マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴

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第一章

ラノベの見過ぎな?

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「ぶぅーーーーーっ!?」

「──ちょっ!?」
「天音先輩!?大丈夫ですかっ!?」

「ゴホッゴホッ…」
「こ、これ飲んで下さい!」
「んぐっ…んぐっ…んぐっ…ぷはっ…はぁ…はぁ…あ、ありがとう…助かったよ…優花ちゃん…」

「いえ…」

「私思わずこんな事で死ぬの?と思っちゃったよ…」

「なんで急に天音先輩はむせたんですか?」

「…あっ、それはね?」

「ちょっと待ちなさいよ…天音は私に先に言う事があるんじゃないの?」

 美樹子の顔や服には天音が吹き出した麺やトマトソースなどがところどころかかっている。

「ご、ごめん美樹子…でもそれはね?豊和君が悪いんだよ!」

 とりあえず美樹子の顔や服は魔法で綺麗にしてあげる。

「ええと…俺が何かしたのか?」

 変顔とかした訳じゃないんだけどな…。そういえば小学生の頃、誰かが牛乳を含んだ瞬間に変顔をして、口に含んだ牛乳を吹き出させるとかそういうしょうもない事が周りで流行ってたな。俺の周りだけかも知れないけど…。

「豊和君がゴブリンっていうから悪いんだよ!」

 ああ…なるほど。

「それが?」
「? 私も天音先輩の言いたい事が分かりません」

 美樹子と優花はゴブリンと言われてもピンとこず分からないようだ。ラノベ好きならゴブリンと言われたらある事を思い浮かべるんじゃないかな…。

「天音のスケベ」

「…っ!?」

 俺が言ったその言葉に目を見開き顔を赤く染める天音。やっぱり天音はそっちを想像してたかぁ…。分からんでもないし、物語ではが多く書かれていたり、描かれたりするからな。

「スケベってどういう事よ、豊和?」
「気になりますね」

「ああ、それは天音がそういう想像をしてるから言ったんだ」

「ととと、豊和君っ!?」

 トップアイドルの慌てる姿。うむ、こういうのを眼福というのかもな。勿論ここで話を終わらせるつもりはないがな。

「だいたいゴブリンってモンスターは、物語ではにするという設定が多々あるんだよ」

「苗床…?」
「確か…種子をまいて、発芽したばかりの苗を育てるための場所の事を言うんですよね?」

 美樹子は苗床の意味が分からないか。首を傾げているしな。まあ、普段頻繁に使う言葉じゃないしな。

 優花は流石だな。よく知ってたもんだ。

「…そこに女性が加わる…?女性の…苗床………
っ~~~!?」

 おっ?優花は気がついたか。ホント聡いな。

「んあっ!?言った!?豊和君が言っちゃったよっ!?女性を苗床って言っちゃったよ!?それセクハラだよっ!?」

 ちなみに天音はというと、羞恥に染まった表情でプルプルしながらそんな事を言っている。


 ふっ、異世界に行った男にセクハラという言葉は存在しない。否、克服したのだ。かのノ◯ナガ公もこう言った筈だ。『恥じぬなら、もっと羞恥に晒してみせよう、ホトトギス!』と。



「ぶっちゃけて言ってしまうと、物語のゴブリンは女性とセックスしてゴブリンの子を孕ませるっていう話」

「ふぁっ!?せ、セックスっ!?」
「…この先輩…ウチ達の前で堂々と直球でセックスと言いましたよ…」
「せ、セクハラ過ぎるぅぅっ!?み、みんなもそう思うよねっ!?」 

 だって直球で言わないと分からない人がいるだろ?美樹子みたいに。

「んで、そんなゴブリンが有名な話だと、ゴ◯スレとかリ・モ◯スターとかがそれにあたるかな。どちらの物語も凄く面白いしね」
「あっ!?それは分かるっ!エッなシーンもあるけど凄くお話が面白いのっ♪」

 流石はラノベオタクのアイドル。

「美樹子先輩?そこを分かる天音先輩が凄いんでしょうか?」
「…天音は生粋のラノベ好きだからね」


「まあ、結局は天音がムッツリスケベだったという話になるんだけどな?」

「ちょっ!?わ、私はムッツリじゃないよ!?そりゃあ少しはそういうのに興味はあるけど、ガッツリじゃないから!たまに、そりゃあたまにそういうシチュで色々としたりもするよ?でもそういうのよりもイチャイチャの方が燃えるというか、好きというか…」

 なんか後半はトップアイドルの聞いてはいけない言葉があった気がするが…スルーだな。

「…天音はムッツリだったのね」
「天音先輩…」

「優花ちゃんは残念そうな私を視線を向けないでっ!?ラノベは私の源なんだよ!?優花ちゃんも見れば絶対にハマるから!」

「ウチはあんまりハマりたくはないです…」

「そ、そんなぁ……み、美樹子と同じ事を言うなんて…」


「ついでに言うと異世界のゴブリンはゴブリンだけで数を増やしてるけどな?」

「んなっ!?そうなのっ!?その言葉に今日一ビックリしたんだけどっ!?」  

 そんなにビックリする事じゃないと思うけどな。

「ちなみにオークもそういう話は多いけど、体格が違うし、まず入る入らないになるし、オークもオークだけで種族を増やすしな」

「あっ、それは分かるよ。漫画なんかじゃあ何故か入ってるけど、あんなの入ったとしても瞬間裂けて死んでるよね!」

「そうそう」


 やるな、天音。オークの話も分かるとは。絶対十八禁の同人誌やらにも手を出してるな?


「…私達…何の話を聞かされているのか、優花は分かる?」
「いえ…分かりません。あえて分かりたくもありませんしね…。それにウチの歓迎会なのでは?」
「そうよね。とりあえず…私達は引き続きご飯をいただこうか?」
「…そうしましょう…」



 余談だが…異世界の話に天音と二人盛り上がった後…ちゃんと優花の歓迎会も盛り上げたのでご心配なく…。
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