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第53話 このシャルルが退治してくれん
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叔母様の胸から生えていた棘――黒い刀身が、勢いよく燃え始めた。
まるで剣自身が怒っていて、炎を上げているように見える。
その炎が叔母様の全身をくまなく包んで身を焼いていく。
決して、見たくはない。
だけど、目を離してはいけない。
叔母様はきっと、もう一人のあたしだったと思うのだ。
愛されることを諦めて、それなのにもがいて、周囲の人を傷つけて。
それで最後は自らの身を焼いて、終わる……。
だから、目を離しちゃいけないんだ。
ロビーと手を繋いでるから、そう出来ているのかもしれないと何とはなしに思ったのはなぜだろう。
一人では無理でも二人なら、勇気と力が湧いてくる。
そんな気がしてくる。
『ごめんね』と黒焦げで見る影もなく、辛うじて、それが顔だったと判別出来る叔母様だったものがそう唇を動かしたように見えた。
黒焦げになりながらもきれいな瞳は未だに輝きを失っていない。
それが不気味でもあった。
棘が抜かれて、まるで物を無造作に扱うように叔母様だったものが蹴り飛ばされて、大地に転がった。
あたしの家族に酷いことをして、世界を壊そうとした叔母様は確かに悪い人ではあったけど、こんな最期を迎えるなんて……。
「ふっふふふふっ。はっーははははっ。レーヴァティンは在りし日の姿を取り戻した。愉快愉快」
燃え上がる刀身を意にも介さず、右肩に乗せて、こちらを威圧するように不快な笑い声を上げる男を前にあたし達は指一本さえ、動かすことが出来ない。
恐怖。
戦慄。
色々な感情が入り混じって、体が言うことを聞いてくれないのだ。
「大丈夫だ、エミー。僕がいるから」
そう言ってくれるロビーの手も小刻みに震えている。
自分も怖くて、しょうがないのにその心遣いだけで勇気が貰えて、嬉しかった。
嬉しいんだけど、水を差すように後ろがうるさい……。
「おのれ、この邪神め。このシャルルが退治してくれん!」
握った剣を持つ手が震えているのか、結構うるさい。
耳がガンガンしてきて、鼓膜が破れそうな大声でがなり立てるのはトマーシュ殿下が付けてくれた近衛騎士四人のうちの一人だった。
一番、若い人で確か、シャルルさんだ。
「待て、シャルル。これはロキの罠だ」
男性にしては高めでよく通る声も聞こえた。
きれいに整えられた顎髭をいじりながら、鏡でも見ているのだろうと想像出来る声の主もまた、近衛騎士だ。
アンリさんだったと思う。
「おいらも加勢するぞお」
「待て待て。迂闊に飛び込む馬鹿がおるか」
妙に間延びした声の主はイザークさんで周りを窘めるような落ち着き払った声はリーダー格のアルマンさんだ。
アルマンさんは四人の中で最年長でしかも副団長だと聞いた。
「はははっ。お前さんらの相手は我ではないよ? ほら。アレをどうにかしないとお前さんらの国はおしまいだなぁ。大変だなぁ。はっーははははっ」
最後まであたし達を嘲笑うように高笑いだけを残して、叔母様を殺した男は姿を消した。
文字通り、消えたのだ。
闇に溶け込んでいくように消えていった時のあたしらを見た何の感情も籠っていない目は思い出しただけでも鳥肌が立つ。
呆然として、動けないあたしを他所に四人の騎士さんとロビーが、祭壇に横たえられていたユナを抱えて、助けてくれたが皆、空の一点の見つめたまま、言葉を失っている。
空に描かれた魔法陣が完成して、そこから巨大な何かがゆっくりと姿を現し始めていたのだ。
まるで剣自身が怒っていて、炎を上げているように見える。
その炎が叔母様の全身をくまなく包んで身を焼いていく。
決して、見たくはない。
だけど、目を離してはいけない。
叔母様はきっと、もう一人のあたしだったと思うのだ。
愛されることを諦めて、それなのにもがいて、周囲の人を傷つけて。
それで最後は自らの身を焼いて、終わる……。
だから、目を離しちゃいけないんだ。
ロビーと手を繋いでるから、そう出来ているのかもしれないと何とはなしに思ったのはなぜだろう。
一人では無理でも二人なら、勇気と力が湧いてくる。
そんな気がしてくる。
『ごめんね』と黒焦げで見る影もなく、辛うじて、それが顔だったと判別出来る叔母様だったものがそう唇を動かしたように見えた。
黒焦げになりながらもきれいな瞳は未だに輝きを失っていない。
それが不気味でもあった。
棘が抜かれて、まるで物を無造作に扱うように叔母様だったものが蹴り飛ばされて、大地に転がった。
あたしの家族に酷いことをして、世界を壊そうとした叔母様は確かに悪い人ではあったけど、こんな最期を迎えるなんて……。
「ふっふふふふっ。はっーははははっ。レーヴァティンは在りし日の姿を取り戻した。愉快愉快」
燃え上がる刀身を意にも介さず、右肩に乗せて、こちらを威圧するように不快な笑い声を上げる男を前にあたし達は指一本さえ、動かすことが出来ない。
恐怖。
戦慄。
色々な感情が入り混じって、体が言うことを聞いてくれないのだ。
「大丈夫だ、エミー。僕がいるから」
そう言ってくれるロビーの手も小刻みに震えている。
自分も怖くて、しょうがないのにその心遣いだけで勇気が貰えて、嬉しかった。
嬉しいんだけど、水を差すように後ろがうるさい……。
「おのれ、この邪神め。このシャルルが退治してくれん!」
握った剣を持つ手が震えているのか、結構うるさい。
耳がガンガンしてきて、鼓膜が破れそうな大声でがなり立てるのはトマーシュ殿下が付けてくれた近衛騎士四人のうちの一人だった。
一番、若い人で確か、シャルルさんだ。
「待て、シャルル。これはロキの罠だ」
男性にしては高めでよく通る声も聞こえた。
きれいに整えられた顎髭をいじりながら、鏡でも見ているのだろうと想像出来る声の主もまた、近衛騎士だ。
アンリさんだったと思う。
「おいらも加勢するぞお」
「待て待て。迂闊に飛び込む馬鹿がおるか」
妙に間延びした声の主はイザークさんで周りを窘めるような落ち着き払った声はリーダー格のアルマンさんだ。
アルマンさんは四人の中で最年長でしかも副団長だと聞いた。
「はははっ。お前さんらの相手は我ではないよ? ほら。アレをどうにかしないとお前さんらの国はおしまいだなぁ。大変だなぁ。はっーははははっ」
最後まであたし達を嘲笑うように高笑いだけを残して、叔母様を殺した男は姿を消した。
文字通り、消えたのだ。
闇に溶け込んでいくように消えていった時のあたしらを見た何の感情も籠っていない目は思い出しただけでも鳥肌が立つ。
呆然として、動けないあたしを他所に四人の騎士さんとロビーが、祭壇に横たえられていたユナを抱えて、助けてくれたが皆、空の一点の見つめたまま、言葉を失っている。
空に描かれた魔法陣が完成して、そこから巨大な何かがゆっくりと姿を現し始めていたのだ。
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