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たぶん「好き」だと気付いてる
6.「……笑えねぇ」
しおりを挟む「思いがけない冒険だったね。遊歩道の認識を俺は改めたよ」
部屋に戻れば各務くんも部屋の風呂に入浴済みで、豪華な食事も用意されていた。
ちょっと豪華なプランにしたので、部屋も広くて寝る場所は洋室にベッドがあって、夕飯はその隣の和室に準備してくれているいわゆる部屋食だ。
最初に部屋に入った時、各務くんが部屋の広さに若干引いていたけど、贅沢したかった俺は大満足である。
「まぁ、そうだな」
「あれ陽が落ちる前だったから良かったけど、冬に来てたら遭難してたかもね」
「……笑えねぇ」
各務くんが心底嫌そうに言ったので、思わず笑ったら睨まれた。ごめん。
料理も美味しくて、大浴場で教えてもらった日本酒もとっても美味しかった。
飲みやすいしとにかく美味しい。このまま帰宅する必要もないしすぐ寝ていいんだ、と思えばアルコールもすすむし、勧めるのも遠慮が無くなる。
目の前の浴衣姿に、いつもより大人っぽいななんて思いながら視線を向けた。
「あんたって食べること好きだよな?」
「ん? そうかな? そうかも?」
刺身や煮つけ、アワビ焼きに伊勢海老のグラタン。贅沢だなぁと舌鼓をうっている俺をじっと見つめながら言われた。
「それなのに、よく毎日コンビニ飯で過ごせたな」
「あの時はね、何も考えたくなかったていうか考えられなかったんだ。でも今はこうやって一緒にご飯食べるの幸せだし、何食べようかなって考えるの楽しいよ」
半年前、休みも無ければ毎日通勤と勤務と最低限の生活の確保だけしていた俺の夕飯はコンビニのおにぎりと缶チューハイだけだった。
毎日寄ってたコンビニで働いてた各務くんが、俺に言っていたわけじゃないけど、俺を見て悪態をついていて、それが俺にとって精神の安定になっていた。
脳が考えることを停止していた中で、自分が今まで受けたことのない刺激を受けたから気になって少し脳が生き返ったって感じなのだと思うけど、それを言ったらマゾ扱いされている。
まあでもとにかく各務くんとの出会いは俺にとって幸運に他ならない。
不思議なものを見るような顔で俺を見る各務くんに、思わず顔が緩んで微笑んでしまう。
俺と一緒にこうやって俺の好きなことをしてくれるの、本当に感謝している。
「そう……かよ」
「うん。きっと同じものを一人で食べてもつまらないのかもしれないけど、かがみくんといっしょだとすごくおいしい」
アルコールは弱くない。記憶をなくしたこともない。
ちょっとふあふあと心地よくなるから全く酔わないわけでもないけど。だから、自分の呂律が回らなくなってきているのを感じて、少し飲みすぎたかもと思う。
水を飲む。
水……甘い水だな。
「あんた飲みすぎじゃね?」
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