マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴

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第一章

どういう事!?

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「一体全体どういう事よ、豊和!なんで外国に居るはずのお姉ちゃんが、こ・こ・にっ・居るのよ!こっちが今二十時前だから向こうはたぶん早朝位じゃないのっ!?時差はどうしたのよ、時差はっ!?」


「そんなのお姉ちゃんがここに居る時点でご察しだよ、美樹子ちゃん♪と~君に不可能はないのだ!」

 いや、不可能はあるからね?

「時差については日本と同じにしてくれって麗姉ちゃんが言うから」

「何勝手に時差まで変えてんのよぅ!?何、豊和はお姉ちゃんの言いなりなのっ!?」

 いや…言いなりというか…逆らえない相手というのは人間誰しもいると思うんだよなぁ…。

「百歩譲って時差はまだいいわよ、時差は!」

 いいのかよ!?

「お姉ちゃんがここに居る理由が分からないのよ!あんたが連れて来たわけじゃないわよね!」

 これ…その理由を言ったら怒られるような気がするのは俺だけか?

「言わないともっと怒るわよ!」

「心の中を読むなよ…」

「そんなの決まってるじゃない!と~君の部屋限定だけどいつでも転移できるアクセサリーをもらったからだけど?」

「…はい?」
「そんなアクセサリーがあるのっ!?」
「もしかして美樹子先輩のお姉さんが一番手強い…?」


 あ~あ~ 言っちゃたよ…。美樹子の後ろになまはげのオーラが見えるのは気の所為だと思いたい。天音は天音でラノベ脳だから物欲しそうな目をしてるしな。まあ、優花だけは分かってるようだ。この中で色んな意味で一番手強いのは麗姉ちゃんだという事が…。

「まあ、転移のアクセサリーについては麗姉ちゃんの誕生日プレゼントにせがまれたからで」

「断んなさいよ!」

「欲しい理由が気軽に美樹子に会いに来たいって言われたからには断れないだろ?」

「そこの姉は大学に行ってから、今日まで私のところに一回も来ていないわよ!」
 
「えっ…?マジで…?」

 俺が視線を向けるとテヘペロする麗姉ちゃん。

「そもそもなんで転移先があんたの部屋なのよ!そんなに私に会いたいのなら私の部屋か、以前借りてたお姉ちゃんの部屋が空いてるんだからそこを契約するなりなんなりしてそっちにすればいいでしょ!」

「…言われてみるとそうだな。美樹子の部屋に変えておくな?ほいっ!」

 アクセサリーが光を放つ。これで麗姉ちゃんの転移先は美樹子の部屋になったわけだ。まあ、前からおかしいとは思ってたんだよな。来たら来たで俺の部屋から一歩も出て行かないし、美樹子に会いに行かなくていいのかを聞くとさっき美樹子ちゃんに電話したんだけど…今は性欲発散中らしいから今日はちょっとと断られたとか言ってたしな…。

「ちょっと!?何を美樹子ちゃんは余計な事を言ってくれてんのかな!?これは姉妹の話し合いが必要な案件だよね!?」
 
「望むところよ!」

「とりあえず…二人ともそこまでにしておいてくれる?天音も優花もどうすればいいのかと困ってるから」

「あっ…ごめんね…?はじめましての女の子がいるから改めて自己紹介からしちゃうね?美樹子の姉の麗だよ。先に言っておくと、と~君は渡さないのでそのつもりでね!」

「あのねぇ…麗姉ちゃん…冗談はそれくらいに」  

「お姉ちゃん毎回毎回と~君に会う度に言ってるよね?冗談なんかじゃあないと。そろそろ信じてくれないと泣いちゃうよ…?およよよっ…」

 言葉の後半がなかったら信じるかもしれなかったわ…。やっぱこう弟を放っておけないって感じなんだろうな。世話焼きたいみたいな…。
 
「くっ…この姉は…こういうところは素直に称賛できるわ…」
「美樹子とは違うよね…」
「う、うるさいのよ、天音は一言余計よ?」
 
「あっ…自己紹介を返させて下さい。ウチは春日野優花です。これから宜しくお願いします」
 
「うん、宜しくね。と~君から聞いてたけど一気に二人も増えたんだね?天音ちゃんともじっくり話した事はないけど宜しくね。それで二人ともと~君に助けられた口かな?」

「は、はい。こちらこそ宜しくお願いします。私はストーカーの件で困っていたところを美樹子に相談して…そしたら豊和君が助けてくれて」

「ウチは…ある人を助けてもらって」  

「うん…?ちょっと優花ちゃんだっけ?」
  
「は、はい。あってます」 

「助けてもらったって具体的には?」
 
「それは…言えません」

「そっかぁそっかぁ言えないのかぁ…。これはお姉ちゃん困ったねぇ…」
  
 その言葉と同時に獲物を狙うような視線が麗姉ちゃんから俺に対して向けられる。やばいな…。いっそ記憶消す──

「──消したらどうなるか分かってるよね?」

 顔は笑っているんだけど…これは怒っているな…。使わないように言われてたからなぁ…。端から見るとあの苦痛やらなんやらは見てて気持ちいいものじゃないしな。

 その時の事は麗姉ちゃんの記憶からは一旦消したんだけど後にバレて大変だったんだよな。なんでバレたのかは分からないが記憶を戻せの一点張りで…。まあ、その後凄く怒られたのは言うまでもない…。

「また使ったんだね?あの時の魔法」

「お姉ちゃん…それどういう事なの?」

「私も聞きたいかな…」

「せ、先輩っ!?」

 いかん!美樹子にまでバレたら厄介だ…。少々恥ずかしいが背に腹は替えられん。

 最終奥義を出そう…。この技は普段使わない…。ここぞという時に麗姉ちゃんにだけ効く技だ。昔アーバインから女性を怒らせたりした時にこうすればいいと聞いた自傷技でもある…。   


 俺は麗姉ちゃんの後ろに回り込みバックハグを結構。まずは逃がさないように強めに抱きしめる…。  

 美樹子と天音と優花は突然の俺のこの奇行に口をパクパクさせている…。
  
「ぅぅぁっ…ととととと、と~きゅん…!?これはっ…またっ…!?」  

「麗姉ちゃん…いや…麗…」

 俺は耳元で囁くように麗姉ちゃんの名前を名前呼びで囁いていく。甘い声を出すのも忘れない。

「あひゅん…み、耳元で…囁いたら…だめぇ…」

 一度だけこの技を使った時はこの辺で意識を手放していた筈なんだが…少し耐性がついてしまってるか…?

 ならばっ!

「麗…ベッドにお姫様抱っこで連れて行ってもいいかな?麗が欲しいんだ…」

「べっ!?ベッド!?そ、そんなぁ…と、とうとう…わわわわ、私…と~君に…あひゅん…」
   
「麗?」

「………」


 どうやら意識を手放してくれたようだ…。

「よし!」

「よしじゃな~い!」



 まあ、結局色々バレて叱られたのは言うまでもないだろう…。
 
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