まさか「好き」とは思うまい

和泉臨音

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まさか「好き」とは思うまい

7.「あんたと一緒のでいい」

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 各務くんと約束の日はバレンタインだったので、職場で貰ったチョコをお裾分けしようと持参した。頑張っていた俺になんだかみんな気を使ってくれたらしく、六個も貰ってしまったからだ。
 もし食べないっていうなら持って帰ればいいし。
 約束の時間にコンビニの前で立っていれば、中から各務くんが出て来た。

「あれ? そういえば今日バイトの日じゃないの?」
「変わってもらった。飯、うちでいい?」
「いいよ。あ、それなら何か買ってく? 飲み物とか」
「は? 俺がおごるんだけど?」
「え? 飲み物はいいよ、ご飯だけ食べさせて。お酒でいい?」
「あんたと一緒のでいい」
「あはは、何買うかバレてるよね。……って、あ? そうだ、歳いくつ?」
「二十歳」
「じゃあ飲めるね。適当に買ってから家行くよ」
「……チッ、わかった」

 なんだか久々に不良店員くんって呼んでた時代の舌打ちを聞いて、思わず笑ってしまう。
 俺はいつもの缶チューハイとビールと適当に買って各務くんの家へ向かった。コンビニが近いと買い足しも楽でいいな。
 「ゆかり荘」は古い建物だけど、中はまあまあ広かった。四畳半にキッチンがついててその奥に六畳間がある。俺の住んでる1Kより広い。
 四畳半に小さなテーブルがあって、その上にコンロと鍋が乗っていた。

「懐かしいな、大学生ってこういう感じだよね」
「勝手に先輩が置いてった」
「あはは、溜まり場確定だ」

 冷蔵庫も勝手に開けていいと言うので買ってきたチューハイとか出し入れして、鍋を食べた。ご飯も炊いてあった。ちゃんと食事してんだな、偉い。
 そういえばテレビが部屋になくて不便じゃないか聞いたら、パソコンで見るから要らねぇと言われて今どきはそうなのか?? と驚いた。
 あと各務くんは俺と同じ大学に通ってた。学部も違うし、学科もなんだかんだと変わっているから同じ先生に習ってはいなかったけど、学食のメニューは変わってなくて、積極的には会話をしてくれないが各務くんと話すのは楽しかった。

「あ、そうだ甘いもの好き?」
「……ふつう」
「じゃあ、チョコあげるね。職場で今年結構もらってさ。あ、もしかしてきみも結構貰ってたりする?」
「もらわねぇよ」
「そっか。はいどうぞ」

 俺は鞄からチョコの赤い包みを取り出せば各務くんへ差し出した。
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