わけありな教え子達が巣立ったので、一人で冒険者やってみた

名無しの夜

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47 体液

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「キヒヒ!! どうするんだい、お姫様。そこのバカ男を助けるために、ヤッちまうのかい? 股をおっ広げて、男のモノを咥え込んじまうのかい?」
「ぐぁああああ!?」

 ラーズから苦悶の声が上がる。彼を救うには体を重ねるしかない? そんなの、そんなのーー

「ひ、姫様、自分のことは構わずとも、だ、大丈夫です」
「……ラーズ。安心してください。貴方を見捨てたりはしません」
「キッヒッヒ。じゃあやるんだね。ほら、早くヤりなよ。何してるんだい? 今すぐヤーーぷぎゃ!?」

 フローナのキックがゼニーヌの顔面にめり込んだ。

「うるさい。少し黙ってなさい」

 彼女は紫の髪をかき上げるとこちらに視線を向けた。

「リーナ、魔女の言葉に惑わされてどうするの」
「ですが正体を看破された後の告白です。信憑性はあるかと」

 魔女は正体が発覚してない内は様々な嘘でこちらを翻弄してくるが、一度魔女だと発覚すれば己が行使した呪術については嘘をつかなくなる。それが悪魔との契約で決まっていることなのか、あるいは魔女達の壮大なブラフの一つなのかはハッキリとしていないが、少なくとも魔女にそういう特徴があることだけは分かっている。

「そうね。呪術に関することだから恐らくは本当のことを言っているんでしょう」
「でしたら……その……」

 出来ればその先を口にしたくはない。でも自らの貞操と幼馴染みの命を天秤にかけて貞操を取る気にはなれなかった。

「だからよく考えなさい。こいつは最初体液と言ったのよ。性行為なんてする必要はないの。貴方の血を飲ませればそれで解決よ」
「え? ……あっ。そ、そうですね……」

 ラーズの尋常ではない苦しみ方を見て思考力が奪われた状態で、ゼニーヌが性行為を前提として喋ったので、勝手に性行為でなければならないと思い込んでしまった。

 私はナイフで指先を切るとそれを彼の口へと入れた。

「飲んでください」

 男の舌が私の指先に触れるゾワリとした感覚。それに一瞬手を引っ込めそうになったが、すんでのところで何とか堪えた。

「どうですか?」
「あ、ありがとうございます。痛みが引いてきました」

 ラーズの顔に血色が戻ったのを確認してホッと息を吐く。彼は傍に立つフローナを見てついさっきまで真っ白だった顔を真っ赤にした。

「……見ないでもらえるかしら?」
「あっ、ご、ごめん」
「くそがぁあああ!! 余計なこと言いやがって。こんなことならもっと徹底的にテメーの体を……ぐあぁああ!?」

 ゼニーヌの顔面にフローナの拳が食い込んだ。

「今からいくつか質問するわ。答える答えないは好きにしなさい。どっちを選んでも結果は同じだから」

 フローナは実験動物を見るかのような酷く冷たい瞳で、鼻をへし折られた魔女を見下ろした。
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