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実は金持ち
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ここ最近は謎の体験をすることが多かった。『異常現象』に巻き込まれたり、帝城の頂上から飛び降りてみたり。普通に考えたらありえないようなことをしている自覚はあるけど、ね。
アルフレッドと一緒に帝城から飛び降りた日から数えて一週間ほど。特にこれといった変化もなく、過ごしていた。
アルフレッドは風を肌で感じることで、風の魔術の感覚を掴んだようだ。今では風の魔術の安定化を練習している最中である。アルフレッドは決して才能がないわけではなかった。魔力量に至っては平均よりもだいぶ高い。ただ、魔術を使えるようなきっかけがなかったのだ。
正直レインのサポートがなくてもいずれは使えるようになっていただろう。それが何年後になるのかはさておいて。
そして、今日は再び訪れた休日である。外出届を出し、今度は誰とも待ち合わせることなく、用事のあった建物に向かうことにした。
今日はグラシアが取り調べから解放される日だったのだ。
『悪魔』たるグラシアの出自や能力、その他の『異常現象』についての情報などを調べていたはずだ。レインが今現在持っている情報と大きな差はないようなもののはずだ、グラシアが話したのは。
『悪魔』の中にはいい奴もいるのだということを常総鵜の人たちが学んでくれたら最高なのだが……おそらくそれはないだろう。『異常現象』に怯えてしまっている上の人間たちは過剰に『異常現象』を排除しようとする。だから、レインたちのような特殊な部隊の創設もすんなり認めたのだ。
ただ、現場の言葉はあまり聞かないようだ。それはプライドによるものなのか、そう確信があるのか。少なくともレインは現場の人間として『悪魔』の中にある意思というものは伝えた。
凶暴なやつはおそらく、総じて賢い。凶暴性の強い『悪魔』たちがこうも世の中に出没していないことを考えればわかることだ。それは、隠れひそみ、最もいいタイミングを伺っているのだろう。
もしそれが現実として現れれば、かなりの危機に陥るはずだ。
「さて、どうするのか……」
そんなことを考えながら魔術界支部の建物の入り口までやってきた。すでに、そこには人影が立っていて、そのうちの一つはとても小さな背丈をしたものだった。
「グラシア!」
「あ!」
よかった、どうやらグラシアはまだ元気が残っているようだ。横に立っている人の顔を見れば、それは見たことのある顔であった。
「ヴァージさん!」
「お久しぶりだね、少年。元気かな?」
「はい、一応」
「一応ってなんだよぉ~。元気ならはい!って返事しなきゃ」
「は、はあ……」
ヴァージはいつもより多少明るめなテンションでそうレインに話しかけてきた。初めて共にした『異常現象』の事件で片目を失ったヴァージは、今でもその目に眼帯をつけていた。
「このお姉さん、優しくしてくれたなの」
「そっか、それはよかったね」
「ちょっとちょっとレイン君。今度は一体何をやらかしたんだい?」
「やらかしたってなんですか?それに、ヴァージさんは内容知っているはずです」
「ははっ」
久しぶりに会ったグラシアやヴァージ。ヴァージはグラシアの監視兼護衛といったところだろうか。
「じゃあ、帰ろうか」
「わかったの」
「お?同棲か?」
「違いますよ、そもそも僕寮住みなのでグラシアは住ませてあげられません」
「そうだったね」
「私、レインと一緒に暮らしたいの」
「え?」
レインの袖を引っ張るグラシアはそんなことを突然に言い出す。レインは困惑した。
「だから、住ませてあげられないっていったじゃん」
「じゃあさ、レイン君。家、買ったら?」
「家?そんなの買うお金ないですよ」
「あるはずだよ。毎月毎月、部隊長分の手当金をもらってるはずだし、そのほかにも臨時収入で大量にもらっているだろう?それに、部隊長としての給料だけでも数ヶ月貯めれば一等地に家を建てられるよ」
「え……」
レインはそんなのもらった記憶がなかった。毎回毎回、少なく宿代を払ってはお金は空っぽ。金欠状態で暮らしていた。
そもそも、レインは給料がどうやって渡されるのかを知らなかった。それは手渡しじゃないのか?
「そんなのもらってましたっけ?」
「え?」
「え?」
沈黙が流れる。
「ま、まさか一回も給料に手をつけてないのか?」
「ええ?どこで給料はもらえるんですか?」
「……………そうだった、君はまだ九歳だったね。知らなくても当然のことか……いや、むしろ知らない方が普通か」
なんだか馬鹿にされたような気もしなくはないが、気にせずにいよう。
「給料は個人窓口に保管されているよ。魔術界支部の受付に話しかければ残高確認から引き落としまでなんでもしてくれる。ちなみに、今まで全くお金に手をつけてなかったんだよね?」
「え、はい。途中から寮で暮らしてたし、メイドの給料は『師匠』が大量に払ってくれてましたし」
「ってことは、あれだ。レイン君は今とても大金持ちだよ」
「そうなんですか?」
「うーん、私の適当暗算によると……そうだね、帝都の一等地にどの家よりもでかいものが建てれちゃうくらいには金持ちなはずだ」
アルフレッドと一緒に帝城から飛び降りた日から数えて一週間ほど。特にこれといった変化もなく、過ごしていた。
アルフレッドは風を肌で感じることで、風の魔術の感覚を掴んだようだ。今では風の魔術の安定化を練習している最中である。アルフレッドは決して才能がないわけではなかった。魔力量に至っては平均よりもだいぶ高い。ただ、魔術を使えるようなきっかけがなかったのだ。
正直レインのサポートがなくてもいずれは使えるようになっていただろう。それが何年後になるのかはさておいて。
そして、今日は再び訪れた休日である。外出届を出し、今度は誰とも待ち合わせることなく、用事のあった建物に向かうことにした。
今日はグラシアが取り調べから解放される日だったのだ。
『悪魔』たるグラシアの出自や能力、その他の『異常現象』についての情報などを調べていたはずだ。レインが今現在持っている情報と大きな差はないようなもののはずだ、グラシアが話したのは。
『悪魔』の中にはいい奴もいるのだということを常総鵜の人たちが学んでくれたら最高なのだが……おそらくそれはないだろう。『異常現象』に怯えてしまっている上の人間たちは過剰に『異常現象』を排除しようとする。だから、レインたちのような特殊な部隊の創設もすんなり認めたのだ。
ただ、現場の言葉はあまり聞かないようだ。それはプライドによるものなのか、そう確信があるのか。少なくともレインは現場の人間として『悪魔』の中にある意思というものは伝えた。
凶暴なやつはおそらく、総じて賢い。凶暴性の強い『悪魔』たちがこうも世の中に出没していないことを考えればわかることだ。それは、隠れひそみ、最もいいタイミングを伺っているのだろう。
もしそれが現実として現れれば、かなりの危機に陥るはずだ。
「さて、どうするのか……」
そんなことを考えながら魔術界支部の建物の入り口までやってきた。すでに、そこには人影が立っていて、そのうちの一つはとても小さな背丈をしたものだった。
「グラシア!」
「あ!」
よかった、どうやらグラシアはまだ元気が残っているようだ。横に立っている人の顔を見れば、それは見たことのある顔であった。
「ヴァージさん!」
「お久しぶりだね、少年。元気かな?」
「はい、一応」
「一応ってなんだよぉ~。元気ならはい!って返事しなきゃ」
「は、はあ……」
ヴァージはいつもより多少明るめなテンションでそうレインに話しかけてきた。初めて共にした『異常現象』の事件で片目を失ったヴァージは、今でもその目に眼帯をつけていた。
「このお姉さん、優しくしてくれたなの」
「そっか、それはよかったね」
「ちょっとちょっとレイン君。今度は一体何をやらかしたんだい?」
「やらかしたってなんですか?それに、ヴァージさんは内容知っているはずです」
「ははっ」
久しぶりに会ったグラシアやヴァージ。ヴァージはグラシアの監視兼護衛といったところだろうか。
「じゃあ、帰ろうか」
「わかったの」
「お?同棲か?」
「違いますよ、そもそも僕寮住みなのでグラシアは住ませてあげられません」
「そうだったね」
「私、レインと一緒に暮らしたいの」
「え?」
レインの袖を引っ張るグラシアはそんなことを突然に言い出す。レインは困惑した。
「だから、住ませてあげられないっていったじゃん」
「じゃあさ、レイン君。家、買ったら?」
「家?そんなの買うお金ないですよ」
「あるはずだよ。毎月毎月、部隊長分の手当金をもらってるはずだし、そのほかにも臨時収入で大量にもらっているだろう?それに、部隊長としての給料だけでも数ヶ月貯めれば一等地に家を建てられるよ」
「え……」
レインはそんなのもらった記憶がなかった。毎回毎回、少なく宿代を払ってはお金は空っぽ。金欠状態で暮らしていた。
そもそも、レインは給料がどうやって渡されるのかを知らなかった。それは手渡しじゃないのか?
「そんなのもらってましたっけ?」
「え?」
「え?」
沈黙が流れる。
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