172 / 504
お願いしたら何とかなる
しおりを挟む
「何かいるって……誰もいないわよ?」
灯で照らしても、奥には誰一人としていないようにしか見えない。
それは、レオ君も同じに感じているようで、首を傾げている。
「あ!ユーリ、ちょっと待って!」
少しずつ前に進んでいくユーリ。
私とレオ君もそれを後ろから見守る。
きっと、私たちには分からない何かがあるのだろう。
根拠はないが、ユーリが言っているのだから多分そうだ。
そして、ユーリが一番奥まで到着する。
私たちは、洞窟の真ん中辺りに立って、その様子を見る。
ユーリはなにやら、壁をいじくっている。
上から、下へ……何かを探すように。
「あった!」
それを見つけたユーリは、そこに向かって魔力を流し始める。
そして、その魔力は壁に流れ始めたと思ったら、一気に光だした。
「!」
壁に様々な紋様が浮かび上がる。
それらが青く発光していて、浮かび上がった文字を際立たせる。
「これ、何語?」
私にはその文字が読めなかった。
至る所に広がって、つながっている文字。
しかし、それは私の知らない文字だった。
「これは、古代文字だよ」
「古代?」
ユーリが教えてくれる。
古代文字というのが何かはわからないが、私が気にする必要はない。
なぜなら、ユーリという私よりも長生きしている友達がいるのだ。
私が知らなくても、ユーリが知っている。
協力していくだけなのだ。
「ここに……あと一つか」
何かを探りあて、
「ご主人様!こっちに来て!」
「え、私?」
よくわからないが、私もその壁に近づく。
近づくにつれ、眩しく輝きが強くなっているように感じた。
「そっちの反対側……そう、そこに魔力を流して」
「ここ?」
よく見ると、ユーリが魔力を流したところは、壁の左側、そこに小さな円ができていた。
(反対側も同じようにやれってことね)
そう思った私は魔力を流し始める。
すると、再び、壁が発光したかと思うと、私の手の周りに文字が浮かび始めた。
それは、壁全体にまで行き渡り、やがて、
「開いたよ」
「え?これ、開くの!?」
壁が真ん中から割れ、扉のように開いた。
「ユーリ、この先に何かあるの?」
「僕の感覚が間違ってなければだけど」
先に進んでいくユーリを私たちも追いかける。
そしての、その中に入った瞬間、
「なにここ?」
「綺麗だね」
同じ森の姿があった。
しかし、それはただの木々ではなかった。
「これは、精霊樹だよ」
「精霊樹?」
「精霊から加護を受けた木……もしくは……」
そして、言葉の続きを聞く前にそれは現れた。
「珍しいお客さんね」
光っている木々の明かりを吸収して、それが現れた。
光の粒が人の形を型取り、やがてそれは、
「精霊?」
「ええ、人は私たちをそう呼ぶわ」
精霊の形を取った、それは緑色の髪をしていて、服装もどこか神聖だ。
「やあ、君は新顔かな?」
「ちょっと、ユーリ!」
いきなりのユーリのセリフに驚いていると、
「うふふ、これはこれは魔王様。お元気そうですね」
精霊が優しく微笑む。
「え、知り合いなの?」
「魔王様と私に、直接的な関わりはございません。しかし、こちらの魔王様は、長年我々と友好的な関係を築かれてきた方なんです」
「ほへー……」
感心しつつも、このユーリが?という思考がどうしても回ってきてしまう。
「それで、魔王様。こちらの方々は?」
私たち二人の方を見てくる精霊。
その表情は興味本位に満ちていた。
「うん、こっちはレオっていうんだ。僕の友達だよ!」
「……………」
改めて、目の前で『友達』と言われると、恥ずかしいようでレオ君は黙りこくっている。
「そしてこっちは、ベアトリスって言って、僕のご主人様なんだ!」
「ご主人……?」
初めて精霊の顔に疑問符が浮かんだ。
だが、
「ふむ、そうですか」
それだけいって、にこやかな表情に戻った。
「お三方はなにしにこちらへ?」
「この先には入れないの?」
どうやら、この空間にはまだまだ先があるらしい。
「すみません、長老会の方々が、拒否されてしまい、新米の私がここに出向かせてもらったのです」
「そう……ならいいや!それで、聞きたいことがあるんだけど……」
ユーリが私と顔を合わせる。
それを見て、私はうなずく。
「僕たちの仲間とか、家族がみんなバラバラに散っちゃったんだ」
「ふむ」
「それで、どうにか居場所を教えてもらえないかな?」
私は精霊について無知だが、できるかもしれない。
精霊は伝説の生き物だしね。
誰かの英雄譚に、力を授けたり、魔を滅ぼしたりしていたのを覚えている。
「お願いします!」
「……構いませんよ」
「ほんと!?」
思わず私が叫んでしまった。
「ただ……条件があります」
「条件?」
そして、精霊が難しい顔をする。
「最近、エルフの森近辺に発生する魔物の数が急増しています」
「エルフの森……」
さっきのエルフたちか。
私たち的にはあんまり好印象じゃないけど……。
「その原因を突き止めて、魔物の急増を食い止めて欲しいのです」
「なるほど……」
交換条件……だが、その内容は悪いものじゃない。
私はもう決めていた。
「わかりました」
「そういうだろうと思ったよ……」
「やっぱりご主人様だね!」
一方は呆れたように、もう一方は元気一杯に私と同じく同意の意思を見せた。
「では、それを突き止めてください。そしたら、あなたたちの欲しい情報を与えてあげましょう」
「あ、ちょっと待ってください!」
「……はい?」
私は今にも消えそうな精霊を引き留めて、もう一つの小さなお願いをする。
「ここで寝てもいいですか?」
と……。
灯で照らしても、奥には誰一人としていないようにしか見えない。
それは、レオ君も同じに感じているようで、首を傾げている。
「あ!ユーリ、ちょっと待って!」
少しずつ前に進んでいくユーリ。
私とレオ君もそれを後ろから見守る。
きっと、私たちには分からない何かがあるのだろう。
根拠はないが、ユーリが言っているのだから多分そうだ。
そして、ユーリが一番奥まで到着する。
私たちは、洞窟の真ん中辺りに立って、その様子を見る。
ユーリはなにやら、壁をいじくっている。
上から、下へ……何かを探すように。
「あった!」
それを見つけたユーリは、そこに向かって魔力を流し始める。
そして、その魔力は壁に流れ始めたと思ったら、一気に光だした。
「!」
壁に様々な紋様が浮かび上がる。
それらが青く発光していて、浮かび上がった文字を際立たせる。
「これ、何語?」
私にはその文字が読めなかった。
至る所に広がって、つながっている文字。
しかし、それは私の知らない文字だった。
「これは、古代文字だよ」
「古代?」
ユーリが教えてくれる。
古代文字というのが何かはわからないが、私が気にする必要はない。
なぜなら、ユーリという私よりも長生きしている友達がいるのだ。
私が知らなくても、ユーリが知っている。
協力していくだけなのだ。
「ここに……あと一つか」
何かを探りあて、
「ご主人様!こっちに来て!」
「え、私?」
よくわからないが、私もその壁に近づく。
近づくにつれ、眩しく輝きが強くなっているように感じた。
「そっちの反対側……そう、そこに魔力を流して」
「ここ?」
よく見ると、ユーリが魔力を流したところは、壁の左側、そこに小さな円ができていた。
(反対側も同じようにやれってことね)
そう思った私は魔力を流し始める。
すると、再び、壁が発光したかと思うと、私の手の周りに文字が浮かび始めた。
それは、壁全体にまで行き渡り、やがて、
「開いたよ」
「え?これ、開くの!?」
壁が真ん中から割れ、扉のように開いた。
「ユーリ、この先に何かあるの?」
「僕の感覚が間違ってなければだけど」
先に進んでいくユーリを私たちも追いかける。
そしての、その中に入った瞬間、
「なにここ?」
「綺麗だね」
同じ森の姿があった。
しかし、それはただの木々ではなかった。
「これは、精霊樹だよ」
「精霊樹?」
「精霊から加護を受けた木……もしくは……」
そして、言葉の続きを聞く前にそれは現れた。
「珍しいお客さんね」
光っている木々の明かりを吸収して、それが現れた。
光の粒が人の形を型取り、やがてそれは、
「精霊?」
「ええ、人は私たちをそう呼ぶわ」
精霊の形を取った、それは緑色の髪をしていて、服装もどこか神聖だ。
「やあ、君は新顔かな?」
「ちょっと、ユーリ!」
いきなりのユーリのセリフに驚いていると、
「うふふ、これはこれは魔王様。お元気そうですね」
精霊が優しく微笑む。
「え、知り合いなの?」
「魔王様と私に、直接的な関わりはございません。しかし、こちらの魔王様は、長年我々と友好的な関係を築かれてきた方なんです」
「ほへー……」
感心しつつも、このユーリが?という思考がどうしても回ってきてしまう。
「それで、魔王様。こちらの方々は?」
私たち二人の方を見てくる精霊。
その表情は興味本位に満ちていた。
「うん、こっちはレオっていうんだ。僕の友達だよ!」
「……………」
改めて、目の前で『友達』と言われると、恥ずかしいようでレオ君は黙りこくっている。
「そしてこっちは、ベアトリスって言って、僕のご主人様なんだ!」
「ご主人……?」
初めて精霊の顔に疑問符が浮かんだ。
だが、
「ふむ、そうですか」
それだけいって、にこやかな表情に戻った。
「お三方はなにしにこちらへ?」
「この先には入れないの?」
どうやら、この空間にはまだまだ先があるらしい。
「すみません、長老会の方々が、拒否されてしまい、新米の私がここに出向かせてもらったのです」
「そう……ならいいや!それで、聞きたいことがあるんだけど……」
ユーリが私と顔を合わせる。
それを見て、私はうなずく。
「僕たちの仲間とか、家族がみんなバラバラに散っちゃったんだ」
「ふむ」
「それで、どうにか居場所を教えてもらえないかな?」
私は精霊について無知だが、できるかもしれない。
精霊は伝説の生き物だしね。
誰かの英雄譚に、力を授けたり、魔を滅ぼしたりしていたのを覚えている。
「お願いします!」
「……構いませんよ」
「ほんと!?」
思わず私が叫んでしまった。
「ただ……条件があります」
「条件?」
そして、精霊が難しい顔をする。
「最近、エルフの森近辺に発生する魔物の数が急増しています」
「エルフの森……」
さっきのエルフたちか。
私たち的にはあんまり好印象じゃないけど……。
「その原因を突き止めて、魔物の急増を食い止めて欲しいのです」
「なるほど……」
交換条件……だが、その内容は悪いものじゃない。
私はもう決めていた。
「わかりました」
「そういうだろうと思ったよ……」
「やっぱりご主人様だね!」
一方は呆れたように、もう一方は元気一杯に私と同じく同意の意思を見せた。
「では、それを突き止めてください。そしたら、あなたたちの欲しい情報を与えてあげましょう」
「あ、ちょっと待ってください!」
「……はい?」
私は今にも消えそうな精霊を引き留めて、もう一つの小さなお願いをする。
「ここで寝てもいいですか?」
と……。
0
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる