荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼

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第166話【ロロシエル商会長②】

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「トトルから聞いたのですが二人は旅をしながら各地の品物を仕入れているそうですね。
 普通ならば輸送手段の確保や護衛、食品であれば鮮度の問題など大手の商会でも出来ないであろう事を可能にしているのはあなたのスキルのおかげだとか」

 ハーベスはまずトトルから聞かされた事を僕たちに話題として話し始める。

「ええ、カード収納スキルというマイナーなスキルですよ」

「確かにカード収納スキルといえば役に立たないスキルのひとつとして認識されているものです。
 しかし、それをあなたは見事に使いこなして価値あるものへと昇格させました。
 これは本当に素晴らしい事で、もしかするとこの世界の運送を生業にしている者たちに代わって新たな業界を作り出せる可能性を秘めているものだと私は考えています」

 ハーベスは今の僕をそう分析して素直に称賛の辞をのべる。

「私はご存知のとおり商人ですので新たな儲け話の匂いがあればその真偽を確かめなければすまない性格をしておりましてトトルから報告を聞いてからこうしてミナト殿にお会いしてみたいと思っておりました」

 ハーベスは口調は穏やかに話すがこちらの事を注意深く観察しているような雰囲気を醸し出していた。

「僕の方もトトルさんからあなたの事をお聞きして一度話をしてみたいと思っていたのですよ」

 僕はハーベスに話の主導権を握られそうな予感がしたのでそれを取り返すべく、こちらの要望のカードを先に切ることにした。

「ほう。
 商人である私に話があるとなれば何か特殊なものを売って欲しいと言うことでしょうかね」

 ハーベスも余裕の表情で僕の意図を汲み取りそう切り返す。

「ええ、この国一番の商会であるロロシエル商会ならばきっと僕の探していたものが手に入ると思いましてね」

「はっはっは。
 国で一番かどうかはわかりませんが確かに大抵の品ならば手に入れることは可能でしょう。
 して、どのようなものをお探しですか?」

 ハーベスは僕が探していると言ったものが何なのか興味があるようで話に食いついてきた。

「実はある魔道具を探しているのです」

「魔道具ですか。
 それならばお隣の国アランガスタの方が手に入れやすいのではないですか?
 確かにダルべシアも魔道具の類は取り扱っておりますが元々の生産元の多くはアランガスタ産となります。
 残念ながら魔道具生産に限ってはダルべシアの技術はアランガスタには追いついておりません」

 ハーベスは僕の捜し物が魔道具だと知ると表情に曇りを見せながらそう説明する。

「それは僕も考えてはいたのですがアランガスタに滞在していた時には思いつかなかった事があるのです」

「それをダルべシアに来てから思いついた……と」

「はい」

「ふむ。
 まあ、あまり詮索するつもりはありませんので安心してください」

 ハーベスはそう言うと紅茶に手を伸ばして一口飲み話を続けた。

「それでどのような魔道具をお探しなのでしょうか?」

「探して貰えるのですか?」

「実際にご用意出来るかは保証できませんが商品を知らなければその判断も出来ませんので」

 そこまで言われて僕は何が必要なのかを話していなかった事に気がついた。

「――調薬補助の魔道具ですか?
 ……失礼ですが調薬スキルをお持ちなのでしょうか?」

「いえ、残念ながら持ち合わせていません」

「ではどうして調薬補助の魔道具を必要とされるのでしょうか?
 この魔道具は本来の調薬スキルの補助をして調薬師の負担を減らすための物のはずでしょう?
 調薬スキルを持っていない者には必要ないものだと思うのですがどなたか知り合いにスキル持ちが居て代わりに探しているとか?」

(本来必要としないものを買うには魔道具は高価過ぎるもの。理由を知りたがるのも無理はないか)

「あまり知られていないのですが実は調薬はスキルが無くても知識があれば出来るのです」

「な、なんですと?
 本当にそんな事があると言うのですか?」

 僕の発言にハーベスは驚いて僕に真偽の程を問いただす。

「ええ、ただ誰でもって訳にはいかないですけどね。
 調薬に必要なのものは素材の正確な把握……いわゆるレシピをきちんと再現出来るかなんです。
 調薬スキルはそれを自動的に調整して作ることが出来るのですけど意外と素材の無駄も多いんです。
 それを補助するのが魔道具の役目というわけで魔道具にレシピを記憶させて素材を入れると必要な量に分けてくれてスキルで作るよりも時間はかかりますが無駄を少なくしながら調薬をすることが出来るんです」

「……いや、ミナト殿は博識なのですね。
 そのような事は今まで聞いたことはありませんでしたので驚くばかりです」

「いえ、僕も人から教えてもらった知識ですのでたまたま知っていただけですよ。
 それで実際のところ魔道具の調達は可能でしょうか?」

 僕は本来の目的である魔道具の調達が可能かどうかをハーベスに問う。

「……そうですね。
 可能かどうかで問われると可能でしょう。
 あまり多くはないとはいえダルべシアにも調薬師はおりますし魔道具を使う者もいますので。
 ただ、魔道具はお安くありませんし私どもの商会にも在庫で置いていることはありませんのでアランガスタから運んでくることになるでしょう。
 具体的にはこのくらいの金額がかかると思って頂きたいのですがそれでも購入されますか?」

 ハーベスの提示した金額は僕の予想していた金額よりも高く書かれており即決するには悩ましいところだった。

「予想よりも高くて驚きました」

 僕の素直な感想にハーベスは真面目な顔でその理由を教えてくれた。

「申し訳ありませんが私は商人ですので手間とリスクを計算した時にこの金額となるのです。
 時間にしてもアランガスタの職人にギルドを通じて依頼をかけますので商品が届くまでは2ヶ月はかかるでしょう」

「2ヶ月ですか。
 分かりましたそれでお願いします。
 金銭の支払いは納品時に準備しておきます」

「わかりました。
 では受注させて頂きます」

 ハーベスは購入契約書をスラスラと記入して僕にサインを求め締結後に微笑みながら僕たちに告げた。

「いや、大きな商売ありがとうございます。
 本来ならばお礼を兼ねての食事会のつもりでしたのに思わぬ商売になってしまいました。
 まだつもるお話もありますので、この後は食事をしながらとさせてください」

 ハーベスこ手をパンパンと叩くと店の店員が料理を運んでくるのが見えた。
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