マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴

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第一章

牛乳のちょっとした効果と…

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 優花の歓迎会が終わり、みんなお風呂に入った後は当マンション特別室の借主限定の──

「美樹子はいつも通りフルーツ牛乳、天音はコーヒー牛乳でいいんだよな?優花は牛乳とコーヒー牛乳、フルーツ牛乳のどれがいい?」

「うん、ありがと」
「コーヒー牛乳凄く楽しみだったんだ♪」

 美樹子はだいたいフルーツ牛乳。天音は順番に飲んでいるからな。

「コレも異世界のものなんですか?」

「その通り!凄く美味しいんだよ!」

 天音が答えるんか~い!?いや、まあ…いいんだけどね…。

「…ち、ちなみになんですが…」

「うん?」

「異世界産の牛乳には背が伸びやすくなるとか…その…」

 なんだか言いづらそうな、聞き辛そうにしている優花。

「あっ!私、優花ちゃんが言いたい事が分かったかも。胸が大きくなるとかそういう効能がないかどうか聞きたいんでしょ?」

 コレが聞きたい事でしょ?私が先輩として聞いてあげたよ、えっへんとばかりに胸を張る天音。お風呂あがりという事で着ている服の生地が薄いんだから胸を張るのは止めなさいな。膨らみの大きさが分かってしまうぞ?

「そ、そうですけど…」

 優花が複雑そうな顔をしながら同意する。なるほどな…。気にしてるのか。気にする事なんてないのにな?ちっぱいにはちっぱいの良さがあると誰か言ってたんだけどな…。

「流石にそんな効能ないわよ」
「残念ながら美樹子の言う通りだと思うよ?」
「…ですよねぇ…。あっ、牛乳でお願いしていいですか?」

「はいよ、牛乳」

 俺は牛乳を優花に手渡す。

「ありがとうございます。いただきますね!」

「あっ、ちなみにだけど、多少効果あるらしいぞ?」

「「──あるの(ですか)っ!?」」

 三人が俺の言葉にビックリしたように反応する。そりゃあ異世界産だし、あるに決まってる。

「まあ、さっきも言ったけど多少だぞ?ついでに言っておくと牛乳、フルーツ牛乳、コーヒー牛乳のどの味を選んでもそれは変わらないよ」

「コレで美樹子に…勝てる!」
「天音は何言ってるのよ…私に勝ってどうしたいのよ…」
「美樹子は持ってるからそのセリフを言えるんだよ!」
「胸の大きさに執着し過ぎでしょっ…それにそこまで変わんないでしょ!」
「あの~。そういう会話やめてもらってもいいですか、先輩方…。ウチはお二人よりも一回りも二回りも小さいのでその言葉が棘のように刺さるんですが…?」
「大丈夫だよ、優花ちゃん!さっきお風呂で優花ちゃんのおっぱい見たけど、形も色もいいから自信を持って、ねっ!」
「くっ…慰めが慰めに感じないのはウチの心が汚れているとでもいうのでしょうか…」


 まあ、そういう話は男がいないところでしてもろうて…。

「ここにA、B、Cとちょうどいい事に揃っていますが、豊和先輩はちなみにどの大きさがいいんですか?やっぱり大きい方がいいんでしょうか?」

 振るなぁぁぁ!?俺にそんな事を聞くんじやないよっ!?なんで聞いたの!?お母さんを助ける前にちょっと意地悪な事してしまったからその仕返しなのか?そうなのか?そうなんだよなぁっ!?

 美樹子の視線は鋭く鷹のようだ。天音の視線は興味津々といったところか…。優花の視線はなんだかどんよりしているな…。


 これ…どう答えてもいけないやつでは…?



 俺は指をパチンと鳴らし魔法を唱える。

「──あれ…?ウチ達今何のお話してましたかね?」
「…なんだったかしら?」
「なんか大事なお話してたような…?」

 
「税金の話してただろ?」

 俺は何食わぬ顔で三人にそう答える。

「…そうでした!」
「そうだったかしら?」
「言われてみるとそうだった気がするね!」

 ホントはこんな事で魔法を使いたくなかったんたけどな…。コレはホント仕方ない。

「そういえば税金で思い出しました!ウチ、先輩達に聞きたい事があったんですよ」

「なになに?私が質問には何でも答えちゃうよ♪」

 優花の質問には天音が答えるようだ。

「ウチ達ここを借りるのに年収の半分を支払わないといけないじゃないですか」

「そうだね」

「ウチはまだまだ稼ぎが足りませんが、稼ぎが例えば1億円としたら、所得税とか住民税とかそういうのの引かれる合計額は約5千万になるじゃないですか」

「そうなの?私、深く考えた事なかったよ」
「考えなさいよ…大事な事でしょうに…。私は確か二十パーくらいは税金やらなんやらに引かれてるわね。稼げは稼ぐほど引かれる額が大きくなるのは納得できないけどね」
「とにかくそんなわけでですね、手元に余り残らないじゃないですか。それでお二人はどうしてるのかなぁと思いまして」

「豊和?説明してないの?」

「ああ…コレは俺が悪いな。説明不足だった。契約した以上年収の半分は確かに俺がいただく形になってるけど、残りの半分はそれぞれの手元に丸々入ってくるから心配はいらないよ」

「丸々…ですか?そうなると税金は?」

「その点も心配いらないかな。そこら辺は魔法で調節して、税金が支払われた後に自動的に俺の手元に入るようになってるんだ。天音と優花は今月からの給料明細とかそういうのを見たらと分かりやすいと思うかな。二人とも美樹子と同じく家賃は毎月の支払いにしているだろ?だから明細書の項目に家賃(税金)と記載されて引かれているからさ」

「…なるほどですね。魔法で全て解決というわけですね。でもそうなると国はその分マイナスになってしまうのではないですか?」

 うん。何度目かになるけどホント賢いな、この子。よく頭がキレる。まあ、ぶっちゃけると税金を家賃の代わりとしてもらっているようなもんだしな。

 だか…俺に抜かりはない。

「ここだけの話、その辺の調整は裏金議員の汚いお金をそれに対して補充として充てさせたり、色々してるから問題ないかな」

「それ…ウチ達が聞いてもいいやつなんですか?」

「大丈夫だけど?」

 ホントに大丈夫だからな?心配しなくても。

「豊和の言う通り大丈夫よ。最近こういう事あったの知ってる?議員の人数が減ったり、議員の定年が六十五歳になったり、議員の給料が雇用の最低賃金と同じになったりとか」

「ああ…ニュースで流れてましたね」

「アレは全部豊和が魔法でそうしたのよ」

「…はい?」

「国会中継ってあるでしょ?」

「ありますね」

「以前、それをたまたま二人して見ていたんだけど、その時にテレビに寝ている議員が映ったり、自分達の給料を上げる法案だったりは通すのは早いくせに、大事な事はくだらない事ばかり言って決まらないという事があったのよ。それで時間もお金も無駄にしてる議員は必要ないだろと言って豊和が魔法を使ったのよね」

「……それでですか…。それで急に、『議員の人達が我々は国や国民の為に働いている。だから我々の給料は国民の最低賃金と全く同じにして、その最低賃金を押し上げていくような政治を行なっていきます』って、言ってたんですね…」


 だってイラってきたし…。

「まあ、そういうわけで問題ナッシング。じやあ…俺はそろそろ部屋に戻るから」

「あ、はい」

「それじゃあみんなおやすみ」

「おやすみ」
「おやすみなさい」
「おやすみなさい、先輩」



 ちょっとやる事があるんで俺はその場を後にした。
 
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