【完結】悪役令嬢が起こした奇跡〜追放されたのに皆様がわたくしを探しているらしいですわ〜

ウミ

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謎の美女

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「リン、ウチにモデルの誘いが山ほど来てる」

 険しい表情の父に呼び出されたリンは、渋々ビオラの元を離れ高校での出来事を話す羽目になった。

「なるほど、そりゃそうだ。こんな綺麗なお嬢さんが秋宮の息子と並んで歩いていたら気になるだろう」

「モデルの件は断ってくれる?」

「あぁ、分かった」

 そんな話をしていた時だ。ピンポーンと玄関先のチャイムが鳴り響いた。

「リン、私が出ましょうか」

「いや、いいよ」

 モニターに映る顔は見たことのない顔だった。嫌な予感がする。リンはそう思いながら兄に出ていってもらえるようにお願いした。

『すみません、こういったものなんですけれども……』

『あ、そういうのいいんで』

『いえいえ、少しだけですから』

『いや、本当に』

 門を挟んで押し問答を繰り広げる兄と訪問者をビオラがハラハラした様子で眺めている。

「記者だな」

「なるほど」

「あらまあ」

「きしゃとは?」

「「「めんどい奴らだ」」」

「そうなのですね」

 3人に同じ答えを教えられた、間違ってはないが間違った認識をもつビオラ。

『とにかく、ウチには何もありませんよ!』

『いえいえ、お美しいお嬢様がいらっしゃると! ぜひ、我が社に‼︎』

「記者じゃないわね」

「あぁ、モデルの勧誘か?」

「モデルとは?」

「うーん、また今度教えてあげるよ」

「はぁ、分かりましたわ」

『……また来させていただきますので、その時には是非とも!』

 モニターに映る訪問者がリンの兄の前に撤退していく様子が映し出される。

「リン、お前はもう少し考えてから行動しなさい」

「はい」

 一時期、ビオラは謎の美女としてSNSで話題になったのであった。


○○秋宮先輩と謎の美女○○

「おい、やばいぞ」

「何が?」

「美女がいる!」

「は?」

 ある部活の部員の1人が休憩中に見つけたという美女。その噂は一瞬で校内の部活をしていた生徒たちに知れ渡った。カッコイイと名高い秋宮先輩と並んで歩いているのに見劣りしない美女。

「おい、見に行こう」

「いや、部活中だし……」

「ちょっとだけ」

「いま、3号館の4階にいるらしい」

「まじ?」

「あぁ、LINEで言ってた」

「写真見たけど、やばいよ。モデルみたい」

 まだ春の肌寒い時期だったため、LINEで回ってきた美女の後ろ姿はスキニーパンツにニットとシンプルな装いだった。しかし、珍しい髪色に、スタイル抜群のその後ろ姿に、先ほどまで渋っていた生徒も部活を放り出してその美女を探し始めた。

 やっと見つけた謎の美女は、秋宮先輩と手を繋いで教室を見て回っていた。

「顔ちっさ」

「モデルやってるのかな?」

「写真一緒にとらせてもらお!」

 完璧に配置された顔のパーツは、テレビに出ているモデルですらも裸足で逃げそうなほど整っていた。

「うわぁ」

 思わず感嘆のため息が漏れていた生徒もいたらしい。恋人繋ぎをして笑い合う2人はまさにラブラブのカップルそのもの。そして、秋宮先輩を狙っていた後輩達は謎の美女が彼女であることを知り、がっくり膝をついたとか。

「でも、お似合いだからしょうがない」

 というのが、後日彼女たちから聞いた感想だったらしい。
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