私のことを嫌っている婚約者に別れを告げたら、何だか様子がおかしいのですが

雪丸

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14.嫉妬 ミア視点

6話

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 うまくいかない苛立ちに歯ぎしりしながら、一人の部屋でジャケットを握りしめる。

 それは昼間雨が降る中で馬車が壊れたとき、私が風邪を引かないようにとクロード様が貸してくれたジャケットだった。

 私に全く関心がないくせに、無駄に紳士的なのが癪に障る。

 しかし、ジャケットを見つめているうちに、これは何かに利用できるんじゃないかという考えが浮かんできた。

 私がクロード様といる様子を悲しげな目で見つめていたエミリアのことを思い出す。

 私がこれを持っているところを見せたら、エミリアは何を思うだろうか。


***


 クロード様の関心をこちらに向けようと奮闘していたある日、予想外のことが起こった。

 あんなにエミリアに冷たかったはずのクロード様が、なぜか突然彼女に構い始めたのだ。

 朝一緒の馬車で登校してきたかと思えば、昼休みに庭で一緒に昼食を食べたり。今までだったら全く考えられなかったことだ。

 クロード様はエミリアを疎ましく思っているとばかり思っていた私は、突然の変化が信じられなかった。

 エミリアの態度は素っ気なく見えるけれど、本心から拒絶しているようには見えない。ただ意地を張っているだけだろう。

 このままではまずい。このまま二人の距離が順調に縮まったら、私の割り込む隙なんてなくなってしまう。


 焦りと苛立ちから、ダンスパーティーの日にクロード様に牽制した。

 去年はあっさり了承してくれたくせに、今年はエミリアといたいからとダンスの誘いを断ったクロード様には腹が立ったけれど、「レアンの街に行ったときのことを話してしまうかも」と告げると顔を真っ青にしていたのは気分が良かった。

 クロード様が私の方に来るのを見たエミリアが悲しげな目をしているのに気づき、さらに気分が高揚する。

 このまままた関係が冷え込んでしまえばいい。

 しかし、数日後には二人で仲良くフェアリーガーデンに出かけたなんて話を聞いた。

 今まであんなに仲が冷え切っていたくせにと、ぎりぎり歯を噛みしめる。

 そんなとき、ふと借りたままになっていたクロード様のジャケットのことを思い出した。今こそこれを有効利用するときなのではないだろうか。
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