた。
コ・ワ・イ・よー。
売る付けるチャンスを逃したんだものねー。
家一軒売ったら実績と上司の覚えも良く、キックバックのボーナスも期待出来たのに、儚い夢でした。
とばっちりが来ないうちに、クリーンで内外を綺麗にして内装が出来る業者を紹介してもらおう。
今度は不動産部門のあのお姉さんにね。
業者に頼み壁を残して取り払い、即座に外壁の強化と屋根を土魔法で造りあげ、2階の床も土魔法で仕上げる。
一階はホールと階段のみ、ホールの左右は広い空間だが封鎖し、2階に居間,寝室,客室,食堂等の生活空間を全面木張りで造ってもらった。
転移魔法陣設置のゲートルームや、キッチン浴室等は自分で造る。
ゲートルームの壁にはダミーで両脇に棚を付け倉庫に偽装するのも忘れない。
工事が終われば石の扉で封鎖して、俺以外出入り不可能にする。
完成するまではホールの横を封鎖して、仮の転移魔法陣を設置。
空きスペースは生活空間としているが、出入りは俺の土魔法が必要なので安全だ。
ヤハザンさん、硬直してしまい返事をしない。
ほっぺをペチペチして現世に引き戻し再度質問したが、ギルマスと代わるからとこの世を儚なんだ顔で言って消えた。
ギルマスが思いっ切り顔をしかめて俺の前に立つと、襟首を掴んでギルマスの部屋に連行された。
何て扱いだ、ルーシュじゃ在るまいし猫の子扱いは失礼だよな。
「で、今度の蜥蜴は飛ばない奴と飛ぶ奴何だな」
ギルマスの低音の魅力満載の問い掛けに、コクコクと頷く俺は良い子だ。
美味しいお肉が食べたいのに食べ損ねたので、此処で解体して欲しいと可愛いさアピールしながらお願いする。
「ワイバーンもアースドラゴンも、お前に掛かれば只の蜥蜴でお肉にしか見えないのか」
低音の魅力に、氷の冷たさが加わった声に変化する。
此処は逆らったら駄目なところだと本能が告げるので、素直にコクコクしておく。
「お前は判っているのか」
意味が判らないけど逆らわずに、なぁに♪って意味の、小首を傾げて聞き返す。
「お前のせいで王都のギルドが、貴族や王国と一触即発の状態になり侯爵が処刑されて廃絶になり、多数の貴族が永年蟄居や降格だ」
「あれッ、それって俺に何の責任も無いじゃ無いですか。腐れ貴族が俺のお肉を横取りしようとして、ギルドの職員に無理難題のごねまくり。何処が俺のせいになるのか教えてくれるかな」
お肉を横取りされそうになった怒りが再燃してきた。
「まっまて、待てユーヤ落ち着け!」
「あの腐れ外道の貴族共め、思い出しても腹が立つ。それにフリックスの野郎は肉以外所を掠め取りやがって、殺しておけば・・・」
「おっ落ち着け、落ち着けユーヤ。お肉、お肉の事を考えろ」
「俺は欠食児童ですか、そこまで飢えていませんよ。失礼なオッサンだね」
「あーーーもぅいい。で飛ぶのと飛ばないのとどちらが美味しいかって、知るわけ無いだろう! ボケ! あんなものは生涯口にする事がないワイ!!!」
しゃーない、食べ損ねた飛ばない蜥蜴を解体してもらおうっと。
切れるギルマスを放置して、解体主任と直接交渉だ。
討伐者の名前は出さない、俺がお肉を受け取ったら他の部位はギルドに売却する。
支払いはギルドの口座に振り込んおいてとお願いする。
お肉は明日の昼に受け取りに来る!!! と強調しておこう。
* * * * * * * *
お肉を受け取ったらサランガの街に用はないので、さっさと街を出てサランガの森ゲートに向かう。
今夜は美味しい蜥蜴のステーキだとルーシュに教えて、ニコニコ顔でスタートゲートに戻る。
今晩はお肉を堪能しよう。フライパンに熱を入れ、待望の塩胡椒したお肉をソーッと入れる。
〈ジュー〉って、この音この香りたまんねーっす。
ルーシュと俺の至福の一夜が明け、真剣にサランガの街に家を買う検討をする。
金は有る、それもたーんまり有りまーす・・・コリアナ伯爵様のお金が。
宝石もザックザクって意味がよーく判る程溜め込んでいたからねー。
現金主義のこの世界で、金貨の袋が数えるのも嫌って程有りそれに宝石だよ。
俺が使ってやる!
俺が使わねば誰が使う!
伯爵様の財産をネコババした俺が、使命感に燃えましたよ。
取り敢えず、サランガの街で転移ゲートを設置する為の家を買おう。
* * * * * * * *
固い決意はお肉の誘惑に勝てず、三日程ルーシュと二人お肉な日々を送り、お顔ツヤツヤのテカテカでサランガに戻った。
お家を買うなら商業ギルドにお願いすればと、受付のおば・・・ウォーホン姐御じゃない、お姐さんに家を買いたいのだが冒険者でも買えるのか確認する。
即効で駄目をくらいました。
流民である冒険者は領主の支配下に無いので、領主の管理下にある財産を私有する権利はない。
立て板に水ってこれかと、感心して拝聴致した。
では家を借りる事は可能なのかと問えば、可能だと簡潔なお返事。
では借りたいので良い物件は有りますかと問えば、不動産部門に行けの一言。
やって来ました不動産部門、借りたい条件は石造りで内外共に増改築可能な家であること。
つまり俺の好き勝手に改築しても良い物件は無いかと尋ねたのだ。
ありましたよ、石造りで増改築勝手たるべしの太っ腹な物件が。
先ず物件の確認に出向くと小振りな厩舎、つまり馬小屋で2階が餌の飼料置場になっている。
月々銀貨8枚で、三年契約の一括払いが条件で増改築自由、立ち退き時に現状回復の義務無し。
即効で借りる事を職員に伝え契約書にサイン、一括払いの2.880.000ダーラは口座から引き落とす様に指示して冒険者カードを渡す。
カードを返しに来た職員が、家を買われませんかと問い掛けて来た。
「えっ受付で家を買いたいと告げたら、流民である冒険者は家を買えないと立て板に水で説明されたので、借りる事にしたんですけど」
「係の者の不案内で申し訳在りません。冒険者の方でも家を一括でなら買えます」
「いや、いいですよ。好き勝手に改築出来る物件が借りられたので良かったです」
厩の鍵を受け取り、ルンルンで不動産部門のお姉さんに礼を言って帰る。
不動産部門のお姉さん、夜叉の如き目付きで案内係の姐さんを睨んでいた。
コ・ワ・イ・よー。
売る付けるチャンスを逃したんだものねー。
家一軒売ったら実績と上司の覚えも良く、キックバックのボーナスも期待出来たのに、儚い夢でした。
とばっちりが来ないうちに、クリーンで内外を綺麗にして内装が出来る業者を紹介してもらおう。
今度は不動産部門のあのお姉さんにね。
業者に頼み壁を残して取り払い、即座に外壁の強化と屋根を土魔法で造りあげ、2階の床も土魔法で仕上げる。
一階はホールと階段のみ、ホールの左右は広い空間だが封鎖し、2階に居間,寝室,客室,食堂等の生活空間を全面木張りで造ってもらった。
転移魔法陣設置のゲートルームや、キッチン浴室等は自分で造る。
ゲートルームの壁にはダミーで両脇に棚を付け倉庫に偽装するのも忘れない。
工事が終われば石の扉で封鎖して、俺以外出入り不可能にする。
完成するまではホールの横を封鎖して、仮の転移魔法陣を設置。
空きスペースは生活空間としているが、出入りは俺の土魔法が必要なので安全だ。
1,207
あなたにおすすめの小説
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる