まさか「好き」とは思うまい

和泉臨音

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まさか「好き」とは思うまい

6.「じゃあ五時にそこで」

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 育休明けの復帰と新人が入ったタイミングが同じで、俺は二人同時に仕事を伝えることができた。
 社内の事も判っている方だから、赤ちゃんが急に熱を出してしまったりと勤務は安定しなかったけど、週に数時間でも来てもらえるだけで俺の仕事量は格段に減った。新人も簡単なことならその人に聞いてくれたので、俺の時間が新人教育に大幅に削られる事もなかった。

 なので二月には日曜の休みを確保できたし、夜も21時には退社できた。
 ただ困ったことに家に着くのが0時前になってしまったので、コンビニに寄っても各務くんと会わなくなった。

「あんた最近、夜来ないよな」
「早く帰れるようになったんだ」
「……ふーん」
「レポートは終わった?」
「……うぜぇ」

 なので、朝会いに行くことにした。
 一月になったらまた各務くんが居ない日があって、店長さんに聞いたら「レポートが終わらないって言うからお休みにしてあげたの」と個人情報をさくっと教えてくれた。
 今は知り合いだから、まあいいのかと思う。

「明日飯、夜でいい?」
「うん、いいよ」
「じゃあ五時にそこで」
「コンビニの前ね、わかった」

 会話の量は増えたが、今は後ろのお客さんを待たせないで済むようになった。
 なんだかんだと各務くんと話すようになって三か月くらいたったんだな。あの頃は本当に仕事に追われていたから毎日良く判らないうちに終わってたけど、各務くんとの会話? 挨拶? のお蔭で人間としての最低限の心が守られていた気がする。

 いや「うざい」とか言われて守られる心ってなんだろなと、冷静になると意味が解らないけど、俺の状況が相当やばかったという話だ。
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