【完結】愛されないあたしは全てを諦めようと思います

黒幸

文字の大きさ
37 / 56

第37話 ロビーだけが、何も分かってないような顔してる

しおりを挟む
 思っていた以上に穏やかな日々を過ごしてた。
 こんなにのんびりとしてて、いいのだろうかと思うくらいに……。

 ポボルスキーのお屋敷は家にいた時よりも心穏やかでいられる。
 サーラはあたしの親友と大きな声を上げても恥ずかしくない。
 何気ないお喋りをしてるでも楽しいし、一緒にいるだけでも心が弾んでくるのだ。

 ユリアンとはまだ、そんなに親しくなっていない。
 女神様の夢が影響しているのか、何となく見えない壁のような物が彼との間にある気がする。
 これが心の壁とでも言うものなんだと思う。

 あたし、ちょっと大人みたいだ。
 そんなことを口に出したら、「大人の女はそーいうこと言わないわ」とサーラに言われたけど。

 ロビーロベルトは毎日のようにカブリオレで迎えに来てくれる。
 学園に行ったり、おじい様コンラート前国王の離宮に行ったりするのに便利だし、別にロビーのことが嫌いな訳ではないから。
 だからって、前のように彼のことを無条件で好きな訳でもない。

「あのね。エミー……いや、何でもないんだ」
「ふぅん。変なロビー」

 距離を置いたってことではなく、適切な距離感を保っているつもりなのにロビーはどこか、おかしい。
 何か、言いたそうなのに言わない。
 そんなあたし達を見て、ユリアンも何かを言いたそうにしていた。

 あまりにもどかしいのであたしは我慢出来なくなってしまい、ユリアンに問いただしてしまった。
 彼はサーラよりも気が弱いところがあって、気圧されたように口を開いてくれるけど……。
 それでも肝心なことは教えてくれない。
 「殿下との約束なので言えません。彼から、直接聞いてください。お願いします」とはぐらかされちゃうのだ。
 そのうち、ロビーが教えてくれるのかしら?



 エヴァエヴェリーナはおじい様の離宮で順調に回復してるところだ。
 たっぷりとご飯を食べて、ゆっくりと休んでる。
 それだけではなくて、髪や肌のお手入れもしてくれるみたい。

 やつれてたエヴァを知っているだけに今のエヴァはもはや、別人に見えるくらいに見違えた。
 とんでもない美少女がもう一人、姉にいたのだと思い知らされた!

 あたしと違って、鼻もつんと高くて、目もぱっちりとしてる。
 オレンジブラウンの長い髪もお手入れされて、艶々としててきれい。
 マリーマルチナは誰が見ても美人だけど、エヴァだって、きっと負けてないと思う。

 そして、気になることがある。
 そんなきれいになって、明るくなったエヴァとユリアンの距離が縮まってる。
 二人で仲良く、お喋りしていて、笑顔が絶えない。
 怪しい。
 そんな気がして、ならないのだ。

「あれって、そういうことかしら?」
「お兄ちゃまも意外とやるってことね」
「そうよね」

 どうやら、サーラも気が付いてるみたい。
 そんな会話をしてるとロビーだけが、何も分かってないような顔してる。
 ホントに分かってないのか、それとも振りをしてるだけなのか。



 とにかく、あまりにも平穏すぎる日が続いてたある日のことだった。
 いつも朗らかであたし達を優しく、温かい眼差しで見守ってくれるセバスさんが浮かない顔をしてた。
 まるで徹夜でもしたみたいに目の下にはクマがあって、疲れた表情を隠せてなかったのだ。

「お嬢様には少し、酷な報告をせねばならないセバスめをお許しくださいますかな」

 セバスさんの言うことはたまに難しくて、分かんないことがある。
 だけど、今回は何となく、分かってしまった。
 あまりよくない知らせがあるんだってことを……。

「コラー伯爵邸が全焼したとのことでございます」

 セバスさんの話は続いていたけど、あたしの耳には何も入ってこなかった。

 火事の原因が落雷によるものだったこと。
 普段、そのような事件では動かない近衛騎士団が動いてること。

 全てが他人事ひとごとのように聞こえたのはよく知ってる場所が燃えて、何もなくなってしまったせいだと思う。
 自分が思った以上にショックが大きかったのだ。
しおりを挟む
感想 71

あなたにおすすめの小説

家出を決行した結果

恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。 デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。 自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。 ※なろうさんにも公開しています。

私はどうしようもない凡才なので、天才の妹に婚約者の王太子を譲ることにしました

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 フレイザー公爵家の長女フローラは、自ら婚約者のウィリアム王太子に婚約解消を申し入れた。幼馴染でもあるウィリアム王太子は自分の事を嫌い、妹のエレノアの方が婚約者に相応しいと社交界で言いふらしていたからだ。寝食を忘れ、血の滲むほどの努力を重ねても、天才の妹に何一つ敵わないフローラは絶望していたのだ。一日でも早く他国に逃げ出したかったのだ。

地味で器量の悪い公爵令嬢は政略結婚を拒んでいたのだが

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 心優しいエヴァンズ公爵家の長女アマーリエは自ら王太子との婚約を辞退した。幼馴染でもある王太子の「ブスの癖に図々しく何時までも婚約者の座にいるんじゃない、絶世の美女である妹に婚約者の座を譲れ」という雄弁な視線に耐えられなかったのだ。それにアマーリエにも自覚があった。自分が社交界で悪口陰口を言われるほどブスであることを。だから王太子との婚約を辞退してからは、壁の花に徹していた。エヴァンズ公爵家てもつながりが欲しい貴族家からの政略結婚の申し込みも断り続けていた。このまま静かに領地に籠って暮らしていこうと思っていた。それなのに、常勝無敗、騎士の中の騎士と称えられる王弟で大将軍でもあるアラステアから結婚を申し込まれたのだ。

〖完結〗王女殿下の最愛の人は、私の婚約者のようです。

藍川みいな
恋愛
エリック様とは、五年間婚約をしていた。 学園に入学してから、彼は他の女性に付きっきりで、一緒に過ごす時間が全くなかった。その女性の名は、オリビア様。この国の、王女殿下だ。 入学式の日、目眩を起こして倒れそうになったオリビア様を、エリック様が支えたことが始まりだった。 その日からずっと、エリック様は病弱なオリビア様の側を離れない。まるで恋人同士のような二人を見ながら、学園生活を送っていた。 ある日、オリビア様が私にいじめられていると言い出した。エリック様はそんな話を信じないと、思っていたのだけれど、彼が信じたのはオリビア様だった。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

王命により、婚約破棄されました。

緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

処理中です...