私のことを嫌っている婚約者に別れを告げたら、何だか様子がおかしいのですが

雪丸

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1.我慢の限界です!

3話

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 クロード様がそんな態度を取るのは私にだけで、他の方にはむしろとても感じが良かった。

 侯爵家の生まれで、大変美しく優秀なのに気取らないクロード様は、みんなから好かれている。

 私はクロード様がたくさんの人たちに囲まれて微笑むのを見る度、いつもいいようのない疎外感に襲われた。


 でも、それは当たり前のことなのかもしれない。

 銀色の髪に紫の瞳の、人々の視線を一身に集めるようなクロード様に対して、私は薄茶色の髪に濃い青の目の、どこにでもいる容姿。

 成績だってクロード様と比べたらぱっとしないし、注目を集めるような特技もない。

 子供の頃はわからなくても、成長するにつれてクロード様は私が自分には釣り合わない存在だと気づいていったのかもしれない。

 そう考えた途端、ずしりと胸が重くなった。


 それでも幼い日の彼との思い出が忘れられず、ずっと諦めきれずにいたのだ。


 ずっとこのまま振り向いてくれないクロード様を追い続けるのだと思っていた。どんなに冷たくされたって、私からクロード様から離れることはないと。

 けれど、今ふいに、彼から離れたいという思いが胸をかすめた。

 嫌いになったわけではない。今だって、ミアと微笑む彼を見ていると胸が痛む。

 けれど、今までと違うのは、もう彼を追いかけるのはやめてもいいんじゃないかと思えること。


 ミアは、私たちと同じ学園に通う男爵家の令嬢だ。

 私たちより一つ下の学年なのでクラスは違うけれど、いつからか彼女はクロード様と一緒にいることが多くなった。

 別にやましい関係じゃない。人目に隠れるわけでもなく、会ったら仲良く話すだけ。

 先輩後輩同士の距離感と言われてしまえばそれまでだ。
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