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29 豪商達に挨拶
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警備隊責任者ヘンリに、ヘインツ商会、オブライアン商会、ヘルミナ商会の名を告げ、それぞれの前を通らない順路での案内を頼む。
貴族街から一番近い、オブライアン商会からご挨拶に伺う事になった。
店に入りオブライアンの招待状を見せると、すんなりオブライアン会長の所へ案内された。
部屋に入ると四隅に柄の悪い男が控え、俺を値踏みする様にジロジロと見てくる。
「ユーヤ様良くお出で下さいました、ささどうぞお座り下さい」
下にも置かぬ歓待の様に見せかけて品定めをしてくるが、どう扱えば手玉に取れるか考え中ってところかな。
流石は王都のトップ3に入る商人だ、馬鹿な貴族とは出来が違う。
でも残念だね、手札は俺の方が多いんだよ。
「お前、俺を呼び出したらどうなるのか解っているよな」
「ユーヤ様、突然何のお話しでしょうか?」
「ふーん。王都に店を構えていながら、王家の命を無視するとはなぁ。お前は、王命を蔑ろにしていると承知の上で、俺を呼び出したんだろ」
「口の達者な小僧だな、それがどうした。俺は王家も一目置くエメニール侯爵様の庇護を受けていて、その程度の王命など無視しても構わんのさ」
「へぇー、それで四人も冒険者崩れを侍らせて意気がっているのか。お前達四人に聞くが、先日迄プラチナランカーだった俺と遣り合って死にたいか」
四隅に居た男達が、ロングソードの柄に手を添えていたがそっと手を離す。
「エメニール侯爵の後ろ盾か、さぞかし王都では好き勝手が出来ただろうな」
「おいおい過去形になっているぞ、これからも好きに遣らせてもらう。お前の持っている宝石の原石は、これからは俺が全て買上げてやるぞ」
「オブライアンに残念なお知らせが有るのだが、聞きたいか」
「面白い小僧だな。儂にそんな口を聞いた奴は、皆命乞いをして縋り付いて来たぞ。お前もその一人になりたいのか、素直に原石を差し出せ!」
「お前達、死にたくなければ動くなよ。もう直ぐオブライアンは王都警備隊の手に落ちるからな。残念なお知らせとは、エメニール侯爵は、既に王国騎士団に捕らえられて王城に連行されているって事なんだ」
オブライアンの動きが、ピタリと止まった。
「顔色が悪いよオブライアン、健康に注意して長生きしろよ」
タイミング良く王都警備隊の一団が雪崩込んで来た。
「ヘンリ、そいつはペラペラ良く喋るから取り調べは楽だぞ。その四人も事情を良く知っている筈だから一緒に招待してね。よし、次に行こう!」
ヘインツ商会は異変を察したのか店仕舞いを始めていたが、王都警備隊が強引に店内に入り使用人達を拘束する。
商人の嗅覚や情報力は侮れ無い、この調子だとヘルミナ商会に逃げられる恐れが有る。
ヘンリに、ヘルミナ商会を封鎖して証拠隠滅を阻止しろと命じる。
サクサク遣らなきゃ逃げられるーって、ヘインツの目の前に立ち横っ面を一発張り倒す。
警備隊の者もいきなり張り倒すのでビックリしているが、ヘインツの目の前に招待状を突きつける。
「お前、これは何だ?」
「お前覚悟は出来て居るのだろうな、儂に手を掛けて無事だった奴はいないぞ。例え警備隊だろうとな」
「お前のその根拠は何だ、貴族の後ろ盾か。それともそこに居る用心棒共か」
「クルンガー公爵様とフライン伯爵様が、お前達を始末してくれる。小僧について来た、お前達も覚悟しろ」
「残念ながらお前の後ろ盾は、二人とも拘束されて王城に連行されたので誰も助けに来ないぞ。連れて行け!」
後一人ヘルミナ商会だが、完全な超過勤務だ! 残業代を寄越せ!
一人毒づくがボケも突っ込みも無し、寂しいー。
即行で片付けるぞ。
ヘルミナ商会に着くと、一人で警備隊を怒鳴り散らすハゲが居た。
そのハゲ頭に、招待状をペシペシする。
「小僧、何をする!」
「ユーヤだよ。お前に招待されたので来てやったんだ、跪いて感謝しろ! 能書きは聞きたくないので、素直に捕縛されろ」
「儂が捕縛される謂われは無いぞ! 糞が」
「理由は王命を侮り、俺に強引に接触しようとした罪だ。この紹介状は、脅された時にのみ書く事になっている。この紹介状を同封して俺を呼び出した事で、お前の罪状は明らかだ。親切で教えてやるが、お貴族様の助けなら期待するな!」
ヘルミナのオッサンアワアワしていたが、俺の言った事が頭に染み込んできたのか、顔色が青やら赤やらに変化して面白い。
「因みに聞いてやるけど、お前が貢いでいる貴族は誰だ」
「まっまさかルーデンス伯爵様が、でっでも、王都で異変が起きてるのは・・・いや、そんな事は無い筈で・・・ルーデンス様に限って」
往生際悪くぶつくさ言っているので、とどめを刺してやる。
「ルーデンス伯爵なら、今頃王城で取り調べを受けている筈だぞ。お前との繋がりも直ぐに喋るさ。気を確かに持って、達者で暮らせよ、犯罪奴隷としてな」
あららら、座りこんじゃいましたよ。人がせっかくハゲましてあげているのに。
然し、これって王国の膿を絞り出すのに、囮に使われただけの気がするぞ。
定時で終わらそうと急ぐあまり、大事な事を見逃してしまった。
オブライアン商会に引き返し地面を探索する、警備隊に手抜きが合ったのでちょっと調べるからと告げ、店内の土間に穴を開け地下に潜った。
エメニール侯爵は、スプラッターの材料を何処から仕入れていたのかは考える迄も無い。
となれば、地下に拉致された人が居ても不思議は無い。
やっぱりね、子供と女に初老の男の3人が閉じ込められて居た。
その奥にはオブライアンの隠し財産の部屋が在ったが、マジックポーチに仕舞う気にもならないので封鎖して、被害者や被害者の家族に分け与えさせよう。
地下から隠し扉を使って外に出て、警備隊の責任者に拉致された者が地下に幽閉されていると告げ、奥に有る財宝は封鎖しているので触れるなと念押ししてヘインツ商会に向かう。
ヘインツ商会もやはり地下室が在ったが、無人だったので酒は全て没収し財宝は半分頂いた。
最後のヘルミナ商会も似た様な地下室だったが
地下牢が有ったので同じ様な事をしていたのは間違いない、ヘルミナ会長が一番お宝を貯めていたが、マジックポーチに仕舞うのが面倒なので部屋ごと床を沈めてその上に天井を造る。
元のお宝部屋に新しい床が出来たが部屋は空っぽだ、お宝部屋には転移魔法陣を設置したので、後ほどゆっくり回収に来ればよい。
全て終わったと思うが、信条に反する超過勤務に疲れたので、さっさと帰って美味しい蟹でも食べよう。
貴族街から一番近い、オブライアン商会からご挨拶に伺う事になった。
店に入りオブライアンの招待状を見せると、すんなりオブライアン会長の所へ案内された。
部屋に入ると四隅に柄の悪い男が控え、俺を値踏みする様にジロジロと見てくる。
「ユーヤ様良くお出で下さいました、ささどうぞお座り下さい」
下にも置かぬ歓待の様に見せかけて品定めをしてくるが、どう扱えば手玉に取れるか考え中ってところかな。
流石は王都のトップ3に入る商人だ、馬鹿な貴族とは出来が違う。
でも残念だね、手札は俺の方が多いんだよ。
「お前、俺を呼び出したらどうなるのか解っているよな」
「ユーヤ様、突然何のお話しでしょうか?」
「ふーん。王都に店を構えていながら、王家の命を無視するとはなぁ。お前は、王命を蔑ろにしていると承知の上で、俺を呼び出したんだろ」
「口の達者な小僧だな、それがどうした。俺は王家も一目置くエメニール侯爵様の庇護を受けていて、その程度の王命など無視しても構わんのさ」
「へぇー、それで四人も冒険者崩れを侍らせて意気がっているのか。お前達四人に聞くが、先日迄プラチナランカーだった俺と遣り合って死にたいか」
四隅に居た男達が、ロングソードの柄に手を添えていたがそっと手を離す。
「エメニール侯爵の後ろ盾か、さぞかし王都では好き勝手が出来ただろうな」
「おいおい過去形になっているぞ、これからも好きに遣らせてもらう。お前の持っている宝石の原石は、これからは俺が全て買上げてやるぞ」
「オブライアンに残念なお知らせが有るのだが、聞きたいか」
「面白い小僧だな。儂にそんな口を聞いた奴は、皆命乞いをして縋り付いて来たぞ。お前もその一人になりたいのか、素直に原石を差し出せ!」
「お前達、死にたくなければ動くなよ。もう直ぐオブライアンは王都警備隊の手に落ちるからな。残念なお知らせとは、エメニール侯爵は、既に王国騎士団に捕らえられて王城に連行されているって事なんだ」
オブライアンの動きが、ピタリと止まった。
「顔色が悪いよオブライアン、健康に注意して長生きしろよ」
タイミング良く王都警備隊の一団が雪崩込んで来た。
「ヘンリ、そいつはペラペラ良く喋るから取り調べは楽だぞ。その四人も事情を良く知っている筈だから一緒に招待してね。よし、次に行こう!」
ヘインツ商会は異変を察したのか店仕舞いを始めていたが、王都警備隊が強引に店内に入り使用人達を拘束する。
商人の嗅覚や情報力は侮れ無い、この調子だとヘルミナ商会に逃げられる恐れが有る。
ヘンリに、ヘルミナ商会を封鎖して証拠隠滅を阻止しろと命じる。
サクサク遣らなきゃ逃げられるーって、ヘインツの目の前に立ち横っ面を一発張り倒す。
警備隊の者もいきなり張り倒すのでビックリしているが、ヘインツの目の前に招待状を突きつける。
「お前、これは何だ?」
「お前覚悟は出来て居るのだろうな、儂に手を掛けて無事だった奴はいないぞ。例え警備隊だろうとな」
「お前のその根拠は何だ、貴族の後ろ盾か。それともそこに居る用心棒共か」
「クルンガー公爵様とフライン伯爵様が、お前達を始末してくれる。小僧について来た、お前達も覚悟しろ」
「残念ながらお前の後ろ盾は、二人とも拘束されて王城に連行されたので誰も助けに来ないぞ。連れて行け!」
後一人ヘルミナ商会だが、完全な超過勤務だ! 残業代を寄越せ!
一人毒づくがボケも突っ込みも無し、寂しいー。
即行で片付けるぞ。
ヘルミナ商会に着くと、一人で警備隊を怒鳴り散らすハゲが居た。
そのハゲ頭に、招待状をペシペシする。
「小僧、何をする!」
「ユーヤだよ。お前に招待されたので来てやったんだ、跪いて感謝しろ! 能書きは聞きたくないので、素直に捕縛されろ」
「儂が捕縛される謂われは無いぞ! 糞が」
「理由は王命を侮り、俺に強引に接触しようとした罪だ。この紹介状は、脅された時にのみ書く事になっている。この紹介状を同封して俺を呼び出した事で、お前の罪状は明らかだ。親切で教えてやるが、お貴族様の助けなら期待するな!」
ヘルミナのオッサンアワアワしていたが、俺の言った事が頭に染み込んできたのか、顔色が青やら赤やらに変化して面白い。
「因みに聞いてやるけど、お前が貢いでいる貴族は誰だ」
「まっまさかルーデンス伯爵様が、でっでも、王都で異変が起きてるのは・・・いや、そんな事は無い筈で・・・ルーデンス様に限って」
往生際悪くぶつくさ言っているので、とどめを刺してやる。
「ルーデンス伯爵なら、今頃王城で取り調べを受けている筈だぞ。お前との繋がりも直ぐに喋るさ。気を確かに持って、達者で暮らせよ、犯罪奴隷としてな」
あららら、座りこんじゃいましたよ。人がせっかくハゲましてあげているのに。
然し、これって王国の膿を絞り出すのに、囮に使われただけの気がするぞ。
定時で終わらそうと急ぐあまり、大事な事を見逃してしまった。
オブライアン商会に引き返し地面を探索する、警備隊に手抜きが合ったのでちょっと調べるからと告げ、店内の土間に穴を開け地下に潜った。
エメニール侯爵は、スプラッターの材料を何処から仕入れていたのかは考える迄も無い。
となれば、地下に拉致された人が居ても不思議は無い。
やっぱりね、子供と女に初老の男の3人が閉じ込められて居た。
その奥にはオブライアンの隠し財産の部屋が在ったが、マジックポーチに仕舞う気にもならないので封鎖して、被害者や被害者の家族に分け与えさせよう。
地下から隠し扉を使って外に出て、警備隊の責任者に拉致された者が地下に幽閉されていると告げ、奥に有る財宝は封鎖しているので触れるなと念押ししてヘインツ商会に向かう。
ヘインツ商会もやはり地下室が在ったが、無人だったので酒は全て没収し財宝は半分頂いた。
最後のヘルミナ商会も似た様な地下室だったが
地下牢が有ったので同じ様な事をしていたのは間違いない、ヘルミナ会長が一番お宝を貯めていたが、マジックポーチに仕舞うのが面倒なので部屋ごと床を沈めてその上に天井を造る。
元のお宝部屋に新しい床が出来たが部屋は空っぽだ、お宝部屋には転移魔法陣を設置したので、後ほどゆっくり回収に来ればよい。
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