マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴

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第二章

あの子と相対

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 お墓参りを終えた俺はその足であの子の元に。当然美樹子と麗姉ちゃんもついてくると言ってくれたのだが、それは断った。何かあれば魔法もあるし、何よりトラウマみたいなものは俺が勝手に抱えてるだけだからな…。自分自身で乗り越えないといけない事は分かってる…。

 だからおばさんも会うように言ったんだろう。

 俺はあの子の居場所を探る。どうやら彼女は他県にいるようだ。色々あったからな…。とにかく彼女から一番近くにある公園に転移して魔法を使い、偶然を装って彼女と相対する事に。


 まあ、彼女というのは以前に少しだけ天音達にも話した事がある例の女の子だ。彼女は中一の時に席が隣になった女の子で異性に対していかにも好意を持っていると仕草や態度で表す女の子だった…。んで、惚れさせて自分に夢中にさせるのが生き甲斐みたいに感じていたんだよな。
 
 まあ、だから俺はつい余計な一言を言ってしまった。そういうのって結構恨みを買ったり、痛い目にあったりすると思ったからだ。善意のつもりだった…。とにかくそう言ったのがその日学校に登校してすぐの出来事だったんだよな。  

 んで、その日の昼休みにはなんでか俺とその子が付き合ってる事になってた。一応否定はしたんだけどな。彼女は彼女で俺が照れてるだけだとか言いながら距離を詰めてきて…否定しても意味がないと思って放っておいたのがまた不味かったんだろうな。

 そのうち『肉体関係を持った途端捨てられた』とか『処女を捧げたのに酷いよ』、後は『避妊もしてくれないし…』とか『抱かれてから生理が来ないの』など、彼女からはない事を散々好き勝手に広められ、クラスメイトからは冷たい目や軽蔑するよな目で見られるようになったんだよな…。

 まあ、調べれば分かる事なのにな…。世の中もある事ない事広まるのは早いだろ?例えそれが真実とは程遠くても…。悪意というかそういうのだけは本当に異様という早さで広がるもんなんだよ…。

 結局、美樹子や麗姉ちゃんが動いてくれて、それは誤解という事は解けた。当然そうなれば彼女は居場所がなくなり…それと同時に学校から姿を消した。誰の子かは分からないけど本当に妊娠はしていたしな…。噂ではその子を産んだという事までは耳にした事はあるんだけどな…。


 んっ…?そんな事を思い返していたら彼女の姿が視界に入った。




「は、早房…君…っ…?」

「…矢場蔵やばくらさん…」

「…ぁっ………」


 会うとは思っていなかったんだろうな。まさか俺がこんなところにいるとは思ってもみなかっただろうし…。言葉に詰まっているし…。

 彼女はあの頃よりも痩せていた。面影がないといった方がいいかも知れない。自業自得ともいえるのだが…苦労しているのが分かる…。


「久しぶり…」

「…あっ…その…」

「こんな所で会うなんて奇遇だよね。ちょうどよかった。少しだけ矢場蔵さんの時間を…もらえないかな?少し話したいんだ」

「……っ…!?」

 身構える…と、いうより俺の言葉に硬直するような感じだろうか。まあ、こんな所で奇遇という方が無理があるか。彼女からしたらあんな事になって、俺が恨みを抱き復讐しに来たとか思うだろうしね…。

「警戒しないでもらえると助かるかな。ホントに話するだけだから…。あそこのベンチに座りながらどうかな?」

「……うん」


 俺達はゆっくりベンチへと移動し、ベンチへと腰掛ける。先に口を開いたのは…彼女だった…。

「その…今更なんだけど…」

「………」

「ごめんなさい………謝って済む事じゃないのも…迷惑掛けたのも……全部…全部…ごめんなさい…」

 
 先に謝罪されるとは正直思っていなかった。俺が知ってる彼女なら少なくとも謝罪しないと思っていた。逆ギレするかとも思っていたんだ。

 アレから約三年くらいか…?人を変える、考えを変える時間はあったのかも知れないな。たぶん…子供の存在もあるのかも知れない。

 だけど…


「…ずっと謝りたかった…。本当だよ…。でも…私の顔なんて…見たくないと思って…」 

「…そっかぁ…」

 彼女との事があったから俺は人を信じなかった。好意なんかをぶつけられたくなかったわけだ。煩わしいとか色々思ってしまったんだろうな。だから…彼女が本心で言ってるのか信用はできない…。表情からは本心で言ってるように思えはするんだけど…。

「一つさぁ…頼みがあるんだよね…」
 
「…た、頼み…?」 

「何も聞かずに…俺と額を合わせてくれないかな?」

「…えっ?」
 
「額と額を合わせて欲しいんだ…」

 記憶移しのスキルは逆に記憶をもらう事ができる。俺は彼女が心から謝罪しているのか知りたいんだ…。  

 まあ、その結果…本気の謝罪じゃなかった場合…余計に信用できなくなる気もするんだけど…。

「……いいよ…」
 

 何か覚悟したように目を瞑る彼女…。ええと…殺したり恨みを晴らそうとかしてるわけじゃないからな? 

 とにかく額と額を合わせて…あの後の彼女の記憶をもらう…。そして額を離し…



  

「……ありがとう」

「…えっ?」


 俺はお礼の言葉を口にする。額を合わせた事に対するお礼ではない…。彼女が本気で後悔している事が分かったからだ。


 彼女はというと、何に対してお礼を言われてるのか分からずに戸惑っているけどな…。


「ええと…」

「謝罪の言葉は確かに受け取ったよ」

「あっ……うん……本当にごめんなさい…」

「いいよ…もう。そんな事より…かなり苦労してるんじゃない…?」

「えっ?…まあ…色々とね…。自分がまいた種だし…」

「だから……これは…その子の為だから…」

「ええと…何を言って…? あれ…?いない!?は、早房君っ!?早房君!?」
  


 俺は転移して彼女の前から姿を消した。


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