35 / 55
(35)咲夜15歳 『にせもの』
しおりを挟む
その日の始まりは、いつも通りのありきたりな朝だった。
鎧騎士の足音で目を覚まし、メイド達の挨拶を受けて着替えをする。メイドの数が多すぎても少なすぎても、調整のために中庭にある階段から地下へ降りる。代わり映えのない、いつもの翡翠の日常だ。
「おはようございます、翡翠様」
メイド達が心のこもらない挨拶をくれる。
「おはよう。今日はここのつまでいるのか。ずいぶん多いな」
それに対する返事はない。
「着替えたらすぐに地下へ降りるとしよう」
翡翠がそう言っても、誰も供をするとは言わなかった。
一人で地下へ降りて、一人で扉を調節することにはもう慣れた。必要最低限の会話しかしなくなったメイド達にもすっかり慣れた。
半年ごとに咲夜が訪ねてくれる時以外は、翡翠は色のない世界で人形のように生きている。
苦しいともつらいとも思わない。これを半年繰り返せば、また咲夜に会えるのだから。
ベッドから立ち上がり、クローゼットの方へ歩く。
メイド達は無言のままで、時津彦様好みのローブを手に取った。
「そのローブではなく、八目姫様のくだされた新しい衣装を頼む」
翡翠が命じると、メイド達の顔が不機嫌に歪んだが、それでも文句も言わずにインドのサリー風なドレスを取り出した。
翡翠の髪の色に似た水色のシルクに、濃い青の糸でびっしりと美しい刺繍が施され、しかもたくさんのラピスラズリが縫い付けてあるものだ。
「美しいな……」
翡翠の言葉はまた独り言として扱われ、ここに9人もメイドがいるのに誰一人として返事をしない。
だが、いくら翡翠の選択が気に入らないからといっても、さすがに服を破られることはないので、不満そうな顔をされても気にしないことにしていた。
着替えを終えて、中庭へ向かう。足を動かすたびに縫い付けられた幾つもの飾りが揺れて、シャリシャリと小さな音がする。
(次に咲夜が来たときは、これを着て出迎えようかな)
―――― 翡翠様、綺麗!
そう言って笑う咲夜の可愛い顔を思い浮かべながら、翡翠はガラスのガゼボに辿り着いた。
ランタンに火をつけようとかがんだ時、ガゼボの真ん中にぽっかりと開いている階段の穴に、ちらりと何かが見えた。
「……?」
よく見ようと顔を近づけた時、そこからぬっと手が現れる。
「ひゃっ」
驚いて後ろへ転んだ翡翠の前で、その手がガゼボの石の床にぺたりと置かれる。続いて男の上半身が地上へ出てきて、翡翠は「あっ」と裏返った声を上げた。
「時津彦様……!」
時津彦様は陽光を受け、眩しそうに目を細めながら階段をあがってくる。
(お、お若い……。このお姿はまさに、地下の扉の『向こう側』で会った時津彦様と同じではないか。あれからさらに数年経って、もう齢80のご老人のはずなのに……。だが、こうしてお会いすれば嫌でも感じる。このお方は本物だ……本物の時津彦様だ……)
時津彦様は後ろを振り向き、優しい顔で手を伸ばした。
「ほら、たかむら。こっちに登っておいで」
若い男がきょろきょろしながら地上へ出てくる。
白い肌に長い黒髪、翡翠色の瞳にトケイソウ柄の派手な着物……。
翡翠はしりもちをついたままで動けないでいた。
「うー、ああー」
「そうだな。相変わらずきつい臭いだ」
時津彦様は周囲の蛇よけ草を見てから、青年の手を握って優しく笑う。
「たかむらが嫌なら全部引っこ抜いてもいいぞ」
「あ、あの、それは……初代様のご指示で植えた蛇よけ草にございますれば……」
思わず翡翠が口を出すと、時津彦様は一瞬で別人のように冷たい目になって見下ろしてきた。
「誰だ、お前」
翡翠は跪き、頭を下げる。アクアマリンの髪がサラサラと床へ垂れさがる。
「翡翠にございます。時津彦様」
「翡翠?」
「はい。『きさら堂』が仮の主人・翡翠にございます。時津彦様のお戻りを、ずっとお待ち申し上げておりました。時津彦様のお戻りを、心よりお喜び申し上げます」
「翡翠だと……」
「はい、翡翠です」
「笑えないジョークだな」
「え」
いきなりガシッと髪の毛をつかまれ、乱暴にぐいっと顔を上向けられる。
「偽物なら偽物らしく、少しは似せる努力をしろよ。何なんだ、その服。何なんだ、その髪色。翡翠の要素皆無じゃねぇか」
「こ、これは、白殺しの藍甕で染まっ……」
「白殺しぃ? は! その名を知っているとは少しはここに詳しいようだが、そういうことじゃねぇんだよ。翡翠は布をかぶってろと言えばきちんとかぶる。じっとしてろと言えばじっとしている。決まりを破ったことは一度もねぇんだ」
「ですが、私は本物の」
「そもそも翡翠は俺に口ごたえをしねぇ」
ブチブチッと髪を引きちぎるようにして手が離れる。
「うっ」
痛みが走ったが、翡翠はもう一度時津彦様の前に跪いた。
「おとなしく黙って這いつくばってろ」
「……申し訳ございません、時津彦様」
「ったく、気持ち悪いな」
手にからまった数十本の髪を、時津彦様がぱっぱっと床へ払い落とす。アクアマリンを溶かしたような髪が、陽を受けてキラキラと光った。
「ううー?」
「あ? 綺麗だって? やめとけやめとけ、おいこら拾うな。たかむらには後でもっと良いものをやるから」
時津彦様の顔がまた別人格のように優しくなり、たかむらという青年の頭をよしよしと撫でる。
「あー……うー」
「そうだ、いい子だ」
「うー」
「本当にいい子だ。たかむらは可愛いな」
抱きしめて髪を撫でられる青年が、在りし日の自分と重なり、翡翠の胸をチクリと刺した。
「時津彦様、あの、そのお方は……?」
「お前は学ばねぇなぁ。口を開いていいと言ったか? お前が自分を翡翠だって言い張るなら、俺の許可なくしゃべるな動くな考えるな」
「あ…………」
胸の中で、言いようのない不快なものがざわりと動く。
(これは何だ? この気持ちは何だ?)
咲夜に会う前の翡翠ならば、時津彦様のおっしゃることはすべて正しいと思っていた。
咲夜に会う前の翡翠ならば、時津彦様に何を言われても盲目的に従っただろう。
けれど。
けれど翡翠はもう、咲夜に出会ったのだ。
(私はもう知ってしまった。時津彦様の望みは私の望みではない。私の望みは、私だけの望みだと)
「どうして、ですか……」
「あ?」
「どうして、そんなことをおっしゃるのですか。私は時津彦様がご不在の三十年以上を『きさら堂』の仮の主人として生きてきたのです。私が『きさら堂』を守って来たのです。どうしてそこまでひどいことが言え……」
そこまで話した時、いきなりバチンと大きな音がして翡翠は横に倒れていた。
何が何だか分からない内に、左の頬がカーッと熱くなり、次いで激しい痛みが襲ってくる。
殴られたのだと気づくまで、数秒かかった。
「口を開くなと言ったろ」
汚いものでも見るような目で、時津彦様が翡翠を見下ろす。
よろよろと体を起こして、翡翠は時津彦様を見上げた。
「あなたは、本当に時津彦様ですか……?」
「なんだと」
「私の知っている時津彦様は、一度も私を殴ったことはありません。ほかの使用人にも、一度だって手を上げたことは」
「一度だって口答えされたことが無いからだよ。そもそも口答えできるようには描いていない。つまり、お前は偽物だ。偽物を殴って何が悪い」
「それがおかしいと申し上げているのです。いくら色が変わっても、時津彦様がご自分で描いたものが分からないはずがないではありませんか。あなたは本当に、私を描いてくださった時津彦様なのでしょうか」
時津彦様の唇が、ひくひくとひきつる。
「もう一回殴られたいか」
脅すようにこぶしを振り上げる時津彦様に向けて、翡翠はとっさに指で『狐の窓』を組んだ。
「化生のものか、魔性のものか、正体を現せ!」
本当に目の前の時津彦様が偽物だと思ったわけではない。翡翠を偽物と断じる相手に、意趣返しをしたかっただけだった。
けれど、それは思わぬ効果を発揮した。
発揮してしまった。
――――狐の窓の、指の隙間から見えたものは。
「――影?」
時津彦様がぎくりと動きを止める。
「いいや違う。黒い、何か……たくさんの、何かが……」
翡翠の目がそれをはっきりととらえる。
「ひ……!」
翡翠は必死に喉の奥で悲鳴を飲み込んだ。
狐の窓を通して見えたのは、あの日、メイドのとうの絵を蝕んだあの小さな黒い蛇だった。時津彦様の頭から足先までを覆いつくすように、無数の小さな黒い蛇がうぞうぞとまとわりついているのだ。
「や、いや……」
怖いのに、目を離せない。
震えながら後退りする翡翠の前に、たかむらという青年がひょこっと顔を覗かせる。
「うー?」
何をしているの?というように、わざわざ狐の窓を反対から覗き込んでくる。
「あ、あぁ……!」
翡翠はさらに衝撃を受ける。
無邪気で愛らしい青年は、狐の窓を通すと全く違うものに見えた。
「ど……して……」
ぽっかりと穴の開いた目、鼻、口。
死んだ人間のなれの果て。
「……されこうべ」
それを口に出した途端に、さらに強くガツンと直撃を受けた。
頭を殴られたせいか、くらくらと視界が揺れる。
「おい! 見てないでこっちに来い!」
時津彦様が叫ぶ。
すると、どこに隠れていたものか、下働きに庭師、料理人にメイド達がわらわらと中庭へ入って来た。
「この翡翠の偽物を『きさら堂』の外へ追い出してしまえ!」
鎧騎士の足音で目を覚まし、メイド達の挨拶を受けて着替えをする。メイドの数が多すぎても少なすぎても、調整のために中庭にある階段から地下へ降りる。代わり映えのない、いつもの翡翠の日常だ。
「おはようございます、翡翠様」
メイド達が心のこもらない挨拶をくれる。
「おはよう。今日はここのつまでいるのか。ずいぶん多いな」
それに対する返事はない。
「着替えたらすぐに地下へ降りるとしよう」
翡翠がそう言っても、誰も供をするとは言わなかった。
一人で地下へ降りて、一人で扉を調節することにはもう慣れた。必要最低限の会話しかしなくなったメイド達にもすっかり慣れた。
半年ごとに咲夜が訪ねてくれる時以外は、翡翠は色のない世界で人形のように生きている。
苦しいともつらいとも思わない。これを半年繰り返せば、また咲夜に会えるのだから。
ベッドから立ち上がり、クローゼットの方へ歩く。
メイド達は無言のままで、時津彦様好みのローブを手に取った。
「そのローブではなく、八目姫様のくだされた新しい衣装を頼む」
翡翠が命じると、メイド達の顔が不機嫌に歪んだが、それでも文句も言わずにインドのサリー風なドレスを取り出した。
翡翠の髪の色に似た水色のシルクに、濃い青の糸でびっしりと美しい刺繍が施され、しかもたくさんのラピスラズリが縫い付けてあるものだ。
「美しいな……」
翡翠の言葉はまた独り言として扱われ、ここに9人もメイドがいるのに誰一人として返事をしない。
だが、いくら翡翠の選択が気に入らないからといっても、さすがに服を破られることはないので、不満そうな顔をされても気にしないことにしていた。
着替えを終えて、中庭へ向かう。足を動かすたびに縫い付けられた幾つもの飾りが揺れて、シャリシャリと小さな音がする。
(次に咲夜が来たときは、これを着て出迎えようかな)
―――― 翡翠様、綺麗!
そう言って笑う咲夜の可愛い顔を思い浮かべながら、翡翠はガラスのガゼボに辿り着いた。
ランタンに火をつけようとかがんだ時、ガゼボの真ん中にぽっかりと開いている階段の穴に、ちらりと何かが見えた。
「……?」
よく見ようと顔を近づけた時、そこからぬっと手が現れる。
「ひゃっ」
驚いて後ろへ転んだ翡翠の前で、その手がガゼボの石の床にぺたりと置かれる。続いて男の上半身が地上へ出てきて、翡翠は「あっ」と裏返った声を上げた。
「時津彦様……!」
時津彦様は陽光を受け、眩しそうに目を細めながら階段をあがってくる。
(お、お若い……。このお姿はまさに、地下の扉の『向こう側』で会った時津彦様と同じではないか。あれからさらに数年経って、もう齢80のご老人のはずなのに……。だが、こうしてお会いすれば嫌でも感じる。このお方は本物だ……本物の時津彦様だ……)
時津彦様は後ろを振り向き、優しい顔で手を伸ばした。
「ほら、たかむら。こっちに登っておいで」
若い男がきょろきょろしながら地上へ出てくる。
白い肌に長い黒髪、翡翠色の瞳にトケイソウ柄の派手な着物……。
翡翠はしりもちをついたままで動けないでいた。
「うー、ああー」
「そうだな。相変わらずきつい臭いだ」
時津彦様は周囲の蛇よけ草を見てから、青年の手を握って優しく笑う。
「たかむらが嫌なら全部引っこ抜いてもいいぞ」
「あ、あの、それは……初代様のご指示で植えた蛇よけ草にございますれば……」
思わず翡翠が口を出すと、時津彦様は一瞬で別人のように冷たい目になって見下ろしてきた。
「誰だ、お前」
翡翠は跪き、頭を下げる。アクアマリンの髪がサラサラと床へ垂れさがる。
「翡翠にございます。時津彦様」
「翡翠?」
「はい。『きさら堂』が仮の主人・翡翠にございます。時津彦様のお戻りを、ずっとお待ち申し上げておりました。時津彦様のお戻りを、心よりお喜び申し上げます」
「翡翠だと……」
「はい、翡翠です」
「笑えないジョークだな」
「え」
いきなりガシッと髪の毛をつかまれ、乱暴にぐいっと顔を上向けられる。
「偽物なら偽物らしく、少しは似せる努力をしろよ。何なんだ、その服。何なんだ、その髪色。翡翠の要素皆無じゃねぇか」
「こ、これは、白殺しの藍甕で染まっ……」
「白殺しぃ? は! その名を知っているとは少しはここに詳しいようだが、そういうことじゃねぇんだよ。翡翠は布をかぶってろと言えばきちんとかぶる。じっとしてろと言えばじっとしている。決まりを破ったことは一度もねぇんだ」
「ですが、私は本物の」
「そもそも翡翠は俺に口ごたえをしねぇ」
ブチブチッと髪を引きちぎるようにして手が離れる。
「うっ」
痛みが走ったが、翡翠はもう一度時津彦様の前に跪いた。
「おとなしく黙って這いつくばってろ」
「……申し訳ございません、時津彦様」
「ったく、気持ち悪いな」
手にからまった数十本の髪を、時津彦様がぱっぱっと床へ払い落とす。アクアマリンを溶かしたような髪が、陽を受けてキラキラと光った。
「ううー?」
「あ? 綺麗だって? やめとけやめとけ、おいこら拾うな。たかむらには後でもっと良いものをやるから」
時津彦様の顔がまた別人格のように優しくなり、たかむらという青年の頭をよしよしと撫でる。
「あー……うー」
「そうだ、いい子だ」
「うー」
「本当にいい子だ。たかむらは可愛いな」
抱きしめて髪を撫でられる青年が、在りし日の自分と重なり、翡翠の胸をチクリと刺した。
「時津彦様、あの、そのお方は……?」
「お前は学ばねぇなぁ。口を開いていいと言ったか? お前が自分を翡翠だって言い張るなら、俺の許可なくしゃべるな動くな考えるな」
「あ…………」
胸の中で、言いようのない不快なものがざわりと動く。
(これは何だ? この気持ちは何だ?)
咲夜に会う前の翡翠ならば、時津彦様のおっしゃることはすべて正しいと思っていた。
咲夜に会う前の翡翠ならば、時津彦様に何を言われても盲目的に従っただろう。
けれど。
けれど翡翠はもう、咲夜に出会ったのだ。
(私はもう知ってしまった。時津彦様の望みは私の望みではない。私の望みは、私だけの望みだと)
「どうして、ですか……」
「あ?」
「どうして、そんなことをおっしゃるのですか。私は時津彦様がご不在の三十年以上を『きさら堂』の仮の主人として生きてきたのです。私が『きさら堂』を守って来たのです。どうしてそこまでひどいことが言え……」
そこまで話した時、いきなりバチンと大きな音がして翡翠は横に倒れていた。
何が何だか分からない内に、左の頬がカーッと熱くなり、次いで激しい痛みが襲ってくる。
殴られたのだと気づくまで、数秒かかった。
「口を開くなと言ったろ」
汚いものでも見るような目で、時津彦様が翡翠を見下ろす。
よろよろと体を起こして、翡翠は時津彦様を見上げた。
「あなたは、本当に時津彦様ですか……?」
「なんだと」
「私の知っている時津彦様は、一度も私を殴ったことはありません。ほかの使用人にも、一度だって手を上げたことは」
「一度だって口答えされたことが無いからだよ。そもそも口答えできるようには描いていない。つまり、お前は偽物だ。偽物を殴って何が悪い」
「それがおかしいと申し上げているのです。いくら色が変わっても、時津彦様がご自分で描いたものが分からないはずがないではありませんか。あなたは本当に、私を描いてくださった時津彦様なのでしょうか」
時津彦様の唇が、ひくひくとひきつる。
「もう一回殴られたいか」
脅すようにこぶしを振り上げる時津彦様に向けて、翡翠はとっさに指で『狐の窓』を組んだ。
「化生のものか、魔性のものか、正体を現せ!」
本当に目の前の時津彦様が偽物だと思ったわけではない。翡翠を偽物と断じる相手に、意趣返しをしたかっただけだった。
けれど、それは思わぬ効果を発揮した。
発揮してしまった。
――――狐の窓の、指の隙間から見えたものは。
「――影?」
時津彦様がぎくりと動きを止める。
「いいや違う。黒い、何か……たくさんの、何かが……」
翡翠の目がそれをはっきりととらえる。
「ひ……!」
翡翠は必死に喉の奥で悲鳴を飲み込んだ。
狐の窓を通して見えたのは、あの日、メイドのとうの絵を蝕んだあの小さな黒い蛇だった。時津彦様の頭から足先までを覆いつくすように、無数の小さな黒い蛇がうぞうぞとまとわりついているのだ。
「や、いや……」
怖いのに、目を離せない。
震えながら後退りする翡翠の前に、たかむらという青年がひょこっと顔を覗かせる。
「うー?」
何をしているの?というように、わざわざ狐の窓を反対から覗き込んでくる。
「あ、あぁ……!」
翡翠はさらに衝撃を受ける。
無邪気で愛らしい青年は、狐の窓を通すと全く違うものに見えた。
「ど……して……」
ぽっかりと穴の開いた目、鼻、口。
死んだ人間のなれの果て。
「……されこうべ」
それを口に出した途端に、さらに強くガツンと直撃を受けた。
頭を殴られたせいか、くらくらと視界が揺れる。
「おい! 見てないでこっちに来い!」
時津彦様が叫ぶ。
すると、どこに隠れていたものか、下働きに庭師、料理人にメイド達がわらわらと中庭へ入って来た。
「この翡翠の偽物を『きさら堂』の外へ追い出してしまえ!」
2
あなたにおすすめの小説
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!
中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。
無表情・無駄のない所作・隙のない資料――
完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。
けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。
イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。
毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、
凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。
「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」
戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。
けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、
どこか“計算”を感じ始めていて……?
狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ
業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
完結|好きから一番遠いはずだった
七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。
しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。
なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。
…はずだった。
《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。
かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
僕の恋人は、超イケメン!!
八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる