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ある女子高生の独り言
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私のクラスには[秋宮 凛]という御曹司の息子がいる。
「おい、凛。お前またジム行くの?」
「ん? あぁ、まぁね」
「部活入ればいいのに」
「いや、忙しいんだ」
今日も、サッカー部の部員からの勧誘を断ったらしい。運動神経抜群で、頭脳明晰という彼だけれど部活には入らず帰宅部だし女の子といる姿も見たことがないらしい。
この前男子が「お前彼女いんの?」って聞いた時、「いや、好きな人なら」って返したらしい。それを聞いた女子達は誰が秋宮君の想い人かって探していた。
「ねぇ、秋宮君の好きな人ってどんな人?」
と、直に聞いた猛者もいる。返ってきた答えは、
「優しくて可愛い人」
だったらしい。余計女子達が沸いたのは聞くまでもない。
「秋宮君」
「ん? なに?」
そんな私も秋宮君に片想いしている1人だ。今日は、生徒会の仕事で2人きりだからその想い人についてもっと知ろうと思う。もしかすると、ワンチャンあるかも! なんて。
私の問いかけに、秋宮君は書類に目を落としたまま返事をした。
「あの、好きな人がいるって言ってたでしょ?」
「うん」
「その人ってこの高校にいるのかなぁなんて……」
「いや? いないよ」
「あ、そ、そうなの?」
「うん」
失恋決定。心の中で私は涙を流した。
「あー、その人の見た目ってどんな感じ?」
でも、私は諦めない。もしかしたら、秋宮君の好みに寄せれば振り向いてもらえるかもしれないから。
「髪の色は紺色だよ。目も同じ」
へ、へぇ。おとなしめの清楚な感じかな? 私は当てはまるだろうか? 髪は茶髪でスカートは膝上。清楚とは真逆だ。
撃沈した私に構わず、秋宮君は書類に目を落としたままほんのり微笑んだ。
「それから、とても心根が綺麗な人だよ」
~~っ、もう無理。完全に私の入り込める隙がないのが分かってしまった。
「っごめん。ちょっとトイレ」
「分かった、気をつけて」
「うん……」
顔を伏せたまま教室を出た。涙でせっかくの化粧が崩れそうになるのをなんとか抑えるためにハンカチで拭く。
「ぅ~~!」
私は、声を出さないようにトイレのすぐ横の壁にもたれて泣いた。
どれほどそうしていただろう。
「うぉ!?」
まだ残っていたらしい男子の驚いた声が聞こえて、私はゆっくりと顔を上げた。
「ぶふ‼︎ お前、なんで顔してんだよ!」
「うるさい」
幼馴染のタケルだった。コイツに泣き顔を見られたのが恥ずかしくて、思いっきり顔を顰める。
「失恋したのか?」
「察しなさいよ」
「ははは、当たりか?」
「バカ」
よしよしと撫でてくる手をペシッと叩く。八つ当たりだ。だけど、今はそうしないと立ち直れない気がした。
「おーお、泣くなよ。だから手頃なやつにしとけって」
「そんなんいるわけないじゃん」
「いるよ」
「いない!」
悔しくて泣き出した私を慰めようと、背中を撫で出した手をまたベシッと叩く。しばらく、ベシベシとタケルの手を叩いていた。
少しの沈黙の後、ポリポリと頭をかいたタケルが口を開いた。
「……あー、もう! ほら、俺がいんじゃん」
「は?」
唐突に放たれた言葉が理解できなくて、ポカンと彼の顔を見る。
「……俺がいんじゃんって言ったの」
小さく照れたように耳を真っ赤にして再度告げられた言葉。理解した私の顔まで真っ赤になる。
「なんで照れてんのよ!」
「は? 照れるだろ!」
「バカ!」
「なんだと⁉︎」
「バーカ! ばかばかばか!」
ベシベジと私は黙っているタケルの手を叩き続けた。
「ダメか?」
「……まだダメ。タイミング悪すぎ。失恋吹っ切れたら考えてあげる」
静かに問われた言葉に、プイッと背きながら答える。私が可愛くないことをしているのは理解していた。でも、タケルは優しく「おう、待ってる」と言ってくれた。
「バカ」
「なんでだよ!!!!」
「おい、凛。お前またジム行くの?」
「ん? あぁ、まぁね」
「部活入ればいいのに」
「いや、忙しいんだ」
今日も、サッカー部の部員からの勧誘を断ったらしい。運動神経抜群で、頭脳明晰という彼だけれど部活には入らず帰宅部だし女の子といる姿も見たことがないらしい。
この前男子が「お前彼女いんの?」って聞いた時、「いや、好きな人なら」って返したらしい。それを聞いた女子達は誰が秋宮君の想い人かって探していた。
「ねぇ、秋宮君の好きな人ってどんな人?」
と、直に聞いた猛者もいる。返ってきた答えは、
「優しくて可愛い人」
だったらしい。余計女子達が沸いたのは聞くまでもない。
「秋宮君」
「ん? なに?」
そんな私も秋宮君に片想いしている1人だ。今日は、生徒会の仕事で2人きりだからその想い人についてもっと知ろうと思う。もしかすると、ワンチャンあるかも! なんて。
私の問いかけに、秋宮君は書類に目を落としたまま返事をした。
「あの、好きな人がいるって言ってたでしょ?」
「うん」
「その人ってこの高校にいるのかなぁなんて……」
「いや? いないよ」
「あ、そ、そうなの?」
「うん」
失恋決定。心の中で私は涙を流した。
「あー、その人の見た目ってどんな感じ?」
でも、私は諦めない。もしかしたら、秋宮君の好みに寄せれば振り向いてもらえるかもしれないから。
「髪の色は紺色だよ。目も同じ」
へ、へぇ。おとなしめの清楚な感じかな? 私は当てはまるだろうか? 髪は茶髪でスカートは膝上。清楚とは真逆だ。
撃沈した私に構わず、秋宮君は書類に目を落としたままほんのり微笑んだ。
「それから、とても心根が綺麗な人だよ」
~~っ、もう無理。完全に私の入り込める隙がないのが分かってしまった。
「っごめん。ちょっとトイレ」
「分かった、気をつけて」
「うん……」
顔を伏せたまま教室を出た。涙でせっかくの化粧が崩れそうになるのをなんとか抑えるためにハンカチで拭く。
「ぅ~~!」
私は、声を出さないようにトイレのすぐ横の壁にもたれて泣いた。
どれほどそうしていただろう。
「うぉ!?」
まだ残っていたらしい男子の驚いた声が聞こえて、私はゆっくりと顔を上げた。
「ぶふ‼︎ お前、なんで顔してんだよ!」
「うるさい」
幼馴染のタケルだった。コイツに泣き顔を見られたのが恥ずかしくて、思いっきり顔を顰める。
「失恋したのか?」
「察しなさいよ」
「ははは、当たりか?」
「バカ」
よしよしと撫でてくる手をペシッと叩く。八つ当たりだ。だけど、今はそうしないと立ち直れない気がした。
「おーお、泣くなよ。だから手頃なやつにしとけって」
「そんなんいるわけないじゃん」
「いるよ」
「いない!」
悔しくて泣き出した私を慰めようと、背中を撫で出した手をまたベシッと叩く。しばらく、ベシベシとタケルの手を叩いていた。
少しの沈黙の後、ポリポリと頭をかいたタケルが口を開いた。
「……あー、もう! ほら、俺がいんじゃん」
「は?」
唐突に放たれた言葉が理解できなくて、ポカンと彼の顔を見る。
「……俺がいんじゃんって言ったの」
小さく照れたように耳を真っ赤にして再度告げられた言葉。理解した私の顔まで真っ赤になる。
「なんで照れてんのよ!」
「は? 照れるだろ!」
「バカ!」
「なんだと⁉︎」
「バーカ! ばかばかばか!」
ベシベジと私は黙っているタケルの手を叩き続けた。
「ダメか?」
「……まだダメ。タイミング悪すぎ。失恋吹っ切れたら考えてあげる」
静かに問われた言葉に、プイッと背きながら答える。私が可愛くないことをしているのは理解していた。でも、タケルは優しく「おう、待ってる」と言ってくれた。
「バカ」
「なんでだよ!!!!」
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