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第10話 学園に意地悪な先生がいた
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ヴィシェフラドの冬は寒くて、厳しい。
学園が長い冬期休暇に入ったら、おしまいなのだ。
急がなくちゃ、間に合わないかも。
エヴァが飲んでる薬が何なのか。
彼女の体調が思わしくないのは虐待同然の扱いを受けているから。
それだけが理由とは思えなかった。
薬が怪しいのだ。
でも、あたしには調べる術がない。
家の中に犯人が潜んでいるんだったら、お母様に相談する訳にはいかない。
あたしの言うことをまともに取り合ってくれるとは思えない。
逆に犯人を刺激することになったら、まずい。
ユナは話にならないし、ベティは容疑者の筆頭だ。
マリーなら、話は聞いてくれるだろうけど、解決の手助けにはならない。
それにマリーもユナも容疑者として、疑わなくてはいけない。
そうなったら、家の中に頼れる大人はいないのだ。
じゃあ、誰を頼るのが正解か。
メモを頼りに書いては消し、書いては消しを繰り返して、気が付いた。
学園に意地悪な先生がいた。
エミーにやたらと厳しくて、よく叱られていた記憶しかない。
ビカン先生。
そう。
確か、名前はペトル・ビカン!
髪は夕焼けの空を連想させるオレンジブラウンの色をしていて、翡翠色をした瞳が宿っている目は切れ長で意地悪そう。
シルバーブロンドの髪にアメジストの瞳で王子様そのものなロビーと比べたら、負けているけどそれなりにかっこいいので学園の女子生徒の間では人気がある人だった。
あたしは嫌いだけどね!
だって、意地悪なんだもん。
「もっと真面目に勉強しろ」「もっとお淑やかにしろ」と無言の圧を感じる。
事実、あたしだけ他の人よりもたくさんの宿題を出されたことだってある。
まぁ、あたしが真面目に勉強してなかったのはホントだから、言い逃れは出来ないけど。
ビカン先生は確かに意地悪だ。
でも、魔法の腕は確かだし、えこひいきをしてないところは尊敬出来る。
誰であろうとも態度を変えないから、公正な人なんだろう。
信用出来る大人かもしれないってことだ。
「ほお。それでお前はこれを私に調べろと言うのかね。アマーリエ・ネドヴェト」
「は、はい」
ビカン先生は学園に自分の個室――研究室を持ってた。
これだけでも先生がどれだけ、スゴイ人なのか、分かるというものだ。
小説の中では単に意地悪な先生という描写しかなかった気がする。
だけど、実際には二枚目だ。
おまけに面倒なプライドが高い俺様思考の大人の男である。
この人を頼って、ホントに正解だったんだろうか?
「お前がこれをどこで手に入れたのかは知らん。だが、私を頼ったことは正解だ」
「あ、ありがとうございます?」
「誉めてはいないぞ」
「あざますです」とでもおちゃらけて言えば、よかった?
そうしたら、もっと怒られる未来しか見えないから、睨まれて怖いけど我慢するしかない。
「これは毒だ。いや、違うな。確かに薬ではある。だが、ある血を持つ者には呪いにも似た毒にしかならん。お前もこれは駄目だと思うぞ。まさか、直に触ったりはしていないだろうな?」
「あ……えっと、少し触ったような」
「なんだと!? 見せてみろ。ふむ。確かに発疹が出ているな。かなり、純度が高い代物のようだ」
自分でも気が付いてなかった。
薬包から、移した時に手に付いてしまったんだろうか。
掌に赤いブツブツがちょっとだけど、出てる。
「これは魔女の毒だ」
ビカン先生が呟いた一言が耳に残った。
あたしに聞かせるつもりはなかっただろう言葉が妙に引っかかった。
学園が長い冬期休暇に入ったら、おしまいなのだ。
急がなくちゃ、間に合わないかも。
エヴァが飲んでる薬が何なのか。
彼女の体調が思わしくないのは虐待同然の扱いを受けているから。
それだけが理由とは思えなかった。
薬が怪しいのだ。
でも、あたしには調べる術がない。
家の中に犯人が潜んでいるんだったら、お母様に相談する訳にはいかない。
あたしの言うことをまともに取り合ってくれるとは思えない。
逆に犯人を刺激することになったら、まずい。
ユナは話にならないし、ベティは容疑者の筆頭だ。
マリーなら、話は聞いてくれるだろうけど、解決の手助けにはならない。
それにマリーもユナも容疑者として、疑わなくてはいけない。
そうなったら、家の中に頼れる大人はいないのだ。
じゃあ、誰を頼るのが正解か。
メモを頼りに書いては消し、書いては消しを繰り返して、気が付いた。
学園に意地悪な先生がいた。
エミーにやたらと厳しくて、よく叱られていた記憶しかない。
ビカン先生。
そう。
確か、名前はペトル・ビカン!
髪は夕焼けの空を連想させるオレンジブラウンの色をしていて、翡翠色をした瞳が宿っている目は切れ長で意地悪そう。
シルバーブロンドの髪にアメジストの瞳で王子様そのものなロビーと比べたら、負けているけどそれなりにかっこいいので学園の女子生徒の間では人気がある人だった。
あたしは嫌いだけどね!
だって、意地悪なんだもん。
「もっと真面目に勉強しろ」「もっとお淑やかにしろ」と無言の圧を感じる。
事実、あたしだけ他の人よりもたくさんの宿題を出されたことだってある。
まぁ、あたしが真面目に勉強してなかったのはホントだから、言い逃れは出来ないけど。
ビカン先生は確かに意地悪だ。
でも、魔法の腕は確かだし、えこひいきをしてないところは尊敬出来る。
誰であろうとも態度を変えないから、公正な人なんだろう。
信用出来る大人かもしれないってことだ。
「ほお。それでお前はこれを私に調べろと言うのかね。アマーリエ・ネドヴェト」
「は、はい」
ビカン先生は学園に自分の個室――研究室を持ってた。
これだけでも先生がどれだけ、スゴイ人なのか、分かるというものだ。
小説の中では単に意地悪な先生という描写しかなかった気がする。
だけど、実際には二枚目だ。
おまけに面倒なプライドが高い俺様思考の大人の男である。
この人を頼って、ホントに正解だったんだろうか?
「お前がこれをどこで手に入れたのかは知らん。だが、私を頼ったことは正解だ」
「あ、ありがとうございます?」
「誉めてはいないぞ」
「あざますです」とでもおちゃらけて言えば、よかった?
そうしたら、もっと怒られる未来しか見えないから、睨まれて怖いけど我慢するしかない。
「これは毒だ。いや、違うな。確かに薬ではある。だが、ある血を持つ者には呪いにも似た毒にしかならん。お前もこれは駄目だと思うぞ。まさか、直に触ったりはしていないだろうな?」
「あ……えっと、少し触ったような」
「なんだと!? 見せてみろ。ふむ。確かに発疹が出ているな。かなり、純度が高い代物のようだ」
自分でも気が付いてなかった。
薬包から、移した時に手に付いてしまったんだろうか。
掌に赤いブツブツがちょっとだけど、出てる。
「これは魔女の毒だ」
ビカン先生が呟いた一言が耳に残った。
あたしに聞かせるつもりはなかっただろう言葉が妙に引っかかった。
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