27 / 48
第四章 百鬼夜行殲滅作戦
第二話*side陽真
しおりを挟む百鬼夜行の発生原理は判っている。
はじめに知能のある妖魔が知能の低い妖魔を集め、さらにそれらが知能の皆無な妖魔を集めることで大規模な集団を形成していくのだ。
その痕跡で規模や発生しうる地域の予測ができる。
そのためこの作戦でもっとも重要となるのは親玉である知能のある妖魔を倒すこと。
まあ、親玉にたどり着くまでに大半の妖魔を切り捨てる必要があるわけだが、連携を知らない知能の低い妖魔を倒すのは難しいことではない。
今回の百鬼夜行は規模で言えば小規模だ。
百鬼と言いつつ、酷いときは千を超える妖魔が集っていることもある。それに比べれば百数十体などは大した数ではない。
五木が全体への攻撃で雑魚を蹴散らし、僕と薫子で残りを切り伏して、僕らが打ち仕損じたものを三枝が駆逐する。
衛は五木の護衛と僕らの援護だ。
役割が明確であり個々の能力が高いため、己の役目に専念できてとても効率がいい。僕の部隊は完璧な連携で敵の本陣に向けて突撃する。
予想通り他の部隊の応援はないが、むしろ邪魔をされない分動きやすい。
そう感じているのは僕だけではないはずだ。
「へぇ、噂とは当てにならないものだな」
既にお互い三十体は妖魔を葬った頃、薫子が戦闘が楽しいと言わんばかりの恍惚とした邪悪な笑顔とともに、そんな言葉を吐き出した。
「噂?」
僕は目の前の切っても切っても湧き出てくる妖魔と対峙しながらも薫子の言葉に耳を傾ける。
なぜなら、噂とは衛のことだろうと察しがついたからである。
「日凪は火力が弱くて使えない銃使い、と聞いていた。だけどあれは何だ? 一撃必殺じゃないか。しかも待機時間も無く常に撃ち続けている」
「ふふ、衛の才能に驚いただろう?」
僕が自慢気に言ったのが癪に障ったのか、薫子は顔をしかめる。
「なぜあれだけの逸材が無能呼ばわりされている?」
薫子の問いかけに答えるか躊躇したが、これから衛が背中を預けるかもしれない人間だ。
衛のことを少しでも理解しておいてもらった方がいいだろう。
「それはね、衛自身がうまく擬態していたからだよ」
「擬態? どういうことだ?」
「真正面からすべてを受け止められる君にはわからないと思うけど、衛は繊細でね。自分を守るためにそうするしかなかったんだ」
月読館でも目立たないよう立ち回っていた衛の評価は平均であり普通だった。
成績はすべて真ん中、退魔武器は珍しいが、発砲までに時間がかかり、当たりどころが良ければ致命傷になる。そう、まさしく弓と同程度の威力と思われていた。弓使いは多くはないが珍しくもない。
可もなく不可もなく、特徴のない人物。
数人に確認したが、衛への評価は面白いくらいに皆同じだった。
152
あなたにおすすめの小説
ぼくが風になるまえに――
まめ
BL
「フロル、君との婚約を解消したいっ! 俺が真に愛する人は、たったひとりなんだっ!」
学園祭の夜、愛する婚約者ダレンに、突然別れを告げられた少年フロル。
――ああ、来るべき時が来た。講堂での婚約解消宣言!異世界テンプレ来ちゃったよ。
精霊の血をひく一族に生まれ、やがては故郷の風と消える宿命を抱えたフロルの前世は、ラノベ好きのおとなしい青年だった。
「ダレンが急に変わったのは、魅了魔法ってやつのせいじゃないかな?」
異世界チートはできないけど、好きだった人の目を覚ますくらいはできたらいいな。
切なさと希望が交錯する、ただフロルがかわいそかわいいだけのお話。ハピエンです。
ダレン×フロル
どうぞよろしくお願いいたします。
【本編完結】転生先で断罪された僕は冷酷な騎士団長に囚われる
ゆうきぼし/優輝星
BL
断罪された直後に前世の記憶がよみがえった主人公が、世界を無双するお話。
・冤罪で断罪された元侯爵子息のルーン・ヴァルトゼーレは、処刑直前に、前世が日本のゲームプログラマーだった相沢唯人(あいざわゆいと)だったことを思い出す。ルーンは魔力を持たない「ノンコード」として家族や貴族社会から虐げられてきた。実は彼の魔力は覚醒前の「コードゼロ」で、世界を書き換えるほどの潜在能力を持つが、転生前の記憶が封印されていたため発現してなかったのだ。
・間一髪のところで魔力を発動させ騎士団長に救い出される。実は騎士団長は呪われた第三王子だった。ルーンは冤罪を晴らし、騎士団長の呪いを解くために奮闘することを決める。
・惹かれあう二人。互いの魔力の相性が良いことがわかり、抱き合う事で魔力が循環し活性化されることがわかるが……。
邪神の嫁として勝手に異世界召喚されたけど、邪神がもろタイプだったので満更でもないです
我利我利亡者
BL
椎葉 譲(しいば ゆずる)は突然異世界に召喚された。折角就活頑張って内定もらえてこれからって時に、冗談じゃない! しかも、召喚理由は邪神とやらの神子……という名の嫁にする為だとか。こっちの世界の人間が皆嫌がるから、異世界から神子を召喚した? ふざけんな! そんなの俺も嫌だわ! 怒り狂って元の世界に戻すよう主張する譲だったが、騒ぎを聞き付けて現れた邪神を一目見て、おもわず大声で叫ぶ。「きゃわいい!」。なんと邪神は猫の獣人で、何を隠そう譲は重度のケモナーだった。邪神は周囲からあまりいい扱いを受けていないせいかすっかり性格が捻くれていたが、そんな事は一切気にせず熱烈にラブコールする譲。「大好き! 結婚しよ!」「早く元の世界に帰れ!」。今日もそんな遣り取りが繰り返される。果たして譲は、邪神とフォーリンラブできるのか!?
孤独な邪神でもある黒猫獣人×重度のケモナーでもあるおチャラけ根明
婚約破棄されるなり5秒で王子にプロポーズされて溺愛されてます!?
野良猫のらん
BL
侯爵家次男のヴァン・ミストラルは貴族界で出来損ない扱いされている。
なぜならば精霊の国エスプリヒ王国では、貴族は多くの精霊からの加護を得ているのが普通だからだ。
ところが、ヴァンは風の精霊の加護しか持っていない。
とうとうそれを理由にヴァンは婚約破棄されてしまった。
だがその場で王太子ギュスターヴが現れ、なんとヴァンに婚約を申し出たのだった。
なんで!? 初対面なんですけど!?!?
追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」
身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。
死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。
カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。
「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」
献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。
これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。
異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる
ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。
アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。
異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。
【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。
αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。
負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。
「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。
庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。
※Rシーンには♡マークをつけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる