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第118話【デートという名の駆け引き①】
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「たいした事じゃないわよ。
ほんの一日だけ買い物や食事に付き合って欲しいって言われただけよ」
「それってデートですか?」
僕がマリアーナの顔を見ながら微妙な表情でそう聞くと彼女は「まあ、そうとも言うわね」とニコニコとしながらそう答えた。
(まあ、確かに外観はただの美人だからそういう関係になりたいと思う男はいるだろう)
「かわいそうに、知らないって本当に残酷なんですね」
僕はついつい思っていた事をポロリとつぶやいていた。
「そうね。
せいぜい良い夢をみてもらってこれからの行動にも協力してもらわないとね」
マリアーナは怪しく微笑みながら僕の言葉を肯定してくれた。
「あいつから情報を引き出すんですよね?
具体的にどういった方法を考えてるんですか?」
「だいたい、ああいった男は見た目に弱いものよ。
だから私はか弱い女を演じて少しばかり相手を持ち上げてあげればいいだけよ。
これでも昔はよくやった情報収集のやり方だから得意分野ね」
「たしかに外観や喋り方はあまりモテるタイプじゃなかったからな。
魔道具士としてのレベルは高いみたいだけど女性を見極めるのは非常に難しいからすぐに詐欺や美人局に騙されそうだよな」
「うふふふふ、そうね」
そういった話をしながら僕たちは泊まっている宿屋にたどり着いていた。
――次の日、マリアーナは日頃あまり着ないワンピースを着て髪もきちんと手入れをして待ちあわせの場所へ向かう準備を整えていた。
僕の方は姿が見えると彼の機嫌を損ねるだろうと遠くから監視をすることに決めてデートで向かうであろう喫茶店のあたりで待つことにした。
「お願いですからやりすぎないようにしてくださいね」
情報を吐かせる気まんまんのマリアーナに内心ため息をつきながら僕はそう告げる。
「分かってるわよ。
ちゃんと情報を引き出すまでは手は出さないから安心して」
「いや、その言葉が信用出来ないからお願いしてるんですよ。
本当に最悪の場合は彼に村までの道案内をしてもらわないといけなくなるかも知れないんですから」
「えー、そんな面倒なことしないといけないの?
場所を吐かせてこっそり忍び込めば大丈夫じゃない?」
マリアーナはとてもギルドのナンバーツーとは思えない発言をして僕を驚かせる。
「マリアーナさん。
それ、本気で言ってます?
そんなことしたら速効で捕まって処刑されちゃいますよ!」
「あはは、分かってるわよ。
冗談に決まってるじゃないの」
どう考えても本気だったとしか思えない発言を撤回したマリアーナは「じゃあ、そろそろ行くわね」と言って待ちあわせの場所へと対った。
(本当に頼みますよ。
いまのところ接触出来る者のなかで彼が一番情報を持っているのは確実なんだから)
ワンピースのスカートをひらひらとさせながら歩くマリアーナの後ろ姿に手を合わせながら僕も予定の場所へと移動を開始した。
* * *
「お待たせしましたか?」
マリアーナは待ちあわせ場所に選んだ中央広場の噴水前に直立不動で立つゾラを見つけると優しく声をかける。
「い、いえ。
俺、いや自分もいま来たばかりですから大丈夫です。
とても2時間前に来ていたなんてありませんから」
ゾラはマリアーナの姿を見て顔を赤くしながら早く来ていたことを暴露してしまう。
「やっぱり待たせてしまったようですね。
では、さっそく行きましょうか。
それで今日の予定はどうなっているのかしら?」
「き、今日はマリアーナさんのイメージにあったデートスポットを調べて来ましたので行ってみたいと思いますです」
緊張のあまり言葉づかいが変になっているゾラだがマリアーナはそんな事には一切触れずに彼の手をとって「行きましょう」と微笑んだ。
「まだ、(食事には)時間が早いので雑貨屋を見てまわろうと思います。
いまから行く雑貨屋はこの街で1~2を争うほど魔道具の取り扱いが多いお店です。
宝石類も豊富ですのであなたに似合うものが見つかると思います」
ゾラは今まで会ったときの言葉づかいとは全く別人のようにマリアーナに対して丁寧な言葉で話しかける。
「まあ!
魔道具の取り扱いが豊富な雑貨屋ですの?
それは大変興味がありますわ、是非行ってみたいです」
「では、そちらのお店に行ってみましょうか」
ゾラはマリアーナの反応にホッとしながら彼女を雑貨屋へと案内していった。
「いらっしゃい。
おや、ゾラじゃないか。
どうした、今日は珍しく独りじゃないんだね。
しかも綺麗なお嬢さんじゃないか、まさかとは思うけどあんたの良い人じゃないわよね」
雑貨屋に入ると元気の良いおばさんがゾラに話しかける。
あまり外に出ないらしい彼の数少ない出没スポットなのだろうゾラの表情も幾分明るくなった様子だ。
「残念ながらそんなんじゃねぇよ。
ちょっと仕事上の付き合いがあるひとに街の案内として一緒にまわってるだけだ。
そんで彼女が魔道具に興味があるっていうんでこの店に連れてきただけだ」
さすがにゾラもマリアーナを勝手に彼女扱いするほど非常識ではなかったようで『仕事上の付き合い』と無難な受け答えをしていた。
「おや、そうかい。
やっとあんたにも春が来たかと思ったんだが……。
いや、いきなりすまないねお嬢さん。
おせっかいおばさんの独り言と思って聞き流しておいておくれ。
しかし、本当に腕はいいくせにその言葉づかいと態度をどうにかすればもう少し好かれると思うんだけどねぇ」
「うるせぇ、余計なお世話だよ。
見た目だけで判断する女なんかこちらから願い下げだってんだ」
「ほらほら、そういうところだよ」
それなりに気心がしれている間がらなのかお互い軽口を言い合いながらも笑顔で話すふたりを微笑ましく思いながらマリアーナはお店に並んでいる商品に目を向ける。
それなりに充実している品揃えらしくサブマスのマリアーナでも見たことのない魔道具があちこちに見受けられ興味があったマリアーナはふたりの会話が長引きそうだったのでそっと並べられている魔道具たちを鑑定しようとその場を離れたところをおばさんが目ざとく気がついて声をかけてきた。
ほんの一日だけ買い物や食事に付き合って欲しいって言われただけよ」
「それってデートですか?」
僕がマリアーナの顔を見ながら微妙な表情でそう聞くと彼女は「まあ、そうとも言うわね」とニコニコとしながらそう答えた。
(まあ、確かに外観はただの美人だからそういう関係になりたいと思う男はいるだろう)
「かわいそうに、知らないって本当に残酷なんですね」
僕はついつい思っていた事をポロリとつぶやいていた。
「そうね。
せいぜい良い夢をみてもらってこれからの行動にも協力してもらわないとね」
マリアーナは怪しく微笑みながら僕の言葉を肯定してくれた。
「あいつから情報を引き出すんですよね?
具体的にどういった方法を考えてるんですか?」
「だいたい、ああいった男は見た目に弱いものよ。
だから私はか弱い女を演じて少しばかり相手を持ち上げてあげればいいだけよ。
これでも昔はよくやった情報収集のやり方だから得意分野ね」
「たしかに外観や喋り方はあまりモテるタイプじゃなかったからな。
魔道具士としてのレベルは高いみたいだけど女性を見極めるのは非常に難しいからすぐに詐欺や美人局に騙されそうだよな」
「うふふふふ、そうね」
そういった話をしながら僕たちは泊まっている宿屋にたどり着いていた。
――次の日、マリアーナは日頃あまり着ないワンピースを着て髪もきちんと手入れをして待ちあわせの場所へ向かう準備を整えていた。
僕の方は姿が見えると彼の機嫌を損ねるだろうと遠くから監視をすることに決めてデートで向かうであろう喫茶店のあたりで待つことにした。
「お願いですからやりすぎないようにしてくださいね」
情報を吐かせる気まんまんのマリアーナに内心ため息をつきながら僕はそう告げる。
「分かってるわよ。
ちゃんと情報を引き出すまでは手は出さないから安心して」
「いや、その言葉が信用出来ないからお願いしてるんですよ。
本当に最悪の場合は彼に村までの道案内をしてもらわないといけなくなるかも知れないんですから」
「えー、そんな面倒なことしないといけないの?
場所を吐かせてこっそり忍び込めば大丈夫じゃない?」
マリアーナはとてもギルドのナンバーツーとは思えない発言をして僕を驚かせる。
「マリアーナさん。
それ、本気で言ってます?
そんなことしたら速効で捕まって処刑されちゃいますよ!」
「あはは、分かってるわよ。
冗談に決まってるじゃないの」
どう考えても本気だったとしか思えない発言を撤回したマリアーナは「じゃあ、そろそろ行くわね」と言って待ちあわせの場所へと対った。
(本当に頼みますよ。
いまのところ接触出来る者のなかで彼が一番情報を持っているのは確実なんだから)
ワンピースのスカートをひらひらとさせながら歩くマリアーナの後ろ姿に手を合わせながら僕も予定の場所へと移動を開始した。
* * *
「お待たせしましたか?」
マリアーナは待ちあわせ場所に選んだ中央広場の噴水前に直立不動で立つゾラを見つけると優しく声をかける。
「い、いえ。
俺、いや自分もいま来たばかりですから大丈夫です。
とても2時間前に来ていたなんてありませんから」
ゾラはマリアーナの姿を見て顔を赤くしながら早く来ていたことを暴露してしまう。
「やっぱり待たせてしまったようですね。
では、さっそく行きましょうか。
それで今日の予定はどうなっているのかしら?」
「き、今日はマリアーナさんのイメージにあったデートスポットを調べて来ましたので行ってみたいと思いますです」
緊張のあまり言葉づかいが変になっているゾラだがマリアーナはそんな事には一切触れずに彼の手をとって「行きましょう」と微笑んだ。
「まだ、(食事には)時間が早いので雑貨屋を見てまわろうと思います。
いまから行く雑貨屋はこの街で1~2を争うほど魔道具の取り扱いが多いお店です。
宝石類も豊富ですのであなたに似合うものが見つかると思います」
ゾラは今まで会ったときの言葉づかいとは全く別人のようにマリアーナに対して丁寧な言葉で話しかける。
「まあ!
魔道具の取り扱いが豊富な雑貨屋ですの?
それは大変興味がありますわ、是非行ってみたいです」
「では、そちらのお店に行ってみましょうか」
ゾラはマリアーナの反応にホッとしながら彼女を雑貨屋へと案内していった。
「いらっしゃい。
おや、ゾラじゃないか。
どうした、今日は珍しく独りじゃないんだね。
しかも綺麗なお嬢さんじゃないか、まさかとは思うけどあんたの良い人じゃないわよね」
雑貨屋に入ると元気の良いおばさんがゾラに話しかける。
あまり外に出ないらしい彼の数少ない出没スポットなのだろうゾラの表情も幾分明るくなった様子だ。
「残念ながらそんなんじゃねぇよ。
ちょっと仕事上の付き合いがあるひとに街の案内として一緒にまわってるだけだ。
そんで彼女が魔道具に興味があるっていうんでこの店に連れてきただけだ」
さすがにゾラもマリアーナを勝手に彼女扱いするほど非常識ではなかったようで『仕事上の付き合い』と無難な受け答えをしていた。
「おや、そうかい。
やっとあんたにも春が来たかと思ったんだが……。
いや、いきなりすまないねお嬢さん。
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しかし、本当に腕はいいくせにその言葉づかいと態度をどうにかすればもう少し好かれると思うんだけどねぇ」
「うるせぇ、余計なお世話だよ。
見た目だけで判断する女なんかこちらから願い下げだってんだ」
「ほらほら、そういうところだよ」
それなりに気心がしれている間がらなのかお互い軽口を言い合いながらも笑顔で話すふたりを微笑ましく思いながらマリアーナはお店に並んでいる商品に目を向ける。
それなりに充実している品揃えらしくサブマスのマリアーナでも見たことのない魔道具があちこちに見受けられ興味があったマリアーナはふたりの会話が長引きそうだったのでそっと並べられている魔道具たちを鑑定しようとその場を離れたところをおばさんが目ざとく気がついて声をかけてきた。
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