マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴

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第一章

異世界のとあるパーティーの話①

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「…どうして…どうしてこの世界にあん人の反応がないとねっ!?おかしいとよっ!?」

  
 白髪の綺麗な艶のある長い髪。スラリとした体型の女性の哀しみを帯びた声がとある王城に造られた研究室内に響いた。


「あん人の魔力も匂いもなんもかんも全て覚えとーとよっ!あん人からこっそりくすねた下着もあるとにっ…なのになんで反応してくれんとねっ!?」


 俗に言うファンタジー物を知ってる人からすれば、彼女の耳を見ればピンと来る人も多い事だろう。そう、彼女の尖った独特の耳を見れば分かる筈…彼女はエルフという種族だという事が…。


「…巷では賢者なんて呼ばれとーとに…なにが賢者ね…。たった一人の行方を捜し出すだけなのにそんな事もできないなんて…賢者が聞いて呆れるとね…」



 今日もまた彼の行方が分からずに、落ち込んでその場に座り込むエルフ。不意にガチャリと研究室のドアが開いた。

「──また徹夜したのですね、リーンは」

 そう言って入ってきたのは高貴なドレス姿の綺麗な蒼髪の女性。その女性は室内にある椅子へゆっくりと腰を下ろした…。

「…そういうフレンもじゃないとね?目にクマができとーよ?」

「…ふふっ…ではですわね…わたくしとリーンは…」

「…ふん…知らんたいそんなこつ…。それでなんしにフレンはここに来たとね?見て分かる通りワタシは忙しかとよ…。そんなどうでもいい話する為にここに来たとやないとよね?」

「ええ。勿論です。事は極めて重大な事の為にわたくし自らここに赴く事にしました。なにしろアー──」

「──極めてって…もしかしてあん人の事ねっ!?あん人のこつならはよう言いんさいっ!?」

 その場に座り込んでいたエルフが蒼髪の女性へと一瞬で距離を詰め、彼女の肩を掴んで揺らす。その動きは疾風だったとも言える…。

「ちょっ!?い、言いますから!?言いますからそんなに肩を掴んで揺らさないで下さいませっ!?そ、そんなに揺らされるとドレスがはだけて胸が飛び出てしまいますわぁぁぁぁ!?」

「ついでにそんなモノ、もげて飛んでいけばいいとよっ!!」

「酷っ!?」


 ガチャリ!と、またこの部屋へのドアが開くと、赤髪の美人な女性と短髪のイケメン男性が部屋の中へと入ってきた。二人はわちゃわちゃするリーンとフレンの元へと近寄って行く。

「ああ…もう…あんた達は何をわちゃわちゃやってるのよ…?」

「ホントだぜ、全く。レイティーの言う通りだぞ?リーン、フレン」

「げっ…!?レイティーとアーバイン!?」

「げっとは何よ、げっとは?」

「いや…レイティーに言ったとやないとよ?」

「じゃあ俺に言ったのかよ!?」

「あんた以外おらんとね」

「お前なぁ…」

「いいのですか、リーン?アーバインにそんな態度を取ってしまって」

「何がね、フレン?どういう意味で言とーとねっ?」

「どういう意味も何も今日こうしてここにみんなに集まるように連絡して来たのはアーバインという事ですわ。先程わたくしはそれを口にしようとしていたのですが、リーンが最後まで話をさせてくれなかったじゃあないですか」

「「なっ…!?」」

 フレンのその言葉にリーンとレイティーが驚いた。


 そして──



「さぁ…早く言いなさい、アーバイン?死にたくはないでしょう」

 赤髪の女性が腰に携えていた剣を二本とも抜いてアーバインに剣先を突きつける。

「お、おい!?レイティー!?剣を突きつけるなんてシャレに…ちょっ!?リーンは何をそんなに膨大な魔力を溜め込んでいるんだよ!?」

「早く喋って死ぬといいとよ…」

「お、おい、フレン!?コイツ等どうにかしてくれぇぇぇーーーっ!?マジで死にそうなんだがっ!?」

「り、リーン!?レイティー!?二人とも落ち着きなさい!!アーバインに何かあったら何も分からなくなりますよっ!それでもいいんですかっ!!」

「「っ…」」

 その言葉に一人は剣をしまい、一人は溜め込んだ魔力を霧散させる…。

「お、お前等…。頼むから冷静になってくれよな?あの馬鹿の事好き過ぎだろっ」

「わ、悪いとね…」
「あ、アタシは…べべべべべ、別にアイツの事…す、好きじゃないわよっ!勘違いしないでよねっ!?」

「レイティーは何言ってんの?アイツが消えて何ヶ月も寝込んでたのは誰だよ?素直になれよな…ったく…」

「くっ…こ、コイツ絶対に殺すわ…アイツの事聞き出したら絶対に殺してやるわ…」

「馬鹿っ!?馬鹿なのっ!?レイティーは馬鹿なんだよなっ!?殺されるの分かってて、アイツの事喋るやつ居ると思ってんの!?居る訳ねぇーだろうが!?」

「は、早く言うとよ…言わんと殺すとよ?言っても殺すのは変わりないとよ…」

「お前もかよっ!?この変態エルフが!あそこにあるのアイツの下着だろ!?いつくすねたんだよ?あんな下着こっちじゃあ売ってねぇしな」

 アーバインが床に描かれた魔法陣の上に置かれた男物の下着を指差す…。


「「…へっ…?」」

 レイティーとフレンが同時にアーバインが指差した物をその視界へと収めた。

「ししししっ、しまったとよっ!?しまい損ねてしまってたばいっ!?」

「リーン…あんた何してんの?」
「リーン…アーバインの言う事は本当なのですか?」

「ち、違うとっ!?これは違うとよ!アレは…あれは…その…そう!そこに居るアーバインがあん人からくすねてくれたとよ」

「うぉーーーいっ!?なんでお前は本人目の前にして平気でそんな嘘ついてんのっ!?」

「ホントなの?アーバイン?」
「先にこのお話から詳しくお聞きするとしましょうか?」

「お、おい…?冗談だろ…?あの変態エルフの言葉を信じるのかよ?」

「な、なんで…」
「わたくし達の分もくすねてくれなかったのですか?」

「お前等も同じ穴のムジナかよぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーっ!?」


 アーバインは思った…。

 アイツが消えたのはこいつ等から離れたかったのではないかと…。


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