ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学

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21 転移魔法陣

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 クルフとシャイニーに俺の家を教えて、用が有る時には隠し穴から通信文を落としておけば、俺がこの家に来た時に判ると伝えた。
 但し、翌日か一月先かは判らないので注意しておいてと念押し。
 
 翌日魔法神を奉る教会に案内してもらい、魔法神ハラムニ様にご挨拶をする。

 《良く来たなユーヤ、先日はドラゴンの肉を有り難う。ホーヘンの所に、ヨークス様以下の神々が集いて大宴会になってのう、楽しかったぞ。教会に喜捨をしても我々の所には届かぬからな》
 
 《いえいえ、お喜び頂けたのなら幸いです。未だ少々ドラゴンのお肉が有りますので、お持ちになられますか。宴会を開かれるのなら、悪徳領主から掻っ攫った良いお酒も有りますよ》
 
 《それは嬉しいのう、有り難く受けるよ。所で何か用事が有るのだろう》
 
 《はい、ヨークス様から頂いた転移魔法陣の設置能力ですが、私以外の者でも使えるのですか》
 
 《それは可能だが、普通の者には魔力が足りないのでそれを補う必要が有るぞ。魔石や魔力石の力を借りてなら転移出来る。詳しい事は、お前の転移魔法陣の知識の中に入れておこう。酒の礼に、我の加護を与えておくぞ》
 
 《私は結構ですので、連れの二人に、些少為りともハラムニ様の加護をお授けくだされば有り難いです》
 
 《良かろう、隣の二人じゃな》
 
 蜥蜴のお肉と、伯爵様から掻っ攫った上等な酒を多数進呈してお別れした。
 
 「ユーヤ、魔法神様から加護を授かったぞ!」
 
 「二人とも良かったですねぇ」
 
 「何を言ってるんだ! ハラムニ様が、ユーヤの頼みじゃ、お前達二人に儂の加護を与える。これからもユーヤの良き友として頼むぞって言われたぞ」
 
 興奮気味に話すクルフと、コクコク頷くシャイニーの二人を落ち着かせ、転移魔法陣の実験に付き合ってもらう。

 新しい家からスタートゲートに跳び、ドームの前に20m離して二つの転移魔法陣を造る。
 転移魔法陣を造ったら、転移魔法陣に対する知識が理解できてビックリだわ。
 有り難う、ハラムニ様。

 転移魔法陣を設置して判った事は、足の下十数cmの所に魔法陣が有りその上を歩いても魔法陣は消えない事。
 俺には魔法陣が見えているが他人には見えておらず、見える様にする事も出来るが、本来の魔法陣は見えている十数cm下に有る。

 魔法陣の大きさは自由に設定出来るが、跳ぶ人数が多ければその分魔力(魔石,魔力石)が必要になる。
 俺以外が使用するには、魔石又は魔力石を跳躍する人数に合わせて用意し、その魔力を解放して魔法陣に流す事により跳躍が可能になる。
 転移先は魔力を魔法陣に解放する時、声に出して願うか心の中で願えば良い。
 魔石や魔力石の解放は、転移魔法陣の上に魔石又は魔力石を置き掌から魔力を→魔石・魔力石→転移魔法陣に向けて解放すれば良い。
 
 魔力石の豊富な場所は知っているので、後で魔力石を大量に採取しておく事にする。

 クルフとシャイニーに転移魔法陣の使い方を教え、魔力石を渡してA,B 二つの転移魔法陣の間を魔力石の大きさを変えながら転移してもらった。
 一人又は体重約100kg程度なら一片が10cm四方で厚さ1cmの魔力石一枚が必要だと判った。
 勿論解り易い様に土魔法で魔力石を加工し、それぞれの魔力石板を造って置いたのだけど。
 他にも転移先の魔法陣上に障害物が有れば、魔力石の解放すら受け付けない便利機能付きだと判明。
 
 思い付いきで小型の転移魔法陣を二つ造り、荷物の転送実験は当然だが成功。
 チョイ工夫して、送付用と受諾用の二つをセットにし、送付用は普通にセット受諾用は逆さまにして高い所にセットする。
 受諾すればそのまま落下して常に魔法陣上は空の状態になる、何時でも受諾可能だ。
 長さ30cm太さ10cm重さ2kgの物を送るには、魔力石一枚を3cm×3cm厚さ0.5cm一枚が必要と判明したがどの様な計算かは不明だ。
 これって良い稼ぎに成る予感がする。
 
 クルフとシャイニーが、ハラムニ様から授かった加護を試してみると、魔法のスムーズな発現と魔力操作が楽に出来て尚且つ多少の魔力増加と回復の早さだった。
 確かにそれぞれが放つ魔法は素早く威力があり、以前とは比べものにならなかった。
 
 二人をサランガの家に送り、お礼を言って謝礼を払おうとしたが頑として受け取ってもらえなかった。
 俺のお陰でハラムニ様の加護を授かったのに、謝礼迄は貰えないと突っぱねられた。
 二人が去り際に、今回の事は口外しないと言って帰っていった。

 * * * * * * * *
 
 翌日からは山のゲートに跳び、高濃度の魔力石を大量に収集保存した後、珍しい地質を求めて山野を彷徨った。
 多分二ヶ月以上経ったと思われる頃には、複数の鉱脈を見つけて採取した。
 瑪瑙、翡翠、紫水晶、ダイヤ、エメラルド等、特にダイヤは水晶鉱石の様に、一つの石に無数のダイヤがビッシリと付いた原石を見た時には笑ってしまった。

 有り得ない状態の原石がホイホイ見つかるなんて、絶対にヨークス様や他の神々の御利益だと思う。
 各鉱山の傍らには瑪瑙ゲート翡翠ゲート等採取した鉱物の名前のゲートを設置しておいた。
 
 ルーシュは、鉱物探索や邪魔な魔獣の排除に大活躍してくれた。
 俺は一度も魔獣を討伐していないのだが、マジックバックには・・・考えたくもない。
 処分に又一騒動起きそうな物まで有るからなぁ。
 
 バルザックの森ゲートに跳び、そこからのんびりと歩いて王都の城門を通る。
 プラチナカードと俺を何度も見比べてから、敬礼して返してくれたが何か衛兵の挙動がおかしい。
 
 ゲルアト商会に顔を出すと店番・・・支配人然としたブランディさんと目が合った。
 
 「お久し振りでねユーヤ様。お待ちしておりました。父も居ますので2階に上がって下さい」
 
 礼を言って2階に上がり、ゲルアトさんフェルスと挨拶を交わし今回の訪問の目的を話す。
 個人的な相対取引でも数が増えると不審に思われるだろうから、回避の為の物を用意したと告げて、原石類をテーブルに並べる。
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