マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴

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第一章

また歓迎会

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「今日からお世話になる春日野優花、中学三年生です!改めて宜しくお願いします!爪先先輩、天音先輩」

 言葉通り翌日の夕方、春日野優花さんが我がマンションに入居してきた。勿論引っ越しは手伝ったんだけどな。んで、今は屋上テラスにみんな集まったところというわけだ。


「こちらこそ宜しくね。美樹子でいいわよ」

「分かりました、美樹子先輩」

「宜しくね、優花ちゃん♪」

「芸能活動ともに宜しくお願いします、天音先輩」

 そういえば彼女はアイドルユニットの一人だったな。

「豊和先輩は末永く宜しくお願いしますね」

 トコトコと目の前にやってきて頭を下げる春日野さん。俺にも改めて挨拶しにくると思っていなかったので声が上擦ってしまった。

「んぁっ?あ、ああ、宜しく」

 それにしても末永くって…特別室を長年借りるつもりか?たまに春日野さんは言葉がおかしくなる気がするな。

「…うん…?末永く…?」
「…それって…まさか…」

 優花と天音の二人も少し彼女の言葉がおかしいと感じたようだ。しきりに彼女を見てなにやら二人して呟いているしな。

「そういえば春日野さんは──」
「──優花って呼んで下さい」

「…了解。優花は嫌いな食べ物はある?アレルギーとかもない?」

「いえ、特にありませんが…どうしてです?う、ウチに興味があるとか…?」

 頬に手を当て、少し照れたようにそんな事を言う優花。

「いや、この後歓迎会みたいなものをする事は伝えておいただろ?一品は異世界の素材を使った料理を作ろうと思ってな」

「…昨日も思いましたけど、サラッと聞き慣れない言葉を入れてくるのほ止めて下さいよ。ツッコみ待ちですか?なんですか、異世界の素材を使った料理って…。確かに異世界に行った事は聞きましたけど…」

「まあ、豊和は非常識だから」
「豊和君だからね。気にしたら駄目だよ?」

 美樹子も天音もそこは俺をフォローするところじゃないか!?

 まあ…構わないけど…。

「──と、いうか、豊和先輩は料理もできるんですか!?」

「一応ね」

「…無駄にこの先輩ハイスペックなんですけど…!?」

 無駄にハイスペックとはなんだよ…。かなり失礼だぞ?

「まあ、そんなことよりも、優花ちゃんに聞きたい事があるのよね。優花ちゃんはであってるの?」

 そういう事ってなんだってばよっ…!?天音もその意味が分かってるみたいで興味津々なんだが!?女子だけにしか分からない暗号みたいな言葉か…?

「あ、はい。それであってます。美樹子先輩はお会いした時からそうだとは思っていました。天音先輩は私と同じかなぁと予想はしていましたけど、それが今確信に変わりました」

「はぁ…また増えるのね…。親友だけでも頭を抱えてるのに…しかも可愛い子ばかり…」
「やっぱりそうなるよねぇ」
「ですね。ならない方がどうかしてるかと…」

 えっ?なに?なんで三人ともジト目で見てんの…?

「一応宣言させていただくと、ウチは負けるつもりはありませんし、現状ウチが一歩か二歩リードしてるかと思いますよ?」

「はぁっ!?」
「そこのところ詳しく」


 なんか無性に居づらく感じてしまうので、俺は一人屋上テラスにあるキッチンに向かう。女子の話に聞き耳を立てるのはあまり良くないと聞くしな。そもそも会話の意味が分からんし…。


 さて…何を作ろうか…。

「あっ!そういえばアレがあったな。アレの肉を挽肉して使うかっ♪」


 作る料理が決まったら早速調理を開始だ。まずは玉ねぎ、ピーマンを一瞬でみじん切りに。そしてアレの挽肉には異世界の塩、異世界のコショウを振っておく。

「次は…フライパンに異世界産のオリーブオイルを敷いて──フライパンを熱したら、玉ねぎがしんなりなるまで炒めてっと──」


 ジュぅぅぅ…!!


 ほわ~んと異世界産のオリーブオイルと絡めた玉ねぎのいい匂いが辺りに漂い始める。

「玉ねぎはこれくらい炒めればいいか。次はアレの肉を炒めた玉ねぎに入れて、肉に火が通るまで炒めるだけだな♪」

 肉を加えて焼き始めると、その香ばしい香りにつられるように話を終えたと思わしき三人がキッチンへとやってきた。肉を焼いた時の匂いって堪らんよな?

「ふぁっ!?いい匂いです~」
「ほ、ホントね。食欲を唆るわ…」
「ねぇねぇ、何を作ってるの、豊和君?」

「名付けて異世界ミートソースパスタだな」

「ウチはパスタ大好物なので凄く嬉しいです」
「料理名に異世界がつくって事は向こうの食材を使っているのね」
「異世界!?異世界って聞くだけで私は凄~く楽しみだよ~」


 会話をしながらも料理は進めていく。

 肉を炒め終わったら異世界のトマト、異世界の天然水を入れて、沸騰するまで異世界のトマトを潰しながら混ぜ合わせていく…。もう一つのコンロにも火をつけ、鍋に水を入れて沸騰させる。パスタの麺を茹でる為だ。


「ここでちょっとした雑学な?今作っているのは見て分かる通り、トマトソースを作っているわけなんだけど、古典的なフランス料理におけるトマトソースの場合は通常鳥ガラとベーコンを入れるんだよ。まあ、そのガラの替わりに固形のコンソメを入れる人もいるみたいだけどね」

「先輩よく知ってますね…」
「ホントどこでそんな知識を仕入れてくるのやら…」
「豊和君の事、プロの料理人かと思ってしまうよね」

「まあ、異世界のトマトとこの肉ならガラもコンソメも必要ないがな」

「だったらなんでそんな説明したのよ!?」

 美樹子がツッコむ。だから俺はこう答える。

「だから言ったろ?ちょっとした雑学だって」

「くっ…」


 悔しそうな美樹子を傍目に調理は最終工程へ。先程異世界トマトをすり潰しながら煮込んでいたものに、砂糖とソースを加えて水分を飛ばすように混ぜながら煮込む。ついでに麺もアルデンテで茹であげる。

「アルデンテの意味は分かる?」

「それくらいは知ってるわよ!」
「確か…麺の茹であがりの状態の事ですよね」
「………」

 若干一名何も言わないのが気になるが…料理が苦手らしいし、何も言わない方がいいな…。目が泳いでるし…。


「──ほい!これで異世界ミートソースパスタが完成。チーズはお好みでどうぞ。後は焼いておいたピザやスープもなんかも用意してるから食べれるようなら言ってくれ。じゃあ…ご飯も出来たし熱いうちに食べようか」




「「「いただきま~す!!!」」」


 みんな席に着き、いただきますの言葉と同時に異世界ミートソースパスタから口にしている…。

「「「んんっ~~~♪♪♪」」」

 三人とも顔が綻んでいる。美味しそうでなにより!

「凄く濃厚よね。ホント美味しいわ」

「…ウチ…こんな美味しいパスタ初めて食べました」

「ホントだよねぇ…。特にこの挽肉が美味しく感じない?」

「私は挽肉よりこのトマトの方が美味しく感じるけど…」

「ウチは両方とも美味しく感じます。先輩、両方とも異世界のものですか?」


「そうだよ。異世界で採れたトマトによく似たものと挽肉の肉はゴブリンのアバラの肉だな」


「ぶぅーーーーーっ!?」


 俺のその言葉に天音は口に含んでいたものを勢いよく全て吐き出したのだった…。

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