ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学

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27転移試験

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 二人にサランガゲート、スタートゲート、アルカトの森ゲート、ヨードルの森ゲート、王都のバルザックゲート、五つのゲートを使って転位試験を始めた。
 一人なら魔力石一枚でサランガから王都迄跳べるが二人では無理、魔力石が消えただけだ。
 前回では魔力石一枚で約100キロの転移が可能だったが、距離は関係無い様だ。
 現に王都のゲートからスタートゲート迄でも魔力石一枚で跳べる。
 
 三人なら200キロ程度だと検討を付けて、スタートゲートからバルザックゲートに跳ぶ。
 シャイニーに魔力を使用しての疲れは無いか確かめたが、魔力石に魔力を流すだけなので疲れは無いとの返事。
 ひとりを魔法陣に立たせて魔法陣の外から、魔力石に魔力を注いでも魔法陣の上の者は転移出来る事を確認。
 二人に多数の魔力石を渡して跳んでもらう。
 疲れたり魔力石が無くなる前に、サランガゲートに戻る様に念を押して自由な転移を始めた。
 
 指定転移先では魔法陣に10分程度障害物を置いてもらう。
 その後を続けて転移をするが反応せず、障害物が無くなる時間を過ぎると跳べた。
 魔力石を使っても俺一人でも障害物が有れば、転移は不可能ハラムニ様の教え通りだ。
 
 夕方にはサランガゲートの家で夕食に蟹を取り出す。
 クルフが溜息と共に、ユーヤに常識は通用しないと以前オルガキが言っていたが、確かになと納得顔だ。
 シャイニーも今は亡きオルガキを思い出したのか、半笑いで頷いている。
 
 「毎日お肉も良いが、美味しい物を色々食べて鋭気を養わないと疲れるぞ。何ならエビも有るし」
 
 「エビって、あの川の澱みに居るあれの事」
 
 「いんや森の奥深く、山麓の流れに居る大きい奴ね。見てみる」
 
 「嫌、明日にして。今日は蟹で満足ですから」
 
 シャイニーは弱気だが、クルフはこれをどうやって食うのか心配している。
 確かに此処ではこの大きさの蟹はどうにもならないや、スタートゲートに跳んで表でバーベキュー紛いの焼き蟹だ。
 ルーシュに周囲の警戒を頼み、二人に周りを気にする必要が無いと伝える。
 各自足を一本を焚火で焙り、エールを呑みながらホクホクの足の身を食べる。
 一本が太くて大きいので足だけで満足、お腹いっぱいです。
 ルーシュには俺が身を取り出して皿に山盛りにして提供しておいた。
 
 シャイニーがエビや蟹の棲息地を見たいと言うので、エビ蟹ゲートに跳び午前中は山麓のせせらぎに癒される。
 クルフも水の中を覗き込んで興味津々で、これをどうやって採るのかと考えている。
 何処にでも不粋な奴は居るもので、爽やかな気分がだいなしだ。
 
 「二人とも動かないで」
 
 ピタリと動きを止め、俺の見つめる方を凝視する。
 やっぱり蜥蜴か、目の赤い蜥蜴は美味しいから良いけどね。
 俺達を餌と認識して、のそりと近づいて来ようとするが足下に穴がポカリ、四本の足が穴に落ちて戸惑う蜥蜴。
 すかさずアンヨを固定して、首の両横から土の腕が伸びて首と頭を固定、顎の下から脳天に土槍でプスリ。
 
 「相変わらず、非常識極まりない討伐方法だよな。必死で闘う俺達って何だよと、時々思うぞ」
 
 「クルフも土魔法が使えれば良かったのにね」
 
 「いやいや、土魔法以前の話しだよ」
 
 のんびり会話を楽しみながら蜥蜴を回収してお昼の準備を始める。
 ルーシュが水面に雷撃を一発、お魚とエビ蟹がプカリに又々呆れる二人でした。
 頭で出汁を取り胴体は殻のまま焚火で炙る、出汁にお塩をパラパラしたスープの美味しい事。
 それに身はプリプリで歯ごたえもバッチリ。
 
 美味しい臭いに誘われて熊さん登場、ルーシュがトコトコとお迎えして立ち塞がり、鼻面に飛び乗ると眉間に猫パンチ一発で終わり。
 食事の邪魔はさせません。
 クルフとシャイニーは黙って食事を続け、見なかった事にした様だ。
 
 食後は王都に跳んで二人の王都観光に付き合う、俺も余り知らないのでお上りさんが三人って感じだ。
 様々な実験も無事に終わり、王都とサランガの家に連絡用通信筒転移ゲートを付けた。
 玄関扉の横に小さな穴を開け通信用筒を置き、魔力を流すと受け取り側の玄関内側の受け取り皿に落ちる仕組みだ。
 連絡用の通信筒転移ゲートはスタートゲートを含めて三箇所に設置したが、サランガゲートの家は当分発信専用になりそうだ。
 二人には3cm角の通信筒専用魔力石を各20枚ずつ渡し、用事が有ればスタートゲートと王都の家に連絡をと頼んで別れた。
 
 * * * * * * * *
 
 王都のの連絡受付箱には、様々な依頼書が投函されていた。
 宝石の買い取りの商談や、薬師ギルドからは薬草の採取と買い取り依頼だ。
 食肉ギルドからも欲しいお肉の一覧と、予定買い取り価格一覧表もあった。
 問題は貴族名と商会名の記された書状だ。
 
 貴族名の封書を開けると、ゲルアトさん発行の紹介状が同封されていた。
 商人と思われる封書も同様だった。
 公爵1名,侯爵1名,伯爵2名,子爵1名だが、商人の物三通が良く判らないので、適任者に尋ねる事にした。
 
 王城の門衛に、王国騎士団団長のナンセンを呼びだしてもらう。
 やって来たナンセン団長に、ゲルアト商会が豪商に渡した俺宛の紹介状を見せて、誰が一番羽振りが良いかを尋ねる。
 「又よりにもよって、王国のトップ3が名を連ねているな。紹介者はユーヤの知人か」
 
 「護衛依頼を受けてからの付き合いで、今は宝石の原石を買い取ってもらっている宝石商だ。紹介状は、断り切れない相手にのみ発行する様にとお願いしてるんだ」
 
 「豪商が3人ってことは、貴族のも有る筈だが?」
 
 「有るよ、偉そうな順に潰して行くのでそちらは良いよ。トップ3の順番を教えて」
 
 「貴族の名前を教えてくれたら教えるぞ。どうせ碌でも無い貴族だろうけど、一応事前に知っていれば対処も楽だし」
 
 「えーっとクルンガー公爵、エメニール侯爵、フライン伯爵、ルーデンス伯爵にドルフ子爵だな」
 
 「国王の命を軽んじる奴等だ、好きにしてくれ。出来れば静かに頼む、後始末は任せろ。豪商共はヘインツ商会,オブライアン商会,ヘルミナ商会の順だ、王都警備隊に連絡しておくので、大した騒ぎには為らないだろう」
 
 「それじゃー、近い貴族の方から片付けるよ。有り難う」
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