270 / 504
お風呂回
しおりを挟む
「ちょっとユーリ!?何やってんの!?」
「え……?いやぁ、別になにもぉ?」
白々しいにもほどがある。明らかに目があちこち泳ぎまくっていて、嘘であることがまるわかりである。
「で、本当は何してたの?」
「う……そ、そんなの『男の醍醐味』に決まってるでしょ!」
何を偉そうに開き直っているのやら……。
そんなことを思っていたら、
「おい、キツネ!こっちに戻ってきやがれ!」
と、ヤンキーの声がした。男湯のほうにヤンキーはいるらしく、どうやら元気なようで、私が心配する必要はどこにもなかったようだ。
「醍醐味って、のぞき見のこと?」
「そ、そんなにはっきり言わないでほしいよご主人様……」
「そのご主人様たちのお風呂を覗いたんだから、最後までバツは受けてもらうわよ?」
全く、何が楽しくてのぞき見などしたのだろうか?
「罰って……?」
不安そうな目でこちらを見つめるユーリ。見た目はほぼ人間の女の子、そして腰にはしっかりと布が巻かれているため、はたから見ればただの小さな女の子である。
だが、私はユーリが男で『魔王』であることを知っているため、それなりの罰を受けても平気であることを知っていた。
だがしかし――
「ベアトリス先生!ユーリ先生にむごい罰はしないで上げてください!」
「え?」
ナナからの反論。
周りの事情を知らない人から見れば、一回り小さい子をただ私がいじめているだけにようにも見えるらしい。
「よくわからないけど、ユーリちゃん?は、女の子じゃないの?」
「私もそれ思いました、きれいな髪ですね!」
何ということか、ユーリと面識のなかったレイとオリビアも反対してきたではないか。
これじゃあ、罰しようとしている私が悪者じゃん!
「わかったわよ、罰はしないわ」
「よっしゃー!」
なんとも現金なものだ。
「でも、珍しいわね。ユーリが滑るだなんて」
ここには、男湯と女湯を分ける大きな木造の壁がある。もちろん、声は丸聞こえだが、姿を見ようにも壁が高すぎて見えない。
そんな代物なわけだが、そんなのユーリには関係なかった。跳躍力によって飛び越えたようだが、滑ったらしく落ちてくるのはかなり珍しいことなのだ。
「うーん、レオに追いかけられてたの!」
ユーリが語るには、ヤンキーとユーリがレオ君の水にぬれた姿を見て、「体ほっそw」とバカにしたことがすべての始まりだったそうな。
「違う!僕はそんなことしていない!」
弁明しようと声を張り上げるレオ君。
レオ君が水にぬれた姿?
猫が水を全身に浴びたみたいに細くなるということか?
「ふふ……」
こらえきれずに笑いが漏れそうになるが、我慢だ。
「レオ君体細いのー?ちゃんと食べてるー?」
空気を読めないレイはそう問いかける。
「食べてるよ!」
食べてる(栄養は全く取れないといっても過言ではない食事を)らしい。
「そもそも、ユーリがお風呂に行こうって言いだしたのが原因だよ!」
「ほう?」
私がお風呂に向かって今まで男湯に入るユーリたちの姿を目撃していない。そして、私がお風呂に行くため部屋に出て行った後、ユーリたちは部屋を出たことになる。
つまり、ユーリが一緒にタイミングになるように計った……というのが、どうやら本当のことらしい。
「でも、それ止めなかったんだから、レオ君も同罪だよね」
「ええ!?」
からかっただけなのだが、レオ君は真に受けやすいタイプなので、これがまたいじりがいがあるのだ。
「あと、ついでにヤンキーも」
「なんで俺もなんだよ!」
「んー?なんとなく?」
「まじで最低すぎるだろガキが!なあ、レオ先生?」
ヤンキーもどうやら真に受けやすい――
って、
「今なんていった?」
「あ?だからマジで最低――」
「そこじゃない!私の耳がおかしくなければ『レオ先生』って呼ばなかった?」
「ああ、呼んだぞ」
なんで!?どうして!?
「私も先生なんだけど!?」
「お前は尊敬できるところが怪力バカなところしかない!その点、レオ先生はめちゃくちゃ優しいし、紳士的なんだ!」
「はあ!?」
なんでレオだけ先生扱いされてるの!
私より少し身長が高いだけでしょ!
「レオ君はやっぱ重罪だよ!」
「なんでぇ!?」
レオ君には後日、私の仕事を押し付ける刑に処すとしよう。
そんなこんなで楽しく温泉を満喫していたら、
「ずるいじゃないか、生徒と先生だけで温泉などと!」
そう言って、乱入してくるのはこの学校の最高責任者であった。
「理事長!?」
「温泉が騒がしかったので、私も混ぜさせてもらうぞ!」
普段のキャラと仕事をしている時のキャラ、私と会話をしている時のキャラが違いすぎて、私には誰が本当の理事長なのかわからなくなってきた今日この頃。
「お?ユーリ君、もいるのか?」
「君?」
その言葉に反応を示したのは、ナナだけであった。
「あのぅ、ベアトリス先生?ユーリ先生って……」
「男の子だよ」
「えええええ!?ベアトリス先生より女の子してる!」
「ぐっ……」
その一言が私の心をえぐってくる。
「え、じゃあ覗きじゃないですか!」
「だからさっきそう言ったじゃん……」
意外な事実を知るナナ、その一言に心を抉られる私なのであった。
(はあ、ここにミサリーとフォーマがいればな……)
今頃二人、特にフォーマは何をしているのだろうか?
「え……?いやぁ、別になにもぉ?」
白々しいにもほどがある。明らかに目があちこち泳ぎまくっていて、嘘であることがまるわかりである。
「で、本当は何してたの?」
「う……そ、そんなの『男の醍醐味』に決まってるでしょ!」
何を偉そうに開き直っているのやら……。
そんなことを思っていたら、
「おい、キツネ!こっちに戻ってきやがれ!」
と、ヤンキーの声がした。男湯のほうにヤンキーはいるらしく、どうやら元気なようで、私が心配する必要はどこにもなかったようだ。
「醍醐味って、のぞき見のこと?」
「そ、そんなにはっきり言わないでほしいよご主人様……」
「そのご主人様たちのお風呂を覗いたんだから、最後までバツは受けてもらうわよ?」
全く、何が楽しくてのぞき見などしたのだろうか?
「罰って……?」
不安そうな目でこちらを見つめるユーリ。見た目はほぼ人間の女の子、そして腰にはしっかりと布が巻かれているため、はたから見ればただの小さな女の子である。
だが、私はユーリが男で『魔王』であることを知っているため、それなりの罰を受けても平気であることを知っていた。
だがしかし――
「ベアトリス先生!ユーリ先生にむごい罰はしないで上げてください!」
「え?」
ナナからの反論。
周りの事情を知らない人から見れば、一回り小さい子をただ私がいじめているだけにようにも見えるらしい。
「よくわからないけど、ユーリちゃん?は、女の子じゃないの?」
「私もそれ思いました、きれいな髪ですね!」
何ということか、ユーリと面識のなかったレイとオリビアも反対してきたではないか。
これじゃあ、罰しようとしている私が悪者じゃん!
「わかったわよ、罰はしないわ」
「よっしゃー!」
なんとも現金なものだ。
「でも、珍しいわね。ユーリが滑るだなんて」
ここには、男湯と女湯を分ける大きな木造の壁がある。もちろん、声は丸聞こえだが、姿を見ようにも壁が高すぎて見えない。
そんな代物なわけだが、そんなのユーリには関係なかった。跳躍力によって飛び越えたようだが、滑ったらしく落ちてくるのはかなり珍しいことなのだ。
「うーん、レオに追いかけられてたの!」
ユーリが語るには、ヤンキーとユーリがレオ君の水にぬれた姿を見て、「体ほっそw」とバカにしたことがすべての始まりだったそうな。
「違う!僕はそんなことしていない!」
弁明しようと声を張り上げるレオ君。
レオ君が水にぬれた姿?
猫が水を全身に浴びたみたいに細くなるということか?
「ふふ……」
こらえきれずに笑いが漏れそうになるが、我慢だ。
「レオ君体細いのー?ちゃんと食べてるー?」
空気を読めないレイはそう問いかける。
「食べてるよ!」
食べてる(栄養は全く取れないといっても過言ではない食事を)らしい。
「そもそも、ユーリがお風呂に行こうって言いだしたのが原因だよ!」
「ほう?」
私がお風呂に向かって今まで男湯に入るユーリたちの姿を目撃していない。そして、私がお風呂に行くため部屋に出て行った後、ユーリたちは部屋を出たことになる。
つまり、ユーリが一緒にタイミングになるように計った……というのが、どうやら本当のことらしい。
「でも、それ止めなかったんだから、レオ君も同罪だよね」
「ええ!?」
からかっただけなのだが、レオ君は真に受けやすいタイプなので、これがまたいじりがいがあるのだ。
「あと、ついでにヤンキーも」
「なんで俺もなんだよ!」
「んー?なんとなく?」
「まじで最低すぎるだろガキが!なあ、レオ先生?」
ヤンキーもどうやら真に受けやすい――
って、
「今なんていった?」
「あ?だからマジで最低――」
「そこじゃない!私の耳がおかしくなければ『レオ先生』って呼ばなかった?」
「ああ、呼んだぞ」
なんで!?どうして!?
「私も先生なんだけど!?」
「お前は尊敬できるところが怪力バカなところしかない!その点、レオ先生はめちゃくちゃ優しいし、紳士的なんだ!」
「はあ!?」
なんでレオだけ先生扱いされてるの!
私より少し身長が高いだけでしょ!
「レオ君はやっぱ重罪だよ!」
「なんでぇ!?」
レオ君には後日、私の仕事を押し付ける刑に処すとしよう。
そんなこんなで楽しく温泉を満喫していたら、
「ずるいじゃないか、生徒と先生だけで温泉などと!」
そう言って、乱入してくるのはこの学校の最高責任者であった。
「理事長!?」
「温泉が騒がしかったので、私も混ぜさせてもらうぞ!」
普段のキャラと仕事をしている時のキャラ、私と会話をしている時のキャラが違いすぎて、私には誰が本当の理事長なのかわからなくなってきた今日この頃。
「お?ユーリ君、もいるのか?」
「君?」
その言葉に反応を示したのは、ナナだけであった。
「あのぅ、ベアトリス先生?ユーリ先生って……」
「男の子だよ」
「えええええ!?ベアトリス先生より女の子してる!」
「ぐっ……」
その一言が私の心をえぐってくる。
「え、じゃあ覗きじゃないですか!」
「だからさっきそう言ったじゃん……」
意外な事実を知るナナ、その一言に心を抉られる私なのであった。
(はあ、ここにミサリーとフォーマがいればな……)
今頃二人、特にフォーマは何をしているのだろうか?
0
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる